消防設備士の最上位『特類』とは?活躍の場や難易度・合格率について解説!

消防設備士

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消防設備士特類は、特殊消防用設備等の点検・整備・工事を行える資格です


ピラミッドの頂点


消防設備士特類は、消防設備士の中でも最上位に位置する資格で、過去5年間の平均合格率は約27.3%と難易度が高く、取得には十分な準備と学習が必要でしょう。

しかし、この資格を取得することで、消防設備業界でのキャリアアップや専門的な業務に携われる可能性が高まります。


この記事では、消防設備士特類の概要、他の消防設備士免状との違い、試験内容、効果的な勉強方法、おすすめの参考書などについて詳しく解説します。


特類の資格取得を目指す方に役立つ内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。


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消防設備士特類とは?

消防設備士特類とは、特殊消防用設備等の工事、点検、整備を行うことができる消防設備士の最上位資格です。


主な役割は、一般的な消防設備では対応できない複雑な建築物や、特殊な環境下での消防設備の設計、施工、点検です


例えば、特殊消防用設備の設計と施工管理大規模施設や高層ビルの消防システム構築特殊な環境下(例:データセンター、危険物施設)での消防設備の整備などで消防設備士特類の資格が役に立ちます。


特種消防用設備
出典:初田防災設備株式会社

特類の資格を必要とする具体的な消防設備には、以下のようなものがあります。


■特類の資格を必要とする消防設備

設備名 概要 認定件数
加圧防煙システム 消防活動拠点を加圧し排煙を行い、消防隊の安全を確保する設備 25件
FK-5-1-12消火設備 環境に優しく安全性の高い新ガス消火剤を使用する設備 4件
複数総合操作盤システム 大規模建物でエリアごとに分散管理する総合防災システム 9件
温度上昇監視防災システム 火災温度上昇速度を監視する機能を追加した火災報知設備 4件
駐車場用閉鎖型消火設備 駐車場火災に対し自動作動する閉鎖型ヘッド消火設備 10件
インバーター制御スプリンクラー 各ヘッドの放水圧力を最適化するスプリンクラー設備 1件
空調兼用スプリンクラー 空調設備と配管を一部共用する省資源型スプリンクラー 1件
閉鎖型水噴霧消火設備 高性能な閉鎖型水噴霧ヘッドによる高効果消火設備 7件
大空間自然給排煙設備 大空間で自然気流を利用した効果的な排煙設備 6件
長時間放射窒素ガス消火設備 放射時間延長と区画耐火性能向上による窒素ガス消火設備 6件

合計

73件

※参考:令和2年版 消防白書 附属資料1-1-51 特殊消防用設備等の認定件数(総務省消防庁)


認定件数を見ても分かるとおり、令和2年の時点で、特類の資格を必要とする消防設備は全国に73件しかありません。そのため、一般的な施設や建物では、特類の資格を必要としないパターンの方が多いと言えます。


一般的な消防設備の点検では特類は必要ないため、あくまでも特殊消防用設備等を扱う企業でのみ使用できる点を考慮しておきましょう。


消防設備士特類は、他の甲種消防設備士資格と比べても、対象とする設備の種類や難易度が大きく異なります。


■消防設備士の種類一覧

分類 甲種 乙種 工事及び整備(点検を含む)の対象設備
特類 - 特殊消防用設備等
1類 屋内消火栓設備、屋外消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備等
2類 泡消火設備等
3類 不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消化設備、粉末消火設備等
4類 自動火災報知設備、消防機関へ通報する火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備
5類 金属製避難はしご、救助袋、緩降機
6類 - 消火器
7類 - 漏電火災報知器

参考:消防設備士免状の種類(消防試験研究センター)

消防設備士特類の資格を保有することで、特殊な環境や設備において、設計、施工、点検などの高度な業務に従事することが可能になります。


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特類と他の消防設備士免状の違い

消防設備士特類と他の消防設備士免状の違いは、対象とする設備の種類技術的な難易度にあります。


以下の表で、特類と他の消防設備士免状の主な違いを比較します。


■特類と他の消防設備士免状の違い
項目 消防設備士特類 他の消防設備士免状
対象設備 特殊消防用設備等 一般的な消防設備
難易度 非常に高い 比較的低い~中程度
受験資格 他の甲種消防設備士資格が必要 種類により異なる(乙種は受験資格なし)
専門性 高度な知識が必要 基礎的な知識が必要
キャリアの位置づけ 最上位 初級~中級

