消防設備士乙4とはどんな資格?試験の難易度・合格率などを丸ごと解説
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「消防設備士の乙4って転職に有利な資格?」
「資格取るのって結構難しい?」
消防設備士の乙種4類を取得しようと思っている方! 乙種4類は受験資格が無いので、誰でも合格を目指せる資格です。
消防設備士の試験を初めて受験する方や、 資格を取って転職活動に活かしたい方などには、オススメ出来ます。
今回の記事では、乙種4類の需要や難易度、試験情報 などを簡単にお伝えしていきます。今後、乙種4類を取得しようと 思っている方のお役に立てれば嬉しいです!
乙種4類の資格情報をチェック!
はじめに消防設備士資格の基本情報を確認しておきましょう。 消防設備士の資格には、乙種と甲種の2種類があります。
● 乙種
点検・整備ができる資格
● 甲種
工事及び点検・整備ができる資格
乙種は1類~7類まであり、甲種は1類~5類まであります。 下記の表の通り、工事や点検・整備の対象設備によって資格の区分が変わります。
分類 | 甲種 | 乙種 | 工事及び整備(点検を含む)の対象設備 |
---|---|---|---|
1類 | ● | ● | 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備等 |
2類 | ● | ● | 泡消火設備等 |
3類 | ● | ● | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備等 |
4類 | ● | ● | 自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備 |
5類 | ● | ● | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
6類 | ● | 消火器 | |
7類 | ● | 漏電火災報知器 |
火災報知設備の点検・整備が出来る資格
乙種4類はさまざまな火災報知設備の
点検・整備を専門的に行うことができる資格です。
火災報知設備を扱うことが出来る国家資格として、消防法によって定められています。
火災報知設備は一般住宅だけでなく、映画館・病院
・幼稚園など色々な場所に設置されています。
建物がある限り、火災報知設備に関わる仕事は必要とされるので、乙種4類の資格は、
将来的にも需要のある資格と言えるでしょう!
乙種4類の受験資格と資格取得のメリット
乙種4類の資格試験を受けるのに、必要な受験資格は特にありません。 年齢・学歴・職歴などを問わず、どなたでも受験することができます。
乙種4類を取得するメリットには以下のようなものがあります。
【転職活動・面接時に有利】
乙種4類は、火災報知設備を扱うことが出来る専門的な資格なので、消防設備工事やビルメンテナンスなどの会社からは特に必要とされています。
求人広告の中には、経験は無くても資格などがあれば優遇するという会社もあるので、
「まずは資格を取ってから転職する」という人もいるようです。
資格を持っていれば、火災報知設備に関する知識があると
いう証明になるので、転職時には有利になるでしょう。
【昇給のチャンスや資格手当が増えるかも】
消防設備工事やビルメンテナンスなどの会社に無資格で入社した場合、資格を取れば資格手当が貰える場合があります。
また、資格を取得すれば社内での評価も上がり、
昇給のチャンスが増えるかもしれません!
