電気工事の資格を知ろう!|種類・受験資格・試験の合格率や難易度を解説

電気工事士の資格・試験

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電気工事の仕事は多岐に渡るため、数多くの資格を取得していた方が仕事の幅を広げられます。

電気に関する資格の中でもっともポピュラーなのは「電気工事士」の資格ですが、この他にも、電気工事施工管理技士や電気主任技術者など、電気に関する資格の種類は数多く存在します。

資格を取得すれば、自分の知識や技術力の証明になるので、持っておいて損はありません。

本記事では、電気に関するさまざまな種類の資格をご紹介します。

この記事でわかること

受験資格や試験の難易度なども参考にしてみて下さい。

電気工事士とは

電気工事士は、電気に関する資格の中でもっともポピュラーな資格です。

電気工事士の資格には、入門編である「第二種電気工事士」と、上位資格である「第一種電気工事士」の2種類があります。

初心者の方であれば、まずは第二種電気工事士の資格を取得するのがオススメです。

第二種電気工事士

第二種電気工事士を取得すると、一般住宅や小規模な店舗、事業所などで、電圧が600V以下の電気工事(配線工事や電気設備工事)などを行うことが可能です。

第二種電気工事士は毎年10万人以上が受験している人気の資格で、独学でも合格を狙うことができます。

また、受験資格もないため、これから電気工事士を目指す初心者の方にオススメの資格だと言えるでしょう。

■ 第二種電気工事士の受験資格・合格率・難易度

受験資格 なし
合格率 筆記試験:50%~60%台
技能試験:60%~70%台
難易度 ★☆☆☆☆

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター HP

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第一種電気工事士

第一種電気工事士を取得すると、600V以上の高圧電流も取り扱えるため、ほとんどの電気設備の工事を行うことが可能です。(電力会社などの電気事業用の電気設備を除く)

担当する仕事の制限がなくなるため、電気工事士としての能力を最大限に活かすことができます。

したがって、第一種電気工事士は、電気工事士として最終的に目指すべき資格であると言えるでしょう。

■ 第一種電気工事士の受験資格・合格率・難易度

受験資格 なし※
合格率 筆記試験:40%~50%台
技能試験:60%~70%台
難易度 ★★☆☆☆

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター HP
※免状の交付を受けるには、5年以上の実務経験が必要となります。
ただし、免状の交付前でも講習を受ければ、自家用電気工作物の低電圧部分の工事を行うことはできます。


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電気工事施工管理技士とは

電気工事施工管理技士の資格は、施工計画・施工図の作成・工程管理・安全管理など施工時の管理をするために必要とされています。

電気工事を行う場合は、施工日程や工事計画、施工図の作成、工事の工程・品質・安全の管理を行わなければなりません。こうしたあらゆる面を管理するのが電気工事施工管理技士の仕事です。

なお、電気工事施工管理技士は「2級電気工事施工管理技士」と「1級電気工事施工管理技士」があり、国土交通省が定める国家資格です。

2級電気工事施工管理技士

■ 2級電気工事施工管理技士の受験資格・合格率・難易度

受験資格
第一次検定:あり(満17歳以上)
第二次検定:あり※
合格率 第一次検定:40%~50%台
第二次検定:60%~70%台
難易度 ★★★☆☆

参考:一般財団法人 建設業振興基金 施工管理技術検定 HP
※第二次検定の受験資格について詳細は「受験資格」にてご確認ください。

1級電気工事施工管理技士

■ 1級電気工事施工管理技士の受験資格・合格率・難易度

受験資格
第一次検定:あり(満19歳以上)
第二次検定:あり※
合格率 第一次検定:50%~60%台
第二次検定:40%台
難易度 ★★★☆☆

参考:一般財団法人 建設業振興基金 施工管理技術検定 HP
※第二次検定の受験資格について詳細は「受験資格」にてご確認ください。

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■ひとくちメモ 【 合格者のみが受けられる「監理技術者」】

難関資格ですが、合格者は講習と試験を通過すれば「監理技術者」の認定を受ける事ができます。
「監理技術者」は、公共工事に必ず従事しなければならない建設業界では、必要不可欠な存在です。資格と併せて取得しておけば、転職時に有用な資格となります。



電気主任技術者とは

電気主任技術者は、ビルなどの電気を扱う場所の、配電設備や配線等の保安監督を行うことができる資格です。

具体的には、発電所や変電所、それに工場・ビルなどの受電設備や配線など、電気設備の保安監督業務に携わることができます。

なお、電気設備を設けている事業主は、工事・保守や運用などの保安監督者として、電気主任技術者を選任しなければならないことが法令で義務付けられているため、社会的評価が高い資格とされています。

ちなみに、電気主任技術者は、略称で「電験(でんけん)」と呼ばれることが多いです。

第三種電気主任技術者(電験三種)

■ 第三種電気主任技術者(電験三種)の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 7%~9%程度
難易度 ★★★★★

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター HP

第二種電気主任技術者(電験二種)

■ 第二種電気主任技術者(電験二種)の受験資格・合格率・難易度

受験資格 なし
合格率 一次試験:20%台
二次試験:10%~20%台
難易度 ★★★★★

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター HP

第一種電気主任技術者(電験一種)

