工事担任者の試験は難易度高い?合格率を比較調査した結果

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目次

工事担任者の資格を取ろうと思ったとき、気になるのが難易度や合格率ですよね。
「どのくらい難しいのかな?」「自分でも合格できるのかな?」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。


難易度を知らないまま、いざ受験勉強を始めてみると「勉強方法が分からない……」「勉強時間が足りない……」と感じている方も多いようです。そういった悩みや不安は、勉強を始める前に解決しておきたいですよね。


まず最初にお伝えしたいのは、工事担任者の試験には受験資格が無く、どなたでも受験可能だということです。そのため、勉強する上でのポイントをしっかり押さえておけば、誰にでも資格を取得するチャンスがあります。


この記事では、工事担任者試験の難易度を踏まえつつ、試験当日までの勉強方法や勉強のコツをご紹介します。これから工事担任者の資格取得をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!


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工事担任者の難易度を、いろんな角度から比較!

工事担任者の資格には5つの種類があり、「アナログ通信」と「デジタル通信」に分かれます。それぞれに「第一級」と「第二級」があり、扱うことができる回線数によって資格のランクが変わります。ランクが変わるという事は、もちろん資格試験の難易度も異なります。


では実際に、どの資格が、どのくらい難しいのでしょうか?
工事担任者の資格の難易度を、さまざまな視点で分析していきたいと思います。


~注意!2021年4月から資格名称が変更に~

2021年4月から、工事担任者資格の名称が変更となりました。
2021年3月までの資格名称と、2021年4月からの資格名称は、以下の表のとおり対応します。


2021年3月まで 2021年4月から
AI第1種 第一級アナログ通信
AI第3種 第二級アナログ通信
DD第1種 第一級デジタル通信
DD第3種 第二級デジタル通信
AI・DD総合種 総合通信

2021年3月までの資格名称の資格者証は、それに対応する2021年4月からの資格名称の資格者証とみなされます


なお、従来の「AI第2種」と「DD第2種」の資格は廃止となります。

ただし経過措置として、2021年4月1日から3年が経過する日までを限度とし、「AI第2種」と「DD第2種」の試験が実施される予定です。


受験資格・資格の順番から見た難易度

工事担任者のすべての資格に受験資格はありません。学歴・年齢・経験年数などに関係なく、どんな方でも受験可能です。


受験者の年齢層は、学生から50歳以上の方までと非常に幅広く、世代を問わず挑戦しやすい・合格を狙いやすい資格であると言えます。


先ほど、工事担任者の資格にはランクがあり、難易度が異なるとお伝えしましたが、具体的には下記のような難易度となっています。


【アナログ通信】

易  第二級アナログ通信
↓  
難  第一級アナログ通信


【デジタル通信】

易  第二級デジタル通信
↓  
難  第一級デジタル通信


最難 【総合通信】


アナログ通信・デジタル通信ともに、第二級より第一級の方が資格の難易度が高くなります。そして、5つの種類の中で最も難しいと言われているのが総合通信です。


総合通信は第一級アナログ通信と第一級デジタル通信の、両方を兼ね備えた資格だと思ってください。この資格を持っていると、工事担任者として全ての工事ができるようになるため、実用性の高い資格として、現場での需要も高いです。


また「アナログ通信とデジタル通信って、どっちが難しいの?」という質問をよく見かけますが、この2つは以下のとおり工事範囲が異なります。


【アナログ通信】

アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備)や、総合デジタル通信用設備(ISDN)に端末設備等を接続するための工事を行うのに必要な資格


【デジタル通信】

デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備(光回線など))に端末設備等を接続するための工事を行うのに必要な資格


したがって、アナログ通信とデジタル通信は別物であると考えていただいた方が良いでしょう。


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試験の出題範囲からみた難易度

工事担任者の試験には、すべての資格に下記のような3つの試験科目があります。

★電気通信技術の「基礎」

★端末設備の接続のための「技術・理論」

★端末設備の接続に関する「法規」


なお、資格の種類によって、それぞれの科目の出題範囲が異なります。詳しい出題範囲を知りたい方は、(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者 試験科目と出題範囲」をご覧ください。


