弱電工事とは?一般電気工事との違いから必要な資格や仕事内容まで解説!

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弱電工事とは、情報や通信に関わる電気設備工事を指します。

具体的には、電話、インターネット、テレビ、防災設備などの配線や設置が工事範囲です。

この記事では、弱電工事の仕事内容や必要な資格などについて解説します。


この記事を読むことで、弱電工事の基礎知識からキャリアパスまでを理解できるでしょう。

弱電業界に興味がある方はぜひご覧ください。


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弱電工事とは

弱電工事は電気工事の一種で、微弱な電気信号を取り扱います。

主に、情報通信やセキュリティ、防災などに必要な電気設備の配線や設置が工事範囲です。

また、電力供給を目的とする強電工事とは区別されることが多いです。

ここでは弱電工事の定義や、強電工事との違いについて解説していきます。


弱電工事は現代社会において不可欠な技術です。

弱電工事の基礎知識をしっかりと押さえていきましょう。

定義と役割

弱電工事とは、低電圧の電気を使って通信や制御を行うシステムの設置工事です。

具体的には、電話、インターネット、テレビ、防災設備などの配線や設置を行います。

「弱電」とは、一般的に「48V以下」の電圧範囲のこと。主に、電気を情報伝達や制御のための信号として利用します。


弱電工事の主な役割は以下の通りです。

■弱電工事の役割

  • 情報伝達基盤の構築
    電話、インターネット、テレビなどの配線や設置によって、情報がスムーズに伝達される環境を整備する。
  • 安全・安心の確保
    火災報知機や防犯カメラ、インターホンなどの設置により、建物や施設の安全性を高める。
  • 快適さや利便性の向上
    放送設備や映像設備、自動制御システムなどの設置により、居住者や利用者の快適性や利便性を向上させる。

弱電工事は、私たちの日常生活やビジネスにおいて、情報伝達やセキュリティ確保に不可欠な役割を果たしています。

強電工事(一般電気工事)との違い

電気工事は、取り扱う電圧を基準に「弱電工事」と「強電工事(一般電気工事ともいう)」に分類されます。

この2つの電気工事は以下の点で異なります。

■ 弱電工事と強電工事(一般電気工事)との違い

項目 弱電工事 強電工事(一般電気工事)
扱う電圧 48V以下の電圧 48V以上(一般に100V以上)の 高い電圧
電気の利用目的 情報や信号の伝達 動力や熱、光などのエネルギー源
主な設備 電話、LAN配線、インターネット設備、テレビ、放送設備、インターホン、監視カメラ、火災報知設備など ポンプ、エレベーター、照明設備、コンセント、エアコン、受変電設備、発電機など
工事の性質 微弱な電流を扱うため、ノイズ対策や正確な信号伝達が重要 高い電圧と電流を扱うため、感電や火災のリスク管理、安全性が重要
関連資格 電気通信主任技術者、総合無線通信士、陸上無線技術士など 電気工事士、電気主任技術者、電気工事施工管理技士など


このように、弱電工事と強電工事(一般電気工事)は取り扱う設備や工事目的が大きく異なります。

工事の性質や求められる品質が異なるため、どちらの領域でキャリアを積むかは重要な選択です。

特に、情報や通信に関わる仕事に興味がある場合は、弱電工事は魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。

弱電工事が活躍している場所

弱電工事は、現代社会のあらゆる場面で活躍しています。

情報通信設備や防災・防犯設備が私たちの生活に不可欠な存在となっているためです。

具体的には以下が挙げられます。

■ 弱電工事が活躍している場所

活躍している場所 主な工事内容
一般住宅
  • インターネット回線やWi-Fi環境の構築
  • テレビアンテナの設置
  • インターホンやセキュリティシステムの導入
  • スマートホームの制御配線
オフィス環境
  • インターネット回線やLAN配線
  • 電話や複合機の配線
  • Web会議システムやOA機器の設置
  • 入退室管理システムや監視カメラの設置
商業施設
  • 顧客向けWi-Fi環境の構築
  • デジタルサイネージの設置
工場
  • 生産管理システムや勤怠管理システムの導入
  • 監視カメラの設置
  • 生産機器の自動制御システムの導入
病院や学校
  • 放送設備の設置
  • クラウドサービスの導入


