フォークリフトの危険予知事例集!作業時の危険ポイントや安全対策も解説

安全衛生

目次[閉じる]

最終更新日:

フォークリフト作業関連の死傷災害は毎年発生しており、作業時の取り扱いには十分注意が必要です。

フォークリフトの事故を未然に防ぐために、実際に起きた事故事例について学び、同じような状況にならないよう対策をしましょう。

本記事では、フォークリフト作業での事故事例や、利用時に注意すべき点についてご紹介します。



ぜひ参考にしていただき、より安全な職場作りに役立ててください。


電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で電気工事士求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由

フォークリフトの労働災害の実態

フォークリフトは、荷物を積み下ろし、運搬する産業車両です。

重い荷物や大量の商品を効率的に運べ、小回りが効くといったメリットから、幅広い業界で利用されています。

利便性の高いフォークリフトですが、毎年2,000件前後の労働災害が発生しています。

フォークリフト労働災害件数の推移は下記のとおりです。

フォークリフトに起因する労働災害件数の推移

※参考:フォークリフト事故統計の紹介 ―厚生労働省労働災害統計より―(一般社団法人日本産業車両協会)

フォークリフトによる死傷災害(休業4日以上または死亡に至った災害)は毎年一定の頻度で発生しています。

ちなみに、2023年に発生した労働災害の件数は1,989件でした。

次に、フォークリフトに起因する死傷災害の内訳を見ていきましょう。

以下の表は2019年から2023年までの5年間で発生した死傷災害の型別割合を示しています。

2019-2023年 死傷事故の型別割合

※参考:フォークリフト事故統計の紹介 ―厚生労働省労働災害統計より―(一般社団法人日本産業車両協会)

過去5年間のフォークリフト関連の事故類型では、「挟まれ・巻き込まれ」「激突され」が全体の6割を占めています。

ただし残りの4割の中にも様々な類型の事故が発生しているため、それぞれの類型に対しての対策が必要となるでしょう。

以上のことから、フォークリフト作業は死傷災害のリスクを伴う危険な作業であり、取り扱いには十分な注意が必要であると言えます。

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

フォークリフトの危険予知事例まとめ

荷物が落下したフォークリフト

危険予知活動(KY活動)は、職場や現場に潜む危険を洗い出し、事前に対策することで、事故発生を防止する活動のことを言います。

フォークリフト作業の事故を防止するためには、危険予知活動(KY活動)が有効です。

ここではフォークリフト作業の事故事例を以下6つのカテゴリーごとにご紹介します。

フォークリフト作業の事故事例


具体的な事故事例を知ることは、危険予知を考える上で参考になります。

ぜひ、同じような状況での事故を防止するヒントにしてみてください。

挟まれ

フォークリフト作業は狭いスペースで行われることも多くあるため、周囲の人が挟まれる事故が発生しています。

また、フォークリフトの可動域に挟まれる事故もあります。

したがって、フォークリフト関連の死傷災害の事例では「挟まれ」の割合が最も高く、注意が必要です。

フォークリフト作業における「挟まれ」の事故事例や原因は以下の通りです。

■ フォークリフト作業中に起きた「挟まれ」事故事例

状況 原因
プレス機械の金型交換時に、プレス機械とフォークリフトに載せた金型の間に挟まれて死亡
  • フォークリフトの運転者がエンジンを停止させず、またフォークを最低降下位置に置かずに運転位置を離れた
  • 指揮者の作業指示があいまいだった
  • フォークリフトのクラッチディスクが摩耗していて、サイドブレーキを引いても逸走する状態だった
トラック荷台の扉を開けていた時、後退してきたフォークリフトとトラックの間に挟まれて死亡
  • 作業場が狭く、フォークリフトと作業者が同一エリアで作業していた
  • フォークリフトとトラックについて運行経路を含む作業計画が定められていなかった
フォークリフトのマストと車体の間を通って運転席に戻ろうとしたところ、誤ってリフトレバーに触れ、マストとフォークに挟まれて死亡
  • フォークへの積荷を終えた後、地上に降りずにマストと車体の間を通って運転席に移動しようとした
  • キースイッチをオンにしたまま運転席を離れた
  • 被災者はフォークリフトに「インターロック機構」が備わっていると誤認していた

参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフトと歩行者が交錯する状況では、挟まれ事故の確率が上がります。

