【業界別】KY活動例文集!感電・高所作業など現場で使える具体例やKY活動表の記入方法まで
安全衛生最終更新日:
KY活動は、作業現場や職場に潜む危険を事前に予測し、事故や災害を未然に防ぐための重要な取り組みです。
特に電気工事業界では、感電や墜落などの重大な事故が発生するリスクもあるため、効果的なKY活動の実践が欠かせません。
本記事では、KY活動を実践する際に役立つ具体的な例文を、業界別・シーン別に詳しくご紹介します。
この記事を読むことで、より効果的なKY活動の実践方法を理解することができるでしょう。
KY活動について詳しく解説している記事もぜひ参考にしてください。
KY活動表に記入する内容・手順・ポイント
KY活動表は、作業現場の安全性を高めるために欠かせないツールです。
作業内容や現場で注意すべきリスクと対策を、記入するためのチェック表として使用されます。
基本的な項目と具体的なポイントを押さえて、正しく記入していきましょう。
KY活動表に記入する基本項目は、以下のとおりです。
以上が一般的に記入する項目とされています。ただし、企業によって独自のKY活動表を使用する場合が多いため、自社の現状にマッチした項目に変更して使用しましょう。
また、KY活動を行う際は「基礎4ラウンド法」を使用することが多いです。詳細については『危険予知トレーニング(KYT)って?電気工事現場での実践方法を解説』にてご確認ください。
実際には、下記の手順に従って記入を行います。
■KY活動表の記入手順
手順 | 詳細 |
---|---|
第1ラウンド | 潜在危険を発見・予知し、 ”危険要因”とその要因によって引き起こされる”現象”を想定する |
第2ラウンド | 発見した危険のうち「重要危険」に〇印をつける さらに絞り込んで、特に重要と思われる”危険ポイント”に◎印をつける |
第3ラウンド | ”危険ポイント”◎印項目を解決するための 「具体的で実行可能な対策を考える」 |
第4ラウンド | ”重点実施項目”を絞り込み※印をつける さらにそれを実践するための”チーム行動目標”を設定する |
記入時の重要なポイントは3つあります。
1つ目は「具体的に書く」こと。「注意する」などの抽象的な表現は避け、「安全帯を使用する」など具体的な行動を示す表現を使います。
2つ目は「実行可能な対策を書く」こと。現場で実現できない対策を書いても意味がありません。
3つ目は「見直しやすく整理して書く」こと。後から振り返って検証できるよう、読みやすい文字で丁寧に記入しましょう。
KY活動で使える具体例文集:業界別
KY活動では、業界別の危険を考慮した具体的な例文を使うことで、より実践的な安全活動を実現できます。
ここからは、電気工事業、建設業、製造業それぞれの現場で活用できる具体的な例文を紹介していきます。
業界に応じた例文を参考に、自社のKY活動に取り入れてみましょう。
電気工事士向けKY活動の例文
電気工事の現場で活用できるKY活動の具体例文を紹介します。
特に注意が必要な「感電」「高所作業」「工具使用」の3つの場面に分けて、実践的な例文を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
■感電の危険がある作業の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
活線に誤って触れてしまい感電する | → | 保護具の装着を確認する |
絶縁不良の電動工具を使用して感電する | → | 使用前に動作確認と絶縁チェックを行う |
漏電箇所への不注意な接触により感電する | → | 漏電遮断器や絶縁マットを使用する |
■高所作業の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
脚立上での配線作業時にバランスを崩して転落する | → | 安全帯を使用し、2人作業で行う |
天井裏での作業時に足を踏み外して落下する | → | 踏み板を設置し、作業場所を確保する |
はしごでの昇降時に手を滑らせて転落する | → | 3点支持を徹底し、工具類は肩掛けで運ぶ |
■工具使用時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
絶縁被覆の剥離した工具で作業して感電する | → | 始業前に工具の点検を実施する |
高所作業時に工具を落下させる | → | 作業エリア下部を立ち入り禁止にする |
電動ドリル回転部へ手袋が巻き込まれる | → | 電動ドリル使用時は手袋を着用しない |
以上の例文は、実際の危険と具体的な対策がセットになっているため、現場での安全活動にそのまま活用できます。自社の作業内容に合わせてアレンジし、日々のKY活動に取り入れていきましょう。
建設業者向けKY活動の例文
建設現場では、重機の使用や高所作業など、様々な危険が潜んでいます。
