【リングスリーブの覚え方】語呂合わせ&サイズ早見表で技能試験対策もバッチリ!

電気工事士の資格・試験

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電気工事士技能試験では、リングスリーブの選定と圧着作業が重要な採点ポイントです

特に電線の種類と本数に応じた適切なサイズ選びや、正しい工具の使用が求められ、間違えると欠陥として扱われてしまいます。


この記事では、リングスリーブの基本的な役割から、技能試験で役立つ覚え方のコツ、よくあるミスの回避方法まで詳しく解説します。


また、実際の施工現場で必要な知識や、試験当日の持ち物についても紹介していきますので、電気工事士を目指す方はぜひ参考にしてください。


リングスリーブとは?基本知識

リングスリーブは、電線同士を安全かつ確実につなぐための部品です

主に電気工事の現場で使われており、複数の電線を圧着することで電気の通りを安定させます。また、電線をリングスリーブで覆うことで、漏電や火災のリスクを減らせます。

形状は小さな筒状で、アルミや銅製が一般的です。施工の際には専用の工具を使い、適切なサイズを選ばなくてはなりません。


ここからは、リングスリーブの役割や種類、使用する工具について詳しく解説していきます。

リングスリーブの役割と用途

リングスリーブの役割と用途は、以下のとおりです。

■役割

  • 電線の保護:電線を保護し、損傷や摩耗から守る
  • 絶縁:電線の絶縁を確保し、ショートや漏電を防ぐ
  • 接続:電線を接続する際に使用し、安定した接続を実現する
  • 整理:電線を整理し、メンテナンスを容易にする

■用途

  • 家庭の配線工事
  • 商業施設の電気設備工事
  • 複数本の電線接続時

リングスリーブは、安全性と作業効率を向上させるための重要な部品で、用途に応じた使い方を理解することが大切です。

リングスリーブの種類とサイズ

リングスリーブには主に「小」「中」「大」の3種類があり、電線の太さと本数の組み合わせによって使い分けます


■リングスリーブの種類と使用用途

種類 使用用途

リングスリーブ(小)
リングスリーブ(小)

  • Φ1.6mm(2.0mm²)を2~4本接続する場合
  • Φ2.0mm(3.5mm²)を2本接続する場合

リングスリーブ(中)
リングスリーブ(中)

  • Φ1.6mm(2.0mm²)を5~6本接続する場合
  • Φ2.0mm(3.5mm²)を3~4本接続する場合
  • Φ2.6mm(5.5mm²)を2本接続する場合

リングスリーブ(大)
リングスリーブ(大)

  • Φ1.6mm(2.0mm²)を7本接続する場合
  • Φ2.0mm(3.5mm²)を5本接続する場合
  • Φ2.6mm(5.5mm²)を3本接続する場合

