KY活動とは?目的や進め方からネタ切れ問題まで基本情報を徹底解説!

安全衛生

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KY活動(危険予知活動)とは、職場や現場に潜む危険を事前に予測し、対策することで事故や災害を防止する取り組みです。

特に、多くのリスクが潜む建設業や製造業などの業界で取り入れられている安全活動の1つで、従業員の安全を守るために重要な役割を担っています。

本記事では、KY活動について詳しく解説していきます。


職場・現場の安全を守るため、ぜひ参考にしてみてください。

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KY活動(危険予知活動)とは?

KY活動(危険予知活動)とは、職場や現場に潜む危険やリスクを洗い出し、対策することで事故や災害を回避する取り組みです。

KY活動は、「K=危険」「Y=予知」の頭文字を取っています。

では、KY活動をより正しく理解するために、下記5点について詳しく見ていきましょう。

KY活動(危険予知活動)とは


KY活動の目的

KY活動を行う目的は、主に下記のとおりです。

■KY活動の目的

  • 事故や災害を防ぐ
  • リスク管理の徹底

一般的に、職場や職場で事故や災害が起きる原因は、「ヒューマンエラー」「リスクテイキング」にあると言われています。


■ヒューマンエラー

人間が起こす間違い・ミス

■リスクテイキング

リスクがあると分かっていながらもメリットを優先するせいで、危険性の高い行動を起こしてしまうこと


ヒューマンエラーとリスクテイキングはいずれも事前に予測できるため、KY活動でヒューマンエラーやリスクテイキングの可能性を洗い出すことで事故や災害を防ぐことができます。

また、KY活動を行うことで、職場や現場に潜むリスクが明確になり、従業員1人1人が危険性を把握しやすくなります。

KY活動が必要な業種

KY活動が特に必要と言われる業種は下記のとおりです。


■KY活動が必要な主な業種

  • 建設業(土木、電気工事など)
  • 製造業(工場作業など)
  • 物流・運送業
  • 医療・介護業

上記の業種は、あらゆる業種の中でも、業種内容や職場環境において特に事故や災害が起こるリスクが多く潜んでいます。

KY活動とKYT(危険予知訓練)の違い

「KY活動(危険予知活動)」と似た言葉に「KYT(危険予知訓練)」があります。

「KY活動」と「KYT」はいずれも危険予知に関する言葉ですが、その目的と方法が異なります。

KY活動とKYTそれぞれの意味は下記のとおりです。

KY活動とKYTの違い

■KY活動(危険予知活動)

実際の職場や現場に潜む危険性を洗い出し、対策を考え事故や災害を防ぐ

■KYT(危険予知訓練)

イラストなどを見ながら、そこに潜む危険性を考えることで、安全意識を高める


KY活動(危険予知活動)は実際の業務上に潜む危険性を考えるため、「事故や災害を防ぐ」ことが目的であるのに対し、KYT(危険予知訓練)は、シミュレーションから危険性を考えるため、「安全意識を鍛える」ことが目的です。

KY活動とKYTでは、KY活動のほうが危険性を直接的に防ぐものであると覚えるとよいでしょう。

KYTにより安全意識を鍛えることで、KY活動において危険性を見つけやすくなります。

KY活動とヒヤリハットの違い

「KY活動(危険予知活動)」と「ヒヤリハット」の違いは、実際に危険なことが起きたかどうかです。

KY活動とヒヤリハットそれぞれの意味は下記のとおりです。

KY活動とヒヤリハットの違い

■KY活動(危険予知活動)

実際の職場や現場に潜む危険性を洗い出し、対策を考え事故や災害を防ぐ

■ヒヤリハット

危険なことは起こったが、幸い事故や災害にまでは至らなかった事例


KY活動はリスクを見つけ出して事前に回避するのに対し、ヒヤリハットは危険事象が実際に起きてしまっています。

ヒヤリハットの場合は、実際に起きた危険事象を共有し、事故や災害に発展しないよう対策を考えることが大切です。

KY活動とリスクアセスメントの違い

KY活動とリスクアセスメントの違いは、規模と手段です。

KY活動とリスクアセスメントそれぞれの意味は下記のとおりです。

KY活動とリスクアセスメントの違い

■KY活動(危険予知活動)

