工事担任者は意味ない?不要と言われる4つの理由と取得メリットや将来性を解説!
電気通信の工事担任者最終更新日:
工事担任者が一部で「意味ない」と言われている理由は、「現場に資格保有者が1人いれば作業できる」「資格を持っているだけでは、転職のアピールポイントになりにくい場合がある」などです。
その一方で、工事担任者の資格取得には明確なメリットがあり、将来性が期待できる資格でもあります。
この記事では、工事担任者の資格が「意味ない」と言われる理由から取得するメリットまで詳しく解説します。
ご自身のキャリアプランと照らし合わせ、工事担任者資格の取得を判断するための参考にしてください。
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工事担任者の基本情報
工事担任者は、光ファイバーやLANケーブルなどの電気通信回線に、パソコン、電話機、ルーターなどの端末設備を接続する工事・管理を行うための資格です。
通信インフラを支える重要な役割を担っているため、通信設備の接続に関する専門的な知識と技術が必要になります。
ここでは、工事担任者の基本情報について分かりやすく解説します。
工事担任者ができること
工事担任者の主な役割は、電気通信回線に様々な端末設備を接続する工事、または実地監督を行うことです。
不適切な工事は通信品質の低下や回線設備の損傷、他の利用者への悪影響を招く恐れがあるため、資格を持つ専門家による作業または実地監督が法律で義務付けられています。
工事担任者が担当する具体的な業務には、以下のようなものがあります。
■工事担任者ができること
- オフィス環境での業務
ビジネスフォンシステム導入時の配線工事やPBX(構内交換機)の設置・接続 - 家庭・SOHO環境での業務
光回線開通に伴うONU(回線終端装置)やWi-Fiルーター、PCの接続設定 - ネットワークの構築
LANケーブルの配線やネットワーク機器(ハブ、ルーター等)の設置・設定 - その他の業務
ホームセキュリティシステムや遠隔検針メーターなどの端末接続
工事担任者は、定められた技術基準に従って工事や監督を行い、安全で安定した通信インフラを維持するという社会的に重要な役割を担っています。
資格の種類
工事担任者の資格は、担当できる工事の範囲に応じて5つの種類に分かれています。
アナログ電話回線やデジタル回線の技術面における違いや、接続する設備の規模に対応しています。
各資格の特徴は、以下のとおりです。
■ 工事担任者 資格の種類
資格の種類 | 主な工事範囲・特徴 |
---|---|
第二級アナログ通信 | アナログ回線(1回線のみ)、ISDN回線(基本インターフェース1回線のみ)の端末接続 例:一般家庭の電話機、小規模向けのFAXなど |
第一級アナログ通信 | アナログ回線(回線数制限なし)、全てのISDN回線の端末接続 例:PBX(構内交換機)、比較的大規模なアナログ・ISDN工事が可能 |
第二級デジタル通信 | デジタル回線(1Gbps以下、主にインターネット接続)の端末接続 例:家庭・SOHO向けルーター、PC接続など |
第一級デジタル通信 | デジタル回線(速度制限なし)の端末接続 例:大規模なIPネットワーク構築、ビジネス向けルーターなど |
総合通信 | 第一級アナログ通信と第一級デジタル通信の範囲を全てカバー 例:全ての端末接続工事に対応可能 |
ご自身の業務内容や将来のキャリアプランに応じて、資格の中から最適なものを選択することが重要です。
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工事担任者資格は意味ない?不要と言われる理由
工事担任者の資格について調べると、「取得しても意味がない」「不要だ」といった意見を目にすることがあります。国家資格にも関わらず、なぜこのようなネガティブな意見が出てくるのでしょうか。
工事担任者の資格が「意味ない」と言われる理由は、主に下記の4点が考えられます。
ここからは、工事担任者の資格が「意味ない」「不要」と言われる具体的な理由について解説します。
現場の作業員全員が有資格者である必要はない
工事担任者の資格が不要と言われる理由の一つに、現場の作業員全員が必ずしも工事担任者の資格を持っている必要がないという点が挙げられます。
工事担当者は、具体的には以下のように法律で規定されています。
■電気通信事業法
(工事担任者による工事の実施及び監督)
出典:電気通信事業法 第七十一条(e-Gov法令検索)
第七十一条
利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(以下「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。
したがって、資格を持つ人が現場で適切に監督を行えば、資格を持たない作業員でも法律上は工事に携わることが可能です。
例えば、数名のチームで光回線の引き込み工事を行う場合、チームリーダー1名が工事担任者の資格を持ち、作業全体を監督していれば、他のメンバーは無資格でも作業を進められます。
