電気工事における危険予知活動(KY)とは?実際に発生した事例と対策を解説!

安全衛生

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電気工事現場には、感電事故や高所作業時の事故など、作業者の生命に関わる重大な事故発生につながるリスクがたくさんあります。

事故を未然に防ぐためには、適切な安全対策と効果的な危険予知活動(KY活動)が不可欠です。

本記事では、電気工事で発生しやすい事故の種類とその原因、さらに事故を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。


発生頻度の高い感電事故と墜落・転落事故を防止するポイントや、実際の事故事例を取り上げていますので、ぜひ参考にしてください。

危険予知活動(KY活動)・危険予知トレーニング(KYT)・ヒヤリハットの概要や実施方法は、以下の記事で詳しく解説しています。


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電気工事で発生しやすい事故の種類

電気工事現場では、主に「感電事故」と「墜落・転落事故」が発生しやすいです。

感電事故は、電気を扱う作業の特性上、最も注意が必要な事故の一つです。不適切な作業手順や保護具の不使用により、作業者が電気に触れて重大な傷害を負う可能性があります。

また、電気工事は高所で行われることが多いため、墜落・転落事故も発生しやすいです。足場の不備や安全帯の未使用などが原因で墜落・転落事故につながる可能性が高いため、注意が必要です。

電気工事で発生しやすい事故の種類


電気工事における事故を防ぐためには、まず発生しやすい事故の特徴を把握することが重要です。

以下では感電事故および墜落・転落事故の原因・リスクについて詳しく解説します。

感電事故

電気工事現場で最も警戒すべき事故の1つは、感電事故です。

感電事故は、主に作業者が誤って通電部分に接触したり、絶縁不良の機器を使用したりすることにより発生しています。

感電事故の主な原因は、以下のとおりです。

■感電事故の原因

  • 電源の切り忘れ
  • 作業中に誤って電源を入れてしまった
  • 保護具の未着用や不適切な着用をしていた
  • 作業手順が誤っていた
  • 安全確認を怠っていた

実際に、配電盤の作業中に誤って通電部に触れてしまうケースや、絶縁不良のドライバーを使用して感電するケースなどが発生しています。

感電事故による被害は、軽微なものから生命に関わるものまで様々です。

■感電事故によるリスク

  • 筋肉のけいれん
  • 火傷
  • 呼吸停止
  • 心停止

さらに、感電によるショックで高所から転落するなど、二次災害のリスクも高くなるでしょう。

感電事故の防止は、電気工事現場における最重要課題の1つとなっています。
危険予知活動を通じて、常に感電の危険性を意識し、安全な作業環境を維持することが重要です。

墜落・転落事故

電気工事では高所作業が頻繁に行われるため、墜落・転落事故のリスクが高いです。

特に、電柱・足場・建物の屋上での作業時に事故が発生しやすい傾向があります。

墜落・転落事故は、主に以下の原因が考えられます。

■墜落・転落の事故原因

  • 足場や作業姿勢が不安定だった
  • 安全帯の未使用または不適切な使用方法だった
  • 作業環境の整理整頓ができていない
  • 天候条件が悪い中で作業をしていた

脚立が正しく設置できておらず転倒するケースや、安全帯を使用せずに作業していて墜落するケースなど、安全対策が不十分なまま作業を行うことにより発生することが多いです。

また、墜落・転落事故では、作業者本人だけでなく周囲にも被害が及びます。工具や部材が落下することで、地上で作業している人が被害を受ける危険性もあるでしょう。

墜落・転落事故は、重大な怪我や死亡事故につながりやすく、現場全体の作業効率を大幅に低下させる原因にもなります。そのため、高所作業時の安全確保は、電気工事現場における重要課題の1つとなっています。


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電気工事の危険予知活動(KY活動)のポイント

電気工事現場での安全確保には、効果的な危険予知活動(KY活動)が欠かせません。
KY活動のポイントは、作業開始前に全員で潜在的な危険を洗い出し、対策を共有することです。

