計装士とは?仕事内容や資格概要から試験内容やテキストを使った勉強法まで紹介!

電気工事士の資格・試験

目次[閉じる]

最終更新日:

計装士とは、工場やプラントで計測機器や制御システムを扱う技術者です。 具体的には、温度や圧力などを測る機器の設置や調整、保守を担当し、製造過程を監視します。現場の安全と効率を支える重要な仕事で、専門知識と実務経験が必要とされています。

また、工場やビルにとって計装は必要不可欠であることから、計装士は社会的に需要の高い資格であると言えます。

この記事では計装士の資格について、仕事内容、資格取得方法、資格の取得メリット、勉強方法についてまとめました。


計装士の資格取得を目指している方や、計装士に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。


電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で計装工事の求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由

計装士の仕事内容は?

計装士の仕事内容は、工場やビルなどに設置される計測・制御のシステム設計、施工、保守です。

設備の安定稼働や省エネ、コスト削減を目的に、さまざまな分野で活躍しています。

■ 計装士の主な業務内容

  • システム設計:計測・制御システムの構成を決定し、制御盤や配線図を作図する
  • 施工:制御機器や計測機器の取り付け、配線工事、システムの試運転を行う
  • 保守:設備の異常を監視し、定期点検や修理を実施する

「計装(計器装備)」とは、設備の自動制御や監視のために、温度・湿度・圧力・流量・電流などを測定するセンサーを設置することを指します。


この計装に関する知識と技術を活かし、自動制御の分野で活躍しているのが「計装士」です。発電所や化学プラント、ビルの空調管理など、多くの現場で重要な役割を担っています。

計装士が関わる計測・制御システムには、以下のようなものがあります。

■ 計測・制御システムの例

  • 工場設備を配線し、中央監視装置から遠隔で運転する
  • タンク内の温度や圧力を測定して、自動で加熱のON・OFFを行う
  • 配管の流量を測定して、一定となるようにバルブを開閉する
  • 室内の温湿度を保つために、空調機を自動制御する

近年、IoT技術の発展により、計装の分野も進化を続けています。

例えば、ワイヤレスセンサーを活用した遠隔監視や、AIによる異常検知・予知保全など、新たな技術が導入されています。

このように、計装士の役割はさらに広がり、工場やビルの設備導入・維持管理に欠かせない存在となっています。

■ 関連記事

計装工事については「計装工事とは?電気工事との違いや仕事内容から必要な資格まで詳しく解説」で詳しく解説しています。


\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

計装士の資格概要

計装士の資格概要

計装士は「一般社団法人 日本計装工業会」が認定する資格で、「1級」「2級」の区分があります。

1級計装士は2級計装士の上位資格で、「計装工事における上級の技術者が、通常有すべき知識及び技術の程度を有する者」と定義されています。(※引用:計装士試験(一般社団法人 日本計装工業会)

1級・2級計装士の資格試験について、詳しく見ていきましょう。


受験資格

1級・2級計装士の試験を受験するためには、それぞれに応じた実務経験年数を満たす必要があります。

■ 1級・2級計装士の受験資格

資格 条件
1級計装士
  • 計装工事の設計・施工の実務経験年数5年以上
  • 2級計装士合格者の場合、実務経験年数4年6ヶ月以上
  • 上記年数には「指導監督的実務経験1年以上」を含む
2級計装士
  • 計装工事の設計・施工の実務経験2年以上

※参考:計装士試験(一般社団法人 日本計装工業会)

学歴による受験資格はなく、実務経験を満たしてさえいれば受験可能です。

なお、計装士試験には条件を満たせば学科試験の一部が免除される制度があります。

学科試験免除の条件は以下の通りです。

■ 1級・2級計装士の免除条件

  1. 同一等級の学科試験に前年度または前々年度の時点で既に合格している場合
  2. 以下の表に示す規定の資格を保有している場合(〇が付いている資格)

■ 1級・2級計装士の免除条件 対象資格一覧

資格名 1級計装士試験 2級計装士試験
1級電気工事施工管理技士
学科試験Bの免除

学科試験Bの免除
2級電気工事施工管理技士 対象外
学科試験Bの免除
1級管工事施工管理技士
学科試験Bの免除

学科試験Bの免除
2級管工事施工管理技士 対象外
学科試験Bの免除
1級電気通信工事施工管理技士
学科試験Bの免除

学科試験Bの免除
2級電気通信工事施工管理技士 対象外
学科試験Bの免除
第一種電気工事士 対象外
学科試験Bの免除

※参考:計装士試験(一般社団法人日本計装工業会)

免除条件を上手く利用し、効率的に合格を目指しましょう。

試験内容

計装士試験では、1級・2級ともに「学科試験」と「実地試験」が行われます。

最初に学科試験が行われ、その後の実地試験に合格すれば資格取得となります。

学科試験・実地試験それぞれの試験内容は以下の通りです。

■ 1級・2級計装士の学科・実地試験内容

区分 試験方式 試験時間
学科試験(学科A) マークシート方式 3時間
学科試験(学科B) マークシート方式 1時間
実地試験 記述式 4時間

※参考:受験の手引き(一般社団法人日本計装工業会)

