電気工事士の人手不足を解消する方法5選!現状と原因も分かりやすく解説
電気工事士の仕事・転職最終更新日:
電気工事士の人手不足が深刻です。
2018年の経済産業省による調査では、2020年以降、電気工事士の数は数万人規模で不足するといわれています。
少子高齢化により人手不足は日本全体の問題とも言えますが、電工業界特有の原因もあります。
この記事では、電気工事士における人手不足の解消方法と、経済産業省のレポートを基にした電気工事士の人手不足の原因について解説していきます。
電工の人手不足を解消する対策方法5選
さっそく、電気工事士の人材不足を解消するための対策を5つ解説していきます。
今回ご紹介する対策方法は、あなたの会社でも取り組み可能なものを選んでいます。
ぜひ積極的に取り組んでいただき、人手不足解消に役立ててください。
1.工業高校以外の学生や転職者層にも働きかける
電気工事士の人手不足を解消する方法の1つ目は、入職の間口を広げることです。
電工業界の入職ターゲット層は工業高校の電気科卒業生が大半となっています。
(詳しくはこの記事の「入職ターゲットの狭さ」をご覧ください。)
今後は電気科卒業生の減少が進むため、工業高校以外の学生にも積極的に入職を働きかけましょう。
さらに、大卒者・転職者・女性といった、あまり電工業界に馴染みのない層の採用に力を入れていくことも必要です。
課題は、電気に関する基礎知識が少ない入職者をどのようにして育てるかということでしょう。
上記の課題を解決するために、今後ますます教育環境の整備が重要になってきます。
例えば、次のような取り組みはいかがでしょうか。
■教育環境整備の例
- 業務のマニュアルを充実させOJTを強化する
- 働きながらでも資格取得を目指せるよう、夜間の養成施設へ通うことをサポートする など
上記を参考に、少しずつ教育環境を整備していけば、電気になじみがない方でも安心して入職できるようになるでしょう。
2.SNSやYouTubeを活用して認知度を高める
電気工事士の人手不足を解消する方法の2つ目は、SNSやYouTubeを活用して認知度を高めることです。
電工業界は身近な関係性からの入職が多く、一般的な認知度は低いとされています。
(詳しくはこの記事の「認知度の低さ」をご覧ください。)
SNSやYouTubeを用いた認知度向上は、人手不足を解消するために有効な対策です。ぜひ積極的に取り組んでください。
ここでは認知度向上のためにSNSやYouTubeを活用している事例を2つご紹介します。
■SNS等を活用した認知度向上(例)
(1)ゲンバ男子 様(ゲンバ男子 - (genbadanshi.jp))
こちらは大阪市の取り組みで、民間企業と積極的にタイアップされています。
「若い世代に製造業の仕事について知ってもらう機会を提供し、若い世代に製造業で働くという選択肢を考えてもらう」ことがコンセプトです。
町工場で働く若者をプロカメラマンが撮影し、その姿をSNSや特設サイトで発信することで、若い世代へのイメージアップを図っています。
さらに特設サイトからは会社HPや求人サイトへアクセスできるようになっていて、イメージアップから就職へ繋げる仕組みとなっています。
あなたの会社の若手のかっこいい姿をSNSに掲載してみてはいかがでしょうか。
会社のイメージアップだけでなく、取り上げられた若手のモチベーション向上にも繋がるかもしれません。
(2)森田電気工事株式会社 様(森田電気工事株式会社(公式ホームページ) (morita-el.com))
つづいては企業様のホームページです。
「会社概要」「事業概要」と並んで、インスタグラムやYouTubeも積極的に投稿されています。
「電気工事の仕事って具体的に何をするのか知りたい」という方に対して大きなアピールとなるでしょう。
また、自社ホームページとSNSは相性が良く、SNSからそのまま求人情報に繋げることができるというメリットもあります。
最近はホームページ作成やSNS運用を請け負ってくれるサービスもあるので、積極的に活用しましょう。
3.労働環境を改善して離職率を下げる
電気工事士の人手不足を解消する方法の3つ目は、労働環境を改善して離職率を下げることです。
(電気工事士の離職率について、詳しくは「労働環境等による離職率の高さ」で取り上げます。)
さらに、
工事士.comが実施した離職理由に関するアンケートの中でも、「勤務体系」や「労働環境」が離職理由として挙げられています。
離職率を下げるためには、以下の3つの対策を参考に取り組みましょう。
■離職率を下げる対策(例)
- 現場設備や装備を改善する
- 休日を増やす・有給休暇のハードルを下げる
- 指導者の教育・業務のマニュアル化を進める
より詳細な対策については「電気工事士の離職率は?できる対策と辞めない人材確保のコツを解説」の中で解説しています。
4.IT技術を活用し必要な人手を減らす
電気工事士の人手不足を解消する方法の4つ目は、IT技術を活用し必要な人手を減らすことです。
人手不足を背景に、建設業界ではさまざまなDX推進の取り組みが報告されています。(DX:デジタル技術を用いた変革)
例えば、以下のIT技術の利用を検討してみてください。
■IT技術(例)
(1)クラウドサービス