そのため、作業指揮者を立てて、周囲の状況が確認できるようにすることが望ましいです。

また、フォークリフトを正しく操作できているか、作業手順を定期的に見直しましょう。



激突

フォークリフトは運転中の視界が悪いため、「激突」「激突され」の事故が頻発しています。

フォークリフト作業における「激突」の事故事例や原因は以下の通りです。



■ フォークリフト作業中に起きた「激突」事故事例

状況 原因
ブレーキが故障している車両に乗務し、周囲の作業者に激突して死亡させる
  • ブレーキの修理が完了していない車両を運転した
  • 作業開始前点検及び定期自主検査が行われていなかった
パレットを前方が見えなくなるほど高く積んだ状態で走行し、歩行中の被災者に接触し負傷させる
  • フォークリフトのフォークにパレットを高く積み過ぎ、前方が見え難く被災者に気づかなかった
  • 被災者が後方から走行してくるフォークリフトに気づかなかった
配送する荷物の仕分け作業を行っていたフォークリフトが旋回した時、歩行中の作業者が轢かれる
  • 歩行通路に荷物が置かれて使用困難な状態であり、被災者がやむを得ずフォークリフトの可動範囲に立ち入った
  • フォークリフト作業指揮者が作業を兼務しており、作業指揮が十分でなかった

※参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフト運転時に前方が見えにくい時は、後ろ向き走行で視野を広くとるように心がけましょう。

また、フォークリフト作業エリアと歩行エリアをしっかり区分してください。

フォークリフト接近を知らせるための警告灯設置も有効です。

墜落・転落

「墜落・転落」事故は死亡に至る事例が多く、フォークリフト作業においても例外ではありません。

フォークリフト作業における「転落・墜落」事故状況や原因は下記の通りです。

■ フォークリフト作業中に起きた「墜落・転落」事故事例

状況 原因
未舗装道路をフォークリフトで走行中、路肩から下の畑に転落して死亡
  • バランスを取りづらい未舗装の道路を走行していた
  • シートベルトを着用していなかった
運搬した廃材を焼却場のピットに落とす作業中、フォークリフトと共にピット内に転落し死亡
  • ピットへのフォークリフト転落防止措置がなかった
  • 作業者が作業手順を守らず、事業者も黙認していた
フォークリフトのフォーク上で換気用開閉引き戸の調整中に転落して死亡
  • 墜落防止措置が講じられておらず、不安定な状態で作業した
  • 運転資格を持たない者が運転作業に就いていた

※参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフトの転落事故を防ぐためには、事前の作業・走行計画作成を欠かさずに行いましょう。

また、フォークリフトを利用した高所作業をやむを得ず行う場合は、十分な墜落防止措置が必要です。

転倒

フォークリフトには「転倒」災害が発生しやすい特性があります。

転倒災害が起きやすい原因は下記のとおりです。


■フォークリフト作業で転倒事故が起きやすい理由

  • 過積載や偏積載によって重心の位置が変わるため
  • 小回りが利くため急旋回が可能なため

フォークリフト作業における「転倒」事故事例や原因は以下の通りです。

■ フォークリフト作業中に起きた「転倒」事故事例

状況 原因
偏荷重となったフォークリフトが横転し、誘導者が下敷きとなって死亡
  • フォークリフトを使用してフレキシブルコンテナを吊り上げたことで偏荷重となった
  • 傾斜に沿って横向きの状態で吊り上げ作業を行った
  • 運転者は無資格で、かつ作業計画が定められていなかった
フォークリフトを運転中、曲がり角で転倒し、運転者が死亡
  • フォークリフトの運転を無資格者に指示した
  • フォークリフトの点検や整備が適切に実施されておらず、タイヤがすり減った状態だった
長尺の木箱を運搬中のフォークリフトが横転し、運転者が死亡
  • 積荷時の走行速度が時速10〜12 kmで速すぎた
  • 積荷の長さが車体幅の5倍近くあり不安定だった
  • 走行時のフォークの高さが路面から80 cmと高すぎた
  • 前進で走行していて視界が不十分だった

※参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフトで荷物を運搬するときは、荷物を安定した状態で積み、持ち上げたまま走行しないようにしましょう。