弱電工事の技術が様々な場所で活かされていることがお分かりいただけるでしょう。

情報化社会の発展によって、弱電工事の活躍の場は今後ますます広がっていくと考えられます。

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弱電工事の主な仕事内容

弱電工事の活躍できる場所は多様で、仕事内容も多岐にわたります。

具体的にどのような仕事があるか、代表的なものを見ていきましょう。


LAN配線設置工事

LAN配線設置工事は、住宅やオフィス、工場などの建物内で、コンピュータやネットワーク機器を接続するためのケーブル(LANケーブル)を設置する工事です。

具体的には、LANケーブルの敷設だけでなく、コネクタの取り付け、配線整理、通信テストなども工事対象です。

インターネット環境を構築する工事であり、建物の構造や利用状況に合わせて最適な配線設計が求められます。

LAN配線設置工事は、高速かつ安定してネットワーク環境を構築するために不可欠な工事であり、情報化社会において重要な役割を担っています。

テレビ配線設置工事

テレビ配線設置工事は、テレビを受信するためのアンテナ線や同軸ケーブルを設置する工事です。

地上デジタル放送やBS放送、CS放送など、視聴する放送の種類に応じて適切なアンテナや配線を選択します。

また、電波を増大させる器具(ブースター)や、複数のテレビに放送を配信する器具(分配器)を設置する場合もあります。

昨今はインターネット回線を利用する映像配信サービスも普及していますが、テレビ配線設置工事は依然として需要の高い工事と言えるでしょう。

防災設備設置工事

防災設備設置工事は、法律に基づき防災設備を建物内に設置する工事です。

防災設備とは、火災や地震などの災害から人々の安全を守るための設備を指します。

具体的には、火災報知器、消火設備(スプリンクラーや消火器など)、避難誘導灯、非常用照明などがあります。

防災設備の稼働には100Vや200Vの電源が必要となるため、電力供給を行う強電工事と弱電工事は密接に連携して工事を進めます。

弱電工事においては、信号線や制御線の敷設、機器の取付、システム間の連携が主な役割です。

人命に関わる工事であるため、法律の知識や確実な施工が要求される点が防災設備設置工事の特徴です。

電話・インターホン設備設置工事

電話・インターホン設備設置工事は、オフィスや住宅などで、電話やインターホンの回線を敷設する工事です。

電話設置においては、電話回線の配線や、電話機の配置、ビジネスフォンなどの主装置の設置などを行います。

インターホン設置においては、親機・子機の設置や配線作業が工事対象です。

近年では、インターネット回線を利用した電話やインターホンも普及しており、ネットワークに関する知識が求められる場合もあります。

オフィスや住宅において、スムーズなコミュニケーション環境を構築するために重要な工事と言えます。

放送・映像設備設置工事

放送・映像設備設置工事は、ディスプレイや音響に関する設備を設置する工事です。

具体的には、スタジオやホールの音響設備(スピーカー、マイク、ミキサーなど)、業務用ディスプレイや映像設備(プロジェクター、カメラなど)があります。

また、商業施設やイベント会場におけるデジタルサイネージの設置なども対象です。

これらの設備は、設置場所の用途や規模に応じた専門的な知識や技術が求められます。

放送・映像設備設置工事は、ビジネスやエンターテイメントの場において重要な役割を果たしています。

各種設備の保守・点検

設置した弱電設備(LAN、テレビ、防災設備、電話など)を保守・点検することも、弱電工事の重要な仕事です。

設備が正常に機能しているかどうかの点検や、不具合があった場合の復旧が仕事内容となります。

弱電工事の担当者として現場に赴くケースの他に、ビルメンテナンスや保守担当として点検・保守を実施する場合もあります。

弱電設備は建物の重要な機能であるため、維持管理が不可欠です。

したがって、保守・点検にあたっては弱電工事の知識があれば非常に重宝されるでしょう。

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弱電工事に必要な資格

弱電工事においては、取得しておくと役立つ資格が多くあります。

弱電工事業界でのキャリアアップの参考にしてください。


各資格について、順番に見ていきましょう。

電気工事士

電気工事士は強電工事において必須資格ですが、弱電工事の領域においても不可欠な資格です。

機器の電源配線やコンセントの設置など、電気を供給する部分の工事で電気工事士の資格が必要になります。

電気工事士には「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の資格があります。

特に第二種電気工事士は未経験者からでも取得できるため、初心者でも挑戦しやすい資格です。


工事担任者

工事担任者は、電気通信設備の工事や監督を行うための国家資格です。

