電気工事士と電気工事施工管理技士の違いは?難易度や年収からどっちが向いているか確認!

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「電気工事士」と「電気工事施工管理技士」は、電気工事に携わりたいと考えている方にとっては、代表的な職業です。

しかし、両者の違いについて、よく分からない方も多いのではないでしょうか。

電気工事士と電気施工管理技士の違いを一言で表すなら、「現場で作業をするのが電気工事士、電気工事全般を管理するのが電気工事施工管理技士」です。

そして、仕事内容以外にも資格試験の難易度や合格率、受験資格から、できることや年収まで、さまざまな違いがあるんです。

今回は、そんな電気工事士と電気工事施工管理技士の違いについて詳しくご紹介していきます。

電気工事士と電気工事施工管理技士の概要

電気工事士と電気工事施工管理技士の違いをご紹介する前に、まずはそれぞれの職業の定義をおさらいしておきましょう。

電気工事士とは

電気工事士は、工事現場で実際に手を動かして電気設備の工事を行う職業です。

「職人」と言うとイメージしやすくなるかもしれません。

電気工事は誰でも自由にできるわけではなく、電気工事士法により、必要な国家資格が定められています。

電気工事を行うために必要な国家資格は、「第二種電気工事士」「第一種電気工事士」の2種類があり、それぞれ扱える工事の規模が異なります。

■ 第二種電気工事士と第一種電気工事士の工事規模

第二種電気工事士 電圧600V以下の電気工事
(一般住宅や店舗など)
第一種電気工事士 最大電力500kW未満の電気工事
(工場やビルなど)

参考:電気工事士って何だろう?(一般財団法人 電気技術者試験センター)

なお、第一種・二種電気工事士の仕事内容については、「第二種電気工事士ができることは?」「第一種電気工事士とは?」の記事でご確認ください。

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電気工事施工管理技士とは

一方、電気工事施工管理技士とは、工事計画から安全管理まで、電気工事全般の管理に携わる職業です。

「職人」である電気工事士に対し、電気工事施工管理技士は電気工事における「監督」の役割を担います。

電気工事施工管理技士は、誰でも自由にできるわけではなく、建設業法により必要な国家資格が定められています。

電気工事施工管理技士として従事するために必要な資格は、「2級電気工事施工管理技士」「1級電気工事施工管理技士」の2種類です。

■ 2級電気工事施工管理技士と1級電気工事施工管理技士の工事規模

2級電気工事施工管理技士 主任技術者として
小・中規模の建設現場に携われる
1級電気工事施工管理技士 主任技術者や監理技術者として
大規模の建設現場に携われる

参考:電気工事施工管理技士の仕事内容や1級2級の違いを徹底解説!(資格の学校TAC)

なお、1級・2級電気工事施工管理技士の仕事内容については、「電気工事施工管理技士の仕事内容」の記事でご確認ください。

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電気工事士と電気工事施工管理技士の違いは?

電気工事士と電気工事施工管理技士の違いは、下記の5点です。

電気工事士と電気工事施工管理技士の違い
  • 仕事内容
  • 難易度・合格率
  • 受験資格
  • できること
  • 年収


それでは、それぞれの違いについて順番にご紹介していきましょう。

仕事内容

電気工事士と電気工事施工管理技士の仕事内容には、「現場での実務」と「電気工事全体の管理」という違いがあります。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 仕事内容の違い

  具体的な業務 主な仕事場所
電気工事士

 ・コンセント、
 スイッチ取付工事

 ・照明器具設置工事

 ・空調設備工事 など

 各現場
電気工事施工管理技士

 ・工程管理

 ・品質管理

 ・原価管理

 ・安全管理 など

 各現場、社内


電気工事士の仕事内容

電気工事士の主な仕事内容は、現場作業です。

具体的には、コンセントやスイッチの取付、照明器具やLEDの設置工事、受変電設備や空調設備工事といったように、電気設備の設置や改修工事を手掛けます。

電気工事士が手掛ける主な工事
  • コンセント、インターホンなどの取付
  • 分電盤の据え付け
  • 照明器具設置工事
  • 空調・換気設備工事
  • 配線工事
  • 引込線の外線工事
  • 電気通信工事
  • 太陽光発電工事
  • 鉄道電気工事
  • 消防設備工事


そのため、電気工事士が実際に働く場所は、一般住宅や店舗、工場、ビル、道路などといった電気工事の現場がほとんどです。

電気工事士の作業風景 

電気工事施工管理技士の仕事内容

これに対し、電気工事施工管理技士の主な仕事内容「4大管理」と言われており、かなり幅広いものとなっています。

■ 電気工事施工管理技士の具体的な業務内容

工程管理

 工事を納期までに完了させるための業務

 例)お客様との打ち合わせ、工程表作成、
 現場の作業スケジュール管理、
 翌日の作業内容指示など

品質管理

 設計書や仕様書に沿った品質を守るための業務

 例)品質確認、品質チェックなど

原価管理

 予算内で工事を完成させるための業務

 例)見積作成、資材発注、原価管理など

安全管理

 現場作業員が無事故で安全に働けるための業務

 例)作業員の安全管理など

その他  お客様との打ち合わせ、資料作成など

参考:電気工事施工管理技士の仕事内容(工事士.com)

現場作業がメインの電気工事士とは異なり、電気工事施工管理技士は現場の管理だけでなく資料作成などの社内デスクワークも発生します。

電気工事施工管理技士の作業風景 

電気工事施工管理技士の仕事は電気工事士よりもきつい!?