計装士試験の学科試験は、「学科A」と「学科B」の2つで構成されています。

学科Aでは「計装一般」や「計装設備」に関する問題、学科Bでは「施工管理」や「計装関係法令」に関する問題が出題範囲です。

実地試験では「計装設備計画」や「計装設備設計図」から記述式で出題され、作図も一部出題されます。

■ 学科A・学科Bの出題範囲

  • 学科A:「計装一般」や「計装設備」に関する問題
  • 学科B:「施工管理」や「計装関係法令」に関する問題
  • 実地:「計装設備計画」や「計装設備設計図」に関する問題

1級・2級とも問題の構成はほぼ同じですが、1級の方が難易度が上がります。

計装士試験に合格するためには、試験範囲をしっかりと把握し、計画的に学習を進めることが重要です。

十分な準備を整え、自信を持って試験に臨みましょう。

合格基準

一般社団法人日本計装工業会発行の「登録計装試験実施規定」によると、 計装士試験の合格基準は学科試験・実地試験ともに55%から65%とされています。

例えば2024年度の学科試験合格基準は以下の通りでした。

■ 2024年度 1級・2級計装士学科試験の合格基準

資格 合格基準
全科目受験者 学科B免除受験者
1級計装士 320点中 得点率55%以上 230点中 得点率55%以上
2級計装士 320点中 得点率60%以上 230点中 得点率60%以上

※参考:「令和6年度計装士試験学科試験」合格基準について(一般社団法人日本計装工業会)

まずは得点率60%以上を目指して学習を進めるのが良いでしょう。

合格率・難易度

計装士の合格率については、一般社団法人日本計装工業会から正確な数値は発表されていません。

しかしながら、一般的に計装士の合格率は下記のとおりと言われています。

■ 1級・2級計装士試験 平均合格率(概数)

平均合格率
1級計装士 学科試験 60%程度
1級計装士 実地試験 75%程度
2級計装士 学科試験 65%程度
2級計装士 実地試験 85%程度


計装士試験は実務経験がないと受けられないため、受験者はすでに高い専門性を持っている方が多く、 平均合格率は比較的高い傾向にあります。

したがって、計装士はしっかりと対策すれば十分に合格できる資格であると言えるでしょう。

試験日程

2025年度の計装士試験の日程は下記の通りです。

■ 2025年度 1級・2級計装士 試験日程

区分 試験日 合格発表日
1級計装士学科試験 2025年8月23日(土) 2025年9月26日(金)
1級計装士実地試験 2025年12月13日(土) 2026年2月13日(金)
2級計装士学科試験 2025年8月24日(日) 2025年9月26日(金)
2級計装士実地試験 2025年12月14日(日) 2026年2月13日(金)

※参考:令和7年 計装士試験(学科・実地)(一般社団法人日本計装工業会)

なお、試験は全国5都市(東北・関東・中部・関西・九州)において開催されます。

詳細は「一般社団法人日本計装工業会のHP」をご確認ください。

\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

計装士の勉強方法

計装士の勉強方法

1級・2級計装士資格合格のためには、テキストを一通り学習し、その後は過去問を繰り返し演習する勉強方法が望ましいでしょう。

1級・2級計装士の勉強用テキストは「一般社団法人 日本計装工業会」のホームページから購入できます

■ 1級・2級計装士試験のテキスト・過去問

教材 詳細
テキスト
過去問 日本計装工業会HPで公開(期間限定)


計装士の資格試験は市販のテキストがほとんどありません

そのため、上記のテキストを購入して学習を進めるのが一般的です。

また、毎年6~7月に開催される「技術講習会」に参加すると 試験範囲や出題傾向について効率的に学ぶことができます。

計装士はしっかりと対策をすれば十分に合格できる資格のため、計画を立てて学習を進めていきましょう。

\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

計装士の資格取得のメリット

計装士の資格を取得することで得られるメリットは、主に4点あります。


高い専門スキルが身につく

計装士の資格を取得する過程で、計測機器や制御システムに関する知識を体系的に学ぶことができます。

計装士試験では、以下のような幅広い知識が問われます。

■ 計装士の資格取得で身につく知識

  • 計測機器の原理と種類(温度計、圧力計、流量計など)
  • 制御理論と制御方式(PID制御、シーケンス制御、DCS/PLCなど)
  • 計装システムの設計・施工・保守管理
  • 電気・電子工学、通信技術の基礎
  • 安全管理や関連法規

