建設業のKY活動で使える例文紹介!ネタ切れやマンネリ防止に役立つ事例まとめ

安全衛生

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建設現場には、高所からの転落・墜落や資材の崩壊・倒壊など、作業員の生命に関わる重大なリスクがたくさんあります。

そのため、建設現場での事故を未然に防ぐためには、KY活動(危険予知活動)をを行って対策することが大切です。

なお、効果的なKY活動を行うためには、現場の危険を正確に把握する力を身につけなければなりません。

この記事では、「建設業にはどのような危険が潜んでいるか」や「KY活動のネタ切れ防止のための例文」などをご紹介しています。


日ごろから危険に対して敏感になり、安全な職場づくりを目指しましょう。

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建設業でKY活動が必要な理由

「危険予知活動」とは、職場や現場に潜む危険を洗い出し、事前に対策することで、事故発生を防止する活動のことです。

「危険=K」「予知=Y」でKY活動とも呼ばれます。

KY活動には、事故を事前に防ぐだけではなく、従業員一人一人の危機管理意識を高める効果もあります。

建設業でKY活動が必要な理由は、建設現場は特に重大事故発生のリスクが高いため事前の対策が不可欠であるからです。

建設現場には、高所からの転落・墜落や資材の崩壊・倒壊など、作業員の生命にかかわる重大な危険がたくさんあります。

また、多くの作業員や重機が出入りし交錯する現場では、接触等の事故が起きる可能性も高いです。

したがって、KY活動で作業前に危険をどれだけ予測できるかによって、現場の安全性が決まると言えるでしょう。

建設業で特に多い労働災害は?事故事例を紹介

労働災害

KY活動を効果的に行うためには、実際に発生した労働災害の事例を知ることが非常に重要です。

具体的な事故事例を学ぶことで、同じような状況の事故を防止するヒントが得られます。

ここでは建設業で特に多い労働災害とその事例、原因をご紹介します。

建設業で多い労働災害


転落・墜落

高所作業時に起こる「転落・墜落」は、建設業の中で最も死傷者が多い事故です。

厚生労働省の調査によると、建設業で発生した休業4日以上の労働災害の中で、「転落・墜落」の件数は全体の32.5%を占めています。

「転落・墜落」の事故事例の状況や原因は下記の通りです。

■ 建設現場での転落・墜落事故の状況・原因

状況 原因
ダム建設工事現場の排水管工事で、墜落防止用の手すり解体中に、手すりと共に高所から墜落して死亡
  • 手すりの固定に自在クランプが使われていて、軽い力で倒れる不安定な状態だった
  • 手すりが不安定な状態であることを関係者が把握していなかった
大型太陽光パネル工事で作業中、足をかけていた鉄骨から滑り、13mの高さから墜落して死亡
  • 落下防止網や安全帯使用などの墜落防止措置が講じられていなかった
鉄骨の塗装作業中に足を踏み外して墜落
  • 墜落防止措置が講じられていなかった
  • 安全帯のロープが経年劣化していて、落下時に切断した

※参考:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

高所作業を行う際には、墜落防止措置は十分に取られているか、それぞれの措置の強度は十分かなどを確認しましょう。

崩壊・倒壊

建設業の現場では、建物や設備、土砂などが崩れ落ちたり倒れたりしてきて、人が巻き込まれてしまう「崩壊・倒壊」事故も多く発生しています。

「崩壊・倒壊」の事故事例の状況や原因は下記の通りです。

■ 建設現場での崩壊・倒壊事故の状況・原因

状況 原因
排水管埋設準備のため掘削構内で作業中に、溝の法面が崩壊して土砂に埋もれて死亡
  • 崩壊しやすい地質で、掘削勾配が守られていなかった
  • 法面にドラグショベルの荷重がかかっていた
古民家の解体工事でコンクリートブロック壁のはつり作業を行っていて、突如倒壊した壁に下敷きになった
  • 倒壊防止措置が講じられていなかった
  • 解体作業の経験・知識や危険性の認識が不足していた
大型看板解体中に看板が倒壊し、作業者に激突
  • 安全な解体方法の検討がされていなかった
  • 無理な解体方法をとっていた
  • 溶断作業者の技能が未熟だった