サイズ選びは、電線の総断面積に応じて行います。間違ったサイズを使うと、接続不良や火災の原因になるため注意が必要です。

また、電気工事士技能試験でも、正しいサイズ選択が求められる場面が多くあります。

使用する工具とその選び方

リングスリーブを使用する際には、適切な工具選びが重要になります。なぜなら、圧着不良は接続不良や発熱の原因となるため、正しい工具を使いこなす必要があるからです。

主な使用工具と選び方のポイントは、以下のとおりです。


■主な使用工具と選び方

工具 選び方のポイント

リングスリーブ用圧着工具
リングスリーブ用圧着工具

  • JIS規格表示のある工具を選ぶ
  • 柄が黄色のものが一般的
  • ヘッド部分には「○」「小」「中」「大」の刻印

ニッパー
ニッパー
ワイヤーストリッパー
ワイヤーストリッパー

  • 電線の被覆剥きに使用
  • VVFケーブル専用のストリッパーも便利
  • 8〜9mmの被覆が簡単に剥けるものを選ぶ

圧着工具は握力に合わせて選ぶことをおすすめします。

特に「中」や「大」のリングスリーブを使用する際は大きな力が必要となるため、柄の長いものを選ぶと作業がしやすくなります。



リングスリーブの覚え方

リングスリーブの組み合わせは、一見複雑に見えますが、実はシンプルな法則で覚えることができます。


ここでは、サイズごとの基本的な使い方、語呂合わせを使った覚え方、そして実践的な練習方法という3つのステップで解説していきます。


技能試験でよく出題されるパターンを中心に、効率的な覚え方のポイントを順番に見ていきましょう。

まずは基本となるサイズごとの使い分けから確認していきます。

サイズごとに覚える

リングスリーブのサイズ選びで大切なのは、断面積の合計値を基準に考えることです
電線を実際に接続する際、太さと本数の組み合わせで選ぶ必要があります。


基本的な計算方法は、以下のとおりです。

  • 1.6mmの電線は1本あたり断面積2mm²として計算
  • 2.0mmの電線は1本あたり断面積3.5mm²として計算

以上を合計して判断します。


合計した数値をもとにリングスリーブを選択します。

  • 合計8mm²以下:「小」のリングスリーブ
  • 8mm²超〜14mm²以下:「中」のリングスリーブ
  • 14mm²超:「大」のリングスリーブ

例えば、1.6mmの電線を3本接続する場合は、2mm²×3=6mm²となります。合計値が8mm²以下なので「小」のリングスリーブを選んでください。

一方、2.0mmの電線を3本接続する場合は、3.5mm²×3=10.5mm²となり、「中」のリングスリーブが適切です。

このように、計算式を使えば迷わず選べます。

語呂合わせで覚える

リングスリーブの選び方を語呂合わせで簡単に覚えるコツをご紹介します。

最初に覚えるべき数字は「8、1.6、2、2、3.5」の5つです。この数字を「蜂がイチローに、兄さんがGO」という語呂合わせで記憶しましょう。


それぞれの数字の意味は、次のとおりです。

  • 「蜂(8)」:8mm²が「小」と「中」の境目となる基準値
  • 「イチローに(1.6、2)」:1.6mmの電線の断面積が2mm²
  • 「兄さんGO(2、3.5)」:2.0mmの電線の断面積が3.5mm²

この語呂合わせを使えば、試験中でも落ち着いて計算できます。

特に「蜂(8)」の数字は重要で、断面積の合計が8mm²以下なら「小」、8mm²を超えると「中」を選びます
1.6mmと2.0mmの断面積さえ覚えていれば、あとは単純な足し算で判断できるので安心です。

実物で練習して感覚を身につける

リングスリーブを練習する際は、まず基本的なパターンから始めましょう。電気工事士試験で頻出の組み合わせを重点的に練習することで、本番での失敗を防げます。


主な練習パターンは、以下のとおりです。

■1.6mmの電線を使用する場合

  • 2本:小スリーブ・○印
  • 3〜4本:小スリーブ・小印
  • 5〜6本:中スリーブ・中印
  • 7本以上:大スリーブ・大印

■2.0mmの電線を使用する場合

  • 2本以下:小スリーブ・小印
  • 3本以上:中スリーブ・中印

実際の作業では、電線を真っ直ぐにリングスリーブへ挿入し、圧着工具を垂直に当てることがポイントです。

圧着後は必ず軽く引っ張って確認し、作品の完成度を高めましょう。

また、圧着マークの向きや深さにも注意を払い、丁寧な作業を心がけることが大切です。

図や表で視覚的に覚える

これまでに説明したリングスリーブの覚え方では難しいと感じている人は、図や表にして丸暗記するのもひとつの手段です。


以下の表をそのまま覚えましょう。


■リングスリーブ選びの早見表

電線の種類 本数 合計断面積 適切なサイズ 圧着マーク
1.6mm 2 ~8mm²
1.6mm 3~4 ~8mm²
1.6mm 5~7 8~14mm²
2.0mm 2 ~7mm²
2.0mm 3~4 ~10.5mm²

特に電気工事士の試験では、試験開始とともに問題用紙に書き込めば、表を見ながら作業することもできます。



技能試験でのリングスリーブの出題例

第二種電気工事士の技能試験では、リングスリーブに関する問題が毎回のように出題されます
特に、複数の電線を接続する際のリングスリーブの選び方と、圧着マークの判断が重要です。


代表的な出題パターンを見てみましょう。


■1.6mmの電線同士の接続

  • 2本接続:小スリーブ、圧着マーク「○」
  • 3本接続:小スリーブ、圧着マーク「小」
  • 4本接続:小スリーブ、圧着マーク「小」
  • 5本以上:中スリーブ、圧着マーク「中」

■1.6mmと2.0mmの組み合わせ

  • 1.6mm×1本+2.0mm×1本:小スリーブ、圧着マーク「小」
  • 1.6mm×2本+2.0mm×1本:中スリーブ、圧着マーク「中」
  • 1.6mm×1本+2.0mm×2本:中スリーブ、圧着マーク「中」

