電験三種 科目合格制度の有効期限や確認方法を徹底解説!受験のおすすめ順番も紹介
電気主任技術者(電験)最終更新日:
電験三種の科目合格制度の有効期限は、「最初に合格した試験から数えて連続5回まで」、すなわち約3年間です。
インターネットでの合格発表、または「試験結果通知書」のハガキにて確認できます。
電験三種の科目合格制度を簡単に説明すると、4科目全てクリアしなければ免状を取得できない電験三種の試験において、科目ごとに合格を積み重ねていける制度です。
電験三種は難易度が高い試験として有名ですが、「科目合格制度」を利用することで合格の確率を上げることができます。
今回は、そんな電験三種の「科目合格制度」について詳しく解説していきます。
これから電験三種の受験を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
電験三種の科目合格制度とは?
電験三種の試験における「科目合格制度」とは、電験三種の試験(4科目)のうち一部の科目を合格した場合、該当科目が5回まで受験免除になる制度です。
■ 一般財団法人 電気技術者試験センターより引用
試験は科目ごとに合否が決定され、4科目すべてに合格すれば第三種電気主任技術者試験が合格となります。また、4科目中、一部の科目だけ合格した場合は、「科目合格」となり、最初に合格した試験以降、その申請により最大で連続して5回まで当該科目の試験が免除されます。
電験三種の試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の計4つの科目ごとに行われ、4科目全てが合格基準点を超えないと「合格」にはなりません。
しかし、電験三種の科目はどれも超難関のため、一度の試験で4科目全てに合格するのはかなり難しいと言われています。
そのため、1回の試験で合格基準点に達した科目があれば、「科目合格」として次回以降の試験では免除になる制度が設けられています。
例えば、1回目の試験で「理論」科目が合格基準点に達した場合、2回目の試験では「理論」が免除されるため、受験科目は3科目のみです。
そして2回目では「電力」のみ合格し、3回目の試験で残り2科目も合格すると、晴れて「電験三種合格」となります。
ちなみに、1科目以上に合格した「科目合格者」の合格率は31.5%です。(過去5年間の平均)
4科目合格者は12.2%のため、一発合格を狙うよりは科目合格制度を使うほうが合格しやすい傾向にあります。
科目合格制度の有効期限はいつからいつまで?延長は可能?
電験三種の科目合格制度の有効期限は、「最初に合格した試験から数えて連続5回まで」です。
電験三種の試験は2022年度より年2回実施されるようになりました。
したがって、科目合格制度は「約3年間」有効なため、その間に全科目合格するのが理想的です。
例えば、電験三種「科目合格制度」の有効期限のイメージは下記の表のとおりです。
■ 電験三種 科目合格制度の有効期限イメージ
回数 | 試験 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|---|
1回目 | 試験 | 受験 | 受験 | 受験 | 受験 |
合否(〇✕) | 〇 | ✕ | ✕ | ✕ | |
2回目 | 試験 | 免除 | 受験 | 受験 | 受験 |
合否(〇✕) | 免除 | 〇 | ✕ | ✕ | |
3回目 | 試験 | 免除 | 免除 | 受験 | 受験 |
合否(〇✕) | 免除 | 免除 | ✕ | ✕ | |
4回目 | 試験 | 免除 | 免除 | 受験 | 受験 |
合否(〇✕) | 免除 | 免除 | ✕ | ✕ | |
5回目 | 試験 | 免除 | 免除 | 受験 | 受験 |
合否(〇✕) | 免除 | 免除 | 〇 | ✕ | |
6回目 | 試験 | 受験 | 免除 | 免除 | 受験 |
合否(〇✕) | 〇 | 免除 | 免除 | 〇 | |
電験三種 合格 |
上記の例で解説すると、最初に合格した科目「理論」は、以降5回目までは「免除」となります。
しかし、5回目までに残り3科目全てが合格できなかった場合、6回目以降は「理論」科目の科目合格制度は無効となるため、再受験しなくてはいけません。
なお、科目合格制度の有効期限が切れてしまった場合、期限の延長はできません。
したがって、【最初に合格した試験から数えて最大5回】のうちに全科目合格できるよう対策を立てていきましょう。
科目合格状況の確認方法
電験三種の科目合格状況については、試験終了後にインターネットまたは葉書(ハガキ)にて確認できます。
いち早く確認できるのはインターネットです。
合格発表の日に受験番号で検索すると、合格状況により下記のいずれかのメッセージが表示されます。
■ 電験三種 科目合格状況の確認
