エアコン工事のアスベスト対策で必要な資格は?穴あけ作業の危険性や事前調査を解説

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エアコン工事のアスベスト対策で必要な資格は、「建築物石綿含有建材調査者」と「石綿作業主任者」です。

エアコンの取り付け工事では、アスベストによる健康被害のリスクが懸念されています。

特に、2006年8月以前に建てられた建物には、壁材や天井材にアスベストが含まれている可能性があるため、工事の際は適切な対策が欠かせません。

この記事では、エアコン工事におけるアスベスト対策に必要な資格やアスベストの事前調査などについて詳しく解説します。


エアコン工事に携わる方やこれから目指そうと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。


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エアコン工事でアスベストが懸念される理由

エアコン工事でアスベストが懸念される理由は下記のとおりです。



エアコン工事でアスベストが懸念される大きな理由は、工事の際の粉じんによる健康被害のリスクです。

また、2006年8月以前に建てられた建物には壁材や天井材にアスベストが使用されている可能性があるため、特にエアコン設置のための穴あけ作業で飛散する恐れがあります。

では、エアコン工事においてアスベストが懸念される理由について、1つずつ詳しく見ていきましょう。

健康に害を及ぼす危険性がある

エアコン工事でアスベストが懸念される1つ目の理由は「健康に害を及ぼす危険性がある」からです。

アスベストの繊維は、髪の毛の5000分の1程度と言われるほど非常に細かく、一度吸い込むと体内から排出されにくい性質があります。

そのため、アスベストの繊維が肺や胸膜に蓄積されることで、重大な健康障害を引き起こす可能性が高まります。

特に深刻なのが、肺がんや中皮腫などの発症リスクです。

また、怖いのが症状が出るまでの期間の長さです。

アスベストによる健康被害は、吸引してから発症まで平均20年から40年もの潜伏期間があると言われています。(※参考:アスベスト(石綿)とは?(環境再生保全機構)

したがって、工事の際に気づかず吸い込んでしまった場合、何十年も後になって突然症状が現れる可能性があります。

このような重大なリスクがあるからこそ、エアコン工事ではアスベストの適切な対策が必要不可欠です。

穴あけ作業時に飛散する可能性がある

エアコン工事でアスベストが懸念される2つ目の理由は「穴あけ作業時に飛散する可能性がある」からです。

エアコン工事では、室内機と室外機をつなぐための配管穴を開ける必要があり、この作業でアスベストが飛散するリスクが高いです。

穴あけ作業は、電動ドリルやコアドリルを使って壁や天井に穴を開けるため、建材に含まれるアスベストが粉じんとなって空気中に舞い上がる可能性があります。

特に注意が必要なのが、天井裏の作業です。古い建物では天井裏の断熱材や防音材として「吹付けアスベスト」が使用されていることがあり、配管を通す際の振動や接触で飛散する恐れがあります。

この「吹付けアスベスト」は、特に飛散性が高いと言われており、作業者だけでなく居住者の健康も脅かす可能性があるため、事前の調査と対策が重要です。(※参考:アスベストの分類と対応方針(国土交通省)

さらに、穴の周囲を削る際に建材の粉じんと一緒にアスベストが飛散してしまう可能性があるため、既存の配管穴を広げる作業でも同様のリスクが考えられます。

古い建物に含まれている場合がある

エアコン工事でアスベストが懸念される3つ目の理由は「古い建物に含まれている場合がある」からです。

2006年8月以前に建てられた建物には、アスベストが使用されている可能性が高いため注意が必要です。特に1950年代後半から1990年代半ばにかけて建てられた建物では、その優れた耐火性や断熱性から、建材の様々な箇所にアスベストが使用されていました。

具体的には、石膏ボードなどの壁材、ロックウール吸音板などの天井材、吹付けアスベストなどの断熱材です。

なお、アスベストの見分けは難しいため、専門家による調査が必要となります。一般の方が「これは大丈夫だろう」と判断することは非常に危険です。

したがって、古い建物にエアコンを設置する際は、アスベストの使用有無に最善の注意を払わなければなりません。

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エアコン工事のアスベスト対策に必要な資格は?

