電気通信の工事担任者|資格・試験の基本情報を徹底解説!

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目次

工事担任者は、主に電気通信回線(インターネット回線・電話回線・光回線)などの端末設備等を接続するために必要な資格です。電気通信工事・電気工事関係の業務に携わる方にとって需要のある資格の1つで、現代のネットワーク社会を支えるためには必要不可欠だと言えます。


そんな需要のある資格を、「将来のために取得したい」「仕事に活かしたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、


・工事担任者の資格をとったらできること
・工事担任者資格(5種類)の工事範囲
・資格試験の難易度と合格率


などについて詳しくお伝えしていこうと思います。工事担任者について情報を集めたいという方は、是非ご覧になってみてください。


<この記事に出てくる用語>
※光回線:光ケーブルを利用した高速大容量のデジタル通信用回線
※ISDN回線:デジタル信号でデータを転送するときのデジタル回線
光回線が普及されてからはあまり使用されていない。
※ギガビット:情報量や記憶装置の単位


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工事担任者の資格を取ったらできること

冒頭でもお伝えしましたが、工事担任者は電気通信回線などの端末設備等を接続するために必要とされる資格です。また資格を持っていることで、実際に工事するだけでなく工事の監督業務を行うこともできます。


できる工事の内容としては、例えば、光ファイバーにパソコンや電話機の接続を行ったり、オフィスなどでインターネットを使うときのLAN構築を行ったりします。もちろん、それらの工事の監督も出来ます。


インターネットが普及し始めた1990年代頃から現在まで、日本の通信技術はどんどん進化し続け、今では私たちの生活に無くてはならない存在となりました。今後も電気通信業界は、更に発展していくでしょう。需要や将来性の安定した業界ですので、電気通信の仕事に携わりたいという方でしたら、この工事担任者の資格を取るのがオススメです。



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アナログ通信とデジタル通信、それぞれ5つの資格概要を確認!

工事担任者の資格には、下記の5種類があります。


第一級アナログ通信
第二級アナログ通信
第一級デジタル通信
第二級デジタル通信
総合通信


アナログ通信・デジタル通信ともに第一級と第二級があり、扱うことが出来る回線数によって資格のランクが変わってきます。また総合通信は、工事担任者の中で最高ランクの資格で、工事担任者としてすべての工事に対応することが可能です。


注意!2021年4月から資格名称が変更に

2021年4月から、工事担任者資格の名称が変更となりました。
2021年3月までの資格名称と、2021年4月からの資格名称は、以下の表のとおり対応します。


2021年3月まで 2021年4月から
AI第一種(通称:AI1種) 第一級アナログ通信
AI第三種(通称:AI3種) 第二級アナログ通信
DD第一種(通称:DD1種) 第一級デジタル通信
DD第三種(通称:DD3種) 第二級デジタル通信
AI・DD総合種 総合通信

2021年3月までの資格名称の資格者証は、それに対応する2021年4月からの資格名称の資格者証とみなされます


なお、従来の「AI第二種」と「DD第二種」の資格は廃止となります。

ただし経過措置として、2021年4月1日から3年が経過する日までを限度とし、「AI第二種」と「DD第二種」の試験が実施される予定です。


ここからは、新しくなったそれぞれの資格について、扱うことのできる工事の範囲を説明していきます。


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アナログ設備の工事が出来る「アナログ通信」

まず、第一級アナログ通信と第二級アナログ通信の資格は、簡単に言えばアナログ設備(一般的な電話機やホームテレホン等)の工事ができる資格です。


【 第二級アナログ通信 】
アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。ただし、端末設備に収容されている回線数が1のものに限ります。また、ISDN(総合デジタル通信用設備)の基本インターフェース1回線への接続工事も可能です。


~工事が可能な端末設備~
一般家庭用の電話機、ファクシミリ装置、自動検針メーター(ガス・水道・電力等)、ホームセキュリティーシステム端末 など


【 第一級アナログ通信 】
アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。回線数や工事の規模に制限はありません。またすべてのISDN(総合デジタル通信用設備)の接続工事に対応することが可能です。


