▼用語詳細(電気工事用語集)
誘導障害
(ユウドウショウガイ)
誘導障害とは、電話線や通信線などに電力線(電線)が並行して設置されるときに起こりやすい電気的障害の1つです。

誘導障害には大きく分けて3つの種類がある。
また、誘導障害は電力線と人体の間でも発生するので注意が必要となります。

誘導障害を種類別に分けると以下の通りになる。

◎静電誘導障害
静電とは、静電気のこと。
主に特別高圧電線の直下で起こり、下を通る人が刺激を受けたり、付近の回路に異常電圧が流れたりするという形で障害が現れます。
特別高圧送電線の直下と対地静電容量の違いが原因となり発生します。

対策としては、送電線など超高電圧の環境で発生するため、需要家側での対策は困難であり、
・送電線との離隔確保(感電事故を防ぐため、高圧電線に必要以上に近づかないように処置。)
・遮へいケーブルの採用
・遮へい物を設ける
・アースの一種をつける(接地という。送電線に上って作業をする場合などに用いられる。)
といった対策が電力会社側の誘導障害対策として実施されることになる。

特別高圧送電線路の直下における静電誘導障害は、地表上1mでどの程度の電界強度が発生しているかを指標とし、送電線路の直下では静電誘導障害が人に対して不快感や不安感を与えることを防止するため、日常的に人が立ち入る場所では30[V/cm]以下、それ以外の場所では50[V/cm]以下とすることが求められている。

◎電磁誘導障害
電話線や通信線と平行して電力線(送電線)が敷設された場合に発生する誘起電圧を原因とした障害のこと。

通常の状態で発生することはめったにありませんが、落雷などの事故発生時や地絡が生じた場合に起こります。
電力線に流れる電力が原因で、通信線に電圧が生じる障害であり、通信障害の原因になります。

対策としては、電力線と通信線を平行に敷設しないことが効果的です。
やむを得ず強電線と弱電線が平行敷設してしまう場合は、遮へい線の敷設、電線相互の離隔確保などの対策を施すのが良い。
遮へい物は伝導率が高く、接地抵抗が高いものがお勧めです。
さらに、通信ケーブルを用いて、避電器を設置する方法もあります。

◎鉄道が原因で発生する誘導障害
交流電流と直流電流を変電所や線路上で切り替えて使っており、その切替で発生する高周波ノイズが原因で障害が発生することもあります。

この誘導障害が発生すると、信号保安システムが重大な影響を受けることがあります。
現在は対策が採られていますが、新型車両などを導入する際は万が一に備える必要があります。

対策として信号保安システムの整備や制御器筐体の接地や遮へい物を利用したりして、誘導障害を防いでいます。

どの誘導障害も設備の品質低下につながり、通信回線の品質に悪影響を及ぼしたり、感電を引き起こすおそれがある。
誘導障害を低減するよう設計・施工において努めるのが重要です。