電験三種の年収は350万円〜500万円程|電気主任技術者の現実

電気主任技術者(電験)

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今回は、電験三種の年収について調査してみました。


電験三種は「第三種電気主任技術者」の略称で、電気や電力の高い専門知識を要する国家資格です。


当サイト工事士.comに掲載していた、電験三種募集の求人情報なども参考にしていますので、よりリアルな金額がお分かりになると思います。是非参考にしてみてください。


電験三種の年収

実際の求人から見たボリュームゾーン

工事士.comは電気設備業界専門の求人サイトとして、電験三種を対象とした求人情報も扱っています。直近の求人情報を見ると、だいたい年収350万円~500万円の範囲であると分かりました。


ただし、年収は仕事内容の他、地域・経験年数・会社の規模など様々な要因が絡んでくるため、一概には言えません。ご参考までに、求人情報の一例を下記でご紹介したいと思います。


【A社】自社工場における電気設備の保守・メンテナンス(千葉県)
<応募条件>
資格:第三種電気主任技術者/経験:電気設備の工事経験や設備のメンテナンス経験
<給与>
月給:194,500円~31,4000円
モデル年収:入社3年・年収400万円

【B社】ホテルにおける設備全般の管理及び修理(北海道)
<応募条件>
資格:第三種電気主任技術者/経験:設備管理経験
<給与>
月給:200,000円~220,000円
モデル年収:入社3年・年収360万円

【C社】ビルの設備管理業務(滋賀県)
<応募条件>
資格:第三種電気主任技術者/経験:電気工事実務経験
<給与>
時給:1,250円~1,375円
モデル年収:入社3年・年収400万円~500万円


ビル管理、プラント設計など仕事内容にもよる

電気主任技術者は、主に電気工作物の工事・維持・運用における保安・監督などの業務を行う際に役立つ国家資格です。勤務する会社によって携わる施設は異なり、ホテル・工場・ビル・鉄道・マンションなど様々あります。


厚生労働省の調査を見ると、活躍するフィールド・仕事内容によっても年収に差があることが分かりました。以下、そのうちの一例をご紹介しましょう。


仕事内容 平均年収(全国)
ビル管理 432.9万円
太陽光発電のメンテナンス 515.2万円
プラント設計 606.2万円
発電所運転管理 634.6万円

出典:厚生労働省 職業情報提供サイト


上記を見ると、同じ電気主任技術者でも現場の違いや業務内容によって年収に差が出ることが分かると思います。


未経験者・経験者における年収の違い

電験三種の給与・年収は、電気工事や設備管理等の実務経験があるか・無いかによっても変わります。


電気主任技術者の資格試験には、学歴や経験など必要となる受験資格はありません。そのため、勉強すれば誰にでも合格できるチャンスがあります。しかし、資格取得後に就職するとなったとき、「資格だけ持っている未経験者」と「資格も経験もある経験者」とでは、給与のスタート金額にも当然差が出てくるでしょう。


ご参考までに、工事士.comに掲載された求人情報の一例を下記でご紹介したいと思います。


【未経験者OKの求人情報】

【A社】福岡県

  • 仕事内容 : 病院内の空調・電気設備の管理
  • 応募条件 : (資格)第三種電気主任技術者/(経験)不問
  • 給  与 :月給180,000円~220,000円

【B社】千葉県

  • 仕事内容 : 設備管理
  • 応募条件 : (資格)第三種電気主任技術者/(経験)不問
  • 給  与 :月給210,000円~240,000円

【経験者募集の求人情報】

【C社】愛知県

  • 仕事内容 : 総合病院における設備管理
  • 応募条件 : (資格)第三種電気主任技術者/(経験)設備管理経験
  • 給  与 : 月給300,000円~350,000円

【D社】沖縄県

  • 仕事内容 : 施設保全
  • 応募条件 : (資格)第三種電気主任技術者/(経験)設備管理経験
  • 給  与 : 月給290,000円~350,000円

