消防設備士乙種6類に合格するには|覚えておくべき7つの基本情報
資格 試験 対策
目次
消防設備士の乙種6類は、数ある消防設備の中でも『消火器』に特化した資格になります。
消火器は消防設備の中でも圧倒的な設置数を誇るので、
乙種6類の資格を持った方の活躍の場は非常に多いと言えるでしょう。
今回の記事では…
・乙種6類について、どんな資格なのかもっと詳しく知りたい方
・乙種6類の資格を取得するべきか迷っている方
のために、資格概要や試験で合格する為に活かせる情報をまとめてみました。
今後、消防設備関係の仕事をしたいと思っている方には特にオススメしたい資格なので、是非参考にしてみてください。※下記からは乙種6類を『乙6』と省略させて頂きます。
乙種6類の資格概要を確認!
まず初めに、消防設備士の資格について確認しておきましょう。 消防設備士の資格には下記の2つのパターンがあります。
◎甲種
工事と整備(点検も含む)を行うことができる
◎乙種
整備のみを独占的に行うことができる
甲種は1類~5類、乙種は1類~7類まであります。 下記の表の通り、工事及び点検・整備の対象設備によって資格の区分が変わります。
分類 | 甲種 | 乙種 | 工事及び整備(点検を含む)の対象設備 |
---|---|---|---|
1類 | ● | ● | 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備等 |
2類 | ● | ● | 泡消火設備等 |
3類 | ● | ● | 不活性ガス消火設備、ハゲロン化物消化設備、粉末消火設備等 |
4類 | ● | ● | 自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備 |
5類 | ● | ● | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
6類 | ● | 消火器 | |
7類 | ● | 漏電火災報知器 |
消防設備士の資格は、消防法によって定められている国家資格です。その中の乙6は、
消防設備である『消火器』を扱うことができる資格に当たります。
消火器は、学校やビル、商業施設など様々な建物に設置されており、
消防設備の中では圧倒的な設置数を誇ります。
この資格を取得すれば、消防設備の業界で働くときや、転職活動の際などに、とても重宝するでしょう。
資格を取得した後は、消防設備会社やその下請け会社、ビルメンテナンスの会社などで活かすことができ、活躍の場は広いです。
消火器などの消防設備に関わる仕事は、建物がある限りなくならないので、安定性もあります。
しかしながら、消火器だけを専門に扱っている会社は少なく、基本的に複数の消防設備を扱っている会社が多いでしょう。
ですから、消防設備の業界で頑張っていこうと考えているならば、乙6だけでなく、他の消防設備の資格もあると更に活躍の場が広がるでしょう。
乙6の試験に受験資格はなし!誰でも受験可能◎
乙6の試験には受験資格などの制限はなく、学歴・職歴・年齢を問わず、
どなたでも受験可能です。
消防設備士の資格には甲種と乙種がありますが、
甲種の資格を受験する際は受験資格があり、国家資格・学歴または経験を必要とします。
乙種の場合は1類から7類までのすべての資格において、
受験する際に必要な条件や制限はありません。
●甲種
受験資格あり(国家資格・学歴または経験などが必要)
●乙種
受験資格なし(学歴・職歴・年齢・性別問わず、どなたでも受験可能)
乙6の資格試験には受験資格が無いことから、学生や大人まで幅広い層が受験しています。
消防設備士の仕事は設備の点検や整備などが多く、重いものを運んだり屋外で作業したりすることは少ないと言われており、電気工事士などと比較すると力仕事も少ないので、最近では女性の消防設備士も増加傾向にあるようです。
乙6を取得する3つのメリット
ここまで、消防設備士乙6の資格概要について簡単に説明してきましたが、いざ資格を取ろうと思ったとき、「取得するメリットって本当にあるのか」気になる方もいらっしゃいますよね。
そこで次は、乙6の資格を取得するメリットにはどんなものがあるか見てみましょう。
活躍の場が広く、需要がある
消火器は私たちの生活の中でも、特に身近な消防設備です。
一般家庭などの小さな建物からビルなどの大型の建物まで、様々な建物に設置されています。
万が一火災が発生したときに、被害を最小限に抑えられるよう、
常に万全の状態に備えられています。
その消火器を守っているのが、乙6の資格を持った消防設備士です。 知識や技術のある消防設備士は、消防設備関係の会社からだけではなく、社会全体からも必要とされており、 非常に需要のある資格であると言えます。
