第一種電気工事士ができることは?仕事内容・試験概要・取得するメリットを解説

電気工事士の資格・試験

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第一種電気工事士とは、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備の限定)および一般電気工作物・小規模事業用電気工作物の電気工事を行うことができる国家資格です。

第二種電気工事士と比べて、より電力の大きい工事に携わることができます。

この記事では、第一種電気工事士ができることや試験概要について解説します。


これから第一種電気工事士を取得しようとしている方は参考にしてみてください。

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第一種電気工事士とは?

第一種電気工事士とは、自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備の限定)および一般電気工作物・小規模事業用電気工作物の電気工事を行うことができる国家資格です。

したがって、第一種電気工事士は第二種電気工事士よりも、電力の大きい電気工事に携わることができます。

この資格を取得することで、就職や転職が有利になるだけでなく、独立して起業することも比較的容易です。また、近年では電気工事士の高齢化が進んでおり、今後さらに需要が高まる資格といえます。


以下、第一種電気工事士についてさらに詳しく説明します。

この見出しでわかること


第一種電気工事士の仕事内容

第一種電気工事士が従事できる仕事内容は、一般用電気工作物、小規模事業用電気工作物、自家用電気工作物の電気工事です。

■第一種電気工事士ができること

電気工作物の種類 作業可否
一般電気工作物
自家用電気工作物
小規模事業用電気工作物

■一般用電気工作物とは

一般住宅や小規模な店舗のように、電力会社から低圧(600V以下)で受電している電気工作物

■自家用電気工作物とは

電気事業(一般送配電事業等)に使用する電気工作物と小規模事業用電気工作物を除く、事業用電気工作物

(例)工場・ビル等の600Vを超えて受電する需要設備(発電所を含む)等

■小規模事業用電気工作物とは

経済産業省が定める出力未満かつ電力会社から低圧(600V以下)で受電している事業用電気工作物

※経済産業省が定める出力は「電気工作物の保安(経済産業省)」参照

※構外の電気工作物と「低圧電線路以外の電線路」で接続されていないものに限る


第二種電気工事士との違い

第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いは下記のとおりです。

大きく異なるのは、従事可能な業務範囲と試験内容です。また、免状交付条件と定期講習の有無にも違いがあります。

また、第一種電気工事士は第二種電気工事士の上位資格であるため、平均年収にも70万円ほどの差があります。

■第二種電気工事士との違い

比較項目 第一種 第二種
従事可能な業務範囲
従事可能な業務範囲 一般電気工作物
自家用電気工作物
小規模事業用電気工作物
試験内容 自家用電気工作物に関する知識・技能 一般用電気工作物等に関する知識・技能
合格率(平均) 学科(筆記・CBT) 約55% 約60%
技能 約65% 約70%
免状交付条件 3年以上の実務経験 なし
定期講習の有無 5年に1回 なし
平均年収※ 550万円 480万円

※平均年収は所定外給与額(残業代等)を除く

第一種電気工事士は、第二種電気工事士が従事できる範囲(家や小さな店舗等)に加え、工場やビルなどの大規模な設備の電気工事に携わることが可能です。

電気工事士の資格の種類ごとに従事できる業務範囲をまとめると下記のとおりです。

種類別電気工事士が従事できる電気工作物

第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いについては、電気工事士「1種」と「2種」の違いで詳しく解説しています。

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資格取得のメリット

第一種電気工事士を取得することで、以下のようなメリットがあります。

第一種電工を取得するメリット


職場での評価が上がる

第一種電気工事士を取得するメリットの1つ目は、職場での評価が上がることです。

第一種電気工事士を取得すると、できる業務の幅が広くなることに加え、重要なポジションを任される可能性も高くなるため、職場での評価が上がりやすいといえます。

収入が増えやすい

第一種電気工事士を取得するメリットの2つ目は、収入が増えやすいことです。

第一種電気工事士と第二種電気工事士の違いでも紹介した通り、第二種電気工事士の平均年収は480万円に対し、第一種電気工事士は550万円です。

第一種電気工事士は、第二種電気工事士と比べて対応できる仕事の範囲が広く責任が大きいため、収入が増えやすいといえます。

また、資格手当による年収のアップも期待できます。

  第一種電気工事士 第二種電気工事士
資格手当 10,000円~15,000円 5,000円

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転職で有利になる

第一種電気工事士を取得するメリットの3つ目は、転職で有利になることです。

第一種電気工事士を保有していると、転職先の幅が広がることに加え、「3年以上の実務経験」を担保することができます。

そのため、即戦力として内定を勝ち取りやすく、転職で有利になります。

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第一種電気工事士の平均年収

第一種電気工事士の平均年収は550万円です。(所定外給与額(残業代等)を除く)

