電気工事士の離職率は?できる対策と辞めない人材確保のコツを解説

電気工事士の仕事・転職

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電気工事士の離職率は約10%、3年後離職率は20~40%です。

※離職率は電気工事士が属する「建設業」の常用労働者数と離職者数から算出

本記事では電気工事士の離職率について、以下の内容を解説します。


電気工事業界の離職事情について気になる方は参考にしてみてください。

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電気工事士の離職率は?国のデータから調査した結果

電気工事士の離職率について、国が公表しているデータと資料を用いて以下の観点から調査しました。

電気工事士の離職率

■離職率とは?

あるグループ内(産業・会社・業種など)で、一定期間に離職する確率を示す指標のこと

■3年後離職率とは?

新卒で入社した社員の、3年以内に離職する確率を示す指標のこと



電気工事士の3年後離職率

電気工事士の3年後離職率は、高卒・大卒ともに20~40%であり、新卒で入社した人のうち5人に1人〜2人ほどが離職しています。

高卒では他の産業と同等レベルですが、大卒のデータを見ると他の産業と比べて3年後離職率が高めであることがわかります。

電気工事士の3年後離職率

出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(経済産業省_2018年3月12日)

建設業全体の離職率

電気工事士が属する「建設業」全体の離職率は、毎年10%前後です。

産業全体の労働者のうち、毎年10人に1人が離職していることがわかります。

■建設業全体の離職率

年次 常用労働者数
[千人]
離職者
[千人]
離職率
平均 2736.3 260.7 9.53%
2022年 2725.8 287.1 10.53%
2021年 2804.5 260.5 9.29%
2020年 2762.6 261.9 9.48%
2019年 2728.9 250.8 9.19%
2018年 2659.8 243.4 9.15%

出典:雇用動向調査(e-stat(政府の統計総合窓口))

※離職率[%]=(離職者数÷常用労働者数)×100

他産業との離職率の比較は下表のとおりです。

建設業全体の離職率は、全産業のうち下から7番目であり、他の産業と比べて離職率は高くないことがわかります。

■他産業との離職率の比較

順位 産業分類 常用労働者数
[千人]
離職者数
[千人]
離職率
1 宿泊業,飲食サービス業 4,865.9 1,302.3 26.8%
2 サービス業(他に分類されないもの) 4,337.6 840.0 19.4%
3 生活関連サービス業,娯楽業 1,564.7 293.1 18.7%
4 医療,福祉 7,910.3 1,210.0 15.3%
5 教育,学習支援業 3,396.1 514.6 15.2%
6 卸売業,小売業 9,581.3 1,400.4 14.6%
7 不動産業,物品賃貸業 795.2 109.7 13.8%
8 消費関連産業 2,115.1 290.8 13.7%
9 運輸業,郵便業 3,078.6 378.0 12.3%
10 情報通信業 1,587.0 189.4 11.9%
11 複合サービス事業 412.5 45.2 11.0%
12 電気・ガス・熱供給・水道業 253.2 27.0 10.7%
13 建設業 2,725.8 287.1 10.5%
14 製造業 7,737.6 788.8 10.2%
15 学術研究,専門・技術サービス業 1,574.8 156.8 10.0%
16 機械関連産業 3,152.1 282.6 9.0%
17 素材関連産業 2,470.3 215.3 8.7%
18 金融業,保険業 1,366.3 113.5 8.3%
19 鉱業,採石業,砂利採取 11.9 0.8 6.7%

出典:雇用動向調査(e-stat(政府の統計総合窓口))

※離職率[%]=(離職者数÷常用労働者数)×100

ただ、産業全体の離職率が高くないからといって、電気工事業が安泰というわけではありません。

「高齢者層の退職や入職者の減少によって、将来的に電気工事士の人手不足が加速する可能性が高い」ということが、経済産業省の調査でわかっています。

電気工事士の人手不足について

出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について(経済産業省_2018年3月12日)

人手不足を未然に防ぐため、電気工事士が離職する理由その対策を理解し、少しでも社内の離職率を下げることが大切です。

 電気工事士の人手不足の実態と対策方法は、電気工事士の人手不足が深刻に!?国の資料を基に原因と対策を解説で解説しています。

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電気工事士が離職する理由は「職場環境への不満」が大きい

電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業(経済産業省)」の調査結果では、電気工事士の3人に1人が職場環境に対して何かしらの不満を持っており、「職場環境への満足度」が低いことがわかります。

電気工事士の職場環境に対する満足度

出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業(経済産業省)

この「職場環境への不満」が電気工事士の離職に繋がっています。

職場環境への不満のうち、同資料のアンケート内で多かった意見は以下の4点です。

■職場環境への不満

    1. 建設現場における立場が弱い
    2. 過酷な労働環境
    3. 不規則な労働時間
    4. 職人気質な人が多く、OJTが不十分

電気工事士が職場環境に対して感じる悪いポイント

出典:電気保安人材の中長期的な確保に向けた調査・検討事業(経済産業省)

すぐに対策できるものばかりではありませんが、少しずつでも改善していくことが電気工事士の離職防止に繋がるでしょう。

次では電気工事士の離職率を下げるための3つの対策アイデアを解説しています。
参考にしてみてください。

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電気工事士を辞めたいと感じる6つの理由と対処法|アンケートからわかる実態は?では、電気工事士として働いている方に聞いた「電気工事士を辞めたいと感じた理由やエピソード」を紹介しています。