転職活動に有利
消防設備士を募集している会社の中には、人材不足などの影響から、無資格・未経験でも応募可能な求人情報を掲載しているところも多数あります。 そういった会社では、資格取得支援制度などを設けている場合もあり、入社後に資格を取ることも可能です。
しかしながら、資格を持っているのと持っていないのとでは、大きな差があります。
それは、面接時にアピールできるポイントの差です。
資格があれば知識や技術力の証明にもなるので、
資格があることに越したことはありません。
転職の際には非常に有利になると言えるでしょう。
また、消防設備士の資格と並行して、あると便利な電気工事士 や危険物取扱者の資格も併せて持っておくと、更に活躍の場も広がると思います。
給料・手当がアップしやすい
資格を持って転職したり、会社で在籍中に資格を取れば、 手当がついたり給料がアップする可能性があります。 消防設備関係の会社で給料アップを目指すのであれば、乙種6類の資格以外にも、 他の消防設備士(例えば、自動火災報知設備やスプリンクラー設備等を扱える4類・1類)の 資格があると評価ももっと上がるかもしれません。
【ご参考程度に】
これまでに、工事士.comに掲載していただいた企業様の中から、消防設備士を募集している会社をピックアップし、
消防設備士の年収の目安をまとめてみました。
※ 年収は、仕事内容や地域差によっても異なるので、一概にいうことはできません。
あくまで一例としてご参考にしてください。
◆ 20代~30代 : 年収300万円~400万円程度
◆ 40代~ : 年収500万円程度~
試験合格率は30%台!初心者でも一発合格を狙える難易度
続いては、乙種6類の資格の難易度と合格率を見ていきましょう。 下記の表は、消防設備士 乙種6類の試験範囲をまとめたものです。
試験科目(乙種6類) | 出題数 | ||
---|---|---|---|
筆記 | 基礎的知識 | 機械に関する部分 | 5 |
電気に関する部分 | ― | ||
消防関係法令 | 共通部分 | 6 | |
6類に関する部分 | 4 | ||
構造・機能・及び工事・整備の方法 | 機械に関する部分 | 9 | |
電気に関する部分 | ― | ||
規格に関する部分 | 6 | ||
合計 | 30 | ||
実技 | 鑑別等 | 5 | |
製図 | ― |
消防設備士は筆記試験と実技試験の両方に受かって合格です。 試験時間は1時間45分で、その間に筆記試験と実技試験の両方を行います。
合格基準は、筆記試験では科目ごとで40%以上、
全体で60%以上の合格点が必要です。
実技試験では、60%以上の合格点が必要になります。
ただし、筆記試験が合格ラインに達していないと実技試験は採点されません。
資格を取得するには、筆記試験の合格が絶対条件となります。
合格基準の制限がいくつかあるので、一見むずかしそうに見えると思います。 ですが、勉強時間をしっかりとれば「初心者でも合格を目指せる資格」と言われているので、 まずは筆記試験が合格ラインに届く様、じっくり勉強しましょう。
次に、乙種6類の合格率についてお伝えします。

年度 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 |
---|---|---|---|
令和元年 | 14,593 | 5,463 | 37.4% |
平成30年 | 14,785 | 5,778 | 39.1% |
平成29年 | 21,623 | 8,118 | 37.9% |
平成28年 | 20,627 | 7,807 | 37.8% |
平成27年 | 20,099 | 7,888 | 39.2% |
>引用:一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況」
上記のグラフは、乙種6類の受験者数・合格者数・合格率をまとめた表です。
グラフを見ると、毎年30%台後半を推移しています。
消防設備士のような技術系の国家資格の中では、難易度がそれほど高くはなく、
取得しやすい資格とよく言われています。
しかし、先程お伝えした合格基準の制限あるので、
筆記試験・実技試験ともに、十分な勉強期間を設けておく必要がありそうです。
乙6試験の難易度・合格率については他の記事でも詳しくまとめていますので、是非そちらも併せてご覧になってみてください。
試験の科目免除とは?【すぐわかる乙6科目免除表あり】
次は乙種6類の科目免除についてお伝えします。
