▼用語詳細(電気工事用語集)
かご形誘導電動機
(カゴガタユウドウデンドウキ)
かご形誘導電動機とは、かご形の回転子を持つ誘導電動機のこと。三相電力を供給することで大きな回転力が得られます。特徴としては以下の通り。

【構造】
基本的な構造は多くの電動機と同じでステータにとりつけたベアリングがローターを支えて滑らかに回転させています。材料は、鉄と銅などが主。

【長所】
■ 電動機の中でも構造が簡単
■ 高い安定性と耐久性を持っている
■ メンテナンス性能が高い
※ 直流電動機などの複雑な電動機には、「ブラシ」「整流子」といった各種部品が設けられているが、かご形誘導電動機ではこれらの装置が不要のため。

【短所】
■ 始動電流が大きく、始動器が必要
※ 定格電流の5~8倍の電流が電圧印加の瞬間から定格速度に至るまでの間に発生するため。
※ 始動器にも種類があり、特徴が異なる。
* 全電圧始動(直入れ始動):7.5kW程度の小型機種の場合に使用。
* 現電圧始動(スターデルタ始動・リアクトル始動・コンドルファ始動など):11kWを超える中型以上の規模の場合に使用。

■ 始動電流に耐える発電機や変圧器の用意が必要
※ 長時間に始動電流が流れると、配線用遮断器のミストリップ(トリップとは…漏電や過電流によりブレーカーが落ちること)を誘発するため、始動電流に耐える発電機や変圧器を用意しなければならない。また、配線用遮断器の容量選定においても始動電流によるトリップが動作しない選定が求められる。

【使われている場所】
■ オフィスビルの空調機用ファン
■ 電車の動力
■ 工場の運転動力
■ ハンドドリルの動力など
※ 安くて壊れにくい電動機が必要な場所で多用されており、設備用ファンなどで広く普及している。

【注意事項】
速度制御が難しいといわれた誘導電動機であるが、インバーターの普及により周波数制御が容易となったため、国内で用いられているファンのほとんどがかご型誘導電動機です。インバーターの多用は電源系統の高調波による汚染を広げることに注意を要します。