また、スピードの出し過ぎには注意し、ゆっくりした旋回を心がけてください。

落下

フォークリフト作業では積荷の落下に注意が必要です。

フォークリフト作業における「落下」事故事例や原因は以下の通りです。

■ フォークリフト作業中に起きた「落下」事故事例

状況 原因
フォークリフトの積荷が落下し、パート作業者に激突
  • 4段積みパレットの重心が高く、フォークの根元までパレットが入っていない不安定状態だった
  • フォークリフト作業範囲へ他の作業者が立ち入った
  • 前方に他の作業者を発見したため急ブレーキをかけた
フォークを踏み台とする用途外使用で荷物を積載中、落下した荷物の直撃で死亡
  • フォークリフトのフォークに人を乗せ昇降を行ったため、フォークリフト運転者の視界が悪くなり、梱包箱にフォーク先端をひっかけた
  • 安全確認を行うべき作業者がフォークの位置をしっかり確認しなかった
  • 梱包箱を積み重ねた状態がバランスの崩れやすいものであった
フォークリフトの許容荷重を超えた荷を積載したため、落下した積荷の下敷きとなり死亡
  • 積載重量がフォークリフトの許容荷重を700kgも超過していたため、車体が前に傾き、荷が転がり落ちた
  • 作業開始前に十分な計画が作成されていなかった

※参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフトで荷物を運搬するときは、許容荷重や積載状態を十分に確認してから作業しましょう。

崩壊・倒壊

フォークリフト作業では、積載作業や運搬中に荷物が「崩壊・倒壊」する危険があります。

フォークリフト作業における「崩壊・倒壊」事故事例や原因は以下の通りです。

■ フォークリフト作業中に起きた「崩壊・倒壊」事故事例

状況 原因
魚介類等の冷凍保管庫においてフォークリフトで荷の搬出作業中、荷が崩壊して下敷きになり死亡
  • 「荷崩し」作業の手順等の教育がされておらず、荷物の状況確認も行っていなかった
  • フォークリフト運転者が無資格だった
  • 作業場所の照度が不足していた
フォークリフトで運搬中、ボックスパレットが崩壊し、休憩所にいた作業者にあたって死亡
  • フォークリフトの走行路に段差があり、減速しないで不注意に乗り越えようとした
  • ボックスパレットを4段積みにしたことから重心位置が高く安定度が悪かった
  • 走行路に面して休憩所が設置されていたが、休憩所側に堅固な柵等の安全対策がなかった
フレキシブルコンテナの荷崩し作業中、隣のコンテナが崩壊し下敷きとなって死亡
  • フレキシブルコンテナが不安定な保管方法であった
  • 荷崩しの方法が不適切だった

※参考:職場の安全サイト「労働災害事例」

フォークリフト作業時には、荷物の積載状況には常に注意を払い、崩壊・倒壊する危険がないかを確認してから近づくように心がけましょう。

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

フォークリフト作業時の危険ポイントは?

フォークリフトを作業する男性

フォークリフト作業を行う際、事故が起きないようにするには下記3つのポイントを注意する必要があります。

フォークリフト作業時の危険ポイント


フォークリフトの危険予知事例まとめ」でご紹介したフォークリフト関連の事故も、上記3つの危険ポイントが原因となっているケースが非常に多いです。

それぞれのポイントをしっかり押さえて安全にフォークリフトを利用しましょう。

1.積載重量とバランス

荷物の積載重量とバランスは、フォークリフトの重心に大きく影響します。

重心が不安定な状態で運搬すると、フォークリフトの転倒や積荷の崩壊・倒壊リスクが高まります。

荷物のバランスを安定させるために、注意すべき点は下記のとおりです。

■フォークリフトの積載時の注意点

  • 荷物はパレットにしっかりと固定し、フォークに均等に積載する
  • 最大積載重量を超えないように注意し、荷物を持ち上げる際はフォークが水平を保てるようにする

常に安定した積み方を心がけましょう。

なお、荷物はフォークの根元に近づけて積み、運搬時はフォークを少し下げた状態にすることで安定度が向上します。

2.視界の確保

フォークリフトは視界が制限されやすいため、運搬中に死角が生まれやすいです。

実際、視界の悪さに起因して、走行中の歩行者への「激突」「挟まれ」事故や、「転倒」「落下」「崩壊」といった事故が発生しています。

フォークリフトの視界の悪さを補うためには、以下の対策を検討しましょう。

■フォークリフトの視界の悪さを補う方法

  • フォークリフトエリアと歩行者エリアを区分する
  • 誘導員や指揮者を立てる
  • クラクションやバックブザーを使用して、周囲にフォークリフトの存在を知らせる
  • 徐行運転を心がけ、急ブレーキや急旋回は避ける

