仮設工事とは?種類から電気引込や水道開栓などの仕事内容を分かりやすく解説!
電気工事士の仕事・転職最終更新日:
仮設工事とは、一時的に設置される施設や設備の工事です。建設プロジェクトを成功させるために重要な役割を担っています。
具体的な仕事内容は、工事現場の安全を守る足場の設置や仮囲い、作業に必要な電気や水道の準備、職人さんが使う道具の運搬路確保など多岐にわたります。工事完了後には撤去されますが、工事全体の品質やスケジュールに大きく関わる、まさに縁の下の力持ちと言えるでしょう。
本記事では、仮設工事の役割や種類、メリットなどを幅広く解説します。
建設業界や電気工事士などの職人系職種に興味のある方は、ぜひ本記事を参考に仮設工事について理解を深めてください。
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仮設工事とは
建設工事を安全かつスムーズに進めるために、一時的に設置される施設や設備の工事を「仮設工事」と言います。
工事完了後に撤去されるため成果物としては残りませんが、工事の成功に欠かせない仕事です。
ここからは、仮設工事を2つの側面から見ていきます。
仮設工事の役割とは
仮設工事の重要な役割は、建設工事全体の「安全性」と「作業効率」を高めるための基盤を整えることです。
仮設工事が適切に行われないと、高所作業が危険にさらされたり、作業が滞ったり、周辺環境へ悪影響を及ぼす可能性もあります。
仮設工事の重要な役割として、主に以下のようなものがあります。
■仮設工事の主な役割
- 安全性の確保
高所作業を安全に行うための足場の設置や、工事現場と外部を区切り、関係者以外の立ち入りを防ぐ仮囲いの設置などを行う - 作業効率の向上
作業員の休憩や打ち合わせの拠点となる現場事務所の設置、工事に必要な電気や水道を一時的に供給する設備の準備などを行う - 品質の担保
既設の施設や周辺環境を汚れ・損傷から守る養生、建物の正確な高さを示す墨出しなどを行う
仮設工事は、現場で働く人々や周辺環境を守り、工事全体の品質を支える大切な役割を担っています。
仮設工事の種類とは
仮設工事は、目的や対象範囲によって「共通仮設工事」と「直接仮設工事」に分けられます。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
■ 仮設工事の種類
工事種類 | 内容 |
---|---|
共通仮設工事 | 特定の工種に限定されず、工事現場全体で共通して必要となる設備や準備作業 ※工事期間中の作業環境を整え、現場全体の円滑な運営を支える ■共通仮設工事の例
|
直接仮設工事 | 建物本体の工事や特定の作業を直接的にサポートするために行われる ※実際の建設作業の品質や効率、安全性に直結する重要な工事 ■直接仮設工事の例
|
これらの工事は互いに連携し、それぞれの役割を果たすことで、建設プロジェクト全体の安全性や作業効率が向上します。
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仮設工事の仕事内容
仮設工事は、建設プロジェクトを安全かつスムーズに進めるために重要な工程です。
建物本体の工事とは異なり、工事の準備段階から建設完了後の後片付けまで、現場全体を支える縁の下の力持ちと言えます。
具体的には、以下のような作業があります。
これらの各作業について、詳しく見ていきましょう。
水盛・遣り方
水盛・遣り方(みずもり・やりかた)は、建設工事の初期段階で行われる、建物の正確な位置・高さ・水平の基準を現場に設ける作業です。
■水盛・遣り方の作業内容
- 水盛:レベル(測量機器)を使い正確な水平基準を出す作業
- 遣り方:水盛で出した水平を基準に、建物の輪郭となる杭や板(貫板)を設置する作業
水盛・遣り方は、建物全体の品質を左右するため、ミリ単位の高い精度が求められます。
この作業が不正確な場合、建物が傾いたり、設計と異なる位置に建ったりする可能性があります。
仮設電気工事
建設現場では数多くの電動工具や照明を使用するため、新築現場のように電気が整備されていない環境では、一時的な電力供給設備が必須です。
また、既存建物の工事でも、消費電力の大きな工具を複数使用するとブレーカーが落ちる可能性があるため、専用の仮設電源を設ける場合があります。
仮設電気工事の主な仕事内容は、以下のとおりです。
■仮設電気工事の作業内容
項目 | 仕事内容 |
---|---|
電力会社への申請手続き |
|
電源の確保 |
|
現場内の電気設備設置 |
|
適切な容量の確保 |
|
工事中の対応 |
|
安全管理と法令遵守 |
|
撤去作業 |
|