試験は筆記(マークシート方式)で出題され、合格基準は各科目とも100点満点中60点以上となります。

3科目すべてが60点以上でなければ合格とみなされないので、例えば、「基礎」80点・「技術・理論」75点・「法規」80点なら合格ですが、「基礎」80点・「技術・理論」75点・「法規」45点なら不合格になります。


ですが「3科目とも合格する自信はない……」という方もご安心ください!
工事担任者の試験には、「科目免除」というありがたい制度が設けられています!
科目免除の内容については、以下に簡単にまとめてみました。


(1)科目合格による免除

一部の試験科目に合格していれば、次回の試験で活かせる(申請期間は試験の行われた月の翌月の初めから起算して3年間)


(2)資格による免除

持っている資格(制度改正前の旧資格も)を、新資格の受験に活かせる


(3)実務経歴による免除

所定の接続工事について、一定年数以上の実務経験があれば、受験に活かせる


(4)認定学校修了・修了見込みによる免除

総務大臣が認定した教育施設の「修了証明書」か「修了見込証明書」を提出すれば、「基礎」の科目免除を申請できる

※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者 試験科目の試験免除


科目合格による免除制度を利用せず、3科目とも一発で合格できることが理想的だとは思いますが、3科目とも60点以上を取るのは正直大変ですよね。

「頑張ったけど、ダメだった」。そんなときの手段として覚えておくと安心ですよ!


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受験者数・合格率から見た難易度

続いて、工事担任者試験の受験者数・合格率を見ていきましょう。


下記のグラフは、アナログ通信・デジタル通信の試験の、過去6回分の受験者数を表したものです。



※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者 統計情報
※令和2年度第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止
※令和2年度第2回までは資格名称変更以前の対応する旧資格で集計
※令和3年度第2回以降の第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、半期ごとのCBT方式の受験者と、全科目免除申請者及び事情によりCBT方式の試験を受けられない申請者の合計


グラフから、アナログ通信・デジタル通信ともに、第二級の方が受験者数が多いことが分かります。

その理由として、工事担任者の試験に受験資格はないものの、

● 学校の授業で電気通信を勉強している高校生
● 工事担任者に関して知識があまりない人
● 工事担任者の試験をはじめて受験する人

などは比較的難易度が低い、第二級の資格からチャレンジする方が多いためと考えられます。


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また下記のグラフは、アナログ通信・デジタル通信の試験の、過去6回分の合格率をまとめたものです。



※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者 統計情報
※令和2年度第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止
※令和2年度第2回までは資格名称変更以前の対応する旧資格で集計
※令和3年度第2回以降の第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、半期ごとのCBT方式の受験者と、全科目免除申請者及び事情によりCBT方式の試験を受けられない申請者の合計


以上のグラフを見ると、アナログ通信・デジタル通信ともに、第二級の合格率が高いという事が分かります。アナログ通信の平均合格率は【第二級:42.5%】【第一級:33.8%】で、デジタル通信の平均合格率は【第二級:49.5%】【第一級:28.9%】です。


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下のグラフは、総合通信の試験の、過去6回分の合格率をまとめたものです。

※参考:(一財)日本データ通信協会 電気通信国家試験センター「電気通信の工事担任者 統計情報
※令和2年度第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止
※令和2年度第2回までは資格名称変更以前の対応する旧資格で集計


過去6回分の平均合格率は、27.43%です。


こうして全体を比較してみると、やはり難易度の低い資格は、第二級アナログ通信・第二級デジタル通信であると言えます。今後、工事担任者の資格を取ろうと思っている方の中に、工事担任者についてイチから学ぶという方がいましたら、まずは第二級の資格からチャレンジするのがおすすめです。


別記事では、第二級デジタル通信総合通信の難易度や合格率、取得するメリットなどについて詳しくまとめています。ぜひ、あわせてご覧ください!


工事担任者の資格を必要としているインターネット・光通信・電話回線などの電気通信業界は、技術がたえまなく進歩しています。それに伴って技術者の需要も高まっているので、資格を持っていると転職活動の際にも大いに役立ちますよ!


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工事担任者の勉強って、どう進めていけばいい?