資格手当は会社によって出る・出ないがありますが、手当が出る会社の場合は、
相場で2千円~5千円程度が多いようです。
(甲種の場合はもう少し高いようです)
消防設備士として幅広く活躍したいなら、乙種4類よりも甲種4類を取ろう
消防設備士として長期的な活躍を目指すのなら、将来的に、 甲種4類の資格も取った方が良いかもしれません。 その理由は2つあります。
1つ目の理由は・・・
乙種4類よりも甲種4類の方が需要が多いです。 点検・整備のみしか出来ない乙種4類に比べて、甲種4類は点検・整備に加えて工事もできます。 点検・整備・工事など、マルチに活躍できる甲種4類の方が、 消防設備工事やビルメンテナンス会社などからは需要が多いと言っていいでしょう。
2つ目の理由は・・・
乙種4類よりも甲種4類の方が、手当が高いからです。 下記は、乙種4類と甲種4類の資格手当の金額を比較してみた表です。 (求人情報などを参考) 表を見てみると、点検・整備・工事ができる甲種の方が手当の金額が高い事が分かると思います。
【A社:消防設備会社】
消防設備士 甲種3,000円
消防設備士 乙種2,000円
2種電工2,000円
【B社:消防設備会社】
消防設備士 甲種5,000円
消防設備士 乙種3,000円
【C社:ビルメンテナンス】
消防設備士 甲種4,000円
消防設備士 乙種2,000円
2種電工 4,000円
2級ボイラー 3,000円
消防設備士として長期的な活躍を目指すのなら、
マルチに活躍でき、手当も高い甲種4類の資格取得もぜひ視野に入れてみてください。
別の記事で、消防設備士の資格手当が付く会社の例なども紹介しているので、是非ご覧になってみてください。
乙種4類の試験難易度と合格率
出題範囲と出題形式から分かる難易度
下記の表は、乙種4類の試験範囲と出題形式をまとめたものです。
試験科目(乙種4類) | 出題数 | ||
---|---|---|---|
筆記 | 消防関係法令 | 法令共通 | 6 |
法令種別 | 4 | ||
基礎的知識 | 電気に関する部分 | 5 | |
構造・機能・及び工事・整備の方法 | 電気に関する部分 | 9 | |
規格に関する部分 | 6 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 |
【出題形式】
◎筆記試験・・・マークシート方式(4択問題)
◎実技試験・・・鑑別など(記述式)
※実技試験では、火災報知設備や消防設備士が使う工具などのイラスト・写真を見て、
名称や用途を記述式で解答する問題が出題されます。
実際に火災報知設備をいじったりするような作業はありません。
次に、消防設備士試験の合格基準について簡単に説明したいと思います。 消防設備士の試験は、筆記試験と実技試験の両方に受かって合格です。 (筆記試験と実技試験を同じ日に行います)
【試験の合格基準】
・筆記試験
科目ごとの出題数で、40%以上の正解率が必要、かつ、
筆記試験全体で60%以上の正解率が必要
・実技試験
60%以上の正解率が必要
消防設備士の試験で難しいポイントの1つとして言えるのが 『足きり点』が設けられているということです。 足きり点とは各科目において定められた合格ラインのことを意味します。
例えば、試験科目の基礎的知識・ 消防関係法令が正解率40%以上を超えていたとしても、 残りの構造・機能・及び工事・整備の方法が 正解率40%以上を超えていなければ不合格になってしまいます。
この足きり点があるせいで「3科目中、2科目しか受からなくて試験に落ちた…」
という方もいるようです。
問題数の少ない基礎的知識の科目は1問当たりのウエイトも大きくなるので、
1つ1つの問題をしっかり理解して正確に解答することが必要そうですね。
合格率30%台!受験者の半分以上は落ちる気が抜けない試験
続いては乙種4類の合格率について見ていきましょう。下記の表は、平成28年度~令和2年度の 試験の受験者数・合格者数・合格率をまとめたものです。
年度 | 受験者(名) | 合格者数(名) | 合格率 |
---|---|---|---|
R2 | 4,269 | 1,527 | 35.8% |
R1 | 4,921 | 1,657 | 33.7% |
H30 | 9,800 | 3,178 | 32.4% |
H29 | 10,405 | 3,367 | 32.4% |
H28 | 10,072 | 3,277 | 32.5% |
引用:一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」
平成28年度~令和2年度までの合格率の平均は33.4%となっています。
合格率からは、受験者のうち10人に3人しか合格していない
という事が分かるでしょう。
また、受験者数と合格者数の数字を見てみると、
毎年受験者の半分以上は落ちているという結果が分かります。
受験者の方々は、みんな試験当日に向けて試験対策を行っていると思います。
しかし、受験者の半分以上が不合格という事は、それだけ
