▼用語詳細(電気工事用語集)
巻線形誘導電動機
(マキセンガタユウドウデンドウキ)
三相誘導電動機は構造上「かご形」と「巻線形」に分類されています。
巻線形誘導電動機は、回転子の二次巻線として巻線を巻いた電機子を用いており、電気ブラシ、スリップリング(固定ブラシと組み合わせて、回転子と固定子との間を連続的に電気的に接続する導体回転リング)などで外部と接続できるようになっている。

二次巻線を外部で短絡することもできるが、外部から抵抗を接続して二次抵抗値を調節することもできます。

始動時は二次抵抗器によって二次抵抗値の調節を行い、始動トルク(始動時の回転力)を低下させずに始動電流を低下させることができる。
始動後はスリップリングを短絡し、定格電流で運転します。

また、すべり(回転磁界の回転数と実際の回転子の回転数の差と同期速度の比率)を調節して、比例推移の特性を利用し回転数制御もできる。

二次抵抗値の調節により、始動・速度制御を行える誘導電動機として、速度制御を必要とする機器に採用されているが、二次回路で発生する損失も増加するので注意が必要です。

そこで、二次巻線に流れるすべり周波数電流を利用する方法として、直流電動機と組み合わせたクレーマ方式、ほかの誘導発電機と組み合わせたセルビウス方式などが用いられています。

かご形誘導電動機よりも効率は良くない上、スリップリングやブラシといった構成部品が数多く、保守に手間がかかるという欠点があるが、始動特性が良好なことに加え、速度制御性が高いという利点があるため、かご形誘導電動機では対応できない「ポンプ用電動機」「電車」「クレーン」といった、大容量が求められる用途での採用実績がある。

中小容量ではほとんど使われておらず、かご形誘導電動機の回転速度をインバーターによってきめ細かに制御できるようになっているため、巻線形誘導電動機の採用実績は少なく、現在では「かご形誘導電動機」が産業用の誘導電動機として幅広く普及している。