※参考:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

解体工事や土木工事等の現場では、崩壊・倒壊がどのように発生するかを事前に検討することが重要です。

感電

建設業においては、電気工事以外の現場においても感電事故が発生する可能性があります。

「感電」の事故事例の状況や原因は下記の通りです。

■ 建設現場での感電事故の状況・原因

状況 原因
高所で足場の解体作業中、手に持っていた足場部材が高圧引込線に触れ、感電
  • 感電の危険を防止するための措置を講じていなかった
  • 解体作業のリスクの洗い出しが不十分だった
地下駐車場内のピットでアーク溶接機のホルダーを足場に掛け、周囲の作業者が感電
  • 電源を切らずに溶接ホルダーを足場に掛けた
  • アーク溶接機の自動電撃防止装置が機能していなかった
  • 作業者にアーク溶接の知識がなかった
ユニック車で鉄道用枕木の積み込み作業中、クレーンのジブが鉄道架線に触れ、感電
  • 作業者が感電の危険性を認識していなかった
  • 感電防止措置が講じられていなかった
  • 作業監視員が配置されていなかった

※参考:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

感電事故を防ぐためには、周囲に感電の危険源がないか、溶接・溶断器の使用は適切かなどをKY活動で事前に洗い出しましょう。



爆発

建設現場ではガスを扱う作業も多いため、爆発事故が発生するリスクがあります。

「爆発」の事故事例の状況や原因は下記の通りです。

■ 建設現場での爆発事故の状況・原因

状況 原因
ビル解体工事においてガス管を切断したところガスが漏洩し、別配管を電動ノコギリで切断したことで爆発
  • ガス供給を停止せずにガス管を切断した
  • ガス臭を感じていたにもかかわらず、作業を継続した
  • ガスが充満していた場所で防爆構造でない電動工具を使用した
集塵装置の設置工事中、溶接火花が落下して汚泥タンクが爆発
  • タンク内にメタンガスが発生して、アーク溶接により発生した火花が落下して引火した
  • 発注者等から危険情報が提供されていなった
下水道管の埋設工事で、くわえ煙草でマンホール内に入り爆発
  • 近くのガス管からプロパンガスが漏洩していた
  • ガス漏洩の情報が報告されていなかった
  • 作業開始前の打ち合わせを行わなかった

※参考:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

ガスを扱う作業を行う前には、特にガス漏れなどに気をつけましょう。

交通事故

建設業では大型車両を取り扱うので、交通事故の可能性が高くなります。

また、現場では重機や大勢の作業員が出入りするため、接触の危険も高まります。

「交通事故」事例の状況や原因は下記の通りです。

■ 建設現場での交通事故の状況・原因

状況 原因
橋の路面改修後の点検作業中、走行してきたトラックと接触して死亡
  • 一般車両が既に走行可能になっていた
  • 走行車線の切り替え作業について、作業手順が定まっていなかった
  • 安全衛生教育が不十分だった
トンネル工事での測量作業中に高所作業車にひかれる
  • 作業場所が気付きにくい状態だった
  • 高所作業車の運転席から作業者が確認できなかった
  • 運転者がターンテーブル付近では測定設置作業が行われていないと思い込んでいた
  • 照度が不十分だった
  • 機械の移設作業と測量作業が錯綜していた
道路舗装工事で側溝の養生作業中、バックしてきたダンプカーにひかれる
  • 作業誘導員が配置されていなかった
  • 施工計画が不十分だった
  • ダンプカーの運転者と作業に関する連絡調整が不十分だった