ステータス | 表示される文言 | |
---|---|---|
電験三種の資格を取得できる場合 (一発合格または4科目目合格) | 合格者 | 合格者一覧にあります |
1科目以上合格の場合 | 科目合格者 | 科目合格者一覧にあります 科目合格:○○ |
どの科目も不合格の場合 | ー | 合格者一覧、科目合格者一覧にはありません |
なお、インターネットでの結果発表後に、「試験結果通知書」の葉書(ハガキ)が郵送されます。
このハガキには下記のような表が記載されているため、4科目の合否状況を確認できます。
■ 試験結果通知書の記載(例)
試験名 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|
結果 | 合格 | 合格 | 不合格 | 不合格 |
「合格」と書かれた科目については、次回以降の試験では「受験免除」となります。
次の試験に向けた対策のために、まずはインターネットでどの科目に合格しているのかを確認しておきましょう。
科目合格制度のメリット3点
電験三種の科目合格制度を利用すると下記3つのメリットがあります。
勉強量の負担を軽減できる
科目合格制度を利用すると受験する科目数を減らしていけるため、勉強量の負担を軽減することができます。
電験三種の試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目の知識が問われます。
さらに、各科目の出題範囲も広いため勉強量はかなり多いです。
そこで、科目合格制度を使ってコツコツと合格を目指していけば、1回の試験ごとに勉強する範囲を絞ることができます。
仕事をしながらでも合格を目指せる
科目合格制度で合格科目をコツコツ増やすことで、無理のない範囲で試験勉強できるため、仕事をしながらでも電験三種の合格を目指せます。
1つ目のメリット「勉強量の負担を軽減できる」でもお伝えしたとおり、電験三種は各科目の高度な知識を問われるだけでなく、出題される範囲も広いです。
一般的に、電験三種の合格に必要な勉強時間は約600時間~800時間と言われています。
日中働きながらこれらの時間を確保するのは、なかなか大変なことですよね。
したがって、科目合格制度で1~2科目ずつの合格を目指せば、600時間~800時間の勉強時間を分散させられるため、仕事をしながら勉強を続けることができるでしょう。
電験三種の勉強時間や勉強スケジュールの立て方については電験三種の勉強時間をアンケート調査『文系出身者の目安は600時間~800時間程度』にて詳しく解説しています。
モチベーションの向上につながる
科目合格制度により、電験三種の資格を取得できるまでモチベーションを落とさず勉強に取り組むことができます。
科目合格制度がなければ、1回の試験で1科目でも合格点に到達しなかった場合「不合格」となり、また次の試験で4科目を受験し直さなければなりません。
一方で、科目合格制度を活用すれば1科目ずつ合格することができます。
電験三種の資格取得の目標へ着実に近づいていることを実感できるため、勉強に対するモチベーションもどんどん上がっていくでしょう。
科目合格制度のデメリット3点
先述のように科目合格制度にはメリットがありますが、下記のようなデメリットも考えられます。
長期間の努力が必要になる
科目合格制度を使って少しずつ合格を目指そうとすると、全科目合格までに長期間がかかってしまいます。
例えば、1科目ずつコツコツと合格を目指す場合、最低でも4回試験を受けなければなりません。
電験三種の試験は年2回実施されるため、1科目ずつだと、全科目合格までには1年以上の期間が必要です。
1回の試験あたりの勉強量は減りますが、その分地道にコツコツと努力する力が求められます。
一発合格と比べて費用がかかる
科目合格制度を使うと受験回数が多くなるため、受験料も多くかかってしまいます。
電験三種の試験は、受験科目数を問わず一律の受験料です。
例えば、合計4回受験する場合30,800円(インターネット申込の場合)の受験料がかかります。
一発合格すれば1回分の受験料で済むため、やはり科目合格制度のほうが費用がかさんでしまいます。
さらに、勉強期間も長期にわたるため、より諸費用がかかる可能性も高いです。
知識が断片的になるため覚えにくい
科目合格制度を使って1科目ずつ勉強すると、知識が断片的になり「難しい」と感じてしまう恐れがあります。
電験三種の試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目に分かれていますが、それぞれの科目の知識は繋がっています。
確かに、どの科目も出題範囲が広いため、科目合格制度を利用して試験ごとに科目を絞るほうが勉強量は少なくなります。