アスベスト対策において必要な資格は下記のとおりです。

アスベスト対策に必要な資格

この2つの資格は役割が異なり、工事の段階に応じて適切な資格保有者が関与する必要があります。

それぞれの資格の詳細について、詳しく見ていきましょう。

建築物石綿含有建材調査者

建築物石綿含有建材調査者は、建物内のアスベストの有無を調べる専門家です。

2023年10月からは、建築物石綿含有建材調査者による調査が法律で義務付けられました。

なお、建築物石綿含有建材調査者は3つに分かれており、それぞれ調査できる対象範囲が異なります。

■資格の種類と対象範囲

種類 調査できる対象範囲
一般建築物石綿含有建材調査者 一般的な建築物の調査ができる基本的な資格
特定建築物石綿含有建材調査者 大規模建築物や工作物など、より専門的な調査に対応できる上位資格
一戸建て等石綿含有建材調査者 一戸建て住宅や共同住宅の住戸部分に特化した資格


なお、建築物石綿含有建材調査者が共通して行うことができる主な業務は以下のとおりです。

■建築物石綿含有建材調査者の主な業務内容

  • 設計図書による書面調査
  • 現地での目視調査
  • アスベスト含有の可能性がある建材のサンプリング
  • 調査結果の報告書作成

特に古い建物では、壁材や天井材にアスベストが使用されている可能性があるため、専門家による慎重な調査が欠かせません。

なお、アスベストの事前調査についての詳細は、厚生労働省の「石綿則の改正ポイント」にてご確認ください。

石綿作業主任者

石綿作業主任者は、アスベストを含む建材を扱う工事現場のリーダー的存在です。

作業員の健康と安全を守りながら、適切な工事の進行を管理する重要な役割を担います。

石綿作業主任者の主な業務は以下のとおりです。

■石綿作業主任者の主な業務内容

  • 作業計画の作成と手順の決定
  • 作業員への具体的な指示と監督
  • 保護具の使用状況の確認
  • 飛散防止対策の実施と管理
  • 作業環境の測定と記録

なお、石綿作業主任者の資格取得には技能講習の受講が必要です。(※参考:石綿作業主任者技能講習(厚生労働省 東京労働力)

ただし、資格を取得しても、定期的な知識のアップデートが欠かせません。

このように、石綿作業主任者は工事現場の安全確保において極めて重要な役割を果たします。アスベストのリスクから作業員と周辺環境を守るため、高い専門性と責任感が求められる資格と言えるでしょう。

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アスベスト事前調査をしないとどうなる?

アスベスト事前調査を怠った場合は、法律に基づく厳しい罰則が科せられます。

具体的な罰則内容について詳しく見ていきましょう。

■アスベスト事前調査の法令違反による罰則

罰則 詳細
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金 作業基準適合命令に違反した場合の罰則
3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金 除去等の方法の義務違反

※参考:大気汚染防止法が改正されました(環境省)

「作業基準適合命令に違反した場合」とは、例えば、適切な飛散防止対策を講じずに工事を進めた場合などです。

このように、アスベスト事前調査の義務違反に対しては、懲役刑を含む厳格な罰則が設けられており、決して軽視できない法的責任が伴います。

また、法令違反による罰則まではいかないものの、行政処分や指導を受けるケースもあります。

2023年に行われた環境省の調査 によると、年間約5,500件の工事現場立入検査が実施されたうち、約2,000件で主にアスベスト事前調査結果の報告や掲示の不備に関する指導が行われました。

なお、アスベスト対策を怠ると、罰則だけでなく以下のリスクも伴います。

■アスベスト対策を怠った場合起こりうるリスク

  • 近隣住民からの損害賠償請求
  • 従業員の健康被害による労災問題
  • 取引先からの信用失墜

特に重要なのは、罰則が工事業者だけでなく、発注者側にも及ぶ可能性があるという点です。事前調査を省略してしまうと、工事の遅延や追加費用の発生だけでなく、関係者全員が法的リスクを負うことになります。

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まとめ

本記事は、エアコン工事におけるアスベスト対策の重要性と必要な資格について詳しく解説しました。

この記事のまとめ
  • エアコン工事のアスベスト対策には、「建築物石綿含有建材調査者」と「石綿作業主任者」の専門資格保有者が必要
  • 2006年8月以前に建てられた建物では、壁材や天井材にアスベストが含まれている可能性があるため、注意が必要
  • アスベストの事前調査を怠ると、罰則が科される

エアコン工事でのアスベスト対策は、作業者だけでなく住民の健康も守る重要な工程であると言えます。

法律による規制は厳しいものの、適切な手順を踏めば安全な工事は十分に可能です。確実な対策を講じることが、快適で安心なエアコン設置につながるでしょう。

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