【全種類】消防設備士の受験資格と資格種別ごとに必要な書類を解説
消防設備士最終更新日:
消防設備士の資格は、電気工事士などの技術職に従事する方々にとって、キャリアアップや仕事の幅を広げるために非常に有用な資格です。
しかし、受験資格や試験内容について詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、消防設備士の受験資格を種類別に詳しく解説し、受験に必要な書類や準備方法、試験概要についても触れていきます。
これから消防設備士の資格取得を目指す方々はぜひ参考にしてください。
消防設備士の受験資格【種類別】
消防設備士の資格には、乙種と甲種があり、それぞれに異なる受験資格が定められています。
■消防設備士の受験資格
種類 | 受験資格 |
---|---|
乙種 | なし |
甲種特類 | 甲種第1類から第3類までのいずれか1つと、甲種第4類及び甲種第5類の3種類以上の免状の交付を受けていること |
甲種(特類を除く) (詳細はこちら) |
(a)大学や専門学校等で所定の単位を取得していること (b)所定の国家資格等の免状を交付されていること (c)消防用設備の整備や工事補助に関する実務経験を有すること |
参考:消防設備士の受験資格(一般財団法人 消防試験研究センター)
参考:甲種消防設備士の受験資格の詳細(一般財団法人 消防試験研究センター)
消防設備士の乙種には受験資格がありません。
また、甲種特類は、甲種第1類から第3類までのいずれか一つの免状と、甲種第4類および甲種第5類の免状、計3種類以上の免状の交付を受けていることが必要です。
甲種1~5類は、既に他の甲種資格保有をしている・乙種を取得しており実務経験がある・指定の国家資格を取得している・必要な学歴または実務経験があるといった受験資格が必要です。
ここからは、乙種、甲種特類、甲種1〜5類の受験資格についてそれぞれ詳しく解説します。
乙種の受験資格
消防設備士の乙種には、受験資格が必要ありません。
学歴や年齢に関係なく、誰でも受験することができるため、初めて消防設備士の資格を取得しようとする方にとっては、最も取り組みやすい資格です。
ちなみに、乙種消防設備士は、消防設備の「点検」と「整備」を行うことができる資格であり、「工事」については甲種を取得しなければ行うことができません。
また、乙種には1類から7類までの種類があり、それぞれ異なる消防設備の点検・整備を行うことができます。
消防設備士の乙種について詳しく知りたい人は消防設備士|どの種類を取ればいいのか迷わずわかる!をご覧ください。
甲種特類の受験資格
消防設備士の甲種特類の受験資格は、甲種第1類から第3類までのいずれか一つの免状と、甲種第4類および甲種第5類の免状、計3種類以上の免状の交付を受けていることが必要です。
※参考:消防設備士試験受験資格
このように、甲種特類は、すでに他の甲種免状を取得している必要があり、消防設備に関する幅広い知識と経験が求められます。
また、甲種特類は、一般的な消防設備とは異なる特殊な設備を対象としているため、取得することでさらに専門的な分野で活躍できます。
甲種特類については以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
甲種1~5類の受験資格
甲種1〜5類の消防設備士試験を受験するためには、以下のいずれかの受験資格を満たす必要があります。
- その他の甲種消防設備試験の免状を取得していること
- 乙種消防設備士保有者のうち実務経験があること
- その他の国家資格を保有していること
- 必要な学歴を保有していること
- 必要な実務経験があること
現時点で受験資格を保有していない場合は、先に第二種電気工事士を取得することで効率よく消防設備士甲種1〜5類を受験できます。
詳細については、お住まいの都道府県の消防試験研究センターのホームページで確認してください。
甲種1類については消防設備士甲種1類の合格率は20%台!試験の難易度とおすすめ勉強法を解説で解説していますので、ぜひご覧ください。
その他の甲種消防設備士試験の免状を取得していること
甲種消防設備士試験の受験資格の1つ目は、既に他の甲種消防設備士の資格を取得していることです。
■対象者と受験資格
対象者 | 受験資格 |
---|---|
甲種消防設備士免状の取得者 | 受験する類以外の甲種消防設備士免状の交付を受けている者 (例)甲種第1類を受験する場合、甲種第2類または他の甲種免状を取得していること |
参考:消防設備士試験案内
乙種消防設備士保有者のうち実務経験があること
甲種消防設備士試験の受験資格の2つ目は、乙種消防設備士保有者のうち2年以上の実務経験があることです。
■対象者と受験資格
対象者 | 受験資格 |
---|---|
乙種消防設備士免状の取得者 |
乙種消防設備士免状の交付を受けた後、2年以上、工事整備対象設備等の整備経験を有する者 ※この実務経験は、消防法に基づいて定められた工事整備対象設備等の整備に限られます |
参考:消防設備士試験案内
「工事対象設備等」とは、以下のいずれかに当てはまるものです。
■工事対象設備等とは?