科目免除とは、消防設備士(乙種6類以外)の資格や、技術士(機械部門)等の資格を持っていれば、試験の一部を免除できるといった制度です。
また消防団員として5年以上勤務し、消防学校で所定の教育を修了している場合にも、
試験の一部を免除することが出来ます。
※なお、試験が一部免除になった場合は、試験時間も短縮になるので注意してください。乙種6類の科目免除については下記の表をご参照ください。
【乙種6類の科目免除表】
※乙種6類以外の保有資格がある場合
保有資格 | 6類での免除科目 | |
---|---|---|
消防関係法令 (共通部分のみ) | 基礎的知識 | |
甲1 | ● | |
甲2 | ● | |
甲3 | ● | |
甲4 | ● | |
甲5 | ● | ● |
乙1 | ● | |
乙2 | ● | |
乙3 | ● | |
乙4 | ● | |
乙5 | ● | ● |
乙7 | ● |
※ 乙6以外の消防設備士の資格保有者:消防関係法令の共通部分が免除可能
※ 甲5・乙5の資格保有者:消防関係法令の共通部分の免除に加え基礎的知識も免除可能
※ 試験時間の短縮に関しては下記のように変更になります。
消防関係法令の共通部分が免除=(通常)1時間45分⇒1時間30分
消防関係法令の共通部分の免除に加え、基礎的知識も免除=(通常)1時間45分⇒1時間15分
※ その他の情報
【技術士(機械部門)の資格をお持ちの方】
基礎的知識及び、構造・機能・及び工事・整備の方法を免除することができます。
【消防団員として5年以上勤務し、消防学校で所定の教育を修了している方】
基礎的知識及び、実技試験のすべてを免除することができます。
科目免除のメリット・デメリット
消防設備士の科目免除について調査していたところ、
免除をするメリットとデメリットがある事が分かりました。
◇科目免除のメリット
◎勉強する範囲を少なくできる
◎勉強にかける時間を短縮できる
◎試験に必要な範囲を絞って勉強できるので、より知識が深まる。
◇科目免除のデメリット
◎部分的な免除があっても、科目ごとに40%以上の正解率を取らなければならないので、結果的に負担が増える。
(例えば、消防関係法令の『共通部分』のみが免除される場合、残りの『法令種別』だけで40%以上の正解率を取らなければいけない。)
◎免除となる部分には、基礎的な知識が多く含まれており、得点を稼ぎやすいので、免除するのはもったいない。
いかがでしたか?受験者の方の中には、科目免除をする人もしない人もいます。 最終的には自分自身で決めることになると思いますが、その判断材料として、 今回お話したメリット・デメリットを参考にしていただければいいなと思っています。
乙6試験を攻略するための勉強方法
先ほども若干触れましたが、消防設備士の試験では、筆記試験と実技試験の両方に受かって合格になります。筆記試験では科目ごとで40%以上、全体で60%以上の合格点が必要です。
実技試験では、60%以上の合格点が必要になります。
ただし、筆記試験が合格ラインに達していないと、実技試験は採点されません。
それでは、もう少し具体的に試験内容を見ていきましょう。
筆記試験:4択問題のマークシート方式
筆記試験の問題はマークシート方式で、
4つの選択肢の中から問題に合った解答を選びます。
『基礎的知識』『消防関係法令』『構造・機能・及び工事・整備の方法』
の3科目で構成されており、全部で30問の問題が出題されます。
この筆記試験が合格していないと、実技試験は採点すらされないので、
資格を取得するには筆記試験のクリアが第一条件です。
勉強する科目の順番に関して言うと、知識ゼロから勉強を始めるのであれば、 まずは消防関係法令から取り掛かる事をオススメします。 消防関係法令には消防設備士として働く上での基礎知識がたくさん詰まっているからです。
勉強方法としては、過去問を繰り返し解いて、暗記をたくさんすることが一番の対策ではないかと踏んでいます。 ネット上などで公開されている問題は数がそれほど多くないので、問題集を用意したりケータイアプリ等を有効活用したりすると良いでしょう。
※筆記試験の勉強時間や勉強する上でのポイントをまとめた記事もあるのでそちらも併せてご参考ください。
実技試験:写真を見ながら記述式で答えるペーパーテスト
実技試験の問題は、鑑別試験(かんべつしけん)といって、消火器の写真やイラストなどを見ながら、記述式で解答する問題などが出題されます。
消火器の操作方法や作業手順など、より実際の業務に近しいよう
な問題が出題されるので、実技試験と呼ばれています。
試験中は実物の消火器を触ったり、点検したりするような作業はありませんので、
特別に身構えておく必要はありませんよ!
