電気通信の工事担任者とは?できることや資格の種類から試験概要まで解説

電気通信の工事担任者

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最終更新日:

電気通信の工事担任者とは、電気通信設備の工事や監督を行う際に必要な国家資格で、電気通信回線に対して端末設備や自営電気通信設備の接続工事および監督を行うことができます。

おもに屋内の電気通信工事で活かせる資格です。

この記事では、電気通信の工事担任者に関して以下の項目について解説します。


電気通信工事の基本情報は「電気通信工事とは?種類や必要な資格から現場の方々に聞いた「きついこと」を解説!」で詳しく解説しています。


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電気通信の工事担任者とは?

電気通信工事の工事担任者とは、電気通信設備の工事や監督を行う際に必要となる国家資格です。

具体的には、電気通信回線に対して端末設備や自営電気通信設備の接続工事および監督を行うことができます。

例えば、光ファイバーにパソコンや電話機の接続を行ったり、オフィスにインターネットを設置する際のLAN構築工事やその監督を行うことも可能です。

■工事担任者資格とは(引用)

電気通信に関する知識を要し、その良否は電気通信回線設備を通じて他に与える影響が大きいことから、電気通信回線設備の損傷及び他の利用者への迷惑を事前に防止(接続の技術基準を確保)するとともに、人体の保護を確実ならしめるため、総務大臣がその資格を認定した工事担任者にこれに係る工事を行わせ、又は実地に監督させることを義務づけています。

≫電気通信の工事担任者について(電気通信国家試験センター)


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工事担任者の種類とできること

電気通信の工事担任者には、第一級・第二級アナログ通信、第一級・第二級デジタル通信、総合通信の5種類があります。

以下ではそれぞれの工事担任者資格の保有者ができることについて解説します。

工事担任者の種類

アナログ通信(第一級・第二級)

第一級アナログ通信と第二級アナログ通信は、アナログ設備(一般的な電話機・ホームテレフォン等)の工事・監督ができる資格です。

■第二級アナログ通信

アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。ただし、端末設備に収容されている回線数が1のものに限ります。また、ISDN(総合デジタル通信用設備)の基本インターフェース1回線への接続工事も可能です。

【工事が可能な端末設備】

一般家庭用の電話機、ファクシミリ装置、自動検針メーター(ガス・水道・電力等)、ホームセキュリティーシステム端末 など

■第一級アナログ通信

アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。回線数や工事の規模に制限はありません。またすべてのISDN(総合デジタル通信用設備)の接続工事に対応することが可能です。

【工事が可能な端末設備】

中型~大型のPBX、ファクシミリ、モデム など


デジタル通信(第一級・第二級)

第一級デジタル通信と第二級デジタル通信は、デジタル設備(光回線等)の工事ができる資格です。

■第二級デジタル通信

デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。主に家庭・SOHO向けの回線速度が、毎秒1ギガビット以下のインターネットに接続するための工事が可能です。ただし、ISDN(総合デジタル通信用設備)に接続するための工事は出来ません。

※SOHO:パソコンやインターネットを活用して、自宅などの小規模オフィスで仕事をする形態

【工事が可能な端末設備】

IP電話機、パソコン、ブロードバンドルータ、ホームセキュリティシステム端末、映像受信端末設備 など

■第一級デジタル通信

デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備)に、端末設備を接続するための工事を行うことが出来ます。ISDN(総合デジタル通信用設備)に接続するための工事を除き、すべてのデジタル回線への接続工事が可能です。

【工事が可能な端末設備】

中~大型IP-PBX、VoIPゲートウェイ、スイッチングハブ、ルータ、OA複合機 など


第二級デジタル通信については「工事担任者 第二級デジタル通信|資格取得のメリットと試験の難易度を解説」で詳しく解説しています。


総合通信

総合通信は、工事担任者資格の中で最上位の資格で、「アナログ・デジタル」の両方の工事・監督ができる資格です。

■総合通信

「総合通信」は、「アナログ通信」と「デジタル通信」の両方の工事範囲を含み、工事担任者としてすべての端末接続工事に対応することが可能です。


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工事担任者資格の試験概要

工事担任者資格の試験概要は以下のとおりです。

■試験概要

項目 総合通信 第一級アナログ通信 第二級アナログ通信 第一級デジタル通信 第二級デジタル通信
試験内容 アナログ・デジタル通信の知識 アナログ通信の知識 デジタル通信の知識
受験資格 なし
試験方式 定期試験 定期試験 CBT方式 定期試験 CBT方式
試験日 2024年5月19日(日)
2024年11月24日(日)
2024年5月19日(日)
2024年11月24日(日)
通年 2024年5月19日(日)
2024年11月24日(日)
通年
試験地 全国15箇所 全国15箇所 全国300箇所 全国15箇所 全国300箇所
合格率
(過去6回平均)
29.2% 36.5% 50.0% 28.6% 54.2%
受験手数料 14,600円
(全科目免除:9,400円)
14,600円
(全科目免除:9,400円)
9,800円
(全科目免除:6,300円)
14,600円
(全科目免除:9,400円)
9,800円
(全科目免除:6,300円)

