▼用語詳細(電気工事用語集)
等電位接地(EPRシステム)
(トウデンイセッチ(イーピーアールシステム))
等電位接地(EPRシステム)とは、導体間の電位差を低減させるための接地手法。医用電気機器の接地や、雷電流からの保護に使用されています。

◎医療分野における利用
病院や診療所では、治療や検査目的で患者の体内(心臓に極めて近い心臓部など)にカテーテル(直径2mm程度の細い管。動脈に挿入し、治療を行う。)や電極を挿入したり、留置する場合も少なくありません。

心臓部に電位差が発生すると致命的な事故につながるため、防止するために利用されます。患者を取り囲む医療機器(ME機器など)や金属製品(ベッドなど)の金属露出部を0.1Ω以下の接地線で接続し、各機器および金属製品間の電位差を10mV以下に抑えるように等電位接地(EPRシステム)します。

各機器の電位差が10mV以下であれば、人体の抵抗を1kΩと仮定すると、人体に流れる電流を10μA以下に押さえることができます。(オームの法則:10mV=1kΩ×10μA)これにより、ミクロショックを防止することが可能となります。

等電位接地(EPRシステム)が機能しているか否かを評価するためには、交流電圧測定器(もしくはデジタルテスタ)を用意し、一端を等電位接地点(EPRポイント)に接続し、もう一端を機器や金属製品などにあて、電位差を測定します。等電位接地点に接続しているすべての機器や金属製品が10mV以下の値なら問題ないという事になるので、覚えておくと便利です。

◎雷電流から保護するための利用
落雷による誘導雷の被害軽減に用いる場合もあります。
誘導雷により発生する電流は、建物に使用される金属配管や電線などから侵入するのが一般的。
そのため、建築物を構成する金属部材・金属製の配管・電気機器をすべて接地線で接続し、等電位接地(EPRシステム)します。
雷サージ(雷により発生し、電源線、通信線、電気・電子機器に短時間で一時的に発生する異常な過電圧や過電流のこと)が流れこんでも建物全体の電圧が一様に上昇するため、電位差が発生せず、電流が流れないため、アーク(2つの電極間の放電によりつくられる光の円弧。電弧。高温で強い光を発するのが特徴。)が抑制され、機器故障が防止できます。

雷電流は著しく大きな電圧と電流を発生するため、等電位を図るための接地線が長いと、電線自身がもつインピーダンスによる等電位を施しても若干の電位差が発生します。接地線はできるだけ太く、かつ短く敷設するのが望ましいので覚えておくこと。