クラウドサービスは、インターネット上で図面や資料を共有する仕組みです。
クラウドサービスを使えば、図面や施工写真、工程表、勤怠管理などのファイルをリアルタイムで共有できるようになります。
これにより、作業指示・進捗管理・打ち合わせ等が容易となり、生産性の向上が期待できます。
(2)ITツール
「製図」「原価管理」「施工管理」をエクセルなどの汎用ソフトや手書きで行っている会社は多いようです。
それぞれ、専用のソフトが販売されているので、導入を検討されてはいかがでしょうか。
専用ソフトのメリットは、業界に合わせて開発されているので、専門知識に乏しくても容易に作業が行えることです。
煩わしいデスクワークや管理教務を効率化できるので、働き方の改善が期待できます。
(3)LiDAR
LiDARとは、レーザー光を照射して対象物の距離や形状を計測する技術をいいます。
最近では歩きながらスキャンしていけば測量だけでなく、3次元モデル化までその場で作成できるようです。
測量業務の効率を劇的に改善できるツールなので、ぜひ活用してみてください。
5.求人サイトを用いて人材を確保する
電気工事士の人手不足を解消する方法の5つ目は、求人サイトを用いて人材を確保することです。
人材不足を解決するためには、ただ人を集めればいいのではなく、長く続けてくれる人材を獲得することが大切です。
就職みらい研究所の「就職白書2020」によると、1人あたりの採用にかかる費用は新卒で93.6万円、中途採用で103.3万円ほど。(2019年度実績)
約100万円かけて獲得した人材がすぐに辞めてしまったとしても、採用にかけた費用と時間は戻ってきません。
電気工事士の採用は、「工事士.com」がおすすめです。
なぜなら、工事士.comには経験者はもちろんのこと、未経験者であっても「電気工事で手に職をつけて頑張りたい!」という人材が集まっており、採用のミスマッチを防ぎやすいからです。
求人サイトには得手不得手があるため、「採用したい人材」が集まる求人サイトでの募集が一番効率的です。
電気工事士の採用・離職にお悩みの採用担当者様は、無料でお見積りが可能な「工事士.com」にぜひ、ご相談ください。
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電気工事士の人手不足の現状
ここからは2018年に経済産業省がまとめた「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」を基に解説していきます。
以下のグラフは第一種電気工事士・第ニ種電気工事士の必要数と実人数を比較したものです。
(経済産業省:「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」を基に作成)
第一種電気工事士は高齢者層の一斉退職により、2020年頃から2万人程度の人手不足が生じる可能性があるとされています。
第ニ種電気工事士は大量退職はありませんが、入職者の減少により2千人程度の人手不足が生じるとのことです。
もちろんこれは電気工事業界全体での話。
会社の規模や所在地、事業内容によって人手不足の程度は異なるでしょう。
しかし、今後ますます電気工事士の人手不足が加速することは間違いなく、業界にとって深刻な問題といえます。
電気工事士の人手不足が加速している5つの理由
次に電気工事士の人手不足が加速している理由を解説します。
少子高齢化により人手不足は日本全体の問題となっていますが、電工業界特有の問題もあります。
1.少子高齢化
令和2年国勢調査
抽出詳細集計表6-1を基に作成)
電気工事士の人手不足が加速している理由の1つ目は、少子高齢化です。
国内産業の中でも特に、電気工事業界は高齢化が深刻となっています。
2020年の国勢調査結果では、電気工事従事者の半数近くを50歳以上が占めていることがわかりました。
そのため、これまで電工業界を支えてきた電気工事士の大量離職が懸念されています。
実際に高齢化を感じている企業様も多いのではないでしょうか。
一方、次の担い手となる若手の減少も深刻な問題となっています。
現在、30代以下の電気工事士の数は全体の1割程度。
専門知識や技術の受け皿となる若手が少なく、人材育成が追いついていないことも人手不足の要因であるといえます。
2.入職率の低さ
経済産業省:「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」を基に作成
電気工事士の人手不足が加速している理由の2つめは、養成機関や工業高校からの入職率の低さです。
養成機関や工業高校で第ニ種電気工事士を取得しても、実際に電工業界に入職される方の割合が低いことがわかっています。
■入職率の例
電気工事士養成施設(※)や工業高校電気科の卒業者のうち、電工業界への入職率は15%程度です。
また、職業能力開発校(電気工事育成コース設置)の卒業者でも、入職率は25%程度にすぎません。
(※)経済産業大臣により所定の単位を取得した卒業生への第ニ種電気工事士免状発行を許可する施設として指定された教育機関のこと
上記のとおり、電気関連学校の修了生の大部分は他業界に入職していることがわかります。
