電験三種とは?資格情報・仕事内容を丸ごと解説!

電気主任技術者(電験)

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「将来は電気主任技術者になりたい」
「ビルメン系の仕事で働いていて、給料アップのために資格取りたい」
そんな方におすすめなのが電験三種(第三種電気主任技術者)の資格です。


電験三種は世間一般的に、難易度の高い資格と言われておりますが、勉強する順番やコツを掴んで上手く試験勉強と付き合っていけば、取得困難な資格ではありません。


この記事では、

◎電験三種とはどんな資格なのか
◎試験の難易度や合格率、おすすめの勉強方法
◎電験三種取得後の働き方や年収

などについてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてみてくださいね!


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電験三種(第三種電気主任技術者)の資格概要

電気主任技術者とは、発電所や変電所、工場、ビルなどの受変電設備や電気設備を、保守・管理するひとのことを言います。この業務に携わるために必要とされているのが電気主任技術者の資格で、第一種・第二種・第三種と3つの種類があります。


まずは、電験三種の資格概要について詳しく見ていきましょう。


電験三種で対応できる業務の範囲


【第一種~第三種の違い 扱える設備の範囲】
電験一種すべての事業用電気工作物
電験ニ種電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
電験三種電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
(出力5千キロワット以上の発電所を除く)

上記の表のとおり、電験三種を持っていると、電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(受変電設備や電気設備など)の保守・管理ができる電気のスペシャリストとして活躍できます。


5万ボルトというと、具体的にどんな建物の電気設備を保守・管理できるのかイメージが湧きにくいかもしれないですが、私たちの生活に身近なビルやマンションなどの建物は、ほとんどが5万ボルト以下なので大抵の建物は電験三種を持っていれば対応可能です。



大規模な工場や鉄道会社などの受変電設備・電気設備になってくると、電圧が5万ボルトを超えてくるので、保守・管理するには電験二種(第二種電気主任技術者)や電験一種(第一種電気主任技術者)の資格が必要となります。


経済産業省の情報によると、どうやら2045年にかけて、電験ニ種の選任が必要な大規模再エネ設備が増加するとのこと。
いま「大抵の建物は電験三種を持っていれば対応可能」とお伝えしたばかりですが、もしこの業界で長く活躍していきたいのであれば、いずれは電験二種以上の資格取得も視野に入れておいたほうが良いかもしれないですね。


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電験三種は学歴や実務経験などに関係なく誰でも受験可能!

電験三種は、試験を受けるために必要な受験資格はなく、年齢や学歴・職歴・実務経験年数などを問わず誰でも受験可能です。


試験を管轄している電気技術者試験センターが行った平成29年度電気技術者試験受験者実態調査によると、電験三種の受験者層は20代~40代の層が特に多く、「ビル管理・メンテナンス・商業施設保守会社」に就業している方の割合が多いようでした。


その他、「電気工事会社」や「電力会社」・「電気機器製造会社」に就業中の方もいて、受験者の約60%以上が働きながら資格取得を目指しているといった結果が出ています。


電験三種は受験資格がないのでチャレンジしやすいという観点から、毎年約4万~5万人もの人が受験している人気の資格です。資格を取ろうと思った理由については、

◎仕事の都合上、電験三種を取らなければならなくなった
◎給料アップのために資格を取ろうと思った
◎電験三種を取って、今とは別の会社に転職しようと考えている

などの理由が多いようでした。この記事を見てくださっている方の中にも、もしかすると同じ境遇の方がいらっしゃるかもしれませんね!


もし、電験三種を独学で受験しようと考えている方は、以下の記事もご参考ください。


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【最新版】2023年度 電験三種の試験情報まとめ

電験三種の資格取得は、気長に付き合っていくことが大切

電験三種の試験は、2022年度より年に2回実施されており、上期が8月頃、下期が3月頃の実施です。全国47都道府県で受験ができます。


2023年度からCBT方式が選択可能に

また、2023年からは試験にCBT方式が導入され、CBT方式の試験と筆記方式の試験から、好きな方を選択できるようになりました。

※CBT方式とは、全国約200か所にあるテストセンターのコンピュータで受験する方法です。CBT方式での受験を希望される場合は、受験申込後、指定された期間内に「CBT会場申込手続(試験会場及び試験日時の選択手続き)」を行う必要があります。
詳細はこちら:(一財)電気技術者試験センター「電第三種電気主任技術者試験におけるCBT方式の導入について