参考:電気通信国家試験センター

次では、工事担任者資格の試験概要について詳しく解説します。

この記事でわかること


試験内容

工事担任者の試験では、「電気通信技術の基礎」「端末設備の接続のための技術および理論」「端末設備の接続に関する法規」の3科目が出題されます。

「第一級・第二級アナログ通信」ではアナログ通信に関する知識、「第一級・第二級デジタル通信」ではデジタル通信の知識、「総合通信」ではアナログ通信とデジタル通信両方の知識が問われます。

具体的には、それぞれ以下の内容が出題されます。

■電気通信技術の基礎の試験内容

問われる内容 総合通信 第一級
アナログ通信
第二級
アナログ通信
第一級
デジタル通信
第二級
デジタル通信
電気工学(電気回路、電子回路、論理回路)の基礎
電気通信(伝送理論、伝送技術)の基礎
電気工学(電気回路、電子回路、論理回路)の初歩
電気通信(伝送理論、伝送技術)の初歩


■端末設備の接続のための技術および理論の試験内容

項目 問われる内容 総合通信 第一級
アナログ通信
第二級
アナログ通信
第一級
デジタル通信
第二級
デジタル通信
端末設備の技術 ISDN端末機器、電話機等
PBX等
エリアネットワーク、IP電話機(VoIPルータを含む)、ONU、DSLモデム等、その他の端末機器
IP-PBX等
電波妨害・雷サージ対策
総合デジタル通信の技術 ISDNインタフェース
接続工事の技術 アナログ電話回線の工事と工事試験、ISDN回線の工事と工事試験
事業用電気通信設備、PBX等の工事と工事試験
工事の設計管理・施工管理、端末設備等の運用管理・保守管理技術
ブロードバンド回線の工事と工事試験、エリアネットワークの設計・工事と工事試験
IP-PBX等の設計・工事と工事試験
トラヒック理論 呼の性質、出線能率、即時式トラヒックと待時式トラヒック等
ネットワークの技術 データ通信技術、ブロードバンドアクセスの技術、IPネットワークの技術
広域イーサネットの技術、その他のネットワーク技術
情報セキュリティの技術 情報セキュリティの概要、情報セキュリティ技術、端末設備とネットワークのセキュリティ
情報セキュリティ管理


■端末設備の接続に関する法規の試験内容

問われる内容 総合通信 第一級
アナログ通信
第二級
アナログ通信
第一級
デジタル通信
第二級
デジタル通信
電気通信事業法及びこれに基づく命令
有線電気通信法及びこれに基づく命令
不正アクセス行為の禁止等に関する法律
電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令
電気通信事業法及びこれに基づく命令の大要
有線電気通信法及びこれに基づく命令の大要
不正アクセス行為の禁止等に関する法律の大要

参考:試験科目(電気通信国家試験センター)

受験資格

電気通信の工事担任者には受験資格はありません。年齢・性別・学歴に関係なく、どなたでも受験することが可能です。

工事担任者の試験を受験されている方は、現状で電気通信工事業や電気通信業、電気工事業に携わっている方の割合が多く、そのほか高校生などの学生も多く受験しています。

■Q&A

Q,年齢制限はありますか?

A,年齢制限はありません。工事担任者の試験は、10代の学生から50代・60代のベテラン世代まで幅広く受験されています。

Q,試験を受ける際、最終学歴や卒業学科などは指定がありますか?

A,学歴や卒業学科において、必要な条件はありません。

Q,初受験ですが、電気通信工事の業務経験があるため上位資格を受験しようと思っています。第一級を受験する場合、第二級に合格していないと受験できないといった制限はありますか?