■第一種電気工事士の平均年収

資格種類 平均年収 平均月収 平均年間賞与
第一種電気工事士 554.9万円 35.8万円 125.3万円

電気工事士の平均年収については、電気工事士の平均年収で詳しく解説しています。

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第一種電気工事士 資格試験の概要

第一種電気工事士の資格試験は学科試験と技能試験に分かれており、学科試験はマークシートで行われ、技能試験は実際に作業を行う形式で行われます。

合格率は学科試験が約55%、技能試験が約65%で、第二種電気工事士と比較するとやや難易度が高いです。

第一種電気工事士の試験概要は下記のとおりです。

■第一種電気工事士の試験概要早見表

項目 学科試験 技能試験
受験資格 なし
免状交付条件 3年以上の実務経験
出題内容 電気工事の基本知識(学科試験範囲 電気工事の基本作業(候補問題
問題数 50問 1問
合格ライン 60点/100点前後 欠陥なし
合格率 約55% 約65%
受験手数料 ネット申込:10,900円
書面申込:11,300円

ここからは、第一種電気工事士の資格試験について下記の項目ごとに詳しく解説します。

第一種電気工事士の試験概要


受験資格

第一種電気工事士には、受験資格がありません。
学歴・年齢・経験に関係なく、誰でも受験することができます。

しかし、仮に合格できたとしても、免状交付には3年以上の実務経験が必要となります。

■受験資格・免状交付条件

資格名 受験資格 免状交付条件
第一種電気工事士 なし 3年以上の実務経験

「実務経験」に該当する業務の内容など、第一種電気工事士の受験資格と免状取得条件の詳細は、「第一種電気工事士の受験資格|免状取得には実務経験3年以上が必要」をご確認ください。

出題内容

第一種電気工事士試験は、学科試験(筆記・CBT)と技能試験の2部構成で実施されます。

まずは学科試験(筆記・CBT)に合格し、その後技能試験に合格することで第一種電気工事士の資格を取得することができます。

■学科試験(筆記・CBT)の出題内容

第一種電気工事士の学科試験(筆記・CBT)には、以下の内容から出題されます。

  1. 電気に関する基礎理論
  2. 配電理論及び配線設計
  3. 電気応用
  4. 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料及び工具並びに受電設備
  5. 電気工事の施工方法
  6. 自家用電気工作物の検査方法
  7. 配線図
  8. 発電施設・送電施設及び変電施設の基礎的な構造及び特性
  9. 一般用電気工作物等及び自家用電気工作物の保安に関する法令

※参考:第一種電気工事士の試験内容

■技能試験の出題内容

第一種電気工事士の技能試験では、以下の内容が問われます。

  1. 電線の接続
  2. 配線工事
  3. 電気機器・蓄電池及び配線器具の設置
  4. 電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具の使用方法
  5. コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
  6. 接地工事
  7. 電流・電圧・電力及び電気抵抗の測定
  8. 自家用電気工作物の検査
  9. 自家用電気工作物の操作及び故障箇所の修理

※参考:第一種電気工事士の試験内容


合格率(難易度)

第一種電気工事士の合格率は、学科試験(筆記・CBT)が約55%、技能試験が約65%です。

第二種電気工事士(学科試験:60%、技能試験:70%)と比べると、難易度は高い傾向にあります。

■学科試験(筆記・CBT)の合格率

年度 合格率 受験者数(人) 合格者数(人)
平均 55.9% 35,731 19,963
2023年度 61.6% 33,035 20,361
2022年度 58.2% 37,247 21,686
2021年度 53.5% 40,244 21,542
2020年度 52.0% 30,520 15,876
2019年度 54.1% 37,610 20,350

■技能試験の合格率

年度 合格率 受験者数(人) 合格者数(人)
平均 63.8% 24,690 15,747
2023年度 60.6% 26,143 15,834
2022年度 62.7% 26,578 16,672
2021年度 67.0% 25,751 17,260
2020年度 64.1% 21,162 13,558
2019年度 64.7% 23,816 15,410

参考:第一種電気工事士の合格率

第一種電気工事士の合格率・難易度については、第一種電気工事士の合格率・難易度で詳しく解説しています。

受験手数料

第一種電気工事士の受験手数料は、インターネット申し込みが10,900円、郵送での申し込みが11,300円です。

■受験手数料

申込方法 受験手数料
インターネット申込 10,900円
書面申込 11,300円

2024年度 試験日と申込方法

第一種電気工事士の2024年度の試験スケジュールは以下のとおりです。
なお、2024年度上期の試験は終了していますので注意してください。

■2024年度 試験スケジュール

日程 上期 下期
申込期間 2024年2月9日(金)~3月8日(金) 2024年7月29日(月)~8月15日(木)
学科試験日(筆記方式) なし 2024年10月6日(日)
学科試験日(CBT方式) 2024年4月1日(月)~5月9日(木) 2024年9月2日(月)~9月19日(木)
技能試験日 2024年7月6日(土) 2024年11月24日(日)