2023年度の試験スケジュール

【上期】

申込期間:5月15日(月)~6月1日(木)
試験日(CBT方式):7月6日(木)~7月30日(日)
試験日(筆記方式):8月20日(日)


【下期】

申込期間:11月13日(月)~11月30日(木)
試験日(CBT方式):2024年2月1日(木)~2月25日(日)
試験日(筆記方式):2024年3月24日(日)


後ほど勉強方法をご紹介するときにも詳しく触れていきますが、電験三種の試験は『理論』『電力』『機械』『法規』の4科目で構成されており、4つ全てに合格すると資格を取得できます。


以下の記事では、試験スケジュールのほか、試験直前の過ごし方についても解説しています!


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「科目合格制度」って?電験三種の試験制度を把握しよう

電験三種の試験を受験される方は「なるべく一発で合格したい」という方が多いと思いますが、なかなか簡単に合格させてくれないのが電験三種の試験なんです。
電験三種は世間一般的に難易度の高い資格と言われており合格率は1割ほど。


しかし、記事の冒頭でもお伝えしたとおり、勉強する順番やコツを掴んで上手く試験勉強と付き合っていけば、取得困難な資格ではありません。


電気主任技術者の試験には『科目合格制度』という制度があります。
これは、一部の科目のみに合格した場合は科目合格となり、向こう2年間は申請により試験を免除することが出来るという制度です。


例えば……
1年目の試験で『理論』だけ合格し、残り3科目は不合格だったとします。2年目は、1年目に科目合格した『理論』の試験を免除することができるので、残りの3科目のみを受験すればいいのです。
そして万が一、2年目の試験で不合格になった科目があっても、3年目の試験で合格することが出来ればオッケー。
このように3年以内に4科目全てに合格すれば資格を取得できます。


1年で一発合格を狙うのも良いですが、それは簡単なことではありません。


科目合格制度を利用し、3年という長い期間で勉強量を分散しながら科目合格を増やしていくほうが確実な資格取得方法と言えるかもしれません。


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電験三種の試験申し込み~試験日までの一連の流れ

試験を受けようと決めたら、必要となるのが試験の申し込みです。
まだ受けるか決めていないという方も、受験することが決まったときにスムーズに申し込みを済ませられるよう、手順をあらかじめ確認しておきましょう。


電験三種の試験申し込み方法には、インターネット申し込み書面申し込みの2パターンがあります。
(ネット環境がある方は、インターネット申し込みのほうがおすすめです)


インターネット申し込みの方法
インターネットで申し込みを行う場合は、はじめに試験を管轄している電気技術者試験センターの公式サイトにアクセスし、手順に沿って受験申込を行いましょう。

インターネットによる申し込みの場合の受験手数料(7,700円)の支払い方法は、銀行振込・クレジットカード決済・コンビニ決済・ペイジー決済のいずれかとなります。


書面申し込みの方法
書面で申し込みを行う場合は、はじめに受験案内冊子を入手しなくてはいけません。(受験案内は大型書店や電気技術者試験センター 本部事務局などで入手できます)

受験案内には受験申込書が入っているので、必要事項を記入して、受験手数料(8,100円)とともに郵便局の窓口へ提出しましょう。


上記のどちらかの申し込み方法によって申し込みが完了した後、試験日の約2週間前に、電気技術者試験センターから受験票と写真表が郵送されてきます。


※ 注意
実際の試験スケジュールや申し込み期限などに関する情報は、毎年公表される内容を必ずご確認ください。



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電験三種の合格率は10%ほど。難易度の高い試験

電験三種の試験は軽い気持ちでは太刀打ちできない

試験を受けようと思った時に気になるのが、試験の難易度ですよね。「難しいとは聞くけど、具体的にどのくらい難しいんだろう…」と気になる方もいらっしゃると思います。
まずは、試験の合格率から見ていきましょう。 下記は平成29年度~令和元4年度(上期)の合格率の推移をまとめたグラフです。


※参考:(一財)電気技術者試験センター「試験実施状況の推移 第三種電気主任技術者試験」、「令和 4 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について


