独学で第二種電気工事士にチャレンジ!勉強法から体験談まで
電気工事士の資格・試験最終更新日:
第二種電気工事士に独学で合格することは可能です。電気工事の経験者や、電気工学科の卒業生ではなくとも、誰にでも資格を取得できるチャンスがあります。
この記事では、主に以下の内容で、第二種電気工事士の試験に独学で合格を目指す方に役立つ情報を提供します。ぜひ参考にしてください。
第二種電気工事士の概要は「第二種電気工事士ができることは?」で解説しています。こちらも併せてご覧ください。
第二種電気工事士は独学で合格できる!【筆記試験対策】
第二種電気工事士の資格を取得するためには、筆記試験と技能試験の両方に合格する必要があります。
まずは筆記試験の対策について、以下の観点で解説します。
独学ではなかなかキャッチしづらいような、筆記試験のコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
試験内容と出題傾向
筆記試験の出題内容と問題数の傾向は以下の通りです。
■ 第二種電気工事士の筆記試験問題
問題 | 種類 | 問題数 |
---|---|---|
電気に関する基礎理論 | 計算 | 約5問 |
配電理論および配線設計 | 計算 | 約5問 |
電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具 | 暗記 | 約7問 |
電気工事の施工方法 | 暗記 | 約6問 |
一般用電気工作物等の検査方法 | 暗記 | 約4問 |
配線図 | 暗記 | 約20問 |
一般用電気工作物等の保安に関する法令 | 暗記 | 約3問 |
問題が出題される順番や分野ごとの出題数は例年おおよそ同じです。電気に関する理論や計算を必要とする問題もありますが、全体の中では一部となっています。
工事士.comでは、移動中にスマホからでもサクサク使えるような、第二種電気工事士の過去問クイズを公開しています。筆記試験でどのような問題が出るのか、ぜひ一度覗いてみてください。
合格点の目安
電気技術者試験センターでは、筆記試験の出題内容が次のように説明されています。
- 出題数:50問
- 一般問題:30問程度
- 配線図問題:20問程度
*試験時間、出題数は変更される場合があります。
第二種電気工事士の筆記試験は、1問2点のマークシート方式で全50問が出題されます。1問あたり2点配点、全50問で、100点満点です。
例年、60点が合格ラインと言われています。4択のマークシート方式で30問正解すれば良いのですから、それほどハードルが高い試験ではないと言えるでしょう。ただし、合格点は年度によって異なるため注意してください。
勉強方法とコツ
勉強方法やスケジュールを自分で決められるのも、独学で試験対策をするメリットです。第二種電気工事士の筆記試験を突破するには、以下のようなコツがあります。
- 配点の大きいところから勉強する
- 過去問を繰り返し解く
- 計算が苦手な人は、暗記問題のみで合格ラインまで近づける
電気工事士の資格取得試験は、年に2度の貴重なチャンス。確実に合格するためにも、要領良く勉強を進めましょう。
筆記試験の勉強方法とコツについて、詳しくは「第二種電気工事士 筆記試験合格に必要な勉強方法とコツを徹底解説!」をご覧ください。
独学に必要な勉強時間
工事士.comが行った第二種電気工事士合格者を対象とした調査によると、試験対策に要した勉強期間はおよそ1〜3ヶ月。勉強時間は、未経験者でおよそ50〜150時間でした。
仮に1日あたり1時間の勉強時間を取れたとしたら、50時間の勉強におよそ2ヶ月程度かかる計算となります。ご自身で確保できる勉強時間を考慮しながら、計画的に学習を進めましょう。
例; 1時間 × 31日 × 2ヶ月 = 62時間
第二種電気工事士の筆記試験にかかる勉強時間について、さらに詳しく知りたい方は「第二種電気工事士の難易度と必要な勉強時間」を参考にしてください。
第二種電気工事士は独学で合格できる!【技能試験対策】
技能試験の対策について、以下の観点で解説します。
試験内容と合格の基準