具体的な状況をイメージしたKY活動や、過去の事故事例や経験を活用したKY活動も有効でしょう。その結果、作業員全員が危険に対する認識を高め、事故を未然に防ぐことができます。

電気工事におけるKY活動のポイント


ここからは、感電事故と墜落・転落事故、それぞれに対するKY活動のポイントを詳しく見ていきましょう。知識を身につけることで、より効果的な危険予知活動が可能になります。

感電事故のポイント

感電事故を防ぐため、KY活動では以下のポイントに注意を払う必要があります。

■感電事故のポイント

ポイント 内容
徹底的な電源確認
  • 作業開始前に停電状態を確認
  • 検電器を使用して二重、三重にチェック
  • 「どこに通電している可能性があるか」を全員で確認
保護具の適切な使用
  • 絶縁用保護具や手袋の使用を徹底
  • 作業前に保護具の機能点検を実施
作業中のリスク予測
  • 「作業中に発生しうるリスク」を具体的にイメージ
  • 工具の通電部接触や予期せぬ通電など、様々な状況を想定
コミュニケーションの徹底
  • 作業中も常に声を掛け合う
  • 現在の状況や次の作業手順を共有

上記のポイントを意識しながらKY活動を行うことで、感電事故のリスクを大幅に低減できます。常に電気による感電の危険性を意識し、安全な作業環境を維持することが重要です。

墜落・転落事故のポイント

墜落・転落事故を防ぐため、KY活動では以下のポイントに注意しながら実践しましょう。

■墜落・転落事故のポイント

ポイント 内容
足場と安全装備の確認
  • 作業開始前に足場の固定状態を確認
  • 安全帯やハーネスの正しい装着を確認
  • 不安定な場所や狭い空間では念入りにチェック
落下防止対策の実施
  • 工具用の落下防止装置の確認
  • 作業台の整備状況のチェック
環境変化の予測と対応
  • 天候変化(突風や雨など)の予測
  • 周囲の状況変化を考慮
  • 予測される変化に対する事前対策の検討
相互確認の徹底
  • 作業者同士の声掛けによる安全確認
  • 「自分と他人の安全」を常に意識
  • 最悪の事態を想定する姿勢の維持

高所作業時の事故リスクを低減させるには、上記のポイントを意識しながらKY活動を行うことが重要です。細かい危険であっても警戒心を持ち、安全な作業環境の維持に努めましょう。

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電気工事の危険予知活動(KY活動)の事例集

ここからは、電気工事現場で頻繁に発生する、「感電事故」と「墜落・転落事故」に焦点を当てた事例を紹介します。事例を通じて、どのような危険が潜んでいるか、どのように事故を防止できるかを考えてみてください。

危険予知活動(KY活動)の事例集

感電事故の事例集

電気工事現場における感電事故は、一瞬の油断や思い込みから発生することが多く、重大な事故につながるケースもあります。

電気工事現場でよく見られる感電事故の典型的なパターンを3つ取り上げます。事例を参考に、自分の現場でも起こりうる危険を想像し、適切な対策を講じることが重要です。

ケース①天井クレーンのペンダントスイッチの点検中に感電

天井クレーン点検中の感電事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

天井クレーンの点検作業では、感電事故のリスクがあります。

■発生状況

作業者が天井クレーンのペンダントスイッチを点検中に感電死。

■原因

  • 通電状態で点検していた
  • 絶縁用保護具が使われていなかった
  • 無資格者が作業していた
  • 定期点検が不十分だった

■対策

  • 点検・補修時の確実な停電
  • 適切な絶縁用保護具の使用
  • 有資格者による作業の徹底
  • クレーンの定期点検と迅速な修理
  • クレーン個別の電源回路設置

ケース②光ファイバーケーブルの架線工事中に感電し死亡

光ファイバーケーブル工事中の感電事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

光ファイバーケーブルの架線工事では、感電事故のリスクが考えられます。

■発生状況

電柱での光ファイバーケーブル架線中、作業者が変圧器の固定用番線に触れて感電死。

■原因

  • 感電防止措置が実施されていなかった
  • 漏電検知後の対応が不十分だった
  • 作業再開時の検電を行っていなかった
  • 作業手順書に不備があった

■対策

  • 充電部分への絶縁措置の徹底
  • 漏電検知時の適切な対応
  • 作業開始前の毎回の検電実施
  • 感電防止内容を含む作業手順書の整備と周知
  • 電力会社との事前連絡・協力体制の構築