特類の対象となる特殊消防用設備等は、一般的な消防設備では対応できない複雑な構造や環境に設置されるものです。

そのため、設備の種類も特殊で、設計や施工、点検にはより高度な技術が必要となります


一方、他の消防設備士免状が扱う設備の種類は、消火器や火災報知器など、比較的一般的なものが多く、難易度も特類と比べると低めです。


また、受験資格についても、特類だけは他の甲種消防設備士資格の保有が前提となる点で大きく異なります

そのため、特類は消防設備業界において最も高度な資格として位置づけられ、より責任ある立場や専門的な業務に就くための重要な資格です。

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特類が求められる現場と需要

消防設備士特類への需要は、特殊な建築物や大規模施設の増加に伴い年々高まっています

実際に、総務省消防庁が公開している「消防白書」によると、平成29年度時点での特殊消防用設備の設置数は64件でしたが、令和2年度時点では73件に増えています。


特類の対象となる特殊消防用設備等は、一般的な消防設備では対応できない特殊な条件下で使用される設備です。

特類の資格があれば、消防設備士として活躍できる場は広がります。

■特類の設置設備の概要

  • 高層ビル:複雑な避難経路に対応する特殊な避難設備
  • データセンター:超高感度煙検知システム
  • 大型商業施設:大空間に適した消火設備
  • 研究施設:特殊な消火剤を使用する設備

上記の施設では、消防法で定期点検が義務化されているため、今後も継続した需要が予想されます

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特類を取得するメリット

特類を取得することで、消防設備全般の業務を担当できるため、業界内での専門性が高まり、責任のあるポジションや管理職に昇進するチャンスが増えます。


また、資格保持者が少ないため、他の候補者に対する差別化が図れ、転職や昇進において有利です。


大規模な施設や安全基準が厳しい現場でのニーズも高く、業務範囲が広がります。


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消防設備士特類を取得する条件

チェック項目


消防設備士特類の資格を取得するには、一定の条件をクリアする必要があります。


消防設備士特類 取得の条件

ここからは、これから受験される方に向けて、受験資格と難易度・合格率についてご紹介します。


特類の受験資格

消防設備士特類を受験するには、以下の条件を満たす必要があります。

■受験資格

  • 甲種第1類から第3類までのいずれか1つの免状を保有
  • 甲種第4類の免状を保有
  • 甲種第5類の免状を保有

つまり、最低でも3種類の甲種消防設備士免状を保有していなくてはならないため、特類が扱う特殊消防用設備等には高度な専門性が必要であることが伺えます。


特類の難易度・合格率

消防設備士特類は、難易度の高い資格のひとつです。過去5年間の平均合格率は約27.3%と、他の消防設備士資格と比べても低い水準となっています。


■甲種消防設備士の合格率

年度 甲種消防設備士の合格率
特類 1類 2類 3類 4類 5類
平均 27.3% 26.2% 32.8% 34.5% 34.9% 36.0%
2023年度 28.9% 22.3% 30.3% 25.9% 32.3% 34.6%
2022年度 29.0% 23.7% 28.4% 30.5% 34.4% 35.1%
2021年度 30.3% 28.3% 36.1% 37.9% 37.1% 37.8%
2020年度 27.0% 31.2% 33.2% 39.8% 37.2% 38.2%
2019年度 21.3% 26.2% 36.2% 38.2% 33.6% 34.1%

※参考:試験実施状況(一般財団法人消防試験研究センター)


特類の難易度が高い理由は、以下のとおりです。


  • 試験範囲が1類から5類まで幅広い知識が問われるため
  • 実務経験を踏まえた応用力が必要になるから

試験内容は他の資格より広範囲に渡るため、合格には十分な準備と学習が必要です。

しかし、難易度の高さゆえに特類資格保有者は業界内で高く評価され、キャリアアップにつながるチャンスも広がります

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消防設備士特類の試験内容

試験会場


消防設備士特類の試験は、筆記試験だけで構成されています。


試験内容は以下のとおりです。


■消防設備士特類の試験科目
項目 科目 問題数
筆記試験 工事設備対象設備等・機能・工事・設備 15問
火災及び防火 15問
消防関係法令 15問
合計 45問
実技試験 なし