試験センターにて試験前に公表される候補問題(全13問)の中から、1問出題されます。第二種電気工事士試験の場合は、一般用電気工作物等の電気工事に関わる基本的な作業が出題範囲です。
出題された単線図に従って実際に配線作業を行い、施工における欠陥がなければ合格となります。なお、欠陥の基準として、大きく分けて12のポイントがあります。
■ 欠陥の基準
- 未完成のもの
- 配置、寸法、接続方法等の相違
- 誤接続、誤結線のもの
- 電線の色別、配線器具の極性が施工条件に相違したもの
- 電線の損傷
- リングスリーブ(E形)による圧着接続部分に関する欠陥
- 差込形コネクタによる差込接続部分に関する欠陥
- 器具への結線部分に関する欠陥
- 金属管工事部分に関する欠陥
- 合成樹脂製可とう電線管工事部分に関する欠陥
- 取付枠部分に関する欠陥
- その他(支給品以外の材料の使用、器具の破損など)
参考:電気技術者試験センター「電気工事士技能試験の概要と注意すべきポイント」
一例として、「3.誤接続、誤結線のもの」「5.電線の損傷」をお見せしましょう。
3.誤接続、誤結線のもの
5.電線の損傷
時間内に完成させることも大切ですが、破損や接続ミスがないよう丁寧な施工を行うことも、同じくらい大切です。落ち着いて取り掛かれるよう、事前の準備は入念に行いましょう。
購入するべき工具と教材
技能試験対策の第一歩として、教材と工具を購入しましょう。
まずは、基本的な7つの工具をご紹介します。これらの工具を使えば、試験で出題される技能に広く対応できるようになっています。試験内容は年度により変更される場合がありますので、必ず候補問題を確認するようにしてください。
■ 基本の工具7点
- 電工ナイフ
- ペンチ
- 圧着ペンチ
- ドライバー(プラス)
- ドライバー(マイナス)
- ウォータポンププライヤ
- スケール
技能試験向けの教材の一式セットが、各メーカーから販売されています。工具と練習用の材料が一緒になったセットもありますので、技能を練習したい回数に応じて選んでみてください。
■ 技能試験対策におすすめの教材3選
1.オーム社(直営ショップ)
例年好評の“予想”公表問題13問に即した内容のセット。早めに技能試験対策を始めたい方におすすめです。
2.ホーザン(Amazon)
動画解説付きのハンドブックもついているため、動画を見ながら練習できます。
3.モズシリーズ(楽天市場)
“電線のみ”、”工具付き”など、セット内容がさまざまあります。ご自身の手持ちや、練習回数に応じて無駄なく購入できます。
一式の工具は、試験当日にも持参します。他人から工具を借りることや、電動工具および改造した工具や自作した工具の使用は禁止されているので注意してください。
勉強方法とコツ
勉強の手順は以下の流れが基本です。
1.複線図の描き方を覚える
2.基本作業を身につける
3.候補問題を施工する
まずは、候補問題13問を一通り練習してみるのがおすすめです。
初めはテキストや動画などの、お手本を見ながら進めてOK。要領が掴めたら、テキストや動画を見ずにやってみましょう。
また、実際の試験時間である40分以内に完成できるよう、時間を計りながら練習します。
■ 関連記事
独学に必要な勉強時間
技能試験の対策に必要な勉強時間の目安は20~30時間です。
技能試験は13問の候補問題の中から1題出題されます。
複線図を素早く書く練習から始まり、各問題の手順を覚え、時間内に終わらせられるよう練習を繰り返すと、20~30時間はかかります。
独学の場合は、作業の一つ一つもテキストや動画を見て確認しながら行う必要があるため、技能試験の勉強時間はなるべく多めに確保するよう心がけたほうがいいでしょう。
独学の試験対策におすすめの学習コンテンツ
筆記・技能のそれぞれの試験対策におすすめの「テキスト」「Webサイト」「YouTube動画」をご紹介します。
学習タイプ別に選べるテキスト3選
■ タイプ1. 絵で見て理解しやすい!
『
2024年版 ぜんぶ絵で見て覚える第2種電気工事士 学科試験すい~っと合格』
■ タイプ2. 例題が充実!
『
改訂版 この1冊で合格! 広川ともきの第2種電気工事士学科試験 テキスト&問題集』
■ タイプ3. 漫画だからやる気がでる!