ケース③天井裏の点検中、照明器具のプラグで感電し、死亡

天井裏点検中の感電事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

建築現場での電気作業では、感電事故のリスクがあります。

■発生状況

天井断熱材張替え工事の点検中、作業者が破損した延長コードに照明器具のプラグを差し込み感電死。

■原因

  • 破損した電気器具を使用していた
  • 作業前の点検が不足していた
  • 不十分な照明状態で作業をしていた
  • 感電防止教育が欠如していた

■対策

  • 電気器具の破損点検の徹底
  • 点検作業前のチェックリスト運用
  • 十分な照明を確保した作業環境の維持
  • 感電防止教育の強化

墜落・転落事故の事例集

電気工事現場における高所作業では、墜落・転落や落下物による事故のリスクが高いです。

ここからは、実際に発生した墜落・転落事故について、具体的な事例をいくつか紹介します。

ケース①高所作業車の油圧シリンダーが破損し、バケットから墜落

高所作業車の事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

電柱での高所作業では、墜落・転落事故のリスクがあります。

■発生状況

バインド線取替工事中、高所作業車の故障で作業者が墜落し負傷。

■原因

  • 高所作業車の部品に溶接不良があった
  • 定期点検を怠っていた
  • 安全帯を装着していなかった
  • KY活動で指摘された対策を行っていなかった

■対策

  • 高所作業車の品質向上
  • 定期点検の徹底
  • 安全帯使用の義務化
  • 危険予知訓練の確実な実施
  • 安全教育の強化

ケース②高圧受電設備の点検のため昇柱し、電撃ショックで墜落

高圧受電設備の点検中の事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

高圧受電設備の点検作業では、感電と墜落のリスクがあります。

■発生状況

高圧受電設備の点検のため電柱にのぼった保安技師が、漏電していた変圧器台に触れて感電し、地上に墜落して死亡。

■原因

  • 工場の水銀灯を介して変圧器台に漏電していた
  • 安全帯やゴム手袋などを使用していなかった
  • 安全教育が徹底されていなかった

■対策

  • 安全衛生教育の強化
  • 事前の設備情報収集
  • 作業内容の明確化
  • 確実な検電の実施
  • 絶縁用保護具の着用徹底
  • 受電設備の防護改善
  • 安全管理体制の整備

ケース③ホイストクレーンの修理中、天井走行クレーンに押されて墜落

ホイストクレーン修理中の事故

引用元:厚生労働省 職場の安全サイト 労働災害事例

クレーン修理作業では、墜落と接触事故のリスクがあります。

■発生状況

ホイストクレーンのガーダ上で修理中の作業者が、近接する天井走行クレーンに押されて墜落し死亡。

■原因

  • 近接クレーンの接近防止措置をとっていなかった
  • 安全帯を着けていなかった
  • 作業標準の周知が不足していた

■対策

  • 接触防止措置の徹底
  • 安全帯使用の義務化
  • 作業指示の体制と作業標準の周知徹底
  • 作業者間の連携強化

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まとめ

本記事では、電気工事現場で発生しやすい事故とその対策について詳しく解説してきました。

この記事でわかること
  • 電気工事現場で注意すべき事故は、感電事故と墜落・転落事故
  • 感電事故防止のポイントは、電源確認、適切な保護具の使用、作業中のリスク予測、コミュニケーションの徹底
  • 墜落・転落事故防止のポイントは、足場と安全装備の確認、落下防止対策の実施、環境変化の予測と対応、相互確認の徹底
  • 効果的な危険予知活動(KY活動)の実施が、事故防止に不可欠

電気工事現場での安全確保には、適切な危険予知活動と対策の実施が重要です。

本記事で紹介した事例や対策を参考に、作業者の安全意識を高め、事故のない作業環境を目指しましょう。

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