このように、仮設電気工事は建設現場における動力の確保を担う業務です。
仮設水道工事
建設現場では、コンクリートの練り混ぜや洗浄など様々な場面で水が必要になるため、工事開始前に仮設水道の準備が必要です。
主な作業内容は、以下のとおりです。
■仮設水道工事の作業内容
- 水道局への申請、仮設メーターや給水管の設置
- 現場状況に応じた仮設の流し台や排水設備の設置
- 工事進捗に伴う配管の延長・変更、工事完了後の撤去
仮設水道を設置することで、作業員の手洗いや道具洗浄がスムーズになり、衛生的な作業環境も維持できます。
仮設トイレの設置
仮設トイレの設置は、長期間の工事や近隣にトイレがない場合には欠かせません。
仮設トイレを設置する場合、以下のような作業を行います。
■仮設トイレ設置の作業内容
- 作業員の動線を考慮した設置場所の選定
- 転倒防止のための確実な固定
- 定期的な清掃と衛生管理
近年、国土交通省も快適トイレの導入を推奨しており、作業環境改善の観点からも重要視されています。
現場事務所の設置
長期間行われる工事の建設現場では、工事の拠点(作業員の休憩・打ち合わせ場所)として、現場事務所を設置するのが一般的です。
主な役割と設置方法は、以下のとおりです。
■現場事務所設置の役割と設置方法
- 役割:施工管理、事務作業、休憩、打ち合わせ、工具・資材置き場
- 設置方法:敷地に余裕がある場合はプレハブ設置、スペースが限られる場合は近隣物件を借りる
現場事務所は、図面確認や書類作成の効率化、作業員の方々がリフレッシュできる環境として重要な役割を担っています。
仮設足場の設置
高所作業において、作業員の安全確保と作業効率向上のために仮設足場は不可欠な設備です。
仮設足場設置の特徴には、以下のようなものがあります。
■仮設足場設置の特徴
- 役割:安全な作業スペースの提供、材料・道具運搬の効率化
- 種類:ビケ足場、枠組み足場、単管足場など、建物の規模や作業内容で使い分ける
- 作業者:専門知識を持つとび職人が、安全基準を遵守し組立・解体
- 安全設備:作業床、手すり、昇降階段、墜落防止ネットなどを設置
仮設足場は、職人が安定して作業に集中できる環境を作り、建設現場の安全と品質を支える重要な役割を担います。
仮設ネット・仮囲いの設置
建設現場では、安全確保と周辺環境への配慮のため、仮設ネットや仮囲いを設置します。
それぞれの主な役割は、以下のとおりです。
■仮設ネット設置の役割
- 工具・材料の落下防止
- 作業員の墜落防止
- 塗料などの飛散防止
■仮囲い設置の役割
- 部外者の侵入防止
- 騒音・粉塵の拡散抑制
- 景観保持、資材盗難防止
仮設ネットや仮囲いの設置・撤去は、現場状況や法令に基づき適切に行う必要があり、仮設工事の重要な仕事の一つです。
養生
養生(ようじょう)とは、工事中に既存設備や新設箇所、周囲の物品を損傷や汚れから守るため、シートやボードで保護する作業です。
具体的には、以下のような作業を行います。
■養生の作業内容
- 床、壁、柱などへの保護シート貼り
- 塗装時のマスキングテープやビニールシートでの被覆
- 屋外での資材の雨風からの保護、近隣への粉塵飛散防止ネット設置
養生が不十分だと補修や作り直しにつながるため、丁寧な作業が求められます。
墨出し
墨出し(すみだし)とは、設計図に基づき、建物の柱・壁・設備等の正確な位置や高さを、床・壁・天井へ記す作業です。
工事全体の基準となり、高い精度が求められる重要な役割を担います。
主な特徴は、以下のとおりです。
■墨出し作業の特徴
- 目的:全ての工事の基準となる線や印を現場に表示する
- 道具:レーザー墨出し器などが主流
正確な墨出しが行われないと、後工程の職人がスムーズに作業を進められず、工事の進行が滞ってしまう原因になりかねません。
廃材処分
建設工事では、解体ガラや梱包材、端材など様々な廃材が発生します。
廃材をルールに沿って分別し、法律に基づき処分することも仮設工事の重要な仕事の一つです。
廃材処分の主なポイントには、以下のようなものがあります。
■廃材処分作業の特徴
- 対象:建設現場から出る廃材
- 作業内容:種類ごとの分別、関連法規(廃棄物処理法など)を遵守した処分
- 注意点:不適切処理は罰則対象
- 現場管理:計画的な収集、一時保管場所の設置による安全確保と作業効率化
廃材処分は、法令遵守と適切な現場管理が求められる、責任ある業務です。
清掃・片付け
建設現場の清掃・片付けは、安全で効率的な作業環境維持に欠かせません。
ホコリやゴミ、資材の切れ端などが散乱すると、事故リスクの増加や作業効率低下につながります。
主な作業内容は、以下のとおりです。
■清掃・片付けの作業内容
- 日々の作業終了時や工程の区切りでの定期的な清掃・整理整頓