『
すい~っと合格コミック マンガで"そこそこ"わかる新・第2種電気工事士 筆記+技能入門(改訂4版) 』
無料で使える勉強サイト『過去問クイズ』
勉強時間の目安である50時間〜150時間を確保するためには、移動中などのスキマ時間を活用することも重要です。
スマホから片手で気軽に使える便利な勉強サイトとして、『工事士.comの過去問クイズ』をおすすめします!過去15年分の試験問題をカバーしていますので、腕試しにもぜひご活用ください。
効果的に勉強できる動画3選
最近は、複雑な電気理論などをわかりやすく説明してくれる動画が増えています。特に、技能試験対策においては実際の作業を見ながら学習できるので、大変効果的です。
長時間、テキストとにらめっこでは効率も下がりますので、息抜きとしてもいかがでしょうか。
■ 動画1. 筆記試験におすすめ
『【2023年度】ド素人でもわかりやすい第二種 電気工事士講座「第1回 計算問題の裏技」』
■ 動画2. 技能試験におすすめ
■ 動画3. 忙しいときに!耳で覚えるシリーズ
『 耳で覚える‼️第2種電気工事士【第1講】電線の種類#第2種 #電気工事士 』
第二種電気工事士の学習に役立つ学習サイトについては「第二種電気工事士のおすすめ勉強サイト4選」で詳しく解説しています。
第二種電気工事士の資格取得体験談
ここからは、過去、第二種電気工事士の資格試験を受験した方たちのリアルな声を3つ、ご紹介します。
独学とはいえ、頼れる人物がいないわけではありません。先輩たちの体験談も参考にして、合格の可能性をさらに高めましょう!
体験談1. 文系女性も独学で合格できた!
上司からの勧めで、突如として第二種電気工事士を受験することになった青山OLのSさん。彼女のプロフィールは以下の通りです。
- 学生時代の得意科目は国語(数学は苦手で追試も多々…)
- 工事経験は全くナシ。不器用かつ左利き
- 持っている資格は普通自動車免許と英語検定のみ
「気合で頑張ります!」との宣言通り、筆記試験に見事合格。
残念ながら技能試験は合格となりませんでしたが、第二種電気工事士試験のコツや難しさが良く分かる内容となっています。
体験談2. あなたは過去問を何回、繰り返した?
第二種電気工事士の筆記試験は、過去問による反復練習が重要です。とはいえ、どれくらいの練習量が必要なのでしょうか?調査したところ、以下のような声がありました。
5年分の過去問を何回も繰り返した。やみくもにやるのではなく、出題の意図を意識するのが重要。
過去問は2年位で大丈夫だと思います。法規やケーブル種別など、暗記を中心にやるのがおすすめです。
過去問5年分を最低2周。1周目は問題形式に慣れて、2周目は暗記するように。
上記の皆さんの意見をまとめると、少なくとも2年〜5年分を、最低でも2周以上はする必要があるようです。参考にしながら、ご自身が確保できる勉強時間や、得意領域に合わせた練習をするようにしてください。
体験談3. 資格取得のメリットを実感!
ここでは、実際に第二種電気工事士に合格した方たちによる、その後の感想をご紹介します。
大変な試験勉強の先には、それに見合ったメリットがあることを証明してくれますので、ぜひモチベーションにしてください。
第二種電気工事士を取ったことで、毎月、会社から資格手当を受け取れるようになりました。また、できる仕事も増えて給料が上がったので、取得してよかったと思います。
(40代・建築会社 技術部門)
生まれて初めて取った資格なので、自分にとって宝物です。資格勉強に苦労した分、思い入れがありますね。
(30代・電気工事士)
(電気に関する)専門的な知識を証明できるのが良いです。将来、何かあったときにも食いっぱぐれないという安心感があります。
(40代・職業不明)
現在は電気設備管理の仕事をしています。資格を持ってるからこそ現場への指示も出せるし、責任のある仕事ができているので、取得から20年以上経った今でも、資格を有り難いと感じます。
(40代・電気設備管理)
DIYが好きで、第二種電気工事士の資格取得にチャレンジしました。文系の私でも合格できたので、未経験の人にもおすすめの資格です。コンセントの交換など、家の電気工事を業者に頼まずに自分で行えるので、便利ですね。
(20代・電気店勤務)
自分で図面を書いたり計算したりする時に、資格取得のために勉強したことがかなり役立っています。現場管理をするようになってから、この資格のメリットをより実感するようになりました。
(30代・電気工事の現場管理)
いかがでしたでしょうか?
