電験三種の「機械科目」とは?試験内容と暗記・計算問題のおすすめ勉強法を解説
電気主任技術者(電験)最終更新日:
電験三種試験の「機械科目」は、主に電気設備や機械工学に関する知識が問われる科目です。
「電験三種の機械科目合格を目指しているが、どこから手を付けていいか分からない」という不安はありませんか?
この記事では機械科目について、試験内容や学習方法など幅広く解説します。
この記事を参考にして、機械科目合格に向けて効率良く準備を進めてください。
機械科目の試験内容「他の科目との違いは?」
電験三種の「機械」科目は、電気設備に関連する機械的な仕組みや動作原理に関する基礎的な知識が問われます。
電動機や発電機、変圧器など、工場や発電所などで使用されるさまざまな機械や装置の理解が重要です。
※電動機(モーター)のイメージ
機械科目の試験内容は以下の通りです。
■試験情報
項目 | 詳細 |
---|---|
試験時間 | 90分 |
合格基準 | 原則60点以上/100点満点中 |
出題内容 | 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理 |
■問題構成
タイプ | 問題数 | 配点 | 合計点 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
A問題 | 14問 | 各5点 | 70点 | 一問一答形式、基礎知識、簡単な計算問題 |
B問題 | 3問 | 各10点 | 30点 | 1問につき2つの小問、複雑な計算問題 ※問17・18の問題は選択式 |
機械科目には以下のような特徴があります。
- 出題範囲が広い
- 物理的な動作原理の理解が重要となる
- 計算問題が多い
■出題範囲が広い
機械科目は、出題範囲が非常に広いことが特徴的です。対象となる設備・機器は、電動機、発電機、変圧器、パワーエレクトロニクス、照明設備、電熱機器など、多岐にわたります。
多種多様な設備機器や電気材料に関する知識が求められる分、試験対策が難しくなることがあります。
■機械動作のイメージが重要となる
機械科目は、電動機の回転原理や変圧器の磁束の動きなど、具体的な装置の動作について理解していないと解けない問題が多いです。実際の機械がどのように機能するのか、イメージしながら学習する必要があります。
■計算問題が多い
機械科目は、電動機や発電機、変圧器などの性能や動作に関する計算問題が多く出題されます。計算式や法則の理解が必須です。
理論科目よりも機械の動作や構造に関連する問題が出題されるのが特徴です。
上記の特徴を踏まえると、機械科目では、実物・動画・イラストなどで機械の動作イメージを掴むことが非常にポイントとなってくると言えるでしょう。
機械科目の問題例
例えば、機械科目の試験では下記のような問題が出題されます。
■例題
貯水池に集められた雨水を、毎分300㎥の排水量で全揚程10mを揚水して河川に排水する。このとき100kwの電動機を用いた同一仕様のポンプを用いるとすると、必要なポンプの台数は何台か。ただしポンプの効率は80%、設計製作上の余裕係数は1.1とし、複数台のポンプは排水を均等に分担するものとする。
【選択肢】
(1)1 (2)2 (3)6 (4)7 (5)9
【正解】
(4)7
機械にあまり馴染みのない方も多くいらっしゃると思います。
そういった方に特に押さえていただきたいポイントが、【直流機・変圧器・誘導機・同期機の四機】に関する内容です。
この「四機」は試験問題の約70%を占めるため、ここを重点的に学習し、確実にマスターすることが合格への近道となります。
「過去に出題された問題をもっと見たい」という方は、工事士.comの過去問クイズもぜひ活用してください。
機械科目の難易度「合格率は23.5%」
機械科目の直近5回の平均合格率は23.5%です。
■過去5回試験における機械科目の合格率
年度 | 合格率 | 受験者 | 合格者 |
---|---|---|---|
平均 | 23.5% | 21,661 | 4,930 |
2023年度下期 | 30.3% | 16,741 | 5,079 |
2023年度上期 | 24.6% | 19,024 | 4,673 |
2022年度下期 | 28.4% | 20,433 | 5,807 |
2022年度上期 | 11.3% | 24,184 | 2,727 |
2021年度 | 22.8% | 27,923 | 6,365 |
※参考:プレスリリース(一般財団法人 電気技術者試験センター)
「機械」科目は、電験三種の中でも難易度が比較的高い科目と言われています。
■科目別の合格率比較
年度 | 機械 | 理論・電力・法規の平均 (※比較用) |
理論 | 電力 | 法規 |
---|---|---|---|---|---|
平均 | 23.5% | 24.8% | 23.5% | 27.4% | 23.6% |
2023年度下期 | 30.3% | 32.9% | 32.9% | 33.8% | 32.0% |