実際の職場や現場に潜む危険性を洗い出し、対策を考え事故や災害を防ぐ

■リスクアセスメント

従業員に関わるリスクを特定し、リスクの重要度を検討した上で、対策・実行する


まず、KY活動とリスクアセスメントでは規模が異なります。

KY活動は、「職場や現場」で起こる危険を主に「作業員」が予知し対策するものです。

一方、リスクアセスメントは「会社全体」に起こるさまざまな危険を主に「社長をはじめとするトップ陣」が予知し対策を考えます。

また、両者は手段も異なります。

KY活動は、職場や現場に潜む危険を洗い出し、行動目標を定めそれを実行します。

リスクアセスメントの場合は、危険を特定したら、まずはその危険度を見積もり・評価します。

KY活動はその場ですぐに行動目標を実行しますが、リスクアセスメントは職場全体のリスクであるため、慎重に検討した上で対策を行うことが重要です。

■ リスクアセスメントの手段

  1. 従業員に関わる危険を特定する
  2. リスクを見積もる
  3. リスクレベルを評価する(優先順位付け)
  4. リスクを低減させる対策を検討する
  5. 対策を実施・記録する

※出典:リスクアセスメント(厚生労働省)


その他、危険予知とリスクアセスメントの違いの詳細は、下記のとおりです。

■ KY活動とリスクアセスメントの違い

項目 KY活動 リスクアセスメント
いつ 毎日又は作業の都度 設備、作業方法、作業手順等を新規採用または変更するとき
どこで 主に作業現場で 主に事務所、会議室などで
誰が 作業者、監督者が 作業者、監督者、管理者、安全スタッフが (組織全体で)
何を 作業を対象に 設備や作業手順(書)を対象に
どのように ①作業場を確認しながら ①作業を思い起こしながら、手順に従って
②危険の有無で ②危険の程度(優先順)を数値化などで明確にして
③即決・即断で危険を回避 ③よく話し合い、時間とお金をかけて安全な設備、作業方法に改善
なぜ 作業に潜む危険に迅速に対応するため 職場や作業に潜む危険を根本的に減らすため

※参考:リスクアセスメント(厚生労働省)

KY活動(危険予知活動)の進め方は?手順や方法を解説

KY活動は、作業前から始める必要があります。

KY活動の具体的な方法は「基本4ラウンド法」に基づく手順になっています。

事故や災害を防ぐために、きちんとした手順を確認しておきましょう。

KY活動(危険予知活動)の進め方

本記事ではKY活動の具体的な進め方をご紹介しています。
KYTに用いられる「基本4ラウンド法」については「危険予知トレーニング(kyt)※作成中」の記事で詳しく解説しています。