そのため、「全員が資格を取得する必要はない」という意見から、不要と言われることにつながりました。
資格取得だけでは転職のアピールポイントになりにくい場合がある
工事担任者の資格を持っているだけでは、必ずしも転職活動で強いアピールポイントになるとは限りません。
主な理由は、以下のとおりです。
■ 工事担当者が転職のアピールポイントになりにくい理由
- 資格よりも実務経験重視の傾向があるため
無資格でも作業が可能なため、実際の工事実務経験をより重視する傾向が見られる。
実際の求人情報を見ても、工事担任者資格を「必須」とせず、実務経験を優遇する企業も多い。 - 資格自体の評価が低い
監督者がいれば無資格者でも作業が可能なため、電気工事士などの必須資格と比べると評価が低くなりがち。
したがって、工事担任者資格の取得は転職に有利に働く可能性はあるものの、それだけで成功が保証されるわけではありません。資格を活かすためには、実務経験も積むことが重要になるでしょう。
アナログ通信は活用できる範囲が狭いため需要が比較的低い
工事担任者の資格は、他の電気系資格と比較して活かせる業務範囲が限定的なため、需要が低いという声があります。
特に「第一級・第二級アナログ通信」の主な業務は、有線の電気通信回線に端末設備等を接続する工事やその監督です。
近年、Wi-Fiや5G/6Gといった無線通信技術が急速に普及し、家庭やオフィスでのネットワーク接続が無線で完結する場面も増えています。このため、「有線」接続を主戦場とする第一級・第二級アナログ通信の需要が、以前よりも少なくなったと感じている方もいるようです。
しかしながら、「第一級・第二級デジタル通信」や「総合通信」の資格は、むしろ今後の需要が高まり続けると考えられています。
資格を取得しただけでキャリアを築けるとは限らない
工事担任者の資格を取得しただけでは、大幅な昇進や役職アップに繋がる可能性は低い可能性があります。
なぜなら、現場全体の責任者や管理職を目指す場合、工事担任者の知識だけでは不十分で、より深い専門知識やマネジメント能力も求められるからです。
例えば、電気通信工事で責任ある立場になるためには、工事担任者の資格に加えて、電気通信主任技術者や技術士などの資格取得や、豊富な実務経験も必要とされます。
そのため、工事担当者の資格取得をゴールと捉えると、その後のキャリアパスが限定されてしまう可能性もあるでしょう。
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工事担任者を取得するメリット
「工事担任者は意味ない」という意見がある一方で、資格取得には以下のようなメリットがあります。
これらのメリットは、資格取得を目指す上での大きなモチベーションとなるでしょう。
通信・ネットワーク業界で評価されやすい
工事担任者を取得する大きなメリットは、通信・ネットワーク業界において、自身の知識やスキルが評価されやすくなることです。
工事担任者の資格は国家資格であり、電気通信設備の接続工事に関する専門知識と技術を持っていることを、公的に証明するものです。
そのため、資格を持っていることで、企業や顧客に対して一定の信頼性を示すことができます。特に、電気通信事業法に基づく工事を行う企業にとっては、有資格者は不可欠な存在であり、採用の選考時においても基礎知識があると判断されれば、有利に働く場合もあります。
また、顧客に対して有資格者が工事を担当することをアピールできれば、サービスの品質に対する安心感を与え、企業の信頼性向上にも繋がるでしょう。
キャリアアップに繋がる
工事担任者の資格を取得できれば、通信・ネットワーク業界でのキャリアアップにつながります。
「工事担任者資格は意味ない?不要と言われる理由」で解説したとおり、資格を持っているからといって必ずしもキャリアパスできるというわけではありませんが、資格を持っていると間接的にスキルを証明することができます。
資格がキャリアアップに繋がる理由は、以下のとおりです。
■ 工事担当者の資格取得がキャリアアップに繋がる理由
キャリアアップに繋がる理由 | 内容 |
---|---|
担当業務が拡大する |
|
責任あるポジションへ登用される |
|
上位資格へステップアップできる |
|
このように、工事担任者の資格は将来的なキャリアアップを実現させるために重要です。
年収アップを狙える
工事担任者の資格を取得できれば、年収アップを狙える可能性があります。
具体的な年収アップする要因としては、以下の点が挙げられます。
■ 工事担当者の資格取得が年収アップに繋がる理由
年収アップの要因 | 内容 |
---|---|
資格手当による直接的な収入アップ |
|
昇進・昇格による間接的な収入アップ |
|
転職による待遇向上 |
|
資格取得だけで大幅な年収アップが保証されるわけではありません。しかし、自身の市場価値を高め、収入アップを目指す上で、工事担任者の資格は有効な手段の一つと言えるでしょう。
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工事担任者の将来性は?