グラフを見ると、合格率は毎年10%前後であることが分かります。


電気に関連する国家資格は様々ありますが、中でも電験三種は難しい部類に入ると考えられます。
実際に受験された方の中には「何回受けても合格まで届かない」「次の試験で落ちたらもう諦める」とおっしゃる方も多く、一発合格を狙うのはなかなか難しいかもしれません。


★試験の合格率や難易度については、こちらの記事もご覧ください。


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電験三種を攻略するには、まず「理論」から勉強しましょう

続いては、電験三種の試験の勉強方法についてご紹介します。


記事の序盤で軽く触れましたが、電験三種の試験は『理論』『電力』『機械』『法規』の4科目で構成されており、4科目全てに合格して、はじめて資格を取得することが出来ます。


科目ごとの試験内容は下図の通りです。



【電験三種の試験内容】

試験科目出題範囲問題数・配点試験時間
理論電気理論、電子理論、電気計測、
および電子計測に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
電力発電所・変電所の設計および運転、
送電線路(屋内配線を含む)の設計および運用、
並びに電気材料に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問×各10点
90分
機械電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用・照明・電熱・電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクス並びに
電力システムに関する情報伝送および処理に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
法規電気法規(保安に関するものに限る)
および電気施設管理に関するもの
A問題10問×各6点
B問題3問×各13~14点
65分

試験問題は五肢択一式のマークシートで回答する方式です。試験問題は、計算問題・正誤判定問題・穴埋め問題の3パターンがあります。


いざ勉強をはじめようと思ったとき、4科目のうちどの科目から手を付ければいいか悩む方もいらっしゃると思いますが、基本的には、電験三種の基礎・基本の内容が詰まっている「理論」の科目から勉強していくのが良いでしょう。


理論では4科目全てに必要となる内容を学べるので、最初に土台をしっかり固めておくことで残りの3科目もスムーズにはかどるかと思います。


詳しい勉強方法や勉強時間の目安については、こちらの記事もご覧ください。


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電験三種の仕事内容と資格取得後の働き方

電気主任技術者の資格は、

ビル管理会社
電気工事会社
電力会社
電気機器製造会社
建設会社

などの会社で活かすことができ、就職先・転職先の候補はさまざまあります。


仕事内容は、建物の受変電設備や電気設備の保守・管理が基本となりますが、勤務する会社によって担当する建物は異なるので、仕事選びの際は気を付けましょう。


また会社によっては、24時間体制で設備を管理していることもあるので、夜間作業や宿直勤務が発生したり、複数人のチームになって交代で設備を点検したりと、多様な働き方があります。


電験三種は資格を取得するまでが大変ですが、取得すれば、上記のような会社で活躍できる可能性が高いと言えます。具体的な仕事内容をもっと見たいという方は、ぜひ工事士.comで電気主任技術者募集の求人情報を覗いてみてくださいね!


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また、電気主任技術者の働き方や1日の仕事の流れをご紹介した記事もあるので、あわせてご覧ください。


電験三種(第三種電気主任技術者)の年収は350万円~500万円台が多い

工事士.comでは、これまで掲載していただいた電気主任技術者募集の求人情報をもとに年収がどのくらいになるのかを調査したところ、 だいたい350万円~500万円台がボリュームゾーンであることが分かりました。
ただしこれはあくまで目安の1つであり、地域差・応募条件などによっては年収が600万円以上という求人もあります。


また保有資格によっても年収は異なり、一般的には、電験三種<電験二種<電験一種という順で年収が高くなる場合が多いようです。


更に、電験三種を取得して転職しようと思ったとき、業界経験・実務経験があるか・ないかでも、給与のスタート金額には差が出ると言えます。
「未経験・電験三種保有」の状態だと、月収は20万円前後が多いかもしれませんね。


★こちらの記事もあわせてご覧ください!


電験三種(第三種電気主任技術者)についてのまとめ

今回は、電験三種の資格概要や、試験情報などについてお伝えしてきました。


電験三種は受験資格がなくどんな方でもチャレンジできる資格です。「安定した職に就きたい」「手に職をつけたい」という目標を持っている方には大変おすすめです。


取得するまでの道はけっして楽なものではありませんが、それを乗り越えれば、あなたの活躍の場が大きく広がるはずです。電験三種の資格が気になっているという方は、ぜひ前向きに資格取得を検討してみてくださいね。
この記事があなたのお役に立つことを祈っています!


★電験三種の試験に関連する記事はこちら!


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