※参考:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

特に大型車両は死角が多いため、危険源となりやすいことを理解しておきましょう。



【ネタ切れ防止】建設業でのKY活動の例文まとめ

建設現場には多くの危険が潜んでいますが、KY活動を繰り返し行うとマンネリ化してしまい、報告書に記入する内容がネタ切れしてしまったり、危険への感度が鈍くなってしまったりします。

日頃からさまざまな状況でのリスクを学んでおくことで、KY活動のネタ切れ防止や、現場での事故防止に繋がります。

ここでは、建設現場の主な作業ごとに考えられるリスクをご紹介します。

KY活動の例文として、ぜひ参考にしてみてください。

作業別リスクの例文


なお、ご紹介するリスクについては、「実際にどう対策すべきか」まで検討してみましょう。

重機の運転作業時

重機の運転作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ 重機の運転作業時のKY活動例文

  • ダンプの影に作業員がいることに気がつかず、轢いてしまう
  • 不安定な地形を走行し、重機が転倒してしまう
  • 重機の可動部に作業員が巻き込まれる

これらのリスクを低減するには、誘導員の配置や作業エリアの区画が有効です。

掘削作業時

掘削作業時には次のようなリスクが考えられます。

■ 掘削作業時のKY活動例文

  • 掘削した地面がバックホーの荷重や雨で不安定になり、土砂崩れが起きる
  • 掘削した穴に作業員や資材が落下する
  • 掘削中にガス管などの埋設配管を損傷させる

掘削作業のリスクを低減するために、掘削エリアの事前調査を十分に行うとともに、作業エリアの区画整理も行いましょう。

組立作業時

組立作業時には次のようなリスクが考えられます。

■ 組立作業時のKY活動例文

  • 高所での作業時に部品や工具が落下し、下にいる作業員に衝突する
  • 作業中に機械が作動し、作業員が挟まれ・巻き込まれる
  • 不安定な状態での組立中に、機械または作業員が転倒する

組立作業を開始する前には、安全な状態を確保できているか、不安定な状態での作業とならないかを十分に検討しましょう。

マンション建設作業時

マンション建設作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ マンション建設作業時のKY活動例文

  • 高所での組立作業中に足場から転落する
  • 重量物や資機材が落下または崩落し、下にいる作業員に衝突する
  • 重機使用時の騒音や振動により、作業員や近隣住民に健康被害が出る

マンション建設作業は、高所や重量物取り扱いの作業が多くなるため、墜落防止措置や資材の固定などを定期的に点検しましょう。

また、建設エリアはバリケードで区画し、周囲環境に影響がないよう配慮が必要です。

解体作業時

解体作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ 解体作業時のKY活動例文

  • 解体物が倒壊・崩壊し、作業員が巻き込まれる
  • 解体時にコンクリートやガラスの破片が飛散し、周囲の作業員や通行者に激突する
  • 解体物に含まれるアスベストを作業者が吸い込み、健康被害が出る

解体作業を安全に行うためには、事前調査をしっかりと行い、想定外の挙動が生じるリスクを極力ゼロにすることが大切です。

吊り上げ作業時

つり上げ作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ つり上げ作業時のKY活動例文

  • つり荷が十分に固定されておらず、つり上げ途中に落下する
  • つり具やワイヤーの劣化・破損によって、荷物がつり上げ途中に落下する
  • つり上げ作業中にブームが電線に接触して感電する

つり上げ作業前には、周囲環境をしっかり把握し、作業範囲を区画しましょう。

また、作業開始前につり具自体や荷物の固定状態の点検を行うことも重要です。

荷下ろし作業時

荷下ろし作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ 荷下ろし作業時のKY活動例文

  • 荷物の積載状態が不安定で、荷下ろし時に崩壊して作業員に直撃する
  • 荷下ろしに使用するフォークリフトやクレーンに作業員が挟まれる
  • 荷台や後車から足を滑らせ、バランスを崩して転落する