難しく、気が抜けない試験と言っていいのかもしれません。
乙種4類の難易度・合格率については、
別の記事でも詳しく紹介しているのでそちらもぜひ参考にしてください。
乙種4類の免除科目まとめ
続いては、乙種4類の科目免除についてお伝えしていきます。 科目免除とは、消防設備士(乙種4類以外)の資格や、技術士(電気・電子部門)などの資格を持っていれば、 試験科目の一部を免除できるといった制度です。
また、電気工事士や電気主任技術者などの資格を持っている場合にも、 試験の一部を免除することができます。 乙種4類の免除科目については、下記の表をご参考ください。
乙種4類の科目免除
※ 消防設備士(乙4以外)の保有資格がある場合
保有資格 | 乙4の免除科目 | |
---|---|---|
消防関係法令 (共通部分のみ) |
基礎的知識 | |
甲1 | ● | |
甲2 | ● | |
甲3 | ● | |
甲4 | ー | |
甲5 | ● | |
乙1 | ● | |
乙2 | ● | |
乙3 | ● | |
乙4 | ー | |
乙5 | ● | |
乙6 | ● | |
乙7 | ● | ● |
※ 乙種4類を受験するときに、乙種4類以外の消防設備士の
資格を持っている方は、『消防関係法令の共通部分』が免除できます。
乙種7類の資格をお持ちの方は『消防関係法令の共通部分』の免除に加え、
『基礎的知識』も免除することができます。
※ 試験が一部免除になった場合は、試験時間も短縮されるので注意してください。
試験時間は下記のように変更になります。
『消防関係法令の共通部分』が免除=(通常)1時間45分 ⇒ 1時間30分
『消防関係法令の共通部分』に加え、『基礎的知識』も免除=(通常)1時間45分 ⇒ 1時間15分
【技術士(電気電子部門) 保有者】
乙種4類を受験するときに、『基礎的知識』及び、『構造・機能・及び工事・整備の方法』を免除することができます。
【電気工事士 保有者】
乙種4類を受験するときに、『基礎的知識』及び、『構造・機能・及び工事・整備の方法』の「電気に関する部分」を免除することができます。
また、実技試験では、鑑別等試験の問1を免除することができます。
【電気主任技術者 保有者】
乙種4類を受験するときに、『基礎的知識』及び、『構造・機能・及び工事・整備の方法』の
「電気に関する部分」を免除することができます。
科目免除のメリット・デメリット
乙種4類の受験者の方の中には、科目免除をする人も、しない人もいます。
この科目免除に関しては、ネット上でもいろいろなメリット・デメリットが飛び交っていますが、
免除をする・しないの最終的な判断はご自身で決断することになるでしょう。
今回はその判断材料として、科目免除のメリット・デメリットを
まとめてみたので、ぜひご参考になれば幸いです。
【科目免除のメリット】
◎勉強する範囲を少なくできる
◎勉強にかける時間を短縮できる
◎試験に必要な範囲を絞って勉強できるので、より知識が深まる。
【科目免除のデメリット】
◎部分的な免除があっても、科目ごとに40%以上の正解率を取らなければならないので、
結果的に負担が増える。
(例えば、消防関係法令の『共通部分』のみが免除される場合、残りの『法令種別』だけで40%以上の正解率を取らなければいけない。)
◎免除となる部分には、基礎的な知識が多く含まれており、 得点を稼ぎやすいので、免除するのはもったいない。
勉強時間の目安と勉強方法
勉強期間目安は1~2ヶ月程度
試験勉強を始める際、「どれくらい前から勉強を始めればいいのか」「1日何時間勉強すれば合格できるのか」といった悩みがある方もいると思います。実際に乙種4類を受験した方に勉強期間を聞くと1~2ヶ月間という声が挙がりました。
1~2ヶ月間という期間は目安の1つで、
中には「1~2週間しか勉強していません」という方もいます。
勉強期間をどれくらいとるかは人それぞれですが、乙種4類の試験は受験者の半分以上は落ちている試験です。
気が抜けない試験ですので、勉強期間は多めに取っておいた方が安心でしょう。
乙種4類に関して一から勉強を始める方は、基礎から学ぶことになると思うので、
試験日まで十分に余裕をもって勉強してください。
※ 関連記事 ※
乙種4類 勉強時間・勉強方法まとめ
勉強する順番に迷ったら『消防関係法令』から手を付けよう
資格系のテキストって凄く分厚いですよね。テキストを見ただけでやる気が無くなったり、
どこから手を付ければいいのか分からないと悩む方もいると思います。
消防設備士の4類は出題される範囲が乙種4類・甲種4類ともに同じなので、
まとめて一緒に勉強できるテキストがほとんどです。
どのテキストもページをめくってみると、『消防関係法令』の
科目に関する情報が一番はじめに記載されていることが多いと思います。
消防関係法令では、消防関係の用語や火災報知器の設置基準など、消防設備士として知っておくべき基礎知識を学びます。
この科目では、難しい計算問題は無く、暗記すれば解けるような比較的簡単な問題が出題されるので、勉強する際は取り掛かりやすいと思いますよ!