キャリアアップのため、転職のため、仕事で必要だから…中には、DIYのためなど、第二種電気工事士の資格を取る目的は人それぞれでしょう。ぜひ、自分の合格後の姿を想像しながら、試験対策に臨んでくださいね。
独学のメリットとデメリット
第二種電気工事士の勉強方法としては、独学と学校に通う方法があります。
独学する | 学校に通う | |
メリット |
自分のペースで効率的に勉強できる 講習にかかる費用を抑えられる |
分からないところは講師に質問できる モチベーションを保ちやすい |
---|---|---|
デメリット |
最新情報のキャッチが難しい 教材を揃えないと技能試験の対策が難しい |
時間を確保できない人は通えない 独学と比較して費用がかかる |
独学で第二種電気工事士試験に挑む主なメリットは、自分のペースで学習できる点や、費用を抑えられる点です。
一方、デメリットとしては、独学では最新情報のキャッチや技能試験の実践的な対策が難しく、学習の方向性を見失いやすいという点があります。
第二種電気工事士の試験概要
第二種電気工事士の試験は、通常年2回(上期・下期)実施されます。
試験は筆記試験と技能試験の2部構成。まずは筆記試験に合格し、その後技能試験に合格することで、免状の取得が可能となります。
- 筆記試験:電気工事に関する基礎知識を問う試験
- 技能試験:配線の接続など実際の工事技術を試す試験
以下は、第二種電気工事士の免状取得までの大まかな流れです。
- 受験申込
- 筆記試験(免除者は除く)
- 技能試験
- 合格発表
- 免状交付申請
- 免状交付
第二種電気工事士の「申し込み〜免状取得まで」の流れについて、詳しくは以下の記事も参考にしてください。
>>第二種電気工事士試験の申し込み
>>第二種電気工事士の免状交付
筆記試験と技能試験の概要
第二種電気工事士の資格試験として、筆記試験と技能試験の両方を受験します。まずは筆記試験を受け、合格した方のみ技能試験を受験するという流れです。例年、技能試験は筆記試験のおよそ1〜2ヶ月後に実施されています。
筆記試験と技能試験の違いは、以下の表を参考にしてください。
筆記試験 | 技能試験 | ||
---|---|---|---|
実施期間
|
上期 | 筆記方式:2024年5月26日(日) CBT方式:2024年4月22日(月)~5月9日(木) |
2024年7月20日(土) または 2024年7月21日(日) |
下期 | 筆記方式:2024年10月27日(日) CBT方式:2024年9月20日(金)~10月7日(月) |
2024年12月14日(土) または 2024年12月15日(日) |
|
出題内容 | 電気工事士の基本知識 | 電気工事士の基本作業 | |
所要時間 | 120分 | 40分 | |
出題数 | 全50問 | 1問 |
※試験時間・出題数は変更される場合あり
筆記試験の概要
第二種電気工事士の筆記試験は、電気工事の基礎知識や、配線図に関する問題が中心です。全50問に、四択形式で回答します。
筆記方式もしくはCBT方式を選択して受験してください。
■ 筆記方式
問題用紙とマークシートを用いて行う試験方式
■ CBT方式
指定会場に準備されたパソコンの画面上で行う試験方式
筆記試験科目は次の7科目です。
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論及び配線設計
- 電気機器、配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
- 電気工事の施工方法
- 一般用電気工作物等の検査方法
- 配線図
- 一般用電気工作物等の保安に関する法令
技能試験の概要
第二種電気工事士の技能試験は、出題された単線図に従って実際に配線作業を行う方式で実施されます。
技能試験の候補問題は、電気技術者試験センターにて大抵1月頃に発表されます。必ずチェックするようにしましょう。
試験の難易度と合格率
第二種電気工事士の合格率は、筆記試験で50%〜60%、技能試験で60%〜70%程度です。第二種電気工事士は、国家資格の中でも比較的易しい部類と言われています。
難易度はそれほど高くないため、電気工事関連の資格としてまず初めに挑戦するには、最適な資格の1つと言えるでしょう。たとえ専門学校の卒業者や電気工事経験者でなかったとしても、合格できる可能性は十分にあります。とはいえ、油断は禁物です。しっかりと対策を行いましょう。
まとめ
独学による第二種電気工事士の試験合格には、適切な勉強方法を実践することが大切です。独学には苦労も伴いますが、計画を立てて一歩一歩確実に学習を進めていくことで、資格取得のチャンスは十分にあります。試験の形式や出題傾向を把握し、技能練習や過去問を解きながら、合格へ向けてより良い学習を心がけましょう。
第二種電気工事士の資格を取得することで、電気工事士として働くことが可能になります。
手に職をつけて安定した職業に就きたい方にはおすすめの資格です。
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執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
◆工事士.comについて
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※調査元:ゼネラルリサーチ
「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。
◆運営会社ホームページ
◆運営サービス
└ 施工管理求人.com(建設業界求人に特化した転職エージェント)
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◆メディア掲載実績
└ 建設専門紙「建通新聞」 / jobdaマガジン / メタバース総研 / TOKYO MX「ええじゃないか」 等
【第二種電気工事士とは】できることは?仕事内容・メリット・試験内容を解説!
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