分類 | 工事及び整備(点検を含む)の対象設備 |
---|---|
1類 | 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備等 |
2類 | 泡消火設備等 |
3類 | 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備等 |
4類 | 自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備 |
5類 | 金属製避難はしご、救助袋、緩降機 |
6類 | 消火器 |
7類 | 漏電火災報知器 |
その他の国家資格を保有していること
甲種消防設備士試験の受験資格の3つ目は、以下のような国家資格を保有していることです。
前述したとおり、現時点で受験資格を保有していない場合は、先に第二種電気工事士を取得することで効率よく消防設備士甲種1〜5類を受験できます。
■対象者と受験資格
対象者 | 受験資格 |
---|---|
技術士 | 技術士法第4条第1項による技術士第2次試験に合格した者(技術士の部門によっては試験の一部が免除) |
電気工事士 |
電気工事士法第2条第4項に規定する電気工事士免状の交付を受けている者(第1種・第2種) ※旧電気工事技術者検定合格証明書の所持者も含む |
電気主任技術者 | 電気事業法第44条第1項に規定する第1種、第2種または第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者 |
管工事施工管理技士 | 建設業法第27条の規定による管工事施工管理の種目に係る1級または2級の技術検定に合格した者 |
高等学校の教員等 | 教育職員免許法により、高等学校の工業の教科について普通免許状を有する者 |
無線従事者 | 電波法第41条の規定により無線従事者資格(アマチュア無線技士を除く)の免許を受けている者 |
建築士 | 建築士法第2条に規定する1級建築士または2級建築士 |
配管技能士 | 職業能力開発促進法第44条の規定による配管の職種に係る1級または2級の試験に合格した者 |
ガス主任技術者 | ガス事業法第26条の規定によるガス主任技術者免状の交付を受けている者(第4類消防設備士の受験に限る) |
給水装置工事主任技術者 | 水道法第25条の5の規定による給水装置工事主任技術者免状の交付を受けている者 |
条例設備士 | 昭和41年前の東京都火災予防条例による旧制度の消防設備士 |
参考:消防設備士試験案内
必要な学歴を保有していること
甲種消防設備士試験の受験資格の4つ目は、必要な学歴を保有していることです。
以下に代表的なものを紹介します。
■対象者と受験資格
対象者 | 受験資格 |
---|---|
大学、短期大学、高等専門学校(5年制)卒業者 | 機械、電気、工業化学、土木または建築に関する学科または課程を修めて卒業した者 |
高等学校、中等教育学校卒業者 |
機械、電気、工業化学、土木または建築に関する学科または課程を修めて卒業した者 または、機械、電気、工業化学、土木または建築に関する授業科目を8単位以上修めたことを単位修得証明書で確認 |
旧制の大学、専門学校等の卒業者 | 旧制の大学、専門学校等の卒業者 |
外国の学校の卒業者 | 外国の学校で、日本の大学、短期大学、高等専門学校に相当する学科または課程を修めて卒業した者 |
職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校等で15単位以上修得した者 | 職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校等で15単位以上修得した者 |
防衛大学校や気象大学校などの特定の教育機関で15単位以上修得した者 | 防衛大学校や気象大学校などの特定の教育機関で15単位以上修得した者 |
参考:消防設備士試験案内