別の記事では、筆記試験や実技試験を勉強する上でのポイントをまとめているので、そちらも参考にしてみてください。
試験日・申請方法
最後に、乙種4類の試験に関する情報をまとめましたので、ご参考ください。
試験日程は随時確認が必要!
消防設備士の試験日程や試験回数は、都道府県ごとに異なるので、試験の申し込みをする場合は随時確認が必要です。
試験日程や試験回数などは、一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトをご参照ください。
消防設備士の試験では、居住地以外の都道府県でも受験することが可能です。その場合は、受験を希望している都道府県の各センターへ受験申請が必要ですのでご注意ください。
試験の受験費用と申請方法
受験費用は下記の通りです。
(2021年度時点)
甲種 : 5,700円/乙種 : 3,800円
※ 令和3年3月1日より、電子申請には払込手数料230円(消費税込み)がかかります。
※ 受験費用は改定されることがあります。市販のテキストの中には、改定前の旧料金が記載されている場合もありますのでご注意ください。
消防設備士の試験の申請方法は、書面申請と電子申請の2つの方法があります。
【書面申請の方法】
書面申請の場合は受験願書が必要になります。受験願書は、消防試験研究センターの各支部及び、関係機関の窓口で無料配布しています。
受験申請に必要な書類(受験願書・郵便振替払込受付証明書など)を揃えた後、受付期間内に消防試験研究センターの各支部へ提出して下さい。受験票は試験実施日の1週間~10日前ごろまでに郵送される予定です。
(詳しくは消防試験研究センターの各支部へお問い合わせください)
【電子申請の方法】
電子申請は、インターネットから消防試験研究センターのHPにアクセスして申請する方法です。ケータイやスマートフォンからは申請できませんのでご注意ください。
\
まず、消防試験研究センターのHPの【電子申請はこちらから】にアクセスし、必要事項を入力します。
申請手続き終了後、受験費用の振り込みを行います。
(クレジット・コンビニ払い等選択可)その後、
消防試験研究センターのHPから受験票をダウンロードし、
受験票へ顔写真を添付します。
試験当日は、顔写真付きの受験票を持参してください。
(詳しくは消防試験研究センターの各支部へお問い合わせください)
資格取得後、講習は忘れずに!
消防設備士の資格を取った後は、新しい知識や技術を習得するために、 講習会に参加しなければいけません。
【受講対象者】
消防設備士免状を交付されている方
【受講期間】
(1)免状の交付を受けた日以降における最初の4月1日から2年以内
(2)(1)の講習を受けた日以降における最初の4月1日から5年以内
まとめ
今回の記事では、消防設備士 乙種4類の難易度や勉強方法、試験情報などをお伝えしてきました。 記事の冒頭でもお話した通り、乙種4類には受験資格が無いので、 誰でも合格を目指すことが出来るオススメの資格です。
難易度や合格率を見ると「難しそうだな…」というイメージを持ってしまった方も、もしかしたらいるかもしれませんが、しっかりと勉強すれば合格できる試験です。
試験勉強は面倒ですし、疲れますし、大変なことがたくさんあるでしょう。ですがそれを乗り越えて資格を取った人は、仕事の幅が広がったり、転職に成功したり、資格手当が貰えたりと、努力が報われていますよ!
今後、乙種4類の資格取得を目指している方は、是非この記事で得た情報を活かしていただければ嬉しいです。
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