電験2種は合格率1~2割ほどの高難度資格!今後の需要も解説。
資格 試験 仕事内容
目次
『将来のために電験2種の資格を取りたい』
電験2種(第二種電気主任技術者)の資格に興味を持って、情報を集めたいと思っている皆さん!
「電験2種の難易度はどのくらいか?」「今後の需要はあるのか?」など気になるのではないでしょうか。
電験2種を受験する際、必要な受験資格は特に無いので、申し込みをすればどなたでも気軽に試験を受けることができます。
この記事では、電験2種の取得方法や試験の難易度・合格率、また今後の需要などについてお伝えします。
この記事の情報が、あなたのお役に立つことを祈っています。
電験2種の仕事内容、扱える設備の範囲
まずは電験2種とはどんな資格なのか簡単に解説します。電験2種は、電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物(受電設備など電気設備)の保安・管理をすることができる資格です。
【扱える設備の範囲】 | |
---|---|
電験1種 | すべての事業用電気工作物 |
電験2種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
電験3種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物 (出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
電験2種の資格があると発電所や大規模工場、大型商業施設等の受電設備・電気設備の保安・管理を請け負うことが可能なので、電気や電力関係の仕事に就いている方にとってはとても実用的な資格だと言えるでしょう。
電験2種の取得方法|「合格」と「認定」
電験2種の試験を受けるために必要な受験資格は特にありません。受験の申し込みをすれば、年齢・学歴・実務経験の有無などに関係なく、どなたでも試験を受けることが可能です。
電験2種の資格を取る方法は
(1)試験を受けて合格し、資格を取得する方法
(2)認定で資格を取得する方法
の2パターンがあります。
電験の試験を初めて受験する方は(1)の方法で資格を取得しますが、既に電験3種の資格を持っていて実務経験年数が長い方は(2)の方法で資格を取得する方もいらっしゃるようです。
ここからは電験2種の試験の難易度や、認定で資格を取得する方法などをお伝えします。
電験2種の試験はかなり難関!合格率はわずか1~2割程度
電験2種の難易度・合格率
電験2種の資格を取りたいと思った場合、「試験がどのくらい難しいのか」「合格率はどのくらいなのか」が気になりますよね。
受験資格の制限が無いので、誰でもチャレンジできますが、電気や電力に関する専門的な知識が問われる試験なので、難易度は高めだと言えるでしょう。
下記の表をご覧ください。
【電験2種 一次試験】
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
26.4% | 24.1% | 23.6% | 27.2% | 25.7% | 35.2% |
【電験2種 二次試験】
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
13.5% | 14.5% | 22.8% | 27.9% | 17.2% | 24.0% |
※ 参考:(一財)電気技術者試験センター「試験実施状況の推移」
上記の表は、平成29年度~令和4年度に行われた電験2種試験の合格率を表したものです。
電験2種は、電験3種と違って一次試験と二次試験があり、両方に合格して初めて資格を取得することが出来ます。
一次試験は毎年約6,000~7,000人が受験していますが、その中で合格できるのはわずか約1,500~2,000人です。
そして二次試験にいたっては、受験者の中で合格できるのは例年ほんの1~2割程度、過去6年間で合格率が高い年でも3割を下回ります。
この表だけ見てもかなり難しい試験だということがお分かりいただけると思います。実際の現場で働いている方でさえ、簡単には合格できないような試験なので、まったくの素人が電験2種の試験に合格するのはなかなか難しいかもしれません。
一般的に「電験3種の勉強時間は1,000時間必要」と言われますが、電験2種の場合、その1.5倍~2倍くらいは勉強時間を設けたほうが良いでしょう。
電験三種の難易度・合格率についても詳しく説明している記事もありますので、そちらも参考にしてみてください。
また、独学での勉強をお考えの方はこちらの記事も参考になると思います。
電験2種の試験内容
電験2種の試験は一次試験・二次試験共に年1回行われています。 下記に試験の出題範囲をまとめましたので参考にして下さい。
【電験2種の試験内容】
◆ 一次試験
試験科目 | 出題範囲 |
---|---|
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
電力 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料 |
機械 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
法規 | 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理 |
◆ 二次試験
試験科目 | 出題範囲 |
---|---|
電力・管理 | 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理 |
機械・制御 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス |
電験2種の一次試験の解答方式はマークシート方式の多肢択一です。電験3種の五肢択一に比べると解答の選択肢が増えるので、ある程度解答を絞れるようにならないと点数を取るのは難しいでしょう。
一次試験の出題内容は電験3種と似ているので、過去に電験3種の試験勉強をやったことがある方でしたらスムーズに取り掛かることが出来ると思いますよ!
二次試験は記述式で、レベルの高い計算問題がたくさん出題されます。ですから二次試験には、電気・電力の知識以外に、計算力も必要だと言えるでしょう(試験中は電卓を使用することも可能)。
また、解答方式が記述式ということもあり、文章力も鍛えておく必要があります。
★どんなテキストで勉強するか迷っている方はこちらの記事もご覧ください!