~工事が可能な端末設備~
中型~大型のPBX、ファクシミリ、モデム など


デジタル設備の工事が出来る「デジタル通信」

次に、第一級デジタル通信と第二級デジタル通信の資格は、デジタル設備(光回線等)の工事が出来る資格です。


【 第二級デジタル通信 】
デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。主に家庭・SOHO向けの回線速度が、毎秒1ギガビット以下のインターネットに接続するための工事が可能です。ただし、ISDN(総合デジタル通信用設備)に接続するための工事は出来ません。


※SOHO:パソコンやインターネットを活用して、自宅などの小規模オフィスで仕事をする形態


~工事が可能な端末設備~
IP電話機、パソコン、ブロードバンドルータ、ホームセキュリティシステム端末、映像受信端末設備 など

【 第一級デジタル通信 】
デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。ISDN(総合デジタル通信用設備)に接続するための工事を除き、すべてのデジタル回線への接続工事が可能です。


~工事が可能な端末設備~
中~大型IP-PBX、VoIPゲートウェイ、スイッチングハブ、ルータ、OA複合機 など


工事担任者の最強資格、「総合通信」

【 総合通信 】
「総合通信」は、「アナログ通信」と「デジタル通信」の両方の工事範囲を含み、工事担任者としてすべての端末接続工事に対応することが可能です。


上記でご説明した通り、工事担任者の資格を持っていれば、IPネットワークや情報セキュリティなどの情報通信設備に関する知識や技術を証明することが出来ます。


情報通信の業界で仕事がしたいという方には、ぜひ工事担任者の資格取得をオススメします。


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工事担任者の資格試験に受験資格はありません!

工事担任者のすべての資格試験に、必要となる受験資格はありません。学歴や業務経験、年齢などを問わずにどなたでも試験を受けることが出来ます。


工事担任者の試験を受験されている方は、現状で電気通信工事業や電気通信業、電気工事業に携わっている方の割合が多く、そのほか高校生などの学生も多く受験しています。


Q,年齢制限はありますか?
A,年齢制限はありません。工事担任者の試験は、10代の学生から50代・60代のベテラン世代まで幅広く受験されています。


Q,試験を受ける際、最終学歴や卒業学科などは指定がありますか?
A,学歴や卒業学科において、必要な条件はありません。


Q,初受験ですが、電気通信工事の業務経験があるため上位資格を受験しようと思っています。第一級を受験する場合、第二級に合格していないと受験できないといった制限はありますか?
A,それぞれの資格を受験する際に、制限はありません。例えば、第一級アナログ通信と第一級デジタル通信に合格していなくとも、初受験で総合通信を受験することが可能です。


工事担任者の難易度と合格率、試験情報

資格を取りたいと思ったときに気になるのが、試験の難易度や合格率。先ほどもお伝えしましたが、工事担任者の試験には受験資格がありません。


ということは、「比較的簡単なものから受験しよう」と考える方もいれば、「受験資格がないなら上位資格を狙おうかな」と思っている方もいらっしゃるでしょう。そこでここからは、各資格の試験の合格率や難易度についてみていきたいと思います。


「アナログ通信」の難易度と合格率

下記のグラフは、第一級アナログ通信(AI第一種)と第二級アナログ通信(AI第三種)の合格率(過去6回分)の推移をまとめたものです。このグラフを見ると、第二級アナログ通信(AI第三種)の合格率のほうが高いことが分かると思います。



※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信工事担任者試験統計情報
※R2第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止
※R3第2回以降の第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、半期ごとのCBT方式の受験者と、全科目免除申請者及び事情によりCBT方式の試験を受けられない申請者の合計


アナログ通信(AI種)試験の過去6回の平均合格率は、第一級アナログ通信(AI第一種)が33.8%第二級アナログ通信(AI第三種)が42.5%でした。


「デジタル通信」の難易度と合格率


※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信工事担任者試験統計情報
※R2第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止
※R3第2回以降の第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、半期ごとのCBT方式の受験者と、全科目免除申請者及び事情によりCBT方式の試験を受けられない申請者の合計


デジタル通信(DD種)の合格率を見ると、アナログ通信(AI種)と同様に第二級の合格率のほうが高いことがわかります。デジタル通信(DD種)試験の過去6回の平均合格率は、第一級デジタル通信(DD第一種)が28.9%第二級デジタル通信(DD第三種)が49.5%でした。