電気工事士の離職率を下げる4つの対策

電気工事士の離職率を下げるためにできる対策は以下の4つです。

離職率を下げる対策

①現場設備や装備を改善する

電気工事士の離職率を下げる対策の1つ目は、現場設備や装備を改善することです。

なぜなら、現場設備や装備を改善することで、「過酷な労働環境」の解決に繋がるからです。

同資料内では、「過酷な労働環境」に関して以下の具体例が紹介されています。

■「過酷な労働環境」の具体例

  • 汚い現場、臭い現場がある
  • 高所・閉所・高温・低温環境で作業する
  • 悪天候等でも作業する等災害リスクがある


「現場設備や装備の改善」の具体例は以下のとおりです。

■「現場設備や装備の改善」の具体例

  • トイレ・シャワー室・着替場所を設置
  • 熱中症対策として空調服・塩タブレット等を支給、ミストファンを設置
  • 現場事務所内に必ず冷暖房を設置
  • 寒さ対策として防寒装備(電熱ベスト・カイロ等)を支給 など

電気工事士の仕事上、「過酷な労働環境」の具体例で挙げられている労働環境を取り除くことは困難です。
ただ、過酷な労働環境に耐えるための対策として、設備や装備を改善することはできるはずです。

電気工事士の離職率を下げるためにも、過酷な労働環境への対策として現場設備や装備を改善しましょう。

②休日を増やす・有給取得のハードルを下げる

電気工事士の離職率を下げる対策の2つ目は、休日を増やすことと有給取得のハードルを下げることです。

なぜなら、休日を増やして有給取得のハードルを下げることは「不規則な労働時間」の解決に繋がるからです。

同資料内では、「不規則な労働時間」に関して以下の具体例が紹介されています。

■「不規則な労働時間」の具体例

  • 休日出勤が多い
  • 工期が厳しい現場では長時間労働、休日なしが当たり前になっている
  • 工場、インフラ等は深夜、休日作業が多い


上記のすべてを自社だけで解決することは難しいでしょう。

ただ、余裕を持った工期設定や振替休日・有給休暇を取りやすい空気を作ることで「不規則な労働時間」に対する不満は徐々に減っていくはずです。

 電気工事士の業務上、今すぐに「不規則な労働時間」を改善することは難しいと思いますが、少しずつでも改善していく意識が大切です。

③指導者への教育と業務のマニュアル化

電気工事士の離職率を下げる対策の3つ目は、指導者への教育に力を入れることと業務のマニュアル化です。

なぜなら、指導者への教育に力を入れること・業務のマニュアル化によって、「職人気質な人が多く、OJTが不十分」の解決に繋がるからです。

同資料内では、「職人気質な人が多く、OJTが不十分」に関して以下の具体例が紹介されています。

■「職人気質な人が多く、OJTが不十分」の具体例

  • 頑固な職人との人間関係
  • 若い人や経験不足な人を怒鳴りつけることが多い
  • 技術継承・後継育成がうまくいっていない
  • 技術を取得するまでに時間がかかる


上記から、昔ながらの「見て覚えさせる」指導だけでは電気工事士の離職は避けられないことがわかります。

もちろん昔ながらの指導も大切です。
ただ、電気工事士の離職防止を1番に考えるならば、指導側への教育や業務のマニュアル化を行い、人間関係・技術継承・後継育成を円滑に行える仕組みを整えることが重要になります。

④「電気工事士 やめとけ」のイメージを払拭させる

電気工事士の離職率を下げる対策の4つ目は、「電気工事士 やめとけ」といった世間のイメージを払拭させることです。

電気工事士については、ネット上などでしばしば「やめとけ」と言われることがあります。

電気工事士が「やめとけ」と言われる主な理由は、離職理由でもご紹介した「職場環境」の悪さです。

そのため、「現場設備や装備の改善」や「不規則な労働時間の解決」、「業務のマニュアル化」など、働き方を整えることで、電気工事士に対するマイナスなイメージが薄れ、離職率を下げることに繋がります。

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離職しにくい電気工事士の獲得には採用のミスマッチを防ぐことが不可欠

離職しにくい電気工事士の獲得には、採用時のミスマッチを防ぐことが不可欠です。

いくら離職率を下げるための対策を行っていたとしても、会社と求職者の認識違いやコミュニケーション不足をはじめとする「採用時のミスマッチ」があれば、入社後すぐに離職されてしまうリスクがあるからです。

就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、1人あたりの採用にかかる費用は新卒で93.6万円、中途採用で103.3万円ほど。(2019年度実績)

約100万円かけて獲得した人材がすぐに辞めてしまったとしても、採用にかけた費用と時間は戻ってきません。

電気工事士に特化した求人サイト「工事士.com」では、経験者はもちろんのこと未経験者でも「電気工事で手に職をつけて頑張りたい!」という人材が集まっています。
そのため、入社後のミスマッチが少ないとご好評いただいています。

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まとめ|電気工事士の3年後離職率は20~40%、建設業全体では10%前後

本記事では電気工事士の離職率について、以下の内容を解説しました。


電気工事士が離職する原因を知り、離職率を下げる対策を行うことで、少しずつでも社内の離職率を改善していきましょう。

また、離職しにくい電気工事士を獲得するためには採用時のミスマッチを防ぐことが不可欠です。

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