工事士.comの独自調査(電気工事士の年収)によると、電気工事士の未経験者の月給は「20万円~25万円」程度。電験三種を活かした未経験での転職でも、ほぼ同じ水準と言えるでしょう。


また、経験を重ねれば、上記の例のように月給30万円以上の収入も十分に狙えます。


一種・二種・三種で異なる業務内容と年収

電気主任技術者の資格には3種類あり、資格のレベルは【電験三種 < 電験二種 < 電験一種】です。


下記のように扱える電圧の大きさによって、保守・管理できる範囲が異なります。


電気主任技術者 監督可能な電気工作物 電圧階級
一種 全て 送電線、変電所
大型の火力発電所など
特別高圧
二種 電圧17万V未満 自家用発電設備
大規模な工場など
特別高圧
三種 電圧5万V未満
かつ
出力5千kW未満
低電力の発電設備
ビル、コンビニなど
特別高圧
高圧
低圧

電気主任技術者は鉄道業界や建設業界、ビル管理業界などの色々な分野で活躍できます。


下図を見ると、小規模・中規模程度の工場やビルの受変電設備・電気設備の電圧は5万ボルト未満。つまり、電験三種の資格があれば保守・管理できるという事になります。


また、5万ボルト以上の電圧を扱う鉄道変電所や、大規模工場の受変電設備・電気設備を保守・管理するには、電験二種や電験一種の資格が必要です。


上位資格である「電験二種」の資格取得も視野に入れている方は、こちらもご覧ください。⇒第二種電気主任技術者


変電の仕組みと電気主任技術者が監督できる設備

(参考:電気事業連合会 電気が伝わる経路)


より高圧な電力を使う施設や設備の方が、保守・管理する危険性や責任は大きくなるため、そういった設備(例えば大規模工場や発電所など)を持っている企業ほど、給料は高い場合が多いでしょう。


特に電験一種は、試験の難易度が非常に高く合格者も少ないため、電験一種を持っている人は業界で『』と呼ばれることもあるんですよ……!


電験三種は取るべきか:資格取得のメリットとデメリット

 

電験三種のメリット:職業需要の安定性

電験三種の資格を保持することは、安定して仕事を得るという面で大きなメリットがあります。

  

■社会的需要

電気主任技術者は、電気事業法に基づき、電気工作物の安全確保のため、電気工作物の工事、維持、運用に関する保安の監督を行う者です。事業用電気工作物の設置者は、電気主任技術者を選任することが義務づけられています。

引用 : 経済産業省 電気主任技術者


電気事業法では、特定規模以上の電気設備を管理する事業所に電気主任技術者の配置を義務付けられています。電気の存在は現代社会を支える不可欠な要素。産業、商業、住宅、そして日々の生活において、安定した電力供給は必要です。


このため、電気を安全かつ効率的に管理し、問題を解決できる電気主任技術者の需要は常に高く、安定しています。電気主任技術者は景気の波に左右されにくく、不況時でも比較的安定した雇用が期待できる仕事です。

  

■人手不足

全国的な人口減少に伴い、2030年度には、第三種電気主任技術者が約1000人、第二種電気主任技術者は約800人不足すると予測されています。さらに、再生可能エネルギー設備の導入などにより、電気主任技術者の社会的重要性は増々高まっているのです。


こうした問題を解消していくためにも、電気業界では電気主任技術者における雇用機会の創出や、働きやすい労務環境の実現を目指す取り組みが推進されています。

(参考:経済産業省 電気主任技術者の需給見通し


 

電験三種のデメリット:資格取得までが大変

電験三種を取得することは多くのメリットがありますが、その過程にはデメリットも伴います。その中でも特に指摘されるのは、資格取得のための勉強が大変である点です。


それでも、多くの人にとって、これらの挑戦を乗り越えた先にある職業的な成長と安定は、それだけの価値があると考えられています。この資格を目指す際には、メリットとデメリットをしっかりと考慮しましょう。


詳しくはこちらもご覧ください。⇒電験三種の勉強方法


電気主任技術者のホンネ:年収低い?独立可能?