2023年度上期 | 24.6% | 27.0% | 26.6% | 25.4% | 28.8% |
2022年度下期 | 28.4% | 21.3% | 24.6% | 20.8% | 18.4% |
2022年度上期 | 11.3% | 20.6% | 23.1% | 24.2% | 14.5% |
2021年度 | 22.8% | 22.4% | 10.4% | 32.6% | 24.1% |
※参考:プレスリリース(一般財団法人 電気技術者試験センター)
- 出題範囲が幅広く、膨大な知識量が必要だから
- 計算問題が多く、暗記だけに頼れないから
- 機械に馴染みがない人にとっては動作のイメージが難しいことがあるから
機械科目は実践的な問題が多いです。
理論的な知識だけでなく、その知識を実際の場面でどのように適用させるのかが問われるため、多くの受験生が苦労する科目だと言われています。
科目合格制度なども使いながら、計画的にコツコツと勉強することが大切です。
機械科目の学習方法「実物のイメージが重要!」
電験三種の機械科目について、初心者でも理解しやすいおすすめの学習方法を3つ紹介します。
●参考書を活用して全体像を把握する
まずは機械科目の参考書を1冊通読し、全体像を掴むことが重要です。
気づいた点はメモを書き込んでいくと良いでしょう。
●過去問を解く
過去問を解くことで、出題傾向を把握し、問題に慣れることができます。
特に、頻出分野である変圧器や誘導機などに重点を置いて学習しましょう。
●実物を見てイメージトレーニングする
機械科目は実物のイメージが難しいため、YouTubeなどの動画を通じて機械・機器のイメージを掴むことが有効です。
これらの学び方を取り入れることで、電気工学の初心者でも効率的に学ぶことができます。
自分の学びやすいスタイルや使える勉強時間に応じて、上手に組み合わせてみましょう。
機械科目に必要な勉強時間は100時間~
機械科目に合格するために必要な勉強時間は、これまでの学歴や経験によって大きく異なります。
過去に工事士.comで行った「電験三種の勉強時間」に関するアンケートでは、機械科目には約100〜300時間が必要という結果が出ています。
アンケート結果は下記のとおりです。
■機械科目の勉強時間
学歴 | 勉強時間 |
---|---|
電気工学系の卒業生(20代前半) | 100時間~200時間 |
電気工学系以外の理系卒業生(50代) | 100時間~200時間 |
電気工学系以外の理系卒業生(40代) | 100時間~200時間 |
電気工学系・理系以外の卒業生(20代前半) | 200時間~300時間 |
※参考:電験三種の勉強時間をアンケート調査『文系出身者の目安は600時間~800時間程度』(工事士.com)
これらの勉強時間は、あくまで目安です。それぞれの基礎知識量や学習スピードによって調整してください。
また、電験三種の機械科目をしっかりマスターするためには、賢く勉強時間を確保することが大切です。
移動中や昼休みなどの「スキマ時間」を積極的に活用しましょう。
毎日1時間でも確保できれば、2ヶ月でおよそ60時間にも及びます。
機械科目の勉強におすすめのツール(Webサイト・テキスト・アプリ)
電験三種の機械科目を効率的に学ぶためのおすすめツールを紹介します。
WEBサイト
電験三種の過去問クイズが無料で利用でき、実際の試験形式に慣れることができます。
電気主任技術者に関する求人情報も扱っており、試験対策だけでなく、資格取得後の就職先探しもスムーズに行えます。
電験三種に特化したWEBサイトです。機械科目の詳細な解説や過去問題が豊富に掲載されています。
独学での合格を目指す方にとって非常に有用です。
参考書(テキスト)
※出典:Amazon
問題の出題傾向が非常によく分析されている改訂3版の参考書です。各章ごとに設けられた例題や解説が充実しています。
※出典:Amazon
図表やイラストを多用しており、複雑な概念も理解しやすいです。
おすすめのアプリ
●電験三種 機械科目 暗記アプリ
※出典: App Store
ユーザーの評価4.5以上と高評価。復習機能などが搭載され、使いやすいと好評のアプリです。
まとめ
この記事では、電験三種試験の機械科目について、試験内容や特徴、難易度、学習方法、さらにはおすすめの勉強ツールやテキストなどを詳しく解説しました。
- 機械科目は、電動機、発電機、変圧器、パワーエレクトロニクス、照明設備、電熱機器などの広範囲な知識が求められる。
- 特に「四機」(直流機・変圧器・誘導機・同期機)に重点を置いて学習すると良い。
- 実物や動画で動作のイメージを掴むことも効果的。
電験三種の機械科目は難関ですが、正しい勉強法と計画を持って取り組めば、必ず突破できるはずです。
この記事で紹介した情報を活用し、自信を持って試験に挑んでください。
執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
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