計装士の受験者は計測・制御の実務経験が豊富な方が大半ですが、最新の技術や法規、理論を学ぶことで専門スキルの底上げを図ることができます。

さらに計装士取得後は、設計や施工管理の責任者として、より高度な専門知識と実務能力が求められます。

計装士は取得後も専門スキルをさらに高められる職業と言えるでしょう。

転職で有利になりやすい

計装士の資格所有者は企業にとって需要が高いため、転職で有利になる可能性が高いです。

企業に計装士がいると、建設業の経営事項審査の評点に1人当たり1点が追加されます。

したがって、計装士は自身にとっても企業にとっても取得メリットの大きい資格と言えるでしょう。

また、需要が高い職業であるため、雇用が安定するという点も大きなメリットの一つです。

経営事項審査とは:国・地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査
※参考:計装士について(一般社団法人日本計装工業会)


電気設備業界に特化した転職サイト「工事士.com」では、計装士の求人も多数掲載しています。

工事士.comのトップページ

まずは求人をチェックして、自分に合った求人を見つけてみましょう。

\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

収入アップが望める

計装士の資格を取得すると、「資格手当」がついたり昇進の機会が増えたりすることで、収入アップが期待できます。

計装士資格の取得は、計測・制御分野の専門知識と高い技術を持っていることを証明できるため、キャリアアップの大きな武器になるでしょう。

また、1級計装士を取得すれば設計や施工管理の責任者として活躍することが可能となり、より高い給与や待遇を得られる可能性もあります。

計装士の資格取得は、収入アップやキャリアアップを目指す上で非常に有利になると言えるでしょう。

活躍の場が広がる

計装士の資格を取得することで、業務の幅が広がり、高い専門性が必要な仕事に携わるチャンスが増えます。

■ 活躍できる業界が広がる

計装技術はあらゆる業界で必要不可欠な技術です。

工場やビルの他にも、電力・エネルギー業界や、インフラ業界、通信業界など、活躍の場は様々です。

資格を取得することでこれらの業界に転職しやすくなります。

■ 業務範囲が広がる

計装士の仕事は設計・施工管理・保守と幅広いため、計測・制御システムの上流から下流まで携わることができます。

専門スキルが上がり、視野も広がるでしょう。

■ 最新の技術に携われる

近年は計測技術が非常に発展しており、計装士の需要は非常に高まっています。

スマートファクトリーやIoT、自動制御技術の発達など、計装士の活躍の場は今後ますます広がっていくでしょう。

最新の技術に触れながら働くことができる点も計装士の大きな魅力の一つです。

\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

計装士の年収

計装士全体の年収は、約400〜700万円の範囲と言われています。

なお、年収は、雇用形態や、経験や保有資格、勤務地域、企業規模などによって大きく異なります。

収入アップを目指すには、関連資格の取得や管理職へのキャリアアップが有効です。業界全体の将来性は高いため、計装士の需要は今後も高まるでしょう。

また、収入アップのためには上位資格の取得もおすすめです。2級計装士の方は、1級計装士を取得すると、より高度な業務に携われるため、収入アップに繋げやすくなります。

\ 工事士.comで求人情報をチェックする /

▶ 計装工事の求人をチェックする

※登録不要で求人を探せます

まとめ

この記事では計装士の資格について、仕事内容、資格取得方法、資格の取得メリット、勉強方法についてまとめました。

この記事のまとめ
  • 計装士の主な仕事内容は、工場やビルなどに設置される計測・制御の「システム設計、施工、保守」
  • 計装士の資格は「1級計装士」と「2級計装士」があり、受験するにはそれぞれ実務経験が必要
  • 計装士資格を取得すると、高い専門スキルが身につくため、転職で有利になったり、収入アップが望めたり、活躍の場が広がったりするメリットがある

計装士は計測・制御システムにおいて高い専門スキルがあり、工場やビルを始めとして、あらゆる分野で需要がある資格です。

計測技術・自動化技術の発展やIoTの登場で、今後ますます活躍が期待されます。

また、資格取得には実務経験が必要ですが、試験自体はしっかりと対策すれば十分に合格が可能です。

非常に取得メリットの大きい資格なので、計装分野でのキャリアアップを目指している方はぜひ資格取得を目指してみてください。

電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で計装工事の求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由

工事士.com編集部のロゴ

執筆者・監修者

工事士.com 編集部



株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。

◆工事士.comについて

  • 電気工事業界専門の求人サイトとして2012年にサービス開始
  • 転職活動支援実績は10,000社以上
  • 「電気工事士が選ぶ求人サイト」として「使いやすさ」「信頼度」「支持率」の三冠を獲得

※調査元:ゼネラルリサーチ

「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。

◆運営会社ホームページ

株式会社H&Company

◆運営サービス

工事士.com(電気業界に特化した求人サイト)

施工管理求人.com(建設業界求人に特化した転職エージェント)

建設魂(建設業界を応援する情報サイト)

電工タウン(電工向けコミュニティサイト)

BT-web(建設業界専門のCMSサービス)

◆SNSアカウント

工事士.com X(旧Twitter)公式

◆メディア掲載実績

建設専門紙「建通新聞」 / jobdaマガジン / メタバース総研 / TOKYO MX「ええじゃないか」

その他の条件で電気工事士の求人を探す

資格試験スケジュールカレンダー