ここからは、特に事故が起きやすい「足場作業」「クレーン作業」「重機作業」の3つの場面における具体的なKY活動の例文を紹介します。
■足場での作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
足場板の固定が不十分で踏み外して墜落する | → | 作業前に固定状態を確認する |
足場が強風や地震により倒壊する | → | 気象条件を事前に確認し、作業を行うか判断する |
足場の隙間から工具を落下させる | → | 床材同士の隙間を〇cm以下に抑える |
■クレーン作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
玉掛け不良や過荷重により荷が落下する | → | 適切な玉掛け技術の訓練と荷重制限を順守する |
アウトリガーの不適切使用によりクレーンが転倒 | → | アウトリガーを適切な方法で設置する |
つり荷が振れて作業員が巻き込まれる | → | クレーンの作業範囲内への立ち入れを禁止する |
■重機作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
重機が後退する際に作業者と接触する | → | 誘導員を配置し、オペレーターと作業員の連携を強化する |
地盤がぬかるんで重機が転倒する | → | 作業範囲の地盤に敷鉄板を設置する |
立ち入り禁止区域へ侵入する | → | バリケードの設置・監視員を配置する |
現場の状況に合わせて具体的な表現に修正し、日々の安全活動に活用しましょう。
「建設業のKY活動で使える例文紹介!ネタ切れやマンネリ防止に役立つ事例まとめ」では、建設業のKY活動例文をより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
製造業者向けKY活動の例文
製造業の現場では、機械設備や化学物質による事故などに注意が必要です。
ここからは、製造現場で多い「機械操作」「化学物質取扱」「運搬作業」の3つの場面における具体的なKY活動の例文をご紹介します。
■機械操作時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
機械回転部に作業服が巻き込まれる | → | そで口や上着の裾を締めているものを着用する |
高速回転する機械から切削屑が飛散する | → | 保護メガネの着用を義務付ける |
長時間の騒音環境により聴覚障害を発症する | → | 防音具や耳栓を着用する |
■化学物質取扱時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
揮発性の高い化学物質を吸引する | → | 換気システムの導入や呼吸用保護具を着用する |
腐食性物質が皮膚に接触し、化学火傷を発症する | → | 耐薬品性の保護具を着用する |
化学物質を誤って誤飲する | → | 専用の保管場所の設置・ラベリングを徹底する |
■運搬作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
フォークリフトの死角から作業者が進入する | → | 通路と作業エリアをラインで区分する |
保管場所で荷崩れが発生し、巻き込まれる | → | 荷崩れ防止器具の使用や適切な積荷方法の徹底 |
重量物の運搬で腰痛になる | → | 補助器具を使用して運搬作業をする |
自社の製造工程に合わせて具体的な表現に修正し、毎日のKY活動で活用しましょう。
KY活動で使える具体例文集:シーン別
電気工事の現場では、作業の種類によって異なる危険が潜んでいます。
ここからは、特に注意が必要な「保守・点検」「高所作業」「重機・電動工具」の各シーン別に、すぐに活用できるKY活動の具体例文をご紹介していきます。
保守・点検業務時のKY活動例文
保守・点検業務では、電気設備との接触による感電や、狭所での作業による事故リスクが高まります。
ここからは、保守・点検時に使える具体的なKY活動の例文を、作業の流れに沿って紹介します。
■作業開始前の確認の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
停電作業の確認を怠ったため感電した | → | 検電器で事前チェックし、活線警報機を携帯する |
設備が急に稼働し指を挟まれる | → | 電源の遮断を確認し、操作禁止の札を掲示する |
暗所での点検時に転倒する | → | 適切な照明器具を準備し、足元の障害物を把握する |
■点検作業中の確認の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
通電中の機器や配線に接触する | → | 検電の実施・絶縁保護具を着用する |
不安定な足場から転落する | → | フルハーネス型の墜落制止用器具を着用する |
狭所作業で熱中症になる | → | 適切な作業時間や休憩時間を確保する |