電験2種の資格を取得したいなら、気長に付き合いましょう。
電気主任技術者の試験には、【科目合格保留制度】という制度が設けられています。
一次試験の結果は科目別に合否が決まり、4科目すべてに合格すると一次試験を通過できます。 もし4科目中でいずれかの科目が不合格となった場合、それは科目合格となり、翌年と翌々年の試験では合格した科目の試験を免除できるといった仕組みです。
一方で二次試験は、「同じ年度の一次試験の合格者」または「一次試験免除者(前年度の一次試験合格者)」のみが受験することが出来ます。
科目合格保留制度があるのは一次試験だけですが、一次試験に合格した年の二次試験に落ちた場合は、翌年の一次試験が免除となります。
【科目合格保留制度の一例】
平成25年(電験2種初受験)
一次試験の『理論』・『電力』の2科目合格
▼
平成26年(昨年合格した『理論』・『電力』は試験免除)
一次試験の『機械』のみ合格
▼
平成27年(一昨年合格した『理論』・『電力』、昨年合格した『機械』は試験免除)
一次試験の『法規』合格
平成27年(一次試験4科目全てに合格したので二次試験を受験)
二次試験不合格
▼
平成28年(昨年合格した一次試験は試験免除)
二次試験合格
電験2種は出題範囲が広く、合格率も低いほうなので、この科目合格保留制度を有効活用して、数年かけて資格取得を目指す方も少なくありません。
科目合格保留制度を利用すると資格を手に入れるまで時間はかかってしまいますが、科目を絞って勉強をすることが出来るので、確実に科目合格を狙いに行くことが出来ます。
一発で合格できるのがベストかもしれませんが、試験範囲も広く、問題のレベルも高いので、合格まではきっと険しい道のりを歩むことになるでしょう。実際に電験2種を保有している方の中には、資格取得までに4~5年かかった方や、それ以上の年月を費やしたという方もいました。
一発合格を狙うにせよ、数年かけて科目合格を増やしていくにせよ、電験2種の取得を目指すのであれば、気長に付き合っていくことが大事です。
認定で電験2種を取得している割合の方が実は多い
試験を受けて資格を取得する方法の他に、『認定で資格を取得する方法』がありますが、ここではその方法をお伝えしていきます。 認定で資格を取得する方法には下記のような条件が定められています。
上記の条件のいずれかに該当し、申請手続きを済ませて認定を貰えれば、電験2種の資格を得ることが出来ます。経済産業省が発表している情報によりますと、平成29年度に実施した電気主任技術者に対するアンケートで、【電気保安業界従事者は、資格の認定取得比率が高い】という結果が出ています。
結論として、試験を受けて資格を取得するよりも、認定で資格を取得する割合の方が多いということですね。
認定で資格を取得する場合、各地にある電力安全課の担当官に複数の書類を提出したり、面接に行ったりと手続きを踏まなくてはなりません。
実務経歴書に修正が入ったり、面接に落ちたりしてしまうとまた再度やり直しになります。そんなこんなで書類修正や面接を繰り返し、大体半年くらいかけて免状を取得する流れになるそうです。
試験を受けて資格を取得するにしろ、認定を受けるにしろ、電験2種の資格を取得するのは容易なことではありません。 電気主任技術者として活躍するには、経験と知識の両方が必要になるので、並々ならぬ努力が必要だと言えるでしょう。
電験2種を取得するメリット・今後の需要
これまで電験2種の難易度などを中心にお伝えしてきましたが、そんなレベルの高い電験2種を取得するメリットには
どんなものがあるのでしょうか。
また、電験2種の今後の需要についてもお伝えしていこうと思います。
▼ 電験2種を取得するメリット
『資格手当が付く・年収アップが見込める』
資格を取得すれば会社によってお祝い金が出たり、資格手当が支給されたりする場合があります。電験2種を募集している求人情報を数十社ピックアップしてモデル年収を調査したところ、年収のボリュームゾーンは500万円~800万円であることが分かりました。
資格取得後にいきなり年収がアップするとは限りません。しかし、知識や経験を身に付けていけば会社からの評価は次第に高まっていくでしょう。そうすれば、給料が上がったり役職が付いたりする可能性はアップすると思いますよ!
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『転職時に有利になる』
電気や電力を扱う業界では人材不足の影響もあって、知識や資格を持った技術者を必要としている企業がたくさんあります。わたしも実際に、電気主任技術者を募集している求人情報を今までたくさん見てきました。電気主任技術者の中でも、レベルの高い電験2種の資格を保有しているとなれば、転職時の求人の選択肢も増えるでしょう。
また、求人の応募条件が電験3種だとしても、上位資格の電験2種を持っていることで、採用される確率が上がったり、高い給料で入社できる可能性もあると思いますよ!
▼ 電験2種の今後の需要
経済産業省の情報によると、2045年にかけて電験2種の選任が必要な大規模再エネ設備が増加するため、 地域によっては電験2種の技術者確保に苦労する可能性があるとのことでした。
現在、電験2種の求人情報は電験3種の求人情報と比較すると少ないのが現状です。 しかし今後、電験2種の選任が必要な設備が増加すれば、おのずと電験2種の需要も拡大してくると思います。 ですから現段階で電験2種に興味を持っていらっしゃるのであれば、将来のことも視野に入れて、是非、資格取得を検討してみてください!
電験2種の試験情報
最後に、電験2種の最新の試験情報(2023年度版)をお伝えします。
【2023年度 試験スケジュール】
●申し込み受付期間
2023年5月15日(月)~ 6月1日(木)
●試験日
一次試験 : 2023年8月19日(土)
二次試験 : 2023年11月12日(日)
【受験手数料】
インターネットによる申し込み : 13,800円(非課税)
郵便による申し込み : 14,200円(非課税)
※ なお、試験情報は(一財)電気技術者試験センター公式サイトで最新の情報をご確認ください。
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電験2種についてのまとめ
今回は電験2種の取得方法や試験の難易度、今後の需要などについてご紹介してきました。
電験2種は難易度が高く、取得するまでには相当な努力と時間が必要ですが、頑張った分、取得すれば多くの見返りがあると思います。この記事が、電験2種取得を目指すあなたのお役に立てば幸いです。
工事士.comでは、電気主任技術者の資格が活かせる求人を多数掲載しています。
情報がたっぷりで、職場の雰囲気もわかりやすいと思うので、ぜひ一度のぞいてみてくださいね!
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