デジタル通信(DD種)はアナログ通信(AI種)よりも、全体的に受験者数が多く、第二級(第三種)に関しては、デジタル通信(DD種)のほうがアナログ通信(AI種)よりも受験者数が3倍近く多くなっています。
やはり近年ではインターネットの普及に伴い、デジタル設備(光回線等)が主流になってきているので、アナログ通信よりもデジタル通信の資格を取得する傾向にあるようです。


「アナログ通信とデジタル通信、どっちを取ればいいのか…」と悩んでいる方は、今後、更に情報通信設備の進化が進むことを考えて、まずは、難易度の低い第二級デジタル通信の資格から取っていくのが良いかもしれません。
第二級デジタル通信の試験の難易度や合格率について詳しくまとめている記事もあるので、併せてご覧になってみてください。


「総合通信」の難易度と合格率


※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信工事担任者試験統計情報
※R2第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止


最後に、総合通信(AI・DD総合種)の合格率を見てみましょう。
総合通信(AI・DD総合種)試験の過去6回の平均合格率は、27.43%です。


総合通信(AI・DD総合種)は、第一級アナログ通信(AI第一種)と第一級デジタル通信(DD第一種)の両方の試験範囲を含んでいるので、工事担任者の試験で難易度が一番高い資格だと言えます。
この資格を取得すれば、工事できる範囲の制限がなくなります。そのため、現状で工事担任者の資格を必要とする業務に携わっている方で「できる業務の幅を広げたい」「スキルアップのために取得したい」と考えている方が、多く受験されているようです。


総合通信の試験の難易度や合格率についても、別記事で詳しくまとめているので、そちらも参考にしてみてください。


工事担任者の試験の難易度をまとめると…


★工事担任者の試験を初めて受験するのであれば、難易度の低い「第二級」からチャレンジしましょう!(インターネットや光回線などデジタル技術が進んでいるため、「デジタル通信」を取得することがオススメ)


★「総合通信」は、工事担任者の試験で難易度が一番高い資格!電気通信工事業界で長期的な活躍を目指すのであれば、「総合通信」の資格取得を目指しましょう!


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工事担任者の試験情報

工事担任者の試験は、どの級を受験するかによって、試験の実施方式が異なります。


■第一級アナログ通信、第一級デジタル通信、総合通信

第一級アナログ通信、第一級デジタル通信、総合通信の試験は、筆記試験方式で実施されます。年に2回、春(5月)と秋(11月)に、全国18都市の試験会場で行われます。


【試験のスケジュール】

第1回 第2回
試験申込 2月上旬~2月下旬 8月上旬~8月下旬
試験日 5月中旬 11月下旬
合格発表 6月上旬 12月中旬

※なお、資格名称の変更により廃止されたAI第二種DD第二種についても、令和3年4月1日からの3年間に限り、同じスケジュールで試験が実施されます。


2023年度(令和5年度)第1回は、試験申込が2月1日(水)~2月21日(火)、試験日が5月21日(日)、合格発表が6月12日(月)となっています。

※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者


試験科目は以下の3つです。
(1)電気通信技術の「基礎」
(2)端末設備接続のための「技術・理論」
(3)端末設備の接続に関する「法規」


試験は筆記(マークシート方式)での出題となり、各科目とも100点満点中60点以上で合格しなければなりません。例えば、「基礎」が70点、「技術・理論」が40点、「法規」が90点であれば、「基礎」と「法規」のみ合格となり、「技術・理論」は不合格となります。3科目すべてを60点以上で合格すれば、初めて資格を得ることが出来ます。


■第二級アナログ通信、第二級デジタル通信

第二級アナログ通信、第二級デジタル通信の試験は、CBT方式(全国のテストセンターのコンピュータを使用して実施する試験)で実施され、年間を通して受験できます。

試験会場は、工事担任者資格(CBT方式試験)のホームページにて、全国のテストセンターから選択できます。


【試験のスケジュール】

試験申込 通年・24時間(定期メンテナンス時を除く。)
試験日 通年(年末年始を除く。確認票(受験票)の発行日から90日以内。)
合格発表 試験日翌月の10日(マイページ上にて)

※なお、身体に障害があるなどの事情でCBT方式による試験を受けられない方に限り、筆記方式による試験を受けることができます。スケジュールや会場は、第一級アナログ通信、第一級デジタル通信、総合通信の試験と同じです。