対象となる学科・過程・授業科目については対象学科・過程と対象授業科目をご確認ください。
不明な点がある場合は、ご自身が卒業した学校に問い合わせてください。
その他の国家資格を保有していること
甲種消防設備士試験の受験資格の5つ目は、該当する実務経験があることです。
以下に代表的なものを紹介します。
■対象者と受験資格
対象者 | 受験資格 |
---|---|
工事補助5年 | 「工事整備対象設備等の工事の補助者」として、5年以上の実務経験を有する者 |
消防行政3年 | 消防行政に関わる事務のうち、消防用設備等に関する事務について3年以上の実務経験を有する者 |
省令前3年 | 消防法施行規則の一部を改正する省令の施行前(昭和41年)において、消防用設備等の工事について3年以上の実務経験を有する者 |
参考:消防設備士試験案内
甲種受験資格を証明するための必要書類と準備方法
甲種消防設備士試験を受験するためには、特定の受験資格を満たしていることを証明する書類が必要です。
各種受験資格に応じて必要な書類が異なるため、事前にしっかりと確認し、準備を進めておきましょう。
甲種特類の必要書類
甲種特類を受験するためには、特定の受験資格を証明する書類が必要です。
甲種第1類から第3類までのいずれか一つ、甲種第4類および甲種第5類の3種類以上の免状の写しを準備しておいてください。
申請書類は直接取りに行くか、郵送で取り寄せることができます。
郵送の場合は、請求者氏名や電話番号、希望する試験案内の部数を明記したメモと、返信用封筒を同封して、受験した各道府県の消防試験研究センター支部(東京都の場合は中央試験センター)に送付してください。
甲種1~5類の必要書類
甲種1〜5類の受験資格を証明するためには、特定の書類を提出する必要があります。
書類に不備があると、受験資格が認められない可能性があるため、注意して準備を進めましょう。
■他の甲種消防設備士免状の保有者
受験資格 | 必要書類 |
---|---|
甲種消防設備士 | 受験する類以外の甲種消防設備士免状の写し |
■乙種消防設備士保有者のうち実務経験あり
受験資格 | 必要書類 |
---|---|
乙種消防設備士 | 乙種消防設備士免状の写しおよび工事整備対象設備等の整備経験証明書 |
■その他の国家資格保有者
受験資格 | 必要書類 |
---|---|
技術士 | 技術士免状の写し |
電気工事士 | 電気工事士免状の写し |
電気主任技術者 | 電気主任技術者免状の写し |
工事の補助5年 | 工事の補助経験証明書 |
旧消防設備士 | 旧消防設備士免状の写し |
教員免許状 | 教員免許状の写し |
無線従事者 | 無線従事者免状の写し |
建築士 | 建築士免状の写し |
配管技能士 | 配管技能士免状の写し |
ガス主任技術者 | ガス主任技術者免状の写し |
給水装置工事主任技術者 | 給水装置工事主任技術者免状の写し |
消防行政3年 | 消防行政に関わる実務経験証明書 |
実務経験3年 | 消防用設備等の工事についての実務経験証明書 |
■必要な学歴を保有している場合
受験資格 | 必要書類 |
---|---|
大学、短期大学、高等専門学校(5年制)卒業者 | 卒業証書の写し、卒業証明書、単位修得証明書、科目履修証明書 |
高等学校および中等教育学校の卒業者 | 卒業証書の写し、卒業証明書、単位修得証明書 |
旧制の大学および専門学校等の卒業者 | 卒業証書の写し、単位修得証明書 |
外国の学校の卒業者 | 卒業証書の写し、単位修得証明書、必要に応じて日本語訳 |
各種学校の15単位修得者 | 単位修得証明書 |
防衛大学校、防衛医科大学校の15単位修得者 | 単位修得証明書 |
職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校、職業訓練大学校、職業訓練短期大学校、中央職業訓練所の15単位修得者 | 単位修得証明書 |
水産大学校、海上保安大学校、気象大学校の15単位修得者 | 単位修得証明書 |