①作業前に業務の危険を確認

まずは、作業前にその日行う業務の内容と、その業務に潜む危険を確認します。

ここで大切なことは、その場にいる従業員たちみんなで話し合うことです。

1人だけでKY活動を行うと、先入観や思い込みなどで気がつきにくい危険性があるかもしれません。

業務上起こりうる危険性を極力防ぐためには、「どのようなリスクがあるのか」を複数人数で話し合い、さまざまな角度から意見を出していくことが重要です。

②対策を考える

業務上起こりうる危険を一通り確認できたら、次にそれらを回避するための対策を考えます。

KY活動の大きな目的は、「事故や災害を事前に防ぐ」ことです。

そのため、話し合いで出た危険について、事故や災害に繋がらないようにするための対策を1つずつ練っていきます。

なお、対策を考える際には、「実現可能な対策なのか」「具体的な対策方法になっているか」の2点を重視するといいでしょう。

具体的な対策については、「○○に気をつける」といった意識的な対策ではなく、「○○を行う」といった行動を示す対策方法が有効的です。

また、対策についても1つだけではなく、みんなで話し合い複数案を出していきましょう。



③具体的な行動目標を決める

作業に潜む危険への対策が決まったら、行動目標を設定します。

行動目標の設定において大切なことは、目標は「作業に関わる全ての人が実行できるもの」にするということです。

事故や災害を防ぐためには、実際に「行動目標」を実行できるかどうかが重要になってきます。

そのため、複雑なものではなく、みんなが実行できるよう簡潔な目標を決めましょう。

■ 行動目標の例

  • 踏み台を使用する際には壁側に寄せて置く
  • 高所作業時には安全帯を着用しているかを確認する

作業に関わる全ての人が共通の行動目標を設定することにより、1人1人が「事故や災害を防ぐためにどのような行動を取れば良いのか」を認識することができます。


④指差し呼称をしながら作業する

業務中は、行動目標に基づき、要所要所で「指さし呼称」を行いながら作業しましょう。

行動目標を徹底するため、「よし!」としっかりと声に出すことが大切です。

声を出すことにより、従業員1人1人が改めて安全を確認できます。

また、指差しの動作を行うことで、きちんと安全を確認したということを視覚的に記憶できる効果もあります。

作業に慣れてくると、指差し呼称を疎かになってきてしまうかもしれません。

しかし、行動目標で定めた安全確認を確実かつ正確に行うことで、事故や災害が起こりにくい職場・現場を作ることができるのです。

KY活動(危険予知活動)の効果は?

KY活動を行う大きな目的は「事故や災害を防ぐ」ことです。

しかし、KY活動を行っていくことで本来の目的以外にも得られる効果があります。


■ KY活動(危険予知活動)で得られる効果

  • 従業員1人1人の安全意識の向上
  • 生産性の向上
  • 職場環境の向上

KY活動は作業員同士で職場や現場に潜む危険について話し合うため、仲間の意見を聞くことで、1人で考えるよりもリスクに対する意識をより高めることができます。

その結果、1人1人の安全意識の向上に繋がります。

また、KY活動のミーティングを日々繰り返すことにより、従業員同士のコミュニケーションが活発となります。

本音で話すことでチームワークが高まり、最終的にはKY活動以外の職場に関する問題についても話し合えるようになり、企業全体としての成長が期待できるようになります。

さらに、KY活動によって事故や災害が軽減されると、作業の効率化に繋がります。したがって、企業全体の生産性が向上する効果も得られます。

KY活動(危険予知活動)の具体例

実際に、KY活動で見つかる危険にはどのようなものがあるのでしょうか。

KY活動が特に行われる業種の「KY活動具体例」をそれぞれご紹介していきます。

KY活動の具体例

では、順番に見ていきましょう。

建設業

※作成中※



工場

※作成中※



土木

※作成中※



KY活動(危険予知活動) 活動表の記入例

KY活動をより正しく行うためには、「危険予知活動表」と呼ばれる報告書を使用するのが効果的です。

ここでは、基本的な報告書の内容と記入例をご紹介していきます。

統一書式は特にありませんが、一般的には下記の9項目が記載されています。


■ 危険予知活動表の記入例

  1. 日付
  2. 会社名
  3. リーダー名
  4. 作業員数
  5. グループの作業内容
  6. 作業における潜在リスク
  7. 行動目標(私たちはこうします)
  8. 本日の安全目標
  9. 作業者のサイン

KY活動報告書の記入例

※出典:危険予知活動表用紙ダウンロード(株式会社石井マーク)



危険予知活動表は、チーム全体でKY活動を正しく行うためにも重要ですが、万が一事故や災害が起きてしまった際に安全対策が行われていたのかを判断するものになることがあります。