具体的には、光ファイバーとパソコンや電話機との接続や、オフィスでのLAN構築などにおいて必要となります。

工事担任者には「第一級アナログ通信」「第二級アナログ通信」「第一級デジタル通信」「第二級デジタル通信」「総合通信」の5種類の資格があります。

資格区分によって従事できる作業内容が異なる点が特徴です。


電気通信主任技術者

電気通信主任技術者は、事業用電気通信設備の工事や維持・運用を監督する国家資格です。

事業用電気通信設備とは、電気やインターネットなどの通信インフラを支える設備のことを言います。

電気通信主任技術者になると、より大規模な情報通信ネットワークの構築や運用に関わることが可能です。


電気通信工事施工管理技士

電気通信工事施工管理技士は、電気通信工事の施工計画を作成したり、現場での工程管理、品質管理、安全管理などを行うための国家資格です。

電気通信設備の工事現場で、現場の監督者として活躍するために必要になります。

電気通信工事の知識や技能だけでなく、プロジェクト管理能力の証明にもなる資格です。

電気通信工事施工管理技士には、「1級電気通信工事施工管理技士」と「2級電気通信工事施工管理技士」があります。


総合無線通信士

総合無線通信士は、無線設備の操作や監督を行うための国家資格です。

大規模なイベント会場での無線LAN構築や、放送局における無線設備の運用などで活かされます。

また、試験勉強の過程で無線通信技術の専門知識も得られます。

なお、総合無線通信士は「第一級総合無線通信士」「第二級総合無線通信士」「第三級総合無線通信士」の資格があり、扱える無線設備の範囲が異なります。

総合無線通信士の資格については、「公益財団法人 日本無線協会」のホームページを参照してください。

陸上無線技術士

陸上無線技術士は、陸上にある無線局の無線設備の操作や監督を行うための国家資格です。

主に、工場やオフィスでの無線ネットワークや、倉庫や建設現場などで使用する特殊な無線通信システムの運用に活用できます。

陸上無線技術士には「第一級陸上無線技術士」と「第二級陸上無線技術士」があります。

総合無線通信士と比べ、主に陸上の無線システムに特化している点が大きな違いです。

陸上無線技術士の資格については、「公益財団法人 日本無線協会」のホームページを参照してください。

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弱電工事業のキャリアパス

弱電工事業におけるキャリアパスの一例をご紹介します。

弱電工事の知識や経験は非常に有益であるため、多様なキャリアパスを描くことができます。

■弱電工事のキャリアパス例

  • 弱電工事のスペシャリストになる
  • 強電分野にスキルを拡張する
  • 周辺領域にキャリアを展開する

情報化社会でニーズのあるスキルであり、需要の大きさが弱電工事の魅力の1つと言えるでしょう。

★弱電工事のスペシャリストになる

弱電工事のスペシャリストとして特定の専門技術を高め、現場管理や技術指導を目指すキャリアです。

弱電業界は技術の進化が目覚ましく、用途が多様であることから、スペシャリストは非常に重宝されます。

電気通信主任技術者や電気通信施工管理技士を目指すのも良いキャリアと言えるでしょう。

★強電分野にスキルを拡張する

強電工事の領域にもスキルを拡張し、電気工事業界でマルチに活躍できる人材を目指すことも可能です。

電気工事の現場においては、強電と弱電が共同することも多いため、両方の領域で工事ができる人材は活躍の機会が多くなります。

第一種電気工事士や電気工事施工管理技士を取得することで、大規模な電気工事にも従事することができます。

★周辺領域にキャリアを展開する

弱電工事で経験を積み、システムの設計や、積算、営業といった職種にキャリアチェンジすることも可能です。

また、ITインフラエンジニアや、ビルメンテナンスといった他業界でも、弱電工事で培った知識や経験を活かすことができるでしょう。


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まとめ

この記事では、弱電工事の基礎知識や仕事内容、役立つ資格やキャリアパスについて紹介しました。

この記事のまとめ
  • 弱電工事とは、48V以下の電圧で、情報や通信に関わる電気設備工事のことをいう
  • 弱電工事と強電工事では、取り扱う電圧や電気の利用目的が異なる
  • 弱電工事の主な仕事内容は、「LAN配線設置工事」「テレビ配線設置工事」「防災設備設置工事」など
  • 弱電工事の仕事で役立つ資格は、「電気工事士」「工事担任者」「電気通信主任技術者」など
  • 弱電工事のスキルは需要が高いため、多様なキャリアパスが描ける

弱電工事の仕事は、現代社会において不可欠なライフラインに携わることができます。

弱電工事に興味のある方は、まずは弱電工事を扱う求人などを見て検討してみてはいかがでしょうか。

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