電験三種の試験概要まとめ|筆記・CBT方式から当日の流れまでを完全ガイド

電気主任技術者(電験)

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電験三種(第三種電気主任技術者)の試験は、年2回実施され、「理論、電力、機械、法規」の4科目が出題されます。

電験三種は難易度が非常に高いことで知られていますが、資格を取得することにより、電気業界で幅広く活躍することができます。

本記事では、電験三種の試験について詳しく解説します。


電験三種の受験を検討している方や受験予定の方はぜひ参考にしてみてください。

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電験三種試験の基本情報まとめ

電験三種とは、電気系の国家資格の一種です。

電験三種の資格を取得すると、主に受変電設備や電気設備の保守管理・保安監督などの業務に携わることができます。

電験三種の試験の基本情報は下記のとおりです。

■ 電験三種試験の基本情報

項目 内容
受験資格 なし
実施日程 年2回実施
出題形式 筆記(マークシート)方式、CBT方式
問題形式 計算問題、正誤判断問題、穴埋め問題
試験科目 理論、電力、機械、法規
試験時間 【理論、電力、機械】90分
【法規】65分
問題数 【理論、電力、機械】A問題:14題/B問題:3題※
【法規】A問題:10題/B問題:3題
合格基準 各科目、原則60点
合格率 平均12.2%
科目免除 あり(科目合格制度)

※理論と機械のB問題の問題数には、選択問題も含まれます。

※参考:受験案内(一般財団法人 電気技術者試験センター)

電験三種には、試験を受けるために必要な受験資格はありません。

年齢や学歴・職歴・実務経験年数などを問わず誰でも受験することができます。

試験は上期と下期の年2回実施されており、4科目の試験が行われます。

科目数が多いこと、また各科目の試験範囲が広いことなどから、電験三種は平均合格率が10%台となっており、「非常に難易度が高い試験」と言われています。

なお、電験三種には、合格基準を上回った科目は次の試験で免除になる「科目合格制度」があります。

例えば、1回目の受験で「理論」のみ合格した場合、次回の試験では「理論」の受験が免除されます。

電験三種に合格するには、この「科目合格制度」を上手く活用することが重要です。

ただし、「科目合格制度」の有効期限は3年以内のため、期限内に再度受験し全科目合格を目指しましょう。



電験三種の受験方式は?

電験三種の試験は「筆記(マークシート)方式」「CBT方式」いずれか好きな方法で受験できます。

「筆記(マークシート)方式」「CBT方式」それぞれの特徴を理解し、どちらの受験方式が自分に合っているのかを確認しておきましょう。

筆記(マークシート)方式

筆記(マークシート)方式は、従来の試験形式と同じです。

試験日に試験会場へ行き、紙の問題用紙と解答用紙(マークシート)を使います。

筆記(マークシート)方式のメリットとデメリットは下記のとおりです。

■ 筆記(マークシート)方式のメリット

  • 試験日が遅いため、勉強期間を長く取れる
  • 従来の受験方式のため、やりやすい
  • 前の問題を見直しやすい

■ 筆記(マークシート)方式のデメリット

  • 試験日が限定されているため、スケジュールを合わせる必要がある
  • 他の受験生の影響を受けてしまう恐れがある

筆記(マークシート)方式の試験は、CBT方式の試験期間が終わった後に行われます。

CBT方式と筆記(マークシート)方式の試験日は最大1ヶ月以上違うため、「少しでも勉強時間を長く取りたい」という方にとっては、筆記(マークシート)方式のほうが合っているでしょう。