勉強時間の目安・イメージ

工事担任者の資格を取ろうと思っている方の中には、「働きながら勉強しなければいけいない」という方も多いのではないでしょうか?仕事と受験勉強を両立させるためには、勉強に使う時間をどう確保するかが大切になってきます。


今回この記事を書くにあたって、工事担任者の試験を受験しようと思っている方が、資格取得に向けてどれくらい前から勉強しているのかを調査したところ、「約3ヶ月前」から始めている方が多いようでした。しかし覚えるスピードや生活スタイルは人によって異なり、実際に何時間の勉強が必要になるのかは一人ひとり違います。


下記は、受験勉強の進め方をタイプ別に分け、合計の勉強時間の目安をまとめたものです。自分にはどんな勉強方法があっているのか考える参考にしてみてくださいね!


■ 毎日コツコツ着実に進めたいタイプ

1日30分~60分×30日間×3ヶ月分⇒45~90時間

上記のように毎日ちょっとずつコツコツ進めていきたいという人は、例えば仕事から帰ってきて寝る前の30分間を、用語の暗記の時間に使う・朝ちょっとだけ早く起きて30分間、計算問題を解くなど、ちょっとした「すきま時間」を有効活用しながら勉強を進めていくことがポイントです。


■ 休日にガッツリ進めたいタイプ

1日3時間~5時間×約8日(1ヶ月間の休日)×3ヶ月⇒72~120時間

「平日は仕事で疲れているから、休日に勉強したい」人はこの勉強方法がオススメです。
この勉強方法だと、勉強時間は十分に確保できるので、「勉強し足りなかった…」ということはないでしょう。デメリットは、一週間前に勉強した内容を忘れてしまう可能性があるという点です。そのため、ちょっと忘れっぽいという人は、「■毎日コツコツ着実に進めたいタイプ」の勉強方法のほうが合っているかもしれません。


■ 1ヶ月間の短期集中型タイプ

1日2時間~3時間×30日間⇒60~90時間

「資格は取りたいけど、勉強するのが面倒くさい……」そんな人もいますよね。
試験の出題範囲から見た難易度」でもお伝えしましたが、工事担任者の試験は3科目に分かれており、出題範囲が非常に広いです。短期間でたくさんの内容を頭に詰め込まなければいけないので、いかに効率よく時間を使うかがポイントになります。すきま時間を有効活用し、自宅でも十分な勉強時間を確保するようにしましょう。


忙しい毎日の中で、勉強の時間をつくることはなかなか難しいことだと思います。
試験当日は、緊張して手が止まってしまったり、時間配分を間違えたりと、何らかのアクシデントが起きる可能性もゼロではありません。落ちついて試験に臨むためには、前もってしっかり準備しておくことが大切です。


これから工事担任者の試験を受けようと思っている方は、勉強を始める前に、自分なりの勉強時間の確保の仕方を考えておくといいでしょう。


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一発合格した人のおすすめ勉強方法

先ほどは勉強時間についてお伝えしましたが、続いては勉強の進め方です。


勉強の進め方も、「参考書を1ページ目からしっかり読み進める」「要点だけまとめて、頭に叩き込む」「ひたすら過去問を解いて出題パターンを暗記する」など、しっくりくる方法は人それぞれだと思います。
また、「どう勉強を進めたらいいのか分からない……」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。


ここでは、工事担任者試験の「基礎」「技術・理論」「法規」の3科目を、すべて一発合格した人の勉強方法をご紹介したいと思います。なにか参考になる点があるかもしれませんよ!


▽一発合格した人のおすすめ勉強方法

(1)受験する資格の問題集・過去問集をひととおり解いてみる

 ↓

(2)採点をする・自分の苦手科目/得意科目を理解する

 ↓

(3)苦手科目に勉強時間を使って攻略する

※それぞれ3科目をすべて60点以上で合格しなければいけないので、過去問集を一通り解いたあと、自分が苦手だな・自信が無いなと思う科目から潰していくのが良いでしょう!

分からない所はテキストを読んで勉強するのもいいですが、問題の解答集を見るのもオススメです。
解答集には、なぜその解答になるのかの解説が記載されている場合もあるので、より詳しく理解することができますよ。

 ↓

(4)「過去問」⇒「採点」⇒「苦手科目を中心に勉強」を繰り返す

※最低でも2~3回繰り返し勉強しておくと安心です。

 ↓

(5)「電気通信国家試験センター」から無料でダウンロードできる過去問にチャレンジ

※3科目とも6~7割程度解けているとベスト!解けなかった問題は、参考書などで復習して知識をインプットしていきましょう。(携帯アプリの過去問集にチャレンジするのもオススメです!)

