工場で使えるKY活動のネタ!マンネリ化を防ぐための例題を10個紹介

安全衛生

目次[閉じる]

最終更新日:

危険予知トレーニング(KYT)とは、グループで行うトレーニングで、作業現場での事故や危険を予測して未然に防ぐための活動です。

工場・製造業の現場にはあらゆる危険が潜んでいます。そのため、KYTを行うことで安全意識を高められ、危険の早期発見や安全な行動に繋げられます。

しかし、同じ現場の写真や作業シナリオ・ネタを使用したKYTを繰り返し行うと、マンネリ化しやすいのが欠点です。

同じ内容が続いてしまうと、危険に対する新しい視点が生まれにくく、安全意識が薄れてしまう恐れがあります。

そこで本記事では、工場・製造業のKYTのマンネリ化を防ぎ、より効果的な活動にするためのネタや例題をご紹介します。


作業現場でのKYTのネタにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で電気工事士求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由


危険予知トレーニング(KYT)の目的と実施方法

alt_text

KYTの目的は、作業現場で発生する事故を事前に予測し、防止するための意識を高めることです。

トレーニングを通じてチーム全体の危険に対する意識を高め、より安全な作業環境に近づける一つの方法です。

具体的な実施方法として、多くの現場では「4ラウンド方式」が採用されています。

4ラウンド方式は4つのステップで構成されており、それぞれ下表のような内容で進めていきます。

■各ラウンドごとの内容

各ラウンドごとの内容 目的
1R:現状把握 チームメンバー全員で作業内容や現場の状況を確認
2R:本質追究 挙げられた危険の原因について考える
3R:対策樹立 特定された危険に対する具体的な対策を話し合う
4R:目標設定 提案した対策の中から特に重要なものを選ぶ

段階的にトレーニングを進めると、作業中の危険を見落とすことなく、適切な対策を立てられます。

また、チームでの話し合いを通じて、メンバー全員の安全意識を高めることができるのも、4ラウンド方式の大きな特徴です。

■関連記事

危険予知トレーニング(KYT)のさらに詳しい実践方法は、危険予知トレーニング (KYT) って?電気工事現場での実践方法を解説で詳しく解説しています。

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

工場における危険予知トレーニング(KYT)のポイント

alt_text

工事現場におけるKYTは、作業員の安全性を確保する上で重要です。
工場の現場では、機械への巻き込まれや重機との接触事故など、危険な要素が多く存在します。

安全に作業を行うためには、以下のポイントを押さえたKYTの実施が必要です。

■工場におけるKYTのポイント

  • 過去の事故やヒヤリハットを共有する
  • 実際の設備を使用して危険箇所を確認する
  • KYTの定期的な見直しを更新をする

ヒヤリハットとは、危険を感じたが事故にはならなかった事例のことです。過去の事故とヒヤリハットの共有で、より具体的な危険の予測が可能になります。実例に基づいたKYTは、作業員の危険意識を高められるでしょう。

なお、口頭だけでなく、現場の写真や実際の設備を使用したKYTも有効です。日々の作業の注意点がより分かりやすくなります。

また、新しい機器の導入や作業内容の変更が生じた際は、KYTの定期的な見直しと更新が欠かせません。

過去の事例だけではなく実際の設備を使用し、KYTの変更を行いながら、より安全で働きやすい環境を作っていきましょう。

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

工場・製造業で使える危険予知トレーニング(KYT)ネタ・例題

alt_text

ここでは、工場や製造業で使えるKYTのネタや例題を10個紹介します。

工場・製造業で使えるKYTネタ


ご紹介するネタや例題は、すべて4ラウンド方式になります。現場でのKYTにぜひご活用ください。

ボール盤での作業

ボール盤での作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
バイスを使用せずに作業していると、加工物が回転してしまう。
保護メガネを使用せずに作業すると、切り粉が目に入ってしまう。
半袖で作業をすると、切り粉が皮膚に飛んできてしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
バイスで加工物を固定して外れないようにする。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
ボール盤の作業では、加工物が回転しないようバイスで固定してから作業をする。 固定ヨシ!

フォークリフトでの荷物運搬作業

フォークリフトでの荷物運搬作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
荷物で前が見えない状態で前進すると、前方の作業者に気づかず、接触してしまう。
荷物で前が見えない状態で前進すると、前方の設備や壁に接触し荷物が倒れてしまう。
回収機など高さのある荷物を運搬する時、固定していないと振動で荷物が倒れてしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
やむを得ず前進する場合は、誘導者をつける。
荷物で前が見えない時は、後進走行を行う。
シャコ万や、ラッシングベルトで荷物を固定して運搬する。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
荷物で前が見えない場合は、誘導者をつけて前方の安全確認をする。 誘導者ヨシ!前方ヨシ!