また、筆記(マークシート)方式であれば、途中で何問か前の問題に戻ったり後で見直したりといった融通も利きやすいです。

一方、筆記(マークシート)方式の試験日は1日限りであるため、CBT方式と比べると予定を合わせにくいといったデメリットがあります。

また、会場で一斉に行うため、周りの受験者のペースに流されたり、試験会場の雰囲気に飲まれたりして、本来の実力を発揮できなくなってしまうといった恐れもあります。

CBT方式

CBT方式とは、パソコン上の画面に問題が出題され、解答する方式です。

電験三種では2023年度より導入されました。

CBT方式で受験する場合は、各都道府県の指定されたテストセンターへ行き、試験室に置かれているパソコンから試験を始めます。

CBT方式のメリットとデメリットは下記のとおりです。

■ CBT方式のメリット

  • 自分の都合の良い試験日・試験会場を選べる
  • 自分のペースで問題を解ける
  • その場ですぐに得点が分かる

■ CBT方式のデメリット

  • 試験期間が早いため、勉強期間が短くなる
  • 操作面で不自由を感じてしまう恐れがある
  • 前の問題に戻りにくい

CBT方式の最大のメリットは、試験日を自由に選択できることです。

CBT方式は約1ヶ月弱の試験期間があり、その中から自由に日時を選んで受験することができます。

さらに、試験会場は全国47都道府県に合計240ヶ所以上あるため、筆記(マークシート)方式と比べ、より行きやすい場所を選ぶことも可能です。

また、CBT方式は試験室に入室し、指定されたパソコンから自分のタイミングで試験を始めます。

周りの受験生を気にせず受験できるため、試験特有の雰囲気が苦手な場合は、CBT方式の方が集中して取り組めるかもしれません。

なお、CBT方式は回答終了後、画面上に「得点」が表示されるため、その場ですぐに自分の得点を確認することもできます。


CBT方式の得点表示画面


参考:CBT方式の基本的な受験方法と操作方法(CBT-Solutions CBT)

一方、CBT方式は筆記(マークシート)方式よりも最大1ヶ月以上早く行われるため、筆記(マークシート)方式と比べ、申し込み~試験日までの期間が短く勉強時間が少ない点がデメリットです。

また、CBT方式は、パソコン画面に問題文と選択肢が1問ずつ表示され、それに解答していきます。

中には、長文や画像などにより、スクロールしないと問題文や選択肢を全て見られない場合もあります。

したがって、慣れていない場合は、パソコンの操作においてストレスを感じてしまう方もいるかもしれません。

CBT方式の問題の表示画面


参考:CBT方式の基本的な受験方法と操作方法(CBT-Solutions CBT)

電験三種の試験内容(問題)は?

電験三種の試験は、「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目を受験します。

電験三種に合格するには、全科目においてそれぞれ合格基準点以上の得点を取らなければなりません。

各科目の特徴や試験内容をきちんと把握し、それぞれをしっかり対策していく必要があります。

では、各科目の試験内容について順番に見ていきましょう。

理論

理論科目の範囲は、「電気理論」や「電子理論」などです。

理論は他の3科目の基礎となるため、非常に重要な科目です。

■ 理論科目の試験内容

項目 内容
出題範囲 電気理論、電子理論、電気計測および電子計測
試験時間 90分
問題数 A問題:14問
B問題:3問
合格基準 原則60点以上(100点満点中)

参考:第三種電気主任技術者試験(一般財団法人 電気技術者試験センター)

なお、理論は4科目の中でも計算問題が多く、特に難易度が高い科目であると言われています。

したがって、まずは理論科目から勉強を始めるのがいいでしょう。

理論科目については「電験三種の理論科目とは?試験内容と効率の良い勉強方法を解説」で詳しく解説しています。


電力

電力科目の範囲は、発電所や蓄電所、変電所などの設計や運転、送電線路などについてです。

4科目の中でも実践的な内容が多いため、実際に電気工事士として発電所や変電所などの現場経験がある方にとっては比較的なじみやすい科目でしょう。

■ 電力科目の試験内容

項目 内容
出題範囲 発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
試験時間 90分
問題数 A問題:14問
B問題:3問
合格基準 原則60点以上(100点満点中)

参考:第三種電気主任技術者試験(一般財団法人 電気技術者試験センター)