荷下ろし作業は不安定な状態が生まれやすくなります。

荷物や周囲状況の確認、作業手順の確認を十分にしてから作業を行いましょう。

雨天作業時

雨天作業時には、次のようなリスクが考えられます。

■ 雨天作業時のKY活動例文

  • 足を滑らせてバランスを崩し、作業場から転倒・転落する
  • 重機や運搬車両の運転者の視界が悪く、周囲の作業員や資材に気づかずに接触する
  • 溶接機などのケーブルが濡れて漏電し、周囲の作業員が感電する

雨天時の作業は晴天時に比べてリスクが高くなるため、KY活動で1つ1つの作業に対しあらゆる危険性を考えましょう。

なお、十分な安全対策が取れない場合には、雨天時は作業を中止する選択も大切です。

建設業でのKY活動の進め方

建設現場におけるKY活動の進め方は下記のとおりです。

■ KY活動の進め方

  • 作業前に業務の危険を確認
  • 対策を考える
  • 具体的な行動目標を決める
  • 指差し呼称をしながら作業を進める

KY活動は、一人ではなく作業チームなどの複数人で行うようにしましょう。

なお、KY活動では「危険予知活動表」と呼ばれる報告書を使用するのが一般的です。

KY活動の詳しい進め方については「KY活動とは?目的や進め方からネタ切れ問題まで基本情報を徹底解説!」で解説しています。



建設業で安全意識を高めるためには?

安全第一

建設現場での事故を防ぐためには、監督者や作業員一人一人の安全意識を高めることが重要です。

現場には多くの危険が潜んでいますが、作業に慣れてくると、残念ながら安全意識は薄れてしまいがちです。

日頃から安全意識を高め、危険を敏感に察知できるようにするためのおすすめ対策方法を紹介します。

安全意識を高めるための対策


KY活動を習慣化させる

安全意識を向上させる1つ目の対策は、作業前のKY活動を習慣化させることです。

KY活動は安全意識を高め事故を防止する重要な活動のため、決してマンネリ化やネタ切れをさせず、毎日行うことを習慣づけましょう。

KY活動をせずに作業を開始した場合、潜在的な危険に気づかず重大な事故につながる可能性が高くなります。

また、対策が不十分なまま作業を開始すると、危険が見つかってから新たな対策をとることになり、作業効率も悪くなります。

なお、KY活動は必ず作業関係者全員が参加するようにしましょう。

複数人で取り組むことで、一人一人の安全意識の向上が図れ、危険の見落としも少なくなります。

作業の開始から完了までの手順を細かく分割し、それぞれの手順に潜む危険を考えることが大切です。


KYT(危険予知トレーニング)で意識を鍛える

安全意識を向上させる2つ目の対策は、KYT(危険予知トレーニング)で意識を鍛えることです。

KYTでは建設現場の様々なシチュエーションの画像や動画を見て、次に何が起きるかを考える訓練方法です。

チームで潜在的な危険について議論することで、安全意識を高めることができます。

定期的にKYTの時間を設け、チームの意識向上を図りましょう。



まとめ

本記事では、建設業におけるKY活動の必要性や、事故事例、KY活動の例文などをご紹介しました。

この記事のまとめ
  • 建設業でKY活動が必要な理由は、建設現場は特に重大事故発生のリスクが高いため
  • 建設業で起こりやすい事故は、転落・墜落、崩壊・倒壊、感電、爆発、交通事故
  • 建設業の安全意識を高めるためには、「KY活動の習慣化」と「定期的なKYTの実施」が重要

KY活動は、建設現場に潜む危険を予知し、事故を未然に防ぐ重要な活動です。

建設業での事故を防ぐには、関係者一人一人が、危険に対する意識を高めていくことが大切です。

KY活動を習慣づけることで、毎日の作業に潜む危険に対して事前に対策を行いましょう。

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