「電気工事施工管理技士は、電気工事士の仕事よりもきつい」と言われることがしばしばあります。

一体なぜなのでしょうか。

それは、上記でご紹介したとおり、電気工事施工管理技士の仕事内容は広範囲で、工事の工程や安全管理など、より責任を伴う業務が多いからです。

しかし、業務が幅広く、責任がかかるものだからこそ、工事が無事に完遂した時には大きなやりがいを感じられるのも、電気工事施工管理技士の良さです。

難易度・合格率

電気工事士と電気工事施工管理技士には、それぞれ国家資格がありますが、その難易度や合格率の違いはどれほどあるのでしょうか。

まずは、「第二種電気工事士」「第一種電気工事士」「2級電気工事施工管理技士」「1級電気工事施工管理技士」の各試験ごとの合格率と難易度をご紹介します。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 合格率・難易度の違い

    試験 合格率
(令和5年度)
難易度
電気工事士

第二種

(上期・下期平均)

筆記 59.5% ★★
技能 73.0%
第一種 筆記 62.0% ★★★
技能 61.0%
電気工事
施工管理技士
2級 第一次 43.8% ★★★★
第二次 43.0%
1級 第一次 40.6% ★★★★★
第二次 53.0%

参考:電気工事士試験特集(工事士.com)
   電気工事施工管理技士 過去の受検状況・検定問題・合格基準
   (一般財団法人建設業振興基金)


上記の数字から分かるように、電気工事士よりも電気工事施工管理技士の方が合格率が低く、難易度が高いです。

さらに、電気工事士には【筆記(一次)試験】と【技能(二次)試験】、電気工事施工管理技士には【第一次検定】と【第二次検定】があるため、各資格の一次・二次試験の合格率を掛け合わせ、「両試験に合格できる確率」を算出してみました。

■ 一次・二次試験 両方の合格率

第二種電気工事士 43.4%
第一種電気工事士 37.0%
2級電気工事施工管理技士 18.0%
1級電気工事施工管理技士 21.0%


一次ならびに二次までの合格率を見ると、電気工事施工管理技士のほうが難易度が高いことがより分かりやすく現れていますね。

また、1級・2級電気工事施工管理技士の受験には実務経験が必要なため、電気工事士よりもそもそもの受験ハードルが高いと言えます。

以上を踏まえると、電気工事士と電気工事施工管理技士の難易度順は下記のとおりになります。

資格取得の難易度順位
  1. 1級電気工事施工管理技士
  2. 2級電気工事施工管理技士
  3. 第一種電気工事士
  4. 第二種電気工事士


最も難易度が高い資格は、1級電気工事施工管理技士です。

特に一次検定の合格率が低く、令和4年度はわずか38.3%!

『資格の学校TAC』においても、1級電気工事施工管理技士の難易度は「普通~やや難」とされており、合格するのは容易ではないことが分かります。

しかしながら、いずれの資格も、ある程度事前に勉強をしておけば合格可能です。

電気工事士や電気工事施工管理技士の資格取得を目指す方は、過去問などを活用してしっかり対策をして臨みましょう。

ちなみに、工事士.comでは、電気工事士の過去問クイズ電気工事施工管理技士の過去問クイズを作成していますので、ぜひ試験勉強にご活用ください!

また、電気工事士合格に向けた勉強方法や実技対策もご紹介していますので、受験を考えていらっしゃる方はぜひ参考にしてみてください。

第二種電気工事士 筆記試験合格に必要な勉強方法とコツを徹底解説!

第二種電気工事士|実技(技能試験)に落ちないための対策と心構え



受験資格

次に電気工事士と電気工事施工管理技士の受験資格の違いを見ていきましょう。

両者の受験資格は、資格ごとに細かく定められているため、年齢制限と実務経験の有無を比較してみました。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 受験資格の違い

    年齢制限 実務経験の有無
電気工事士 第二種 なし なし
第一種 なし

なし

※免状交付は条件あり

電気工事
施工管理技士

2級 あり

あり

※一次検定はなし

1級 あり

あり

※2024年度より、
一次検定受験のみは
実務経験不問に緩和



電気工事施工管理技士には受験できる年齢や実務経験の条件がありますが、電気工事士には受験資格がなく、年齢や実務経験を問わず誰でも受験することができます。

なお、受験資格に条件はありませんが、第一種電気工事士には、免状交付にあたって条件があります。

一方で、第二種電気工事士においては、受験から免状交付まで条件はありません。

「第二種電気工事士」「第一種電気工事士」「2級電気工事施工管理技士」「1級電気工事施工管理技士」の受験資格については、各記事で細かくご紹介しています。

第二種電気工事士の受験資格は?年齢制限がないおすすめの国家資格

第一種電気工事士の受験資格|免状取得には実務経験3年以上が必要

電気工事施工管理技士の受験資格|必要な実務経験内容と年数を確認!