- 使用した道具の定位置への返却
- 不要な資材の集約、床の清掃 など
これらの地道な作業が現場全体の安全と品質を支えるため、工事期間中の継続的な清掃・片付けは仮設工事の重要な役割です。
警備
建設現場では、様々な目的で警備が必要となる場合があります。
主な目的と具体的な業務は、以下のとおりです。
■警備の目的
- 資材の盗難防止
- 関係者以外の立ち入り禁止
- 工事車両の安全な誘導
- 近隣住民への配慮
■警備の作業内容
- 警備員による出入り口管理(人・車両)
- 防犯カメラ・センサーライトの設置(夜間・休日対策)
- 交通誘導員による公道での安全確保
警備業務は、工事を安全に進めるために不可欠な存在で、現場の状況や規模に応じて適切に設置することが求められます。
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仮設工事の作業に必要な資格
仮設工事の作業を安全かつ適切に行うためには、それぞれの資格が必要になる場面があります。
特に専門性の高い作業や危険を伴う作業では、法令で定められた資格がなければ従事できません。
仮設工事作業において、特に重要な資格は以下のものが挙げられます。
■仮設工事の作業で役立つ資格
資格 | 主な対象作業 等 |
---|---|
電気工事士(第一種・第二種) | 仮設電気設備の配線、分電盤設置などの電気工事全般 |
足場の組立て等作業主任者 | つり足場、張出し足場、または高さ5m以上の足場の組立て、解体、変更作業 |
玉掛け技能講習 | クレーンなどで荷を吊りする際のワイヤーロープなどの玉掛け作業 |
高所作業車運転技能講習 | 高所作業車の運転(作業床の高さ10m以上) |
フォークリフト運転技能講習 | フォークリフトの運転の業務(最大荷重が1t以上) |
上記以外にも、現場の状況や作業内容によって必要となる資格・教育があります。
なお、上記の資格においては、電気工事士以外は技能講習などで取得することができます。
取得方法や受講要件の詳細は、各資格を管轄する機関や実施団体のサイト等にてご確認ください。
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仮設工事の仕事を選ぶメリット
仮設工事の仕事は、専門スキルを磨けばキャリアアップを目指せる点がメリットです。
特に、建設業界でのキャリア形成や、電気工事などの専門技術を活かしたい方には、おすすめの職種と言えるでしょう。
主なメリットには、以下のようなものがあります。
■仮設工事の仕事のメリット
メリット | 詳細 |
---|---|
工事全体の流れを把握しやすい | 水盛・遣り方から始まり、足場設置、撤去まで、建設の「始まり」と「終わり」に深く関わるため、プロジェクト全体の知識や段取りを学べる |
専門性を活かし、高められる | 仮設電気工事など、電気工事士の資格を活かせる専門業務が豊富 |
キャリアアップの機会 | 足場の組立て等作業主任者や玉掛け技能講習など、関連資格の取得は仕事の幅を広げ、収入アップやキャリアアップにつなげられる |
このように、仮設工事は建設業界への貢献を実感できるだけでなく、様々なスキルを習得し、専門性を高めながら成長できるといったメリットがある仕事です。
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仮設工事の中でも、電気設備の設置や配線などの仮設電気工事などは専門職であるため、就職先を見つける際には求人情報を効率よく見つけることが大切です。
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まとめ
本記事では、仮設工事の概要やさまざまな仕事内容、メリットなどについて解説しました。
- 仮設工事は、建設工事の安全性と効率性を高め、プロジェクトを円滑に進めるために重要な仕事である
- 仮設工事の仕事内容は、水盛・遣り方、仮設電気・水道工事、足場設置、養生、清掃、警備まで多岐にわたる
- 仮設工事の仕事においては、電気工事士や足場関連など、専門性の高い特定の資格が必要となる場合がある
- 仮設工事の仕事には、工事全体の流れを把握でき、専門スキル向上やキャリアアップにつながるといったメリットがある
仮設工事は建設工事を支える重要な仕事です。興味を持った方は、仮設工事の案件を取り扱う企業の求人を探してみましょう。
執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
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