博士、修士 | 学位授与証明書、学位記、修了証書 |
■必要な実務経験を有している場合
受験資格 | 必要書類 |
---|---|
工事補助5年 | 消防用設備等の工事補助についての実務経験証明書 |
消防行政3年 | 消防行政に関わる実務経験証明書 |
省令前3年 | 消防用設備等の工事についての実務経験証明書 |
消防設備士の試験概要
消防設備士の試験は、消防設備の設置や保守点検、工事に関する知識と技能を問う国家資格試験です。
試験は甲種と乙種に分かれており、甲種は設備の工事、整備、点検ができ、乙種は整備と点検のみができます。
さらに、消防設備別(消火器、自動火災報知設備、スプリンクラー設備など)に、試験分類が分かれています。
また、試験は筆記試験と実技試験で構成されており、筆記試験では法令や設備の構造・機能、実技試験では設備の取り扱いや検査方法についての知識が問われます。
消防設備士のより詳しい試験内容や受験方法については下記記事にて解説しています。
よくある質問
消防設備士の資格取得を目指す方々から特に多く寄せられる質問に対して回答をまとめました。
以下の質問と回答を参考にして、消防設備士の資格取得に向けた準備を進めましょう。
消防設備士は誰でも受けられる資格ですか?
消防設備士の資格は、乙種であれば誰でも受験することができます。
一方、甲種の資格には特定の受験資格が必要です。
これには、関連する国家資格の保有や一定の実務経験、指定された学科の学位取得などが含まれます。
詳しい受験資格については、本記事の消防設備士の受験資格【種類別】をご確認ください。
消防設備士乙4類の受験資格は?
消防設備士乙4類の受験資格には特別な制限はなく、学歴や年齢に関係なく誰でも受験することができます。
乙4類は初心者でも挑戦しやすい資格であり、消防設備の基礎を学ぶのに適しています。
消防設備士乙4類については、消防設備士乙4とは?できること・試験内容・申し込み方法などを丸ごと解説で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
消防設備士甲種は国家資格ですか?
消防設備士甲種は国家資格です。
消防設備士甲種は、消防設備の点検、整備、および工事を行うための資格であり、国が認定する試験に合格することで取得できます。
また、甲種には特定の受験資格があり、大学や高等専門学校での学歴、関連する国家資格の保有、または実務経験が必要です。
まとめ
今回は、消防設備士の資格取得について、受験資格や試験内容、必要書類と準備方法について詳しく解説しました。
消防設備士は、電気工事士などの技術職に従事する方々にとって、キャリアアップや仕事の幅を広げるために非常に有用な資格です。
- 乙種の受験資格
受験資格が無く、誰でも受験可能が可能 - 甲種特類の受験資格
甲種1〜3類のいずれか一つと甲種4類および5類の計3種類以上の免状が必要 - 甲種1〜5類の受験資格
その他の甲種消防設備試験の免状を取得していること、乙種消防設備士保有者のうち実務経験があること、その他の国家資格を保有していること、必要な学歴または実務経験を有していること
消防設備士の資格は、現場での実務に直結し、キャリアアップにも大いに役立つ資格です。
受験資格を確認し、必要な書類を揃えて、計画的に試験準備を進めてください。
執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
◆工事士.comについて
- 電気工事業界専門の求人サイトとして2012年にサービス開始
- 転職活動支援実績は10,000社以上
- 「電気工事士が選ぶ求人サイト」として「使いやすさ」「信頼度」「支持率」の三冠を獲得※
※調査元:ゼネラルリサーチ
「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。
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