したがって、しっかりと記入することを心がけましょう。



危険予知活動表の記入例は下記のとおりです。



■ KY活動 報告書の記入例

項目 記入例
①日付 〇月〇日(〇)
②会社名 〇〇株式会社
③リーダー名 工事士 太郎
④作業員数 〇名
⑤グループの作業内容 積み込み、荷下ろし作業
⑥作業における潜在リスク 1.ロープが切れて作業員が下敷きになる
2.荷崩れが起きて作業員が挟まる
3.クレーンが送電線に当たり作業員が感電する
⑦行動目標
(私たちはこうします)
1.作業前にロープに異常がないか確認する
2.クレーンの旋回範囲内、吊り荷の下には人が入らないようにする
3.作業前に電線の位置を確認する
⑧本日の安全目標 声掛けを忘れず行う
⑨作業者のサイン 作業員1人1人の署名


「作業員数」には、その作業に関わる従業員数を記載します。

また、「作業における潜在リスク」は、作業前の話し合いで出た意見をまとめましょう。

「行動目標」には、「作業における潜在リスク」を防ぐために、自分たちはどのような行動を取るのかを記入します。

KY活動(危険予知活動) ネタ切れ問題の原因と対策

KY活動を長く行っていると「新たな危険や対策が思いつかない」といった「ネタ切れ」状態になってしまうことも多くあります。

KY活動において「ネタ切れ」が起きてしまう原因は、主に下記のとおりです。


■ KY活動が「ネタ切れ」してしまう原因

  • 従業員1人1人がKY活動の重要性を認識できていない
  • 危険やリスクについて自主的に考えられていない
  • KY活動に慣れてマンネリ化している

職場や現場における危険が完全に無くならない限り、KY活動は必要です。

ただし慣れてくると、KY活動が機械的になり、新たなアイディアが出てこない「ネタ切れ」状態に陥ってしまいます。

しかし、それは従業員1人1人の危険に対する意識が低く、事故や災害を自分事と考えられていなかったり、KY活動の重要性を認識できていなかったりすることが原因です。


KY活動がマンネリ化してくると、1人1人の安全意識が低下し、事故や災害が起きやすくなってしまいます。

そこで、KY活動の「ネタ切れ」を防ぐためには下記の対策法が効果的です。


■ KY活動の「ネタ切れ」を防ぐ対策

  • 従業員1人1人にKY活動の重要性を再認識してもらう
  • ヒヤリハットから潜在的リスクを考えてもらう
  • 報告書へのフィードバックを行う

KY活動のネタ切れを防ぐ上で最も重要な対策は、「従業員にKY活動の重要性を再認識してもらう」ことです。

そのため、定期的にKY活動の目的や必要性を伝える講習などを開き、全ての従業員がKY活動の重要性を確認できるようにすることが大切です。

また、危険やリスクが思いつかなくなった際には、ヒヤリハットの事例を分析することも効果的です。

ヒヤリハットが起きてしまっているということは、そこに何かしらの危険が潜んでいるということです。

したがって、ヒヤリハットを分析することで、今まで気づかなかった危険を見つけ出し、対策を講じることができます。


さらには、危険予知活動表を見直すことも、ネタ切れ防止に繋がります。

管理者から報告書のフィードバックを定期的に行うと、新たなアイディアが浮かびやすくなるでしょう。

まとめ

本記事では、KY活動について詳しく解説してきました。


この記事のまとめ
  • KY活動(危険予知活動)とは、職場や現場に潜む危険を洗い出し、対策することで事故や災害を回避する取り組み
  • KY活動(危険予知活動)は、職務上特にリスクの高い「建設業」や「製造業」などで用いられる
  • KY活動(危険予知活動)は、「①作業前に業務の危険を確認」→「②対策を考える」→「③行動目標を決める」→「④指差し呼称をしながら作業」の順番で進める
  • KY活動(危険予知活動)の「ネタ切れ」を防ぐには、「従業員にKY活動の重要性を再認識してもらう」「ヒヤリハットを分析する」などが効果的

KY活動は、職場や現場で働く人々の安全を守るために非常に重要な取り組みです。

また、継続的に行うことで労働環境全体の向上も期待できます。

KY活動を正しく行い、職場や現場での事故や災害を防ぎましょう。


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