また、2024年度(令和6年度)より、電気工事施工管理技士の受験資格が緩和され、1級の第一次検定は、年度末時点での年齢が19歳以上であればどなたでも受験できるようになりました。

電気工事施工管理技士の条件緩和の詳細については、国土交通省からの発表にてご確認ください。

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ちなみに、電気工事士と電気工事施工管理技士の資格には、もう一つ違いがあります。

それは「管轄先」です。

電気工事士は経済産業省、電気工事施工管理技士は国土交通省の管轄となっています。

参考程度に、覚えておくといいかもしれません!

できること

電気工事士と電気工事施工管理技士では、資格取得後にできることはどう違うのでしょうか。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 できることの違い

電気工事士

 ・電気工事の作業

 ※第二種電気工事士は600V以下、

  第一種電気工事士は最大電力500kW未満

電気工事施工管理技士

 ・電気工事の施工計画作成

 ・工事現場の工程管理

 ・工事現場の品質管理

 ・工事現場の原価管理

 ・工事現場の安全管理

 ・電気工事の監理

参考:第二種電気工事士ができることは?(工事士.com)
   電気工事施工管理技士の仕事内容(工事士.com)


電気工事士の資格を取得した場合は、電気工事作業に従事できますが、電気工事施工管理技士の資格を取得しただけでは電気工事の作業自体には従事できませんのでお気をつけください。

一方、電気工事施工管理技士の資格は、技術力ではなく電気工事の管理能力を認定するものです。

したがって、電気工事施工管理技士は、建設業法に基づき、施工計画の作成、工程・品質・原価・安全管理などの業務ができますが、電気工事士はこれらの業務を行えません。

さらに、電気工事士と電気工事施工管理技士では、取得した資格の種類によっても、できることが異なります。

一種・二種電気工事士の業務範囲の違いや、1級・2級電気工事施工管理技士の工事現場規模の違いなどについても抑えておくといいでしょう。

年収

「工事現場の職人」である電気工事士と、「工事全般を管理」する電気工事施工管理技士では、どっちが稼げるのか気になる方も多いですよね。

そこで、電気工事士と電気工事施工管理技士の年収も比べてみましょう。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 年収の違い

電気工事士 約400万円~500万円
電気工事施工管理技士 約500万円~700万円

参考:電気工事士の年収公開!年収1000万円を稼ぐ方法も(工事士.com)
   電気工事施工管理技士の年収を比較調査(工事士.com)


上の表のとおり、電気工事士の平均年収よりも電気工事施工管理技士の平均年収のほうが高いです。

しかし、「電気工事士のほうが稼げない」ということでは決してありません。

工事士.comには、年収600万円~800万円の電気工事士求人もあれば、年収500万円以下の電気工事施工管理技士求人もあります。

年収は、携わる工事の規模や働く企業の規模、地域差などにより変動するため、さまざまです。

したがって、電気工事士と電気工事施工管理技士の年収は、平均としては約100万円ほど差がありますが、一概に「電気工事士の年収の方が低い」とは言えません。

ちなみに、最近では「資格手当」を支給する企業も増えているため、電気工事士や電気工事施工管理技士の資格を取得することも年収アップの秘訣の一つです。

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まとめ|電気工事士と電気工事施工管理技士どっちが向いているかチェックしよう!

電気工事士と電気工事施工管理技士は、同じ電気工事に携わる職種でありながら、仕事内容をはじめ、さまざまな違いがあることをご紹介してきました。

電気工事士、電気工事施工管理技士に向いているタイプをまとめると下記のとおりです。

■ 電気工事士と電気工事施工管理技士 向いている人

電気工事士  ・手に職をつけたい人
 ・職人として活躍し続けたい人
 ・現場で働きたい人
電気工事施工管理技士  ・電気工事全般の工程に携わりたい人
 ・管理や監督業務に興味がある人


皆さんも、それぞれの特性を理解した上で、電気工事士や電気工事施工管理技士を目指して挑戦してみてください!

まずは、第二種電気工事士の申込方法や試験日程についてチェックしてみてはいかがでしょうか。

また、工事士.comでは、電気工事士や電気工事施工管理技士の求人を多数掲載していますので、ぜひご覧ださい。

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