 

苦労して取った資格なのに稼げない…?

工事士.comでは、電験三種を持っていて現場で実際に活躍している方の、『給料・年収に対する意見』を独自に調査。そこで目にしたのが、「苦労して資格を取ったけれど、実際は意外と稼げなかった」という意見です。


ここでは、電験三種の給与や年収に対するホンネをご紹介したいと思います。仕事選びのヒントが隠れているかもしれないので、是非ご覧になってみてください。


【40代男性 / 中規模工場勤務】

メインの仕事は電気回路の設計です。電気主任技術者としての仕事は、月に何回か電気設備の点検を行うのと、年に1回の年次検査の立ち合いをしています。給料について不満はありません。


今の会社では、電気主任技術者だからって、素人でも直せるような簡単な修理を頼まれることが多いので、それはちょっと困りますね。例えば換気扇が壊れたときとか、ブレーカーが落ちた時とか……。他の雑用もいっぱいやりますよ。電気の資格を取ったからと言って、電気の仕事ばかりするだけじゃないということを、転職を考えている人たちに伝えたいです。


【50代男性 / ビル管理】

この業界に転職したいと思う人であれば、持っていて損はしない資格だと思います。ただし、電験の資格1本で食っていけるとは限りません。特にビル管理系の仕事は、電験以外に、電工・ボイラー・危険物・消防設備士・ビル管理士の資格は持っていた方が良いと思います。


ビル管理の給料はいいとこ300~400万円くらいじゃないですかね。この職の良い所は、クビになりにくい所・転職しやすいところだと思います。


【50代男性 / ビル管理】

40代の頃、5年間かけて電験三種を取りました。当時は、何回受けても合格できない情けなさと勉強の疲れで、しんどい毎日を過ごしていました。 電験は資格を取るまでが大変です。中には一発で合格できる人もいると聞きますが、ほとんどの人が何年も苦労して頑張って取っていると思いますよ。


今はビル管理の専任として働いていますが、私の会社は給料もそんなにいいわけではなく、手当も付きません。やっぱり、仕事選びと会社選びは慎重になった方が良いですね。


いかがでしたでしょうか。電気主任技術者の仕事では、設備の保守・管理以外の業務や、電気主任技術者以外の資格を求められる場面も多いため、あらかじめ心得ておくと良いでしょう。


また、仕事内容や会社によって給料に差が出るようです。転職活動をされるときは、ぜひ会社選びを慎重に行うようにしてください。


 

将来的に独立したら稼げる?

電気主任技術者として独立するには、資格取得後に所定の実務経験を積んで経済産業大臣の認可を受ける必要があります。 無事に認可を受けた後は独立することが可能ですが、独立したからと言ってジャンジャンお金を稼げるわけではありません。


稼いでいくには、技術力だけでなく、人脈や営業力も必要になってきます。古くから付き合いのある取引先や、コネが効く企業が無い限り、年収を劇的に上げる事は難しいでしょう。 そのため、まずは独立後に保安管理業務を取りまとめている電気保安法人に登録することをオススメします。


実際に独立された方は・・・

独立するときは、家族や会社の先輩など頼れる人に一度相談してみるといいと思います。決して簡単に判断してはいけません。独立してからは、企業に勤めている時よりも孤独に感じることが増えます。取引先がいくつか出来ない限り食べていくのもやっとだし、収入が安定するまでは時間もかかると思います。独立するときは慎重になりましょう。


とおっしゃっています。電気主任技術者として活躍する道は様々あるので、それぞれのメリット・デメリットを考慮した上で、 自分自信のキャリアアップ・年収アップにつなげてください。


まとめ

今回は、電験三種の年収について深掘りしてみました。電気主任技術者とは、電気工作物の安全確保を監督する重要な国家資格者であり、その年収は業務内容、地域、経験年数、会社の規模など様々な要因によって変動します。


工事士.comでは電気主任技術者の仕事内容について詳しくまとめた記事もありますので、是非そちらも参考にしてみてくださいね。⇒電気主任技術者の仕事



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