▼用語詳細(電気工事用語集)
リチウム電池
(リチウムデンチ)
リチウム電池とは、マイナス極にリチウムを利用した電池のことです。
3Vの電圧を発生することができます。

充電可能なリチウムイオン電池とは区分され、充電できない使い切りの電池に該当します。

間違えやすい名称ではあるが、使用目的が異なるため、注意が必要です。
簡単にまとめると以下の通りの違いがある。

<リチウム電池>
◎販売形状:単体販売/乾電池型あり
◎電圧:乾電池型1.5V/産業用3V
◎使用用途・特徴など:デジタルカメラ/ストロボ/電動歯ブラシ/シェーバー/携帯ラジオ

<リチウムイオン電池>
◎販売形状:単体販売なし/安全回路ユニット装着
◎電圧:3.7V
◎使用用途・特徴など:パソコン/携帯電話/タブレット/デジタルカメラ/ドローン/医療用機器/電動工具/蓄電システム

※希少性の高い素材を使うため生産コストが高額。
※過充放電による発熱・発火を回避するため安全回路必須。

リチウムイオン電池の最大のデメリットは、コストが高いという事。
また、熱暴走などの危険性への配慮から、自動車にはほとんど使われていません。

ボタン形(コイン形)リチウム電池が主流で、もっとも普及しており、カメラなどの大電流を必要とする機器に使用されています。

リチウムは金属では最大のイオン化傾向を持ち、マイナス極側として利用することで、プラス極との高い電位差が生じます。
それにより出力電圧も大きくなります。

また、リチウムは最も軽い金属としても知られています。
重量に対しての電力容量が大きいため、軽量化が望まれる各種機器に利用されています。

一般的な電池と比較し、自己放電が少なく寿命が長いため、家庭内ではリモコン、時計、電子メータなどの小型電子機器やLEDキーホルダーなどに使われます。
また電池取り換えが困難な電気浮きなどにも利用されています。

利用環境にも広く対応できる汎用性の高さを持っていることも特徴の1つ。

3.0Vと一般の乾電池の2倍の電圧も可能なため、航空宇宙分野など産業、軍用などとしても使われています。
乾電池として小売りされている商品は、単3形、単4形で一般的な乾電池と同じ1.5Vですが、初期電圧が1.7Vと高いため豆電球式の懐中電灯には利用できません。
アルカリ・マンガン電池よりも軽量で、-40℃から85℃までの低温・高温環境でも使用可能。
非常に性能が高く、劣化しづらいのでさまざまな分野の小型機器に利用されています。

リチウム電池には、用途に応じて多様な種類が存在します。
種類に関しては以下の通り。

◎酸化銀電池
酸化銀電池は、使用開始時と終止電圧がほぼ同一という特徴を持つ。
時計や電子体温計など、精密な動作が必要な電気機器用の電池として利用されています。

経年劣化が極めて少なく、20年という長期保存も可能とされており、他の電池より高価な電池として分類されています。

正極に酸化銀、負極に亜鉛が使用されており、お互いはセパレータで区分されています。
公称電圧は1.55V。
一般用として「SR44」といった名称で流通しています。

名称として「SR○○」「SR○○W」「SR○○SW」といった表記がされていますが「SR○○」のような無表記製品は一般用途、「SR○○W」は腕時計用途でバックライトやアラームなど多機能腕時計に向くもの、「SR○○SW」とアナログ時計など指針を動かすだけ腕時計に向くもの、という使い分けがされています。
用途と違う電池を使用すると適切な時間計測ができなかったり、消耗が激しくなるなどの不具合につながるため注意が必要です。

◎アルカリボタン電池

アルカリボタン電池は、酸化銀電池と似た形状と電圧を持っていますが、正極に酸化銀ではなく二酸化マンガンを使用しています。
これにより、生産コストを抑えることができていますが、酸化銀電池の特徴である電圧保持性能がなく、放電により電圧が低下していきます。
使用開始時と終止電圧の違いがあるため、時計など精密動作を求める電気機器への利用は避け、携帯ゲーム機や万歩計など、電圧の低下が影響を及ぼさない電気機器の利用が推奨されます。
一般用として「LR44」といった名称で流通しています。

◎コイン形リチウム電池

コイン形リチウム電池は、パソコンやビデオデッキ類・炊飯器など、電気機器のメモリー保持や時計を動作させるために多用されているリチウム電池です。
利用範囲は極めて幅広く、リモコン、電子辞書、万歩計など多用な電気機器の内蔵電池として採用されています。

正極に二酸化マンガン、負極にリチウムを用いたボタン電池で、公称電圧は3V、終止電圧は2V。
一般用として「CR2032」といった名称で流通しています。


リチウム電池は特に液漏れに対して強いとされていますが、過放電、逆装填、ショート、新旧同時使用など、適正ではない使い方をすると液漏れを発生する危険性は同じであるため、注意が必要です。