※参考:消防設備士試験 試験科目及び問題数(一般財団法人消防試験研究センター)


■消防設備士特類の試験の概要

項目 内容
筆記試験
  • マークカードを使用、全種/四肢択一式
試験時間
  • 2時間45分
試験手数料
  • 6,600円(非課税)
合格基準
  • 各科目40%以上、全体60%以上の成績を修めた方を合格とする
合格発表
  • 支部別に合格者の受験番号を公示
  • 受験者には郵便ハガキで合否の結果を直接通知
  • 一般財団法人消防試験研究センターホームページでも掲示

※参考:消防設備士試験 試験の方法(一般財団法人消防試験研究センター)


なお、消防設備士特類の資格については、科目免除の制度がありません。そのため、特類の試験を受験する際には、すべての科目を受験する必要があります。

特類以外の消防設備士資格を効率良く取得したい方は、一部免除制度を活用してみましょう。
消防設備士の免除条件と免除申請方法は消防設備士の免除条件とは?条件別の免除科目や申請方法を解説!で詳しく解説しています。

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消防設備士特類の勉強方法

試験対策


消防設備士特類の勉強は、出題範囲が甲種1類から5類まで広いため、計画的に学習を進める必要があります。


以下に、効果的な勉強方法を紹介します。


■消防設備士特類の勉強方法

学習項目 内容
1. 基礎知識の再確認
  • 甲種1類から5類の内容を総復習する
  • 特に苦手分野を重点的に学習する
2. 特殊消防用設備等への理解
  • 最新の技術や設備について情報収集をする
  • 実際の設置例や運用事例を調べる
3. 法令・規格の徹底理解
  • 特殊消防用設備等に関する基準や規格を学ぶ
  • 消防法及び関連法令の最新情報をチェックする
4. 時間配分を意識して学習
  • 2時間45分の試験時間を効率的に使うための訓練をする
  • 苦手分野に多くの時間を充てる練習をする
5. 模擬試験の活用
  • 本番を想定した模擬試験で実力チェックをする

消防設備士特類の合格基準は、「各科目40%以上、全体60%以上の成績を修めた方を合格とする」とされています。そのため、1つの科目に絞らず、全科目を満遍なく学習することが重要です。


また、難易度が高いため、最低でも6ヶ月程度の準備期間を設けることをおすすめします。


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消防設備士特類のおすすめ参考書

消防設備士特類の学習におすすめの参考書と問題集をご紹介します。


ただし、消防設備士特類については受験者数が少ないため、他の資格と比較してテキストの種類が限られています。


消防法及び関連法令の最新情報をチェックするために、甲種1類~5類までの参考書を個別に購入し、学習することもおすすめです。


甲種特類消防設備士受験読本(なるほどナットク)|オーム社

消防設備士参考書

出典:楽天市場

■参考書の特徴

初めて消防設備士特類を受験する人向けに、広範な出題範囲を網羅した参考書です。発売されたのが平成16年なので、最新の情報は記載されていませんが、試験の直前に知識の総復習をする際におすすめの1冊です。本書は絶版のため、購入する場合は中古書店やフリマアプリなどで探す必要があります。


甲種特類消防設備士 特選問題集|オーム社

消防設備士問題集

出典:Amazon

■問題集の特徴

この問題集は甲種1類~5類までを網羅した問題集です。価格は約3,000円と高めですが、効率よく学習を進めることができます。


消防設備士全般に応用できる参考書については、「消防設備士の難易度・合格率は?おすすめ種類と難易度ランキングを紹介」にて詳しく紹介していますので、ぜひご確認ください。


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まとめ

この記事では、消防設備士特類の資格取得を目指す方に向けて、詳細な情報をお伝えしました。


消防設備士特類は、最も高度な専門性を要する資格であり、取得には十分な準備と学習が必要です。

しかし、この資格を取得することで、消防設備業界でのキャリアアップや専門的な業務に携われる機会が広がる可能性もあります。


これから消防設備士特類の資格取得を目指す方は、本記事で解説した試験内容や勉強方法を参考に、計画的に準備を進めてみてください。


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