▼用語詳細(電気工事用語集)
逆相
(ギャクソウ)
逆相とは、時計回りに回転するよう磁石を配置した設計の電動機が、反時計回り(モーターから出力軸を見て左回転になる。逆回転)に回転を始めた場合の状態のことをいう。三相交流回路の相回転が逆になった状態で、三相誘導電動機は逆回転となります。通常通り正回転すること(モータから出力軸を見て右回転)を正相という。

※ 三相交流回路:電流または電圧の位相をずらした3系統の単相交流を組み合わせた回路
※ 三相誘導電動機:三相の交流電源で動くモータのようなもの。クレーン・デリック・一般産業機械に広く使用され、かご形・巻線形などの種類がある

電動機を逆方向に回転することを想定していない設計の場合、逆相の状態になると、過剰に抵抗が発生したり、冷却機能が損なわれるなど、異常加熱や焼損の原因となります。

ファンやポンプは、回転方向によって気流や水流の発生方向が決められています。電動機が逆方向に回転すると気流・水流が目的の方向に発生しないため、ポンプやファン本体には気流や水流の方向を示す矢印が示されています。反対方向に回転を初めた場合、3本線のうち2本を入れ替えると、回転方向が反転します。
第2種電気工事士の筆記試験で、「三相誘導電動機を逆回転させる接続方法はどのような回路か?」「三相誘導電動機を逆回転させるためにはどうしたらいいか?」などの三相誘導電動機の正転・逆転についての問題が度々出題されているので、覚えておくと便利です。

逆相を防ぐためには、逆相結線によるモーターの逆回転を防止するための「逆相リレー(逆転防止リレー)」を設け、逆走状態での起動スイッチの動作を抑制する制御が必要となります。これにより、逆相状態ではマグネットコンタクターが動作せず、モーターが始動できなくなるので、安全装置として機能します。

抵抗が増えると、電動機が所定の性能を発揮できないので、施工し終わったら、検相器などを用いて、回転方向の確認を行う必要があります。

発電機から不平衡負荷への電源供給を行うと、回転子磁界と逆方向に電流が流れます。これを「逆相電流」と呼びます。逆相電流が過大になると、発電機が異常振動したり、固定子が発熱して故障したりするので注意が必要です。有効なトルクが減少するため、効率や出力そのものの低下につながるので、確認作業が重要となります。