試験では、ジョイントボックス内での電線接続や照明器具の配線接続など、実践的な場面で問われることが多いです。

また、圧着後の仕上がり状態も採点対象となるため、マークの向きや圧着の深さにも注意しましょう。



技能試験で役立つテクニック

技能試験では、リングスリーブを使いこなすためのテクニックを取り入れることで、作業時間の短縮と確実な施工が可能になります。


■複線図を描く時

  • リングスリーブのサイズと圧着マークを図中に書き込む
  • 接続する電線の本数を明記しておく

■作業手順での工夫

  • 芯線を揃える際は養生テープなどで仮止めする
  • 圧着時は工具を真っ直ぐに当てる

■時間短縮のコツ

  • 合格ゲージを使って電線の長さを図る
  • 電線の種類ごとに分けて置く

特に重要なのは、作業前の準備です。使用する電線とリングスリーブを確認し、適切な工具を手元に用意しておくことで、スムーズな作業が可能になります。

技能試験でよくあるミスとその回避方法

技能試験でのリングスリーブ施工には、初心者が陥りやすいミスがいくつかあります。事前に把握し、適切な対策を取ることで合格へと一歩近づくでしょう。


以下では、よくあるミスの回避方法をまとめました。


■よくあるミスとその回避方法

よくあるミス 回避方法
リングスリーブの選択ミス
  • 電線の本数や太さを必ず確認
  • 断面積の合計値を計算してから選ぶ
  • 迷った時は複線図を見直す
圧着不良
  • 芯線を揃えてからリングスリーブに挿入
  • 工具は真っ直ぐに当てる
  • 圧着後に軽く引っ張って確認
被覆処理の不備
  • 被覆を剥く長さは規定値を守る
  • 芯線に傷をつけない
  • 外装の剥き過ぎに注意

以上のよくあるミスは、落ち着いて作業することで防げます。試験では時間との戦いになりますが、焦らず確実に作業を行いましょう。



よくある質問

リングスリーブに関してよくある質問に回答します。特に初心者の方が疑問に思いやすい点を中心に、使用時の注意点から技能試験当日の持ち物まで詳しく説明していきます。

リングスリーブを使うときの注意点は?

リングスリーブを使用する際は、圧着不良による接続トラブルを防ぐことが最も重要です

特に以下の3点に注意しましょう。

  • 芯線の処理: 適切な長さで被覆を剥く、傷をつけない、端部を揃える
  • リングスリーブの選択: 電線の種類と本数を確認、適切なサイズを選ぶ
  • 圧着作業: 工具は垂直に当てる、芯線が見えないように圧着、圧着後は軽く引っ張って確認

特に大切なのは、リングスリーブに芯線を挿入する際の向きです。芯線が片寄ると圧着不良の原因となるため、真っ直ぐに挿入することを心がけましょう。

リングスリーブの欠陥の基準は?

リングスリーブの欠陥に関する基準は、「圧着工具の使用方法」と「心線の端末処理」の2つに分かれます。

■圧着工具の使用方法の欠陥基準

  • リングスリーブの選択ミス
  • 圧着マークの不適切な刻印
  • リングスリーブの破損
  • 2つ以上の圧着マークの存在
  • 1箇所に2個以上のリングスリーブ使用

■心線の端末処理の欠陥基準

  • 心線の先端が見えない
  • 上端から心線が5mm以上露出
  • 下端から心線が10mm以上露出
  • ケーブル外装の剥き取り不足(20mm以下)
  • 絶縁被覆上からの圧着
  • より線の素線がはみ出る

参考:技能試験の概要と注意すべきポイント(電気技術者試験センター)


以上の基準を理解し、丁寧な作業を心がけることが合格への近道です。

圧着後に絶縁テープは必要ですか?

技能試験では絶縁テープは不要です。しかし、実際の電気工事現場では必ず必要になります

電気工事の現場では、以下の手順で絶縁テープを使用します。

  • 適切なリングスリーブを選び圧着
  • 圧着部分の確認
  • 絶縁キャップまたは絶縁テープで保護

絶縁テープを利用する目的は、感電や漏電を防ぐことです。技能試験では省略されていますが、実務では圧着後の絶縁処理は必須作業となります。特に湿気の多い場所や外部環境にさらされる箇所では、絶縁処理を確実に行わないと重大な事故につながる可能性があるので注意しましょう。

技能試験当日の持ち物は?

技能試験では必要な工具を忘れると試験中の借用ができないため、事前の準備が重要です。

■必須の持ち物

  • 受験票と写真付き身分証明書
  • リングスリーブ用圧着工具(黄色の柄)
  • ウォーターポンププライヤー
  • プラスドライバーとマイナスドライバー
  • ペンチ、ニッパー、ワイヤーストリッパー
  • 合格ゲージ(長さ測定用)
  • マスキングテープや養生テープ

■あると便利な工具

  • 丸口ペンチ(のの字曲げ用)
  • 予備の工具類

なお、電動工具は使用できないので持ち込まないように注意しましょう。試験時には工具の貸し借りができないため、必要な工具は必ず持参してください。



まとめ

今回は、リングスリーブの選び方と技能試験対策について詳しく解説しました。

この記事のまとめ
  • リングスリーブは電線の接続に必須の部品で、正しいサイズの選択が重要
  • リングスリーブで圧着する際には、電線の断面積を計算して「小」「中」「大」の3種類から選定
  • 工具は必ずJIS規格表示のある圧着工具を使用
  • リングスリーブのサイズ選定は「蜂がイチローに、兄さんがGO」といった語呂合わせで覚えると効果的

技能試験では正しいサイズ選びと丁寧な圧着作業が合否を分ける重要なポイントとなります。

基準値「8」を覚え、1.6mmは2mm²、2.0mmは3.5mm²として計算すれば、適切なリングスリーブが選べます。

実際の作業では工具を垂直に当て、圧着マークをしっかりと確認し、確実な施工を行いましょう。


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