問題数は5問で、60%以上の合格点が必要です。
60%以上で合格するためには、最低でも3問以上は正解しないといけません。
4択で解答する筆記試験に比べると、実技試験は記述式で解答するので、
より解答の正確性が求められています。
実技試験には部分点などもありますが、問題数が少なく1問当たりの配点も高くなるので、
筆記試験よりも実技試験の方が、ちょっと難易度が高いという事が言えそうです。
※実技試験の勉強方法や、試験を受ける上でのポイント を詳しく紹介している記事もあるのでそちらも併せてご参考ください。
試験日・申請方法まとめ
最後に、実際に試験を受けようと思った際に必要になりそうな、 試験に関する情報をまとめてみました。
試験日程は都道府県ごとに違う!必ず確認してください
消防設備士の試験は、都道府県ごとに、試験日程・試験回数が異なります。 詳しい試験日程や試験会場を知りたい方は、 一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトをご参照ください。
消防設備士の試験では、居住地以外の都道府県でも受験することが可能です。その場合は、受験を希望している都道府県の各センターへ受験申請をする必要があります。
例えば、『居住地は東京だけど試験の日程が合わないから、神奈川県で受験したい』といった場合は、
神奈川県の試験センターへ受験申請してください。
乙種の受験費用は3,800円
受験費用は下記の通りです。(2019年度時点)
■甲種 5,700円
■乙種:3,800円
※ 受験費用は改定されています。市販のテキストの中には、改定前の旧料金が記載されているものもありますのでご注意ください。
試験の申請は『書面申請』と『電子申請』の2パターン
消防設備士の試験の申請方法は、『書面申請』と『電子申請』の2つの方法があります。
◇書面申請の方法
書面申請では受験願書が必要になります。
願書は消防設備研究センターの各支部及び、関係機関の窓口で無料配布しています。
受験申請に必要な書類(受験願書・郵便振替払込受付証明書など)を揃えた後、
受付期間内に消防設備研究センターの各支部へ提出して下さい。
受験票は試験実施日の1週間~10日前ごろまでに郵送される予定です。
(詳しくは防設備研究センターの各支部へお問い合わせください)
◇電子申請の方法
電子申請は、インターネットから消防設備研究センターのHPにアクセスして申請する方法です。
ケータイやスマートフォンからは申請できませんのでご注意ください。
まず、消防設備研究センターのHPの【電子申請はこちらから】にアクセスし、必要事項を入力します。
申請手続き終了後、受験費用の振り込みを行います。
(クレジット・コンビニ払い等選択可)その後、消防設備研究センターのHPから受験票をダウンロードし、 受験票へ顔写真添付します。試験当日は、顔写真付きの受験票を持参してください。(詳しくは防設備研究センターの各支部へお問い合わせください)
消防設備士の資格を取ったら講習を忘れずに!
消防設備士の資格の取得後は、新しい知識や技術の習得などの為に、 定期的に講習を受ける必要があります。忘れずに講習に行くようにしましょう。
◇受講対象者
消防設備士の免状を交付されている方
◇受講期間
(1)免状の交付を受けた日以降における最初の4月1日から2年以内
(2)(1)の講習を受けた日以降における最初の4月1日から5年以内
まとめ
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
今回は消防設備士乙種6類の資格概要や試験情報についてお伝えしてきました。
消防設備に関する仕事は今後も無くなることは無いので、乙種6類の資格の活用性は非常に大きいと思います。資格は取るまでが大変だと思いますが、取った後は一生モノの技術です。
今後乙種6類の資格取得を目指している方は、是非この記事で読んだ情報を活かしていただければ嬉しいです。
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