■作業終了時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
通電を再開した際に感電する | → | 通電する前に検電器でチェックする |
撤収する際に足場から転落する | → | 足場やはしごから降りる際の手順を順守する |
片付けを怠ったため道具でつまづき転倒する | → | 清掃作業や整理整頓を作業手順に盛り込む |
現場の状況に応じてカスタマイズし、安全な保守点検業務に活用しましょう。
高所作業時のKY活動例文
電気工事における高所作業は、感電と墜落の二重のリスクがあり、特に慎重な安全確認が必要です。
高所作業時のKY活動で使える具体的な例文を、作業範囲ごとに紹介します。
■安全帯などの使用方法の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
安全帯を装着しなかったため転落する | → | 安全帯の着用状況を作業員同士でチェックする |
ハーネスが摩耗により破損し転落する | → | 定期的にハーネスの状態をチェックする |
安全帯をひっかけ忘れて転落する | → | フックをかけ忘れた場合、警報がなる装置を使用する |
■足場や脚立での作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
工具を持ちながら脚立を昇降したため落下する | → | 腰袋を使用し、両手で昇降する |
脚立の開き止めが未使用でバランスを崩し転落する | → | 脚立の開き止めを確実にロックしたか確認する |
脚立を背にしたまま下りたため落下する | → | 必ず脚立に向かい合う状態で降りるよう徹底する |
■天井裏での作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
天井材を踏み抜いて落下する | → | 踏み板を設置して作業動線を確保する |
粉塵などが目に入り痛みを感じる | → | 保護メガネを着用し作業する |
高温多湿の環境により熱中症になる | → | 空調服の着用や時間を区切って作業する |
高所ならではのリスクを具体的に記載し、対策を検討しましょう。
重機・電動工具使用時のKY活動例文
重機や電動工具の使用時は、適切な使用方法と事前点検が安全作業の要となります。
ここからは、電気工事現場で使用頻度の高い重機や工具別にKY活動の具体例文を紹介します。
■高所作業車使用時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
ゴンドラデッキから転落する | → | フルハーネスを着用し、車体に安全帯を装着する |
高所作業車が横転する | → | 設置する傾斜角度を5度以内に設定する |
悪天候のなかでの作業 | → | 事前に天候を確認し、作業スケジュールを決定する |
■電動ドリル使用時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
コードの絶縁不良で感電する | → | 漏電遮断器を設置する、濡れた環境で作業しない |
ドリルの回転部に作業着が巻き込まれる | → | だぶついていない作業服を着用する |
穴あけ時の粉塵を吸引してしまう | → | 防塵マスクの着用を義務付ける |
■グラインダー作業時の例文
危険ポイント | 対策 | |
---|---|---|
砥石が破損しケガをする | → | フェイスシールドを着用し、試運転を実施する |
グラインダー回転部に手袋が巻き込まれる | → | 作業する際は手袋を装着しない |
キックバックが発生し材料がはじけ飛ぶ | → | 万力などで材料を確実に固定する |
作業内容や現場状況に応じて具体的な表現に修正し、安全な重機・工具使用に役立ててください。
まとめ
本記事では、KY活動における具体的な例文や効果的な活用方法について詳しく解説してきました。
- KY活動表の基本的な記入項目
- ポイントは「具体的に書く」「実行可能な対策を書く」「見直しやすく整理して書く」
- 電気工事、建設業、製造業それぞれの業界に特化した具体的なKY活動の例文と対策
- 保守点検、高所作業、重機・電動工具使用時など、作業シーン別の具体的な危険予知のポイントと実践的な対策例
KY活動は、現場での安全を確保するために欠かせない取り組みです。
本記事で紹介した例文を参考に、作業内容や現場状況に応じて具体的な表現に修正し、安全な重機・工具使用に役立ててください。
毎日の地道な取り組みが、作業者の安全と現場の事故防止につながるでしょう。
執筆者・監修者
工事士.com 編集部
株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。
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