参考:試験日程について(電気技術者試験センター)

2024年度の第一種電気工事士の試験日・申込日・申込み方法は、「2024年(令和6年)第一種電気工事士の申込方法と試験日|画像付きでわかりやすく解説」で詳しく解説しています。


また、合格発表日については「【2024年度版】第一種電気工事士試験の合格発表はいつ?確認方法や手順を解説!」にてご確認ください。

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第一種電気工事士の勉強方法

次では、第一種電気工事士に合格するための勉強方法について解説します。

第一種電気工事士の勉強方法


合格に必要な勉強時間

第一種電気工事士に合格するために必要な勉強時間は、学科試験が「30~100時間」、技能試験が「10時間以上」です。

■必要な勉強時間

試験形式 第一種電気工事士 (参考)第二種電気工事士
筆記試験 30〜100時間 50時間~
技能試験 10時間~ 10時間~

第一種電気工事士に必要な勉強時間は?《実際の受験者にアンケート調査》では、実際の受験者へのアンケートを元に必要な勉強時間やスケジュール例を紹介しています。

参考にしてみてください。

学科試験(筆記・CBT方式)の勉強方法

第一種電気工事士の学科試験(筆記・CBT方式)の勉強方法のコツは、以下の6つです。

■学科試験(筆記・CBT方式)の勉強方法

  1. 試験日から逆算して勉強スケジュールを立てる
  2. 暗記問題を重点的に勉強する
  3. 暗記系は五感を使って覚える
  4. 5年分以上の過去問を解く
  5. 間違えた問題をメモしておく
  6. 時間配分を意識する

さらに詳しい第一種電気工事士の学科試験(筆記・CBT方式)の勉強方法は、第一種電気工事士の学科試験(筆記・CBT方式)で解説しています。

技能試験の対策方法

第一種電気工事士の技能試験では、以下の流れで対策すると効率的です。

■技能試験の対策方法

  • 合否のポイント(欠陥の基準)を知る
  • テキストや動画を見てやり方を覚える
  • 複線図を書けるようになる
  • 公表問題を練習する

第一種電気工事士の技能試験対策については、第一種電気工事士の実技(技能試験)で詳しく解説しています。

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第一種電気工事士の試験に合格したら

次では、第一種電気工事士の試験に合格した後に行うことについて解説します。

第一種電気工事士の試験合格後に行うこと


合格後の免状申請方法

第一種電気工事士の試験に合格したら、次に進めるのは免状の申請です。試験に合格しただけでは、資格を正式に取得したことにはならず、免状の交付申請が必要です。


申請にあたっては、都道府県の担当窓口に申請書類を提出し、交付手数料を支払う必要があります。

申請書には、合格証書、写真、身分証明書などを添付することが一般的です。


申請から免状交付までは数週間かかることが多いので、時間に余裕を持って申請手続きを行いましょう。


資格取得後のキャリアパス

第一種電気工事士の資格を取得すると、キャリアの選択肢が大幅に広がります。

例えば、以下のような活躍が期待できます。


●大規模な電気設備の工事

工場やビル、商業施設などの電気設備に関わる工事が可能になります。500kW未満の自家用電気工作物の工事も担当できるため、ビルメンテナンスや工場の設備管理者としての需要が高いです。

●独立・起業

資格を活かして自営業を始めることもできます。第一種電気工事士は、個人や小規模の事業主でも高い需要があり、特に再生可能エネルギーや太陽光発電システムの導入が進む中で、仕事の範囲が拡大しています。

●転職・キャリアアップ

資格を持っていることで、電気設備関連の企業でのキャリアアップが期待できます。また、他の専門資格(例:電気主任技術者)を取得することで、さらに専門性の高い仕事に挑戦することも可能です。


定期講習について

第一種電気工事士には定期講習を受講する義務があります。資格取得後、5年以内に定期講習を受けなければなりません。

詳しくは「電気工事士の定期講習」を御覧ください。


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まとめ

この記事では第一種電気工事士ができることや試験概要について解説しました。


第一種電気工事士を取得すると、第二種電気工事士の業務範囲に加えて「自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備の限定)」の工事を実施できるようになり、業務の幅が広がります。

これにより、社内の評価を高めて年収をアップさせやすく、転職先の選択肢も広がります。

工事士.comでは第一種電気工事士の求人を多数掲載しているため、これから第一種電気工事士の試験を受験する方は事前にチェックしてみてください。

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