2t、4tトラックでの荷台昇降作業

2t、4tトラックでの荷台昇降作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
昇降階段に足をかけてから昇降しないと、階段から足を踏み外し怪我をしてしまう。
昇降階段に慌てて足をかけると、足を滑らせてしまう。
昇降階段の握り棒を握ってから昇降しないと、バランスを崩してしまう。
昇降階段をトラックのあおりに掛けてないと、昇降階段が外れてしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
トラック昇降時は、慌てず足をかけてから昇降する。
トラック昇降時、昇降階段の握り棒を握ってから昇降する。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
トラック荷台昇降時は、慌てず階段に足をかけ、握り棒を確実に握ってから昇降する。 足掛けヨシ!握り棒ヨシ!

可燃ごみの積載作業

可燃ごみの積載作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
軽トラに積載する際、足腰に負担がかかる。
可燃ゴミが重いため、片手で持ち上げると体を痛める。
可燃ゴミを軽トラに積載した後、シートをかけて走行しないと、ゴミが荷台から落下してしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
可燃ゴミを軽トラに積載する時は、足腰を傷めないよう、腰痛ベルトと手袋を着用する。
可燃ゴミを持ち上げる時は、片手ではなく両手で持ち上げる。
作業者が2人いる場合は、下から荷台上へ受け渡す。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
可燃ゴミを軽トラに積載する時は、保護具を着用し両手で持ち上げる。 両手持ち、保護具着用ヨシ!

リフトフォークの取り扱い作業

リフトフォークの取り扱い作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
手袋に粉が付いている状態でフォークを動かすと、手が滑ってしまう。
フォークを動かす時にフォークの高さが低いと、および腰になり腰を痛める。
フォークを広げる際、周囲に物がある状態で動かすと、物と接触してしまう。
床が粉で汚れた状態でフォークを動かすと、足が滑って転倒してしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
手袋に粉が付いてないか確認をする。
フォークの高さを腰の位置にする。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
フォークを動かす際は手袋に粉が付いてないか確認する。フォークの高さを腰の位置にしてからフォークを動かす。 高さヨシ!手袋ヨシ!

台車を使用した荷物運搬作業

台車を使用した荷物運搬作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
荷物を高く積んで運ぶと、荷物が崩れ作業者が怪我をしてしまう。
荷物の重心が前側にあると台車の後ろ側が浮いてしまい、バランスが崩れる。
軽い荷物の上に重い荷物を積んで運ぶと、バランスが悪くなり、荷物が崩れて怪我をする。
台車の車輪が段差に引っかかると、反動で荷物が崩れ、作業者の体に当たる。
勢いよく台車を押すと転倒して怪我をしてしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
荷物を積み重ねて置くときは、重い荷物を下にする。荷物の高さが台車のハンドルの高さを越えないようにする。
荷物を乗せる際は台車を取っ手側に寄せて置く。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
台車で荷物を運ぶ際は、重い荷物を下にする。荷物の高さ・重心位置を確認してから運搬を開始する。 高さ・重心 ヨシ!

リーチリフトを使用した棚型ラックの運搬作業

リーチリフトを使用した棚型ラックの運搬作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
通路が狭いため、リフトの運転に集中しすぎると、歩行者に接触してしまう。
ラックに気を取られ周囲の安全確認を怠ると、運搬の際に歩行者に接触してしまう。
リーチリフトは通常のリフトと操作方法が異なるため、操作に気を取られていると、周囲にいる作業者に接触してしまう。
フォークが水平ではない状態で運搬を行うと、トレイが落下してしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
運搬前に作業者・歩行者がいないことを確認する。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
ラックの運搬時は、周囲の安全を確認しながら運転する。 周囲安全ヨシ!

脚立を使った作業

脚立を使った作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
脚立を水平ではない場所に設置すると、脚立が傾いてしまう。
脚立の止め金具をロックせずに使用すると、作業中に脚立が開いてしまう。
脚立の上で無理な体勢で作業を行うとバランスを崩し、落下して怪我をしてしまう。
脚立開閉の際に、可動部や回転部などに手や指を挟む。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
脚立を設置する際は、使用前に設置場所が水平で、がたつきが無いか確認する。
使用前は止め金具がロックされていることを確認する。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
脚立の使用時は、水平な場所に設置する。止め金具を確実にロックしてから作業する。 水平ヨシ!止め金具ロックヨシ!