今後は工業高校生の数は半減し、電気工事士養成施設も減少傾向にあるといわれているため、今まで以上に電工業界への入職率向上に向けた取り組みが必要となるでしょう。
3.入職ターゲット層の狭さ
経済産業省:「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」を基に作成
電気工事士の人手不足が加速している理由の3つめは、入職ターゲット層の狭さです。
現在、電気工事士の入職ターゲットは工業高校生(電気科)がメインであり、グラフで示すように入職者の半数以上は高卒者となっています。
経済産業省の「電気保安人材の中長期的な確保に 向けた課題と対応の方向性について」では、「2000年から2030年で18歳人口は約2/3に減少し、工業高校卒業者数は半減、うち電気科卒業生は60%減少する。」と報告されています。
入職ターゲット層を工業高校生(電気科)から広げていかなければ今後ますます入職者が減少してしまうおそれがあります。
そのため、これからは電気科以外の工業高校生や、普通科の高校生もターゲットにしていく必要があります。
具体的には、大卒者、転職者や女性といった、あまり電工業界に馴染みのない層を積極的に採用することが効果的です。
これからは電気に関する基礎知識が少ない入職者が増えることになるため、教育環境の整備も重要となってきます。
4.労働環境等による離職率の高さ
電気工事士の人手不足が加速している理由の4つ目は、労働環境等による離職率の高さです。
電工業界の3年後離職率は20~40%であり、新卒で入社した人の5人に1~2人ほどが離職しているといわれています。
※参照:経済産業省「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」
これは他産業の離職率と比較してもやや高い水準となっています。
電工業界の離職率が高い理由はおもに2つあります。「勤務体系」と「現場環境」です。
(1)勤務体系の悪さ
- 休日数の少なさ
- 休暇取得可能な時期の悪さ など
(2)現場環境の悪さ
- 勤務環境の悪さ(高所・閉所・高温・低温環境での作業)
- トイレ等が未整備 など
上記のような理由でモチベーションの維持がしづらく、離職に繋がっているといわれています。
勤務体系や現場環境はモチベーションに大きく関わるため、改善の余地が大きいといえるでしょう。
電気工事士の離職率については「電気工事士の離職率は?できる対策と辞めない人材確保のコツを解説」でも解説していますので、興味のある方はご覧ください。
5.認知度の低さ
経済産業省:「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」を基に作成
電気工事士の人手不足が加速している理由の4つ目は、認知度の低さです。
電気工事士の仕事内容に対する一般的な認知度は低いのが現実。
そのため、学生が職業を選択するうえで比較対象になることが極めて少ないといわれています。
上のグラフは電気工事士の認知のきっかけとその割合を示しています。
認知のきっかけとして「親族等、身近に電気工事士がいた」が50%を超えていることから、身近に電気工事士がいない場合は、そもそも「電気工事士を目指そう」と思う人が少ないのが現状です。
電工業界の認知を向上させ、認知から業務の理解や資格勉強、就職・転職活動にシームレスに繋ぐ仕組みが今後重要になってくるでしょう。
まとめ
この記事では、電気工事士の人手不足問題について解説しました。
これから、電気工事士の数は数万人規模で不足するといわれています。
電気工事士の人手不足は2045年まで続く可能性もあり、電気工事業界全体の深刻な問題といえるでしょう。
電気工事士の人手不足には、少子高齢化や、認知度の低さ、入職ターゲット層の狭さなど、業界特有の問題が背景にあります。
人手不足の解消には、採用の間口を広げること、SNSやIT技術を活用すること、労働環境改善等が効果的な方法です。
さらに、採用後のミスマッチが少ない求人サイトでの人材獲得も、人手不足を解消するための効果的な方法のひとつです。
「工事士.com」は電気工事士に特化した求人サイト。
経験者はもちろんのこと、未経験者でも「電気工事で手に職をつけて頑張りたい!」という人材が集まっているため、入社後のミスマッチが少ないというメリットがあります。
電気工事士の採用や離職にお悩みの採用担当者様は、無料でお見積りが可能な「工事士.com」にぜひ、ご相談ください。
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執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
◆工事士.comについて
- 電気工事業界専門の求人サイトとして2012年にサービス開始
- 転職活動支援実績は10,000社以上
- 「電気工事士が選ぶ求人サイト」として「使いやすさ」「信頼度」「支持率」の三冠を獲得※
※調査元:ゼネラルリサーチ
「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。
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