A,それぞれの資格を受験する際に、制限はありません。例えば、第一級アナログ通信と第一級デジタル通信に合格していなくとも、初受験で総合通信を受験することが可能です。


試験方式

資格内容 試験方式
第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信 筆記方式(定期試験)
第二級アナログ通信・第二級デジタル通信 CBT方式

第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信は、従来通りの筆記方式(定期試験)で行われます。

第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、指定されたCBT方式の試験会場にてパソコンで行うCBT方式で行われます。

試験スケジュール【2024年度最新】

資格内容 試験日
第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信 第1回:2024年5月19日(日)
第2回:2024年11月24日(日)
第二級アナログ通信・第二級デジタル通信 通年実施

第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信は、2024年5月19日(日)と2024年11月24日(日)に実施されます。

第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、年末年始を除いて通年受験が可能です。

試験地

資格内容 試験地
第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信 全国15箇所
第二級アナログ通信・第二級デジタル通信 全国300箇所

第一級アナログ通信・第一級デジタル通信・総合通信は、全国15箇所の試験会場で実施されます。

第二級アナログ通信・第二級デジタル通信は、全国300箇所の試験会場で実施されます。

合格率と難易度

工事担任者の資格は、それぞれ難易度に違いがあります。

最も難易度が高い「総合通信」の合格率は約30%、最も難易度が低い 「第二級デジタル通信」の合格率は約55%となっています。

■合格率と難易度

資格内容 合格率
総合通信 29.2%
第一級アナログ通信 36.5%
第一級デジタル通信 28.6%
第二級アナログ通信 50.0%
第二級デジタル通信 54.2%


工事担任者試験の合格率と難易度については、工事担任者の難易度は?アナログ・デジタル・総合通信の合格率や勉強法紹介で詳しく解説しています。

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工事担任者の試験科目免除制度について

工事担任者には試験科目の免除制度があります。

科目免除となる条件は以下のとおりです。

■科目免除条件

  • 科目合格による免除
  • 工事担任者の資格による免除
  • 工事担任者以外の資格による免除
  • 実務経歴による免除
  • 認定学校修了者に対する免除

≫試験科目の試験免除(電気通信国家試験センター)


科目免除制度については、工事担任者の免除制度とは?科目免除の内容をくわしく解説!で詳しく解説しています。

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工事担任者取得後の働き方

工事担任者の資格は、様々な業界で活かせる資格のひとつです。

中でも多いのは、テレビ・インターネット・IP電話の工事やIoT機器の設置工事です。

当サイト工事士.comでも工事担任者の資格を活かせる求人情報を多く取り扱っているので、今回は求人情報を参考にしながら、資格取得後の働き方をいくつかピックアップしてご紹介します。

■A社

◎事業内容

防犯カメラ機器の据付工事、パソコン機器の据付工事およびメンテナンス 等

◎仕事内容

LANケーブルや光ケーブルの接続工事、一般家庭の電話工事、監視カメラの設置や保守・メンテナンス

■B社

◎事業内容

パソコン・OA機器の買取サービス、情報機器の設定、オフィス内装工事 等

◎仕事内容

オフィスのレイアウト変更に伴うLAN工事、社内・お客様先でのPC組み立て、部品の取り外し作業

■C社

◎事業内容

OA機器の販売・設置工事、インターネット接続工事、LAN配線や電話配線の社内通信設備工事 等

◎仕事内容

OA機器の施工や保守メンテナンス、セキュリティルータの施工・保守、社内LAN配線の構築


電気通信設備に関する工事には電気工事が関連するものもあります。

工事担任者の資格だけでなく、電気工事士の資格も一緒に持っておくと、更に就職先の選択肢が広がるでしょう。

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【参考】2021年4月から資格名称が変更されました

2021年4月から、工事担任者資格の名称が変更されました。

2021年3月以前の資格名称と、2021年4月からの資格名称の対応表は以下のとおりです。

■資格名称の変更後対応表

2021年3月まで 2021年4月以降
AI第一種(通称:AI1種) 第一級アナログ通信
AI第ニ種(通称:AI2種) 廃止
AI第三種(通称:AI3種) 第二級アナログ通信
DD第一種(通称:DD1種) 第一級デジタル通信
DD第ニ種(通称:DD2種) 廃止
DD第三種(通称:DD3種) 第二級デジタル通信
AI・DD総合種 総合通信

2021年3月までの資格名称が記載してある資格証は、それに対応する2021年4月以降の資格名称の資格証とみなされます。

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まとめ

この記事では以下について解説しました。


工事担任者の資格を活かせる通信業界はこれから先もどんどん発展していくと考えられます。

工事担任者の資格は転職にも活かせる資格なので、「情報通信に関わる仕事で働いてみたい!」という方は挑戦してみてください。

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