試験科目は以下の3つです。
(1)電気通信技術の「基礎」
(2)端末設備接続のための「技術・理論」
(3)端末設備の接続に関する「法規」


試験はコンピュータ上(択一方式)での出題となり、各科目とも100点満点中60点以上で合格しなければなりません。例えば、「基礎」が70点、「技術・理論」が40点、「法規」が90点であれば、「基礎」と「法規」のみ合格となり、「技術・理論」は不合格となります。3科目すべてを60点以上で合格すれば、初めて資格を得ることが出来ます。


工事担任者試験の科目免除

工事担任者の試験には、試験を受験する際に、試験科目を一部免除または全科目免除できるという制度もあります。


科目免除は例えば下記のようなケースで使われます。

第二級デジタル通信を受験して「基礎」のみ合格⇒
次回の試験を受験する際は「技術・理論」と「法規」のみを受験する

科目免除を利用するためにはいくつか条件があるので、注意が必要です。細かい免除内容 については別の記事で詳しくまとめているので、併せてご覧ください。


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工事担任者の資格取得後の働き方

ここまでは工事担任者の資格や試験情報についてお伝えしてきましたが、ここからは視点を変えて資格取得後の働き方についてお話していきましょう。


工事担任者の受験者層としては、現状で電気通信工事や情報通信の仕事に携わっている方の割合が多いと思いますが、中には、「資格を取ってから就職先を探したい」「未経験だけど資格をとって通信の仕事をやってみたい」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。


工事担任者の資格は、取得すれば様々な業界で活かせる資格の1つです。


中でも多いのは、電気通信工事業や電気通信業、電気工事業などです。他にも、警備・ビル管理業やOA通信機器販売業などがあります。
当サイト工事士.comでも工事担任者の資格を活かせる求人情報を多く取り扱っているので、今回は求人情報を参考にしながら、資格取得後の働き方をいくつかピックアップしてご紹介します。


【 A社 】


◎事業内容
防犯カメラ機器の据付工事、パソコン機器の据付工事およびメンテナンス 等


◎仕事内容
LANケーブルや光ケーブルの接続工事、
一般家庭の電話工事、
監視カメラの設置や保守・メンテナンス


【 B社 】


◎事業内容
パソコン・OA機器の買取サービス、情報機器の設定、オフィス内装工事 等


◎仕事内容
オフィスのレイアウト変更に伴うLAN工事、
社内・お客様先でのPC組み立て、
部品の取り外し作業


【 C社 】


◎事業内容
OA機器の販売・設置工事、インターネット接続工事、LAN配線や電話配線の社内通信設備工事 等


◎仕事内容
OA機器の施工や保守メンテナンス、
セキュリティルータの施工・保守、
社内LAN配線の構築


電気通信設備に関する工事には電気工事がつきものなので、工事担任者の資格だけでなく、 電気工事士の資格も一緒に持っておくと、更に就職先の選択肢が広がるでしょう!


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工事担任者の資格を取るメリットは?

技術者として、知識やスキルを証明できる武器になる

工事担任者の資格は、法令で定められた国家資格です。


基本的に、工事担任者の有資格者は現場に一人いれば問題ないとされています。
とはいえ資格を持っていることで、技術者として施工を行う際にお客様に安心感を与えることが出来るので、信頼も高まると考えられます。


転職で有利、手当がつく可能性も!

電気通信工事などの業界の求人は、技術職がメインなので、転職活動の際に知識や技術を証明できる資格があれば面接のときにアピールできます。
また資格を持っていることで、会社によっては資格手当や技術手当がついたり、給与のベースがアップしたりする場合もあるでしょう!


まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は、工事担任者の資格や試験情報、資格を取った後の働き方などについてお伝えしてきました。


工事担任者の資格を活かせる情報通信の業界は、これから先もどんどん発展していくと考えられます。「情報通信に関わる仕事で働いてみたい」と思っている方にはとてもオススメの資格なので、興味をお持ちの方は工事担任者の資格取得にぜひチャレンジしてみてください!


また工事士.comでは、電気通信工事に関連する求人情報も掲載しています。「どんな仕事があるのかもっと詳しく見てみたい」という方は、ぜひ一度のぞいてみてくださいね。


この記事の情報が、工事担任者の資格に挑戦するあなたのお役に立てれば幸いです。


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