 ↓


ここまできたら、あとは合格を目指すのみ!


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工事担任者試験 受験者の【実体験・感想】

最後に、過去に工事担任者試験を受験された方の体験談・感想を、いくつかご紹介します。


勉強するコツさえ掴めば、文系出身の方や他の分野で働いている方でも十分に合格を狙える資格です。


工事担任者の試験対策講座やセミナー、通信講座などもありますが、こちらはあまりオススメ出来ません。
講座の受講費用は何万円単位のものもあるので、高い料金を払って講座に通うよりは、3,000円くらいの参考書と過去問集を買えば独学でも問題ないと思います。
もし、どうしても「独学で勉強する自信が無い……」という人は、通信講座を利用するのも1つの手段ですね。


<42歳・男性/ビジネスホン等の設置工事の会社に勤務>


過去問を繰り返し解いておくことが重要です。工事担任者の試験は出題範囲がとても広いので、暗記で覚えるのには限界があります。


特に「基礎科目」では、電気回路・電子回路・論理回路についての計算問題が出題されます。
マークシート方式で解答を選択する形ですが、問題の解答を暗記するのではなく、計算公式と解き方を覚えるのがコツです。
計算問題の配点が半分を占める場合もあるので「計算問題は苦手だから捨てよう……」とは思わずに、過去問を繰り返し解きながら計算公式と解き方を暗記しましょう!


<38歳・男性/インターネット回線導入工事の会社に勤務>


工事担任者の試験は「基礎」「技術・理論」「法規」の3科目があるので、勉強時間の配分をどうするかがポイントだと思います。
わたしは暗記が得意な方だったので、「技術・理論」「法規」よりも、計算問題がある「基礎」に多く時間を使いました。


試験当日はAI第1種(※当時)を受験し、結果的に「基礎」と「法規」60点以上で合格だったのですが、「技術・理論」だけ点数が足らず、次回に持ち越しとなりました。


<48歳・男性/光ファイバーの接続工事の会社に勤務>


試験当日は、過去問を解いているような感覚とさほど変わりませんでした。勉強時間のスケジュールをしっかりたててコツコツやっていけば、第3種(※当時)は問題なく合格できると思います。


また、試験会場内はほとんどが男性でしたが、女性もチラホラいました。若い方からご年配の方まで沢山いたので、「この資格って結構需要あるんだな~」としみじみ感じていました。


<24歳・男性/配線工事などを行う電気工事の会社に勤務>


初めてAI・DD総合種(※当時)を受験したのですが「本当に難しい……」といった印象です。
個人的な見解ですが、一発合格を狙うのは相当難しいと思うので、「基礎」「技術・理論」「法規」のそれぞれ1科目ずつを集中的に勉強して、確実にひとつひとつ合格を狙っていくという受験の仕方もアリなのかなと思いました。


科目免除の制度を上手く活用していくことも、工事担任者の資格取得の上では必要になってくるのではないでしょうか。


<28歳・男性/ルーターや複合機の設置工事の会社に勤務>


私はインターネット回線の仕事に興味があったので、DD第三種(※当時)の資格を取りたいと思って受験しました。初めての受験だったので、万全の状態で試験に臨みたいと思い、自分ではたくさん勉強していったつもりでした。


本番の試験では、解答は選択式で、割とスラスラ解けていたと思います。しかし解答速報が出て自己採点してみると、引っ掛け問題で間違った解答をしていたことが分かりました。
結果的には3科目とも合格したのですが、自信があった問題をハズしてしまったので残念です……。選択問題の場合は、問題文をよく読むことが大切だと改めて実感しました。


<19歳・男性/理系大学1年生>


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まとめ

今回は、工事担任者の資格の難易度や勉強方法、勉強のコツについてご紹介しました。


試験や受験勉強について、イメージは湧いてきたでしょうか?この記事が、工事担任者の資格取得を目指すあなたにとって、少しでも役に立てば幸いです!


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