工事担任者への需要はますます高まっており、将来性は明るいと言えます。
その理由は、インターネットや電話などの通信インフラは、電気・ガス・水道と同様に必要不可欠なライフラインとなっているからです。
また、通信技術の進化や社会のデジタル化が急速に進んでいる点も、理由のひとつです。
具体的には、以下のような背景が、工事担任者への需要を後押ししています。
■工事担当者の将来性が高まる背景
- 高速・大容量通信の普及
高画質動画のストリーミング視聴、オンラインゲーム、テレワークやWeb会議などの一般化により、より高速で安定した通信環境が求められている。 - 新たな技術トレンドの進展
5Gの全国展開や、その先の6Gを見据えた研究開発が進んでいる。また、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、自動運転、AR(拡張現実)などの最先端技術の実現には、膨大なデータを遅延なく送受信できる強固な通信インフラが前提となっている。 - 社会インフラとしての維持管理
既存の通信設備の維持管理や更新、災害発生時の迅速な復旧作業も、工事担任者が担う重要な業務になっている。 - 人材不足
通信業界全体で技術者の高齢化や人材不足が進んでいるため、専門スキルを持つ工事担任者の市場価値は今後さらに高まると見られる。
社会のデジタル化が進むほど、その基盤を支える工事担任者の価値は高まるため、将来性のある有望な資格であると言えるでしょう。
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工事担任者の資格取得のおすすめ順番は?
工事担任者の資格をどの順番で取得するかは、個々の知識レベルや業務内容によって異なりますが、一般的には難易度の低いものから段階的に進めるのがおすすめです。
おすすめの取得順番は、以下のとおりです。
■工事担当者の資格取得のおすすめ順
- 第二級デジタル通信(第二級アナログ通信)
- 第一級デジタル通信(第一級アナログ通信)
- 総合通信
特に、現代の通信環境ではインターネット関連(IPネットワーク)の知識が重要視されるため、「第二級デジタル通信」からスタートするのが良いでしょう。第二級デジタル通信は合格率も比較的高く、工事担任者資格の中では挑戦しやすい部類に入ります。
「第二級デジタル通信」で基礎を固めた後、より大規模なデジタル回線工事に対応できる「第一級デジタル通信」へステップアップするのも良いです。
その後、最終的に最上位資格の「総合通信」を目指す流れが、最も効率的な工事担任者の資格取得順番になります。しかし、「総合通信」は第一級アナログ・デジタル両方の試験範囲をカバーする必要があるため、試験の難易度は最も高くなっています。
ご自身のキャリアプランや現在のスキルレベル、業務で求められる範囲などを考慮して、最適な取得計画を立てることが重要です。
■関連記事
工事担任者の難易度については「工事担任者の難易度一覧!総合通信・デジタル・アナログの合格率や勉強法を紹介」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
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まとめ
本記事では、工事担任者の資格が「意味ない」と言われる理由とメリット、将来性について解説しました。
- 工事担任者の資格が「意味ない」と言われる主な理由は、「現場の作業員全員が有資格者である必要はない」「資格取得だけでは転職のアピールポイントになりにくい場合がある」など
- 工事担任者資格は「意味ない」と言われる一方で、上位資格を取得したり実務経験を積んだりすることで、キャリアアップや年収アップに繋がるメリットもある
- 工事担任者は通信インフラを支える重要な資格であり、将来性も明るい
- 工事担任者の資格取得は、難易度や需要を考慮し、段階的に取得するのがおすすめ
この記事を参考に、ご自身のキャリアプランに合わせて工事担任者資格の取得を検討しましょう。
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執筆者・監修者
工事士.com 編集部
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