■ 第一種電気主任技術者(電験一種)の受験資格・合格率・難易度

受験資格 なし
合格率 一次試験:20%台
二次試験:10%以下(約4%程)
難易度 ★★★★★

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター HP

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電気通信の工事担任者とは

工事担任者は、電気通信回線(インターネット回線・電話回線・光回線)などの端末設備等を接続するために必要とされている資格です。

例えば、光ファイバーにパソコンや電話機の接続を行ったり、オフィスなどでインターネットを使うときのLAN構築を行ったりします。

工事担任者の資格には5つの種類があり、第一級・第二級アナログ通信(旧名:AI種)と第一級・第二級デジタル通信(旧名:DD種)、総合通信となっています。

アナログ通信は一般的な電話機やホームテレホン等の工事ができ、デジタル通信は光回線等の工事を行うことができます。また、情報通信の設備工事ができるだけでなく、保守や管理、工事の監督などの仕事にも携われるようになります。

※資格の種類によって工事の範囲が変わります。また、工事担任者の全ての試験において、受験資格はありません。

アナログ通信(旧名:AI種)

アナログ設備の工事ができるアナログ通信の資格には、第一級・第二級の2種類があります。資格の種類によって扱うことのできる工事の範囲が異なります。

また試験の難易度も、第二級よりも第一級のほうが高くなっています。

■ 第二級アナログ通信の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 40%~50%台
難易度 ★★☆☆☆

参考:電気通信国家試験センター HP

■ 第一級アナログ通信の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 30%台
難易度 ★★★☆☆

参考:電気通信国家試験センター HP

デジタル通信(旧名:DD種)

デジタル設備の工事ができるデジタル通信の資格には、第一級・第二級の2種類があります。資格の種類によって扱うことのできる工事の範囲が異なります。

また試験の難易度も、第二級よりも第一級のほうが高くなっています。

■ 第二級デジタル通信の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 50%台
難易度 ★★☆☆☆

参考:電気通信国家試験センター HP

■ 第一級デジタル通信の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 20%~30%台
難易度 ★★★☆☆

参考:電気通信国家試験センター HP

総合通信(旧名:AI・DD総合種)

総合通信は、アナログ通信とデジタル通信の両方の工事範囲を含み、工事担任者としてすべての端末接続工事に対応することが可能です。したがって、総合通信は、工事担任者として最終的に目指すべき資格と言えるでしょう。

■ 総合通信の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 25%~30%程度
難易度 ★★★★☆

参考:電気通信国家試験センター HP

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電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備を施工・維持・運用する監督になるための資格です。

事業用電気通信設備を施工する場合は、総務省令が定めた技術基準を満たす必要があります。

また、事業ごとに自主的な維持・運営を行わなければなりません。そのための監督をするのが電気通信主任技術者です。

電気通信事業と通信機器・システムの急速な発展に伴い、電気通信主任技術者の需要は今後さらに伸びることが予想されるでしょう。

なお、電気通信主任技術者の資格には、ネットワークを構築する設備によって、伝送交換主任技術者と線路主任技術者の二つに区分されています。

伝送交換主任技術者

伝送交換主任技術者は、電気通信業に用いられる無線設備・受電設備・発電設備などの伝送交換設備や、これに附随する設備の工事、維持、運用を行います。

■ 伝送交換主任技術者の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 10%~20%台
難易度 ★★★★☆

参考:電気通信国家試験センター HP

線路主任技術者

線路主任技術者は、電気通信業に用いられる電話回線、海底ケーブルなどの線路設備や、これに附随する設備の工事、維持、運用を行います。

■ 線路主任技術者の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 10%~20%台
難易度 ★★★★☆

参考:電気通信国家試験センター HP

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その他の資格(電気・設備・管理系)

これまでにご紹介してきた資格以外にも、電気にまつわる資格はたくさんあります。

ここでは、電気事業のより専門的な資格や、設備、管理系事業における電気にまつわる資格をご紹介していきます。


認定電気工事従事者

認定電気工事従事者は、最大電力が500キロワット未満の自家用電気工作物のうち、電圧が600ボルト以下で使用する電気工作物の電気工事(簡易電気工事)に携わることのできる資格です。(電線路に係るものを除きます)

認定電気工事従事者は、試験を受けなくても、「申請」または「講習受講後⇒申請」するだけで認定証を取得することが可能です。

ただし、認定電気工事従事者の資格だけでは、第二種電気工事士の工事範囲はカバーできません。



特種電気工事資格者

特種電気工事資格者は、自家用工作物(最大電力が500キロワット未満)の電気工事のうち、「ネオン工事」と「非常用予備発電装置工事」に携われることができる資格です。

特種電気工事資格者は、ネオン工事と非常用予備発電装置工事でそれぞれの資格があるため、両方の工事をできるようになりたい場合は、別々で認定証の申請を行う必要があります。