しかし、科目ごとの繋がりが分からないと、全体像が掴めず、かえって難しく感じてしまう方もいるかもしれません。
特に「理論」は4科目の中でも特に全体に関わる知識のため、最初に勉強するのがいいでしょう。
受験科目の順番のおすすめについては、本記事「科目合格制度を活用した効率的な勉強法」で詳しく解説しています。
科目合格制度を利用する際の注意点と申請方法
電験三種の試験で科目合格制度を利用する際は、【申込時に「合格科目の免除申請」を忘れないこと】に注意しましょう。
科目合格の権利がある場合でも、次の試験の申込時に「免除申請」を行わないと留保の権利が消滅し、最新の試験の結果が優先されてしまいます。
したがって、申込時には必ず「合格科目の免除申請」を行いましょう。
電験三種試験の申し込みにおける「合格科目の免除申請」の方法は下記のとおりです。
■科目合格制度の申請方法
- 試験区分の選択画面で、「第三種電気主任技術者試験(一部科目受験)」を選択
- 情報入力画面にて、電験三種試験の合格証明書の番号を入力
- 「合格情報を確認する」ボタンを押す
- 「次へ」ボタンを押し、通常の申し込み同様、必要事項を入力
科目合格制度を利用する場合は、通常の申し込みに加え「合格証明書の番号」を入力する必要があります。
「合格科目の免除申請」を行う際は、事前に合格証明書を用意しておきましょう。
電験三種の申し込み手順については「【2024年度】電験三種の試験日と申し込み手順を画像で解説!」にて詳しく解説しています。
【どの順番で合格すべき?】科目合格制度を活用した効率的な勉強法
一発合格ではなく、科目合格制度を利用して電験三種の合格を目指す場合、どの科目から勉強するのが良いのでしょうか。
より効率的に電験三種の資格取得を目指すには、下記の順番で科目合格を進めていくのがおすすめです。
■ 科目合格制度 おすすめの順番
- 理論
- 電力(または機械)
- 機械(または電力)
- 法規
科目合格を狙う上で、まず優先して勉強すべき科目は「理論」です。
「理論」は電験三種の基本であり、他3科目の基礎の部分でもあります。
したがって、まずは「理論」を合格し、基礎を固めましょう。
次に挑戦するのは「電力」または「機械」がおすすめです。
両科目は得意・不得意が分かれるため、得意なほうから始めて構いません。
最後に挑戦するのは「法規」がいいでしょう。
「法規」は問題数が少ない分、配点が高いため1問あたりの比重が大きいです。
暗記ものが多く、合格率も低い傾向にあるため、最後に集中して学習するのに適しています。
ちなみに、一般的には4科目のうち最も易しいと言われているのが「電力」です。
一方で、特に難しいと言われているのが「理論」「法規」です。
したがって、1回目の試験で難易度が高めの「理論」と「電力」の合格を目指すか、1回目の試験では「理論」に集中し、2回目の試験で「電力」と「機械」の2科目合格を目指すといった順番で取り組むのもいいでしょう。
電験三種の科目別難易度
電験三種の各科目について、2023年度の電験三種試験の合格率をもとに難易度の高い順に並べると下記のとおりです。
- 法規
- 機械
- 理論
- 電力
4科目の中で最も易しいとされる「電力」でも、科目合格率は「23.0%」のため、一般的に電験三種の科目はどれも難易度が高いと言えます。
その中でも、「法規」は問題数が少ないため、苦手な部分が出てしまうと合格基準点に到達するのが難しくなってしまいます。
実際に、「法規」の科目合格率はわずか「13.7%」と4科目の中で最も低いです。
科目合格制度を上手く利用して電験三種の合格を目指していきましょう。
まとめ
本記事では、電験三種の科目合格制度について詳しく解説してきました。
- 電験三種の科目合格制度とは、電験三種の試験(4科目)のうち一部の科目を合格した場合、次回試験から受験免除になる制度
- 電験三種の科目合格制度の有効期限は、最初に合格した試験から数えて連続5回まで(試験は年2回実施のため、期間に換算すると約2年間)
- 科目合格制度を利用すると、「試験ごとの勉強量を減らせる」「モチベーションが向上しやすい」などのメリットがある反面、「資格取得までに時間がかかる」「費用がかさむ」といったデメリットもある
- 電験三種の科目合格制度を利用する際は、申込時に「合格科目の免除申請」を行わないと権利が消滅するため注意が必要
電験三種の試験は、電気系資格の中でも特に難しいと言われています。
しかし、科目合格制度を利用することで、より合格しやすくなります。
科目合格制度を利用しながら、ぜひ電験三種の資格取得を目指してください。
執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
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