特にバック走行時や積み作業の際は、助手に誘導を依頼すると安全です。

3.定期的な点検

フォークリフトは定期的に点検やメンテナンスを行い、正常な状態で作業できるようにしましょう。

タイヤが擦り減っていたりブレーキの効きが悪い状態だと、運搬走行中に想定外の動きをする可能性があります。

「激突」「はさまれ」事故の発生につながりかねません。

したがって、フォークリフト使用前には、以下の項目をチェックしましょう。

■フォークリフト操作前に確認すべきポイント

  • タイヤの空気圧や摩耗状況
  • ブレーキの効き
  • ライトやクラクションの作動
  • 油圧箇所からのオイル漏れ

なお、異常が見つかった場合は、無理に作業を行わず、整備に回しましょう。

修理が終わるまでは使用不可とすることが大切です。

また、労働安全衛生法に基づく特定定期自主検査も忘れずに行いましょう。

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

【事故防止】フォークリフトを安全に扱うための対策は?

フォークリフトの事故を防止し安全に扱うためには、事前の対策が不可欠です。

フォークリフト作業の主な安全対策は、下記のとおりです。

■フォークリフト作業の安全対策

  • 作業計画の作成
  • 作業手順の遵守
  • 作業指揮者や誘導員の配置
  • 危険予知活動(KY活動)や危険予知トレーニング(KYT)の実施

フォークリフトを使用する場合は、作業計画や作業手順書の作成を必ず行いましょう。

作成の過程においては、危険となりうる箇所や手順がないかを検討していくことが大切です。

作成した計画書や作業手順は遵守するように心がけましょう。

また、フォークリフト作業の視野の狭さを補うためには、作業指揮者や誘導員を配置するのが望ましいです。

フォークリフト運転者の視界を補うことで、積荷の崩落や周囲の歩行者との接触などを避けることができます。

さらには、作業開始前に危険予知活動(KY活動)を行うことも有効です。

危険予知活動(KY活動)を行うことで、作業の危険を事前に察知することができ、事故発生の前に対策を打つことができます。

またKY活動の感度を高めるために、日ごろから危険予知トレーニング(KYT)を行うこともおすすめです。

KYTでは工事現場の様々なシチュエーションの画像や動画から、次に何が起きるかを考えます。

安全意識の向上に有効なので、チームで取り組んでみてください。


≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

まとめ

本記事ではフォークリフトでの作業時における事故事例や注意すべき点についてご紹介しました。

この記事のまとめ
  • フォークリフトによる労働災害は、毎年2,000件前後発生している
  • フォークリフト作業で特に発生しやすい事故は「挟まれ」「激突」「墜落・転落」「転倒」など
  • フォークリフト作業時は、特に「積載重量とバランス」「視界の確保」「定期的な点検」に注意する
  • フォークリフトを安全に扱うためには「作業計画の作成」「作業手順の遵守」「作業指揮者や誘導員の配置」「危険予知活動(KY活動)や危険予知トレーニング(KYT)の実施」などが重要

フォークリフトは利便性が高く簡単に運転できるイメージを持たれがちです。

しかし実際は、危険ポイントが多くあり、毎年死傷者が出ています。

事故の事例や危険ポイントを理解し、フォークリフトを正しく取り扱うように心がけましょう。

電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で電気工事士求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由

工事士.com編集部のロゴ

執筆者・監修者

工事士.com 編集部



株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。

◆工事士.comについて

  • 電気工事業界専門の求人サイトとして2012年にサービス開始
  • 転職活動支援実績は10,000社以上
  • 「電気工事士が選ぶ求人サイト」として「使いやすさ」「信頼度」「支持率」の三冠を獲得

※調査元:ゼネラルリサーチ

「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。

◆運営会社ホームページ

株式会社H&Company

◆運営サービス

工事士.com(電気業界に特化した求人サイト)

施工管理求人.com(建設業界求人に特化した転職エージェント)

建設魂(建設業界を応援する情報サイト)

電工タウン(電工向けコミュニティサイト)

BT-web(建設業界専門のCMSサービス)

◆SNSアカウント

工事士.com X(旧Twitter)公式

◆メディア掲載実績

建設専門紙「建通新聞」 / jobdaマガジン / メタバース総研 / TOKYO MX「ええじゃないか」

その他の条件で電気工事士の求人を探す

資格試験スケジュールカレンダー