■ 特種電気工事資格者の資格取得方法

特種電気工事資格者
(ネオン工事)
認定講習を受講、または、ネオン工事技術者試験を受験
特種電気工事資格者
(非常用予備発電装置工事)
認定講習を受講、または、自家用発電設備専門技術者試験を受験



消防設備士

消防設備士は、消防設備等または特種消防用設備等の点検・整備・工事などを行うのに必要な資格です。

劇場やデパート・ホテルなどの建物は、その用途・規模・収容人数に応じて、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備、自動火災報知設備などの消防設備等または特種消防用設備等の設置が法律により義務付けられているため、消防設備士の需要は高いです。

消防設備士の資格には、点検・整備のみを独占的に行うことができる「乙種」と、点検・整備に加え工事まで行うことができる「甲種」の2パターンがあります。

さらに、乙種は1類~7類まで、甲種は1類~5類まであり、資格の種類によって扱うことのできる設備が異なります。

■ 消防設備士 乙種の受験資格・合格率・難易度

受験資格
なし
合格率 1類:25%~35%程度
2類:25%~40%程度
3類:20%~35%程度
4類:30%~35%程度
5類:30%~40%程度
6類:35%~40%程度
7類:55%~60%程度
難易度 ★★☆☆☆

参考:一般財団法人消防試験研究センター HP

■ 消防設備士 甲種の受験資格・合格率・難易度

受験資格
あり
合格率 1類:20%~30%程度
2類:20%~30%程度
3類:25%~35%程度
4類:30%~40%程度
5類:30%~40%程度
難易度 ★★★☆☆

参考:一般財団法人消防試験研究センター HP

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エネルギー管理士

エネルギー管理士は、電気・ガスなどのエネルギーを消費する工場や事業所で、エネルギー使用量や使用方法の監視を行ったり、設備の管理や回線を行ったりするための資格です。

■ エネルギー管理士の受験資格・合格率・難易度

受験資格 試験の場合:なし
研修の場合:あり
(研修終了までに3年以上の実務経験)
合格率 20%~30%台
難易度 ★★★☆☆

参考:一般財団法人省エネルギーセンター HP

その他の資格(安全・衛生系)

ここでは、安全、衛生系事業において電気にまつわる資格をご紹介していきます。


高所作業車運転者

電気工事では高所作業が発生することがあります。

その際に必要なのが「高所作業車運転者」の資格で、作業床の高さが10メートル以上の高所作業車の運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務に携わることができます。

高所作業車運転者は国家資格ではないので、講習と修了考査で取得できます。
※技能講習は都道府県労働局長登録教習機関において行われています。

電気取扱者(低圧、高圧・特別高圧)

電気取扱者は、現場で作業をする作業員の安全面を見る資格で、労働安全衛生法によって定められている特別教育の1つです。

既定の講習を受講することで資格を得ることができます。

なお、電気取扱者には、「低圧電気取扱者」「高圧・特別高圧電気取扱者」の2種類があります。

職長・安全衛生責任者教育

職長・安全衛生責任者教育は、現場の職長や安全衛生責任者として、作業員への指示出し・安全面の確保、作業員の教育・指導・是正、作業現場で使用する用具類の点検・保全などの業務を行うための資格です。

既定の講習を受講することで資格を得ることができます。

玉掛け作業者

玉掛け作業者は、建設現場で重い荷物をクレーンのフックに掛けたり外したりする作業をするための資格です。

既定の講習を受講することで資格を得ることができます。

使用するクレーンの吊り上げ荷物の重さが1トン未満の場合は「玉掛け特別教育」、吊り上げ荷物の重さが1トン以上の場合は「玉掛け技能講習」を受講しましょう。

高圧ケーブル工事技能認定

高圧ケーブル工事技能認定は、高圧受電の電気工事現場で役立つ資格です。

各地区(東北、関東、関西、九州)の電気協会が主催する「高圧ケーブル工事技能認定講習会」を受講することで取得できます。

なお、技能講習会の受講には、「第一種電気工事士」免状所持者、または「第二種電気工事士」免状取得後5年以上の工事経験が必要です。

まとめ 電気系の資格は多い!気になるものから挑戦してみよう

本記事では、電気にまつわる資格について、受験資格や合格率、難易度などを中心にご紹介しました。

この記事のまとめ
  • 電気にまつわる資格のうち、まず初めに取るべき資格は第二種電気工事士
  • 工事担任者や消防設備士(乙種)も、受験資格がなく合格率も高めなため比較的取りやすい
  • 電気主任技術者(電験)は、電気にまつわる資格の中でも特に難関の資格
  • 電気にまつわる資格は数多くあるため、「何ができる資格なのか」をきちんと確認して取得することが重要

電気にまつわる資格はたくさんあり、受験資格なしで受けられるものも多いです。

気になる資格がありましたら、ぜひ積極的に挑戦してみましょう。

なお、資格を取得して電気工事業に転職したいと考えている方は、資格勉強の前に転職活動を始めるのも1つの手段です。

専門職であっても、「資格・経験不問」の企業も多くあるからです。さらに「資格取得支援制度」を導入している企業であれば、入社後に資格取得をサポートしてくれます。

まずは、『工事士.com』で気になる求人を見つけてみましょう。

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