電力は、理論に比べると計算問題が少ない傾向にあり、4科目の中でも難易度は比較的低めです。

電力科目については「電験三種の「電力科目」とは?試験内容と効率の良い勉強方法を解説」で詳しく解説しています。


機械

機械科目の範囲は、電気機器についてや電力システムの情報伝送、処理などです。

機械は4科目の中でも出題範囲が幅広く、膨大な知識量が必要です。

■ 機械科目の試験内容

項目 内容
出題範囲 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
試験時間 90分
問題数 A問題:14問
B問題:3問
合格基準 原則60点以上(100点満点中)

参考:第三種電気主任技術者試験(一般財団法人 電気技術者試験センター)

また、機械科目は計算問題が多く出題されます。

覚えるだけでは合格できない科目のため、「難しい」と感じる受験者も多いです。



法規

法規科目の範囲は、主に電気に関する法律です。

そのため、暗記や問題の文章量が多いことが特徴です。

■ 法規科目の試験内容

項目 内容
出題範囲 電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理
試験時間 65分
問題数 A問題:10問
B問題:3問
合格基準 原則60点以上(100点満点中)

参考:第三種電気主任技術者試験(一般財団法人 電気技術者試験センター)

上表のとおり、法規は他3科目と比べて問題数が少ないです。

しかし合格基準点は他3科目と同一のため、1問1問の配点が高いということをしっかり理解しておきましょう。



電験三種試験当日の流れ

電験三種の試験は、全4科目を1日がかりで行います。

試験当日のスケジュールをきちんと把握し、余裕を持った行動を心がけましょう。

【筆記(マークシート)方式】

筆記(マークシート)方式は、理論から1科目ずつ順番に試験が行われます。

午前と午後両方の科目を受験する方は、昼食の準備などもしておいたほうが休憩時間を有効に使えるでしょう。

■ 電験三種試験 当日の流れ

時間 内容
~08:55 理論受験者 集合
09:15~10:45 理論 試験
~11:05 電力受験者 集合
11:25~12:55 電力 試験
~13:55 機械受験者 集合
14:15~15:45 機械 試験
~16:05 法規受験者 集合
16:25~17:30 法規 試験

参考:受験案内(一般財団法人 電気技術者センター)

【CBT方式】

CBT方式で受験する場合は、自分で選択した日時にテストセンターへ行き、試験室のパソコンから試験を始めます。

当日の具体的な流れは下記のとおりです。

■ CBT方式 当日の流れ

  1. 予約した試験開始時間の5分~30分前までにテストセンターへ来場
  2. 受付で顔写真付きの公的証明書を提示
  3. 通信機器や手荷物をロッカーに預け、試験室へ入室
  4. 受験開始
  5. 試験終了
  6. 受付にて受験レポートを受け取り終了