ドラムの積み上げ作業

ドラムの積み上げ作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
高い所に積む際、体勢が悪いと腰を痛めてしまう。
ドラムを積む際に手を滑らせてしまうと、ドラムを落としてしまう。
積み上げる時に、ファイバードラムの間に手を挟むと怪我をしてしまう。
ドラムの積み方が悪いと荷崩れを起こしてしまう。
ドラムを持つと足元が見えづらくなる。パレット等に躓いて、転んでしまう。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
腰部保護ベルトを着用する。
ドラムを3段積みにする。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
ファイバードラムを3段積みにして、保護具を着用する。 保護具着用、段数確認ヨシ!

ハンドグラインダーを使用した切削作業

ハンドグラインダーを使用した切削作業

引用:株式会社 喜多村「みんな de KAIZEN < KY 活動>」

1.現状把握/2.危険予測

重要度 危険予測
ハンドグラインダーの使用時、火花や切削くずが飛散してしまう。ほかの作業員が接近した際に、作業員の目に入る可能性がある。
保護メガネを着用していないと、火花や切削くずが目に入ってしまう。
保護手袋を着用していないと、手がグラインダーに触れた際に怪我をする。

◎は最重要危険ポイント、〇は重要危険ポイント

3.対策立案

重要度 対策案
飛散する方向を把握する。
他の作業員が接近した際は作業を止める。

※は重点実施項目

4.行動確認

チーム行動目標 指差し呼称
切削作業する際は、事前に飛散方向を確認してから作業し、第三者が接近して来たら作業を止める。 周囲ヨシ!方向ヨシ!

≫電気工事士を活かせる求人をチェックする

まとめ

本記事では、工場・製造業におけるKYTの目的や実施方法、現場でも使えるネタ・例題について解説しました。

この記事でわかること
  • KYTの目的は、作業現場で発生する事故を予測し、危険に対する意識を高めること
  • KYTは多くの現場で「4ステップ方式」が採用されている
  • 過去の事故とヒヤリハットの共有で、より具体的な危険の予測ができる
  • 工場では、新しい機器の導入や作業内容が変更した場合は、KYTの見直しと更新が必要

KYTは作業現場での危険を予測するために有効な方法で、チーム全体の安全意識を高められます。

しかし、同じ内容を繰り返すとマンネリ化してしまい、危険に対する意識が薄れてしまいます。

そのため、工場・製造業の現場での安全意識を高めるには、KYTのネタや例題を新しいものに変えないといけません。

本記事を参考に、ご自身の現場でのKYTに役立ててください。

電気業界の求人なら工事士.com

    工事士.comのトップページ    

  

■電気業界の求人なら工事士.com!!

  1. 電気業界に特化した求人が多数
  2. 資格が活きる仕事が見つかる
  3. 気になる企業から応募歓迎機能あり
   

▶ 無料で電気工事士求人をさがす

   

≫工事士.comが選ばれる理由


工事士.com編集部のロゴ

執筆者・監修者

工事士.com 編集部



株式会社H&Companyが運営する電気工事業界専門の転職サイト「工事士.com」の編集部です。

◆工事士.comについて

  • 電気工事業界専門の求人サイトとして2012年にサービス開始
  • 転職活動支援実績は10,000社以上
  • 「電気工事士が選ぶ求人サイト」として「使いやすさ」「信頼度」「支持率」の三冠を獲得

※調査元:ゼネラルリサーチ

「ITとアイデアと情熱で日本の生活インフラを守る」をミッションに掲げ、建設業界で働く方々を支援するサービスを提供しています。

◆運営会社ホームページ

株式会社H&Company

◆運営サービス

工事士.com(電気業界に特化した求人サイト)

施工管理求人.com(建設業界求人に特化した転職エージェント)

建設魂(建設業界を応援する情報サイト)

電工タウン(電工向けコミュニティサイト)

BT-web(建設業界専門のCMSサービス)

◆SNSアカウント

工事士.com X(旧Twitter)公式

◆メディア掲載実績

建設専門紙「建通新聞」 / jobdaマガジン / メタバース総研 / TOKYO MX「ええじゃないか」

その他の条件で電気工事士の求人を探す

資格試験スケジュールカレンダー