電験三種の勉強時間は1,000時間⁉ 初心者のための勉強方法

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目次

電験三種を受けようと思ったとき、必ずぶち当たるのが試験勉強の壁。


「テキストを開いてみたけど、チンプンカンプン」
「なにから手を付けたらいいのか分からない…」
「どのくらい勉強したら合格できるんだろう?」


こんな悩みや疑問を持っている方も沢山いらっしゃるのではないでしょうか。


今回は、これから電験三種の試験勉強をはじめる方の手助けになるような、勉強方法やコツ・勉強時間の目安などをお伝えしていきます。

記事を読み終わった後は、「こんなに勉強しなきゃいけないのか…」と想像以上の大変さに驚いてしまう方もいるかもしれません。でもこれは、電験三種を受けようとする誰もが通る道です。

この記事が、試験勉強の大変さ・キツさをちょっとでも軽減できる助けになれば良いなと思っています。是非、参考にしてみてください!


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電験三種の勉強時間の目安と、勉強する科目の順番

まず、電験三種の難易度と合格率についてちょっとだけお話したいと思います。


みなさんも既にご存知かと思いますが、電験三種の合格率はわずか数%と合格できるのはほんの一握りです。平成30年度の試験では約4万3千人が電験三種を受験しましたが、合格者は1割程度で合格率は9%という結果になりました。

受験者の多くは電気・電力に関係する仕事に就いている方ですが、専門知識や技術を持った方でさえ平気で落とされるのが電験三種の資格試験です。


この記事を読んでくださっているみなさんは、そんな難関資格を取るために試験勉強を始めようとしている直前、もしく勉強をしている真っ最中ではないでしょうか。 ここからは電験三種の勉強方法やコツ、勉強時間の目安などについて具体的にお話していきたいと思います。


『理論』⇒『電力・機械』⇒『法規』の順で電験三種を攻略!

電験三種の試験は、『理論』『電力』『機械』『法規』の4科目で構成されています。 それぞれ科目ごとに試験を受け、4科目全てに合格すれば電験三種の資格を得ることができます。 出題範囲の内容と試験時間、配点については下記を参考にして下さい。


【電験三種の試験内容】

試験科目出題範囲問題数・配点試験時間
理論電気理論、電子理論、電気計測、および電子計測に関するものA問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
電力発電所・変電所の設計および運転、送電線路(屋内配線を含む)の設計および運用、並びに電気材料に関するものA問題14問×各5点
B問題3問×各10点
90分
機械電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機器応用・照明・電熱電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝達・処理に関するものA問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
法規電気法規(保安に関するものに限る)および電気施設管理に関するものA問題10問×各6点
B問題3問×各13~14点
65分

【補足】
試験問題の解答方式はマークシートに記入する五肢択一方式で、計算問題正誤判定問題穴埋め問題の3パターンの出題形式があります。5つの選択肢の中から正しい解答を選ばないといけないので、特に正誤判定問題には注意が必要です。


合格ラインの目安は各科目60点以上ですが、問題が難しい場合は合格ラインが下げられる可能性があります。 H30年度の試験の場合は、理論:55点/電力:55点/機械:55点/法規:51点でした。 過去の電験三種の合格ラインは54点~55点が多いですが、あくまで目安は60点以上ですので、 各科目とも必ず60点以上を獲得できるように対策しておきましょう。



いざ勉強を始