なお、CBT方式で複数科目を連続で受験する場合も、1科目の試験終了ごとに休憩をはさみます。

電験三種 試験~資格取得までのステップまとめ

電験三種の試験に申し込んでから免状が交付されるまでには、5つのステップが必要です。

■ 電験三種 試験~資格取得までのステップ

  1. 試験の申し込み
  2. 試験の受験
  3. 試験の合格発表
  4. 免状の申請
  5. 免状の受け取り

【①試験の申し込み】

まずは試験の申し込み手続きを行いましょう。

電験三種の申し込み方法は、基本的に「インターネット申し込み」です。

電験三種の試験は「上期」「下期」の年2回実施されます。

それぞれの申し込み期間に遅れないよう、余裕を持って手続きを行いましょう。

また、受験方式は「筆記(マークシート)方式」と「CBT方式」がありますが、申し込み時には全員「筆記(マークシート)方式」での受験となっています。

したがって、CBT方式で受験したい方は、申し込み完了後に、CBT方式への切替申請を行う必要がありますのでご注意ください。

電験三種試験のスケジュールと申し込み方法は「【2024年度】電験三種の試験日と申し込み手順を画像で解説!」で詳しく解説しています。

【②試験の受験】

筆記(マークシート)方式、またはCBT方式で試験を受験します。

電験三種の場合は、理論」「電力」「機械」「法規」の4科目全てに合格しなくてはなりません。

「科目合格制度」を使って効率的に全科目合格を目指しましょう。

なお、各科目の合格基準点は原則60点以上です。

科目合格制度については「電験三種の科目合格制度を徹底解説!有効期限や確認方法を詳しく紹介」で詳しく解説しています。


【③試験の合格発表】

電験三種の合格発表のタイミングは、筆記(マークシート)方式とCBT方式でそれぞれ異なります。

試験結果通知書は、試験日の1ヶ月~1ヶ月半頃に郵送されますが、ホームページやマイページなどでより早く結果を確認することができます。

筆記(マークシート)方式:試験日の約2週間後(試験センターホームページ内)

CBT方式:試験日の2週間後の正午(試験センター マイページ内)


4科目全てに合格すると、晴れて電験三種の資格を取得できます。

なお電験三種試験に「不合格」であっても、1科目以上合格している場合はどの科目が合格したのか分かるようになっています。

その場合、次回は「科目合格制度」を利用して残りの科目の合格を目指しましょう。

合格発表については「【2024年度】電験三種の合格発表はいつ?結果の見方と免状交付の流れも解説」で詳しく解説しています。

【④免状の申請】

電験三種の試験に合格(4科目全てに合格)したら、免状交付の申請に進めます。

免状申請においては、試験結果通知書をはじめ4つの必要書類があります。

これらを「一般財団法人 電気技術者試験センター」へ郵送すれば申請完了です。

免状が届くのを待ちましょう。

免状申請の方法は「【2024年最新】電験三種の免状取得条件と交付申請の方法を解説」で詳しく解説しています。

【⑤免状の受け取り】

免状の申請後、約2ヶ月程度で免状が交付されます。

免状交付をもって、ようやく「電験三種の資格取得者」となります。

より早く免状交付を受けられるように、電験三種の試験に合格したらすぐに申請の準備を進めましょう。

よくある質問

この記事を読んだ方に向けて、よくある質問をまとめました。

勉強方法は?

電験三種のおすすめ勉強方法は下記のとおりです。

■電験三種の勉強方法

  • 「理論」→「電力・機械」→「法規」の順に勉強する
  • 十分な勉強時間を確保する
  • モチベーションを維持する工夫をする
  • 過去問を繰り返し解く
  • すべての科目を一度に合格しようと無理をしない

電験三種は難易度が非常に高いと言われている試験のため、計画的にコツコツと勉強することが大切です。

なお、これまでの試験の傾向を掴むという点で、早い段階から過去問に触れておくことも非常に重要です。

電験三種試験の勉強ツールとしておすすめなのが「工事士.com」の「過去問クイズ」です。

「過去問クイズ」は、過去15年以上の過去問をクイズ形式で学べます。スキマ時間の有効活用としてぜひ利用してみましょう。

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計算問題は難しい?

電験三種の計算問題は「難しい」と言えるでしょう。

電験三種試験の計算問題は、覚えるべき公式の数が非常に多いからです。

しかし、計算問題を克服することで、着実に合格へ近づくことができるでしょう。

電験三種の計算問題でよく使われる公式については「電験三種の公式まとめ「これだけ」覚えて賢く合格!」でまとめていますので、あわせてご確認ください。


まとめ

本記事では、電験三種の試験について詳しく解説しました。

この記事のまとめ
  • 電験三種の試験は「筆記(マークシート)方式」と「CBT方式」のどちらかを選んで受験できる
  • 電験三種の試験は「理論」「電力」「機械」「法規」の4科目全てに合格しなければならない
  • 電験三種の試験~資格取得のステップは、「①申し込み」「②受験」「③合格発表」「④免状申請」「⑤免状交付」

電験三種は非常に難易度が高い試験です。

しかし、資格を取得することで、電気設備の保守管理や保安監督などの仕事ができるようになります。

転職活動で有利になったりキャリアアップにつながったりといったメリットもありますので、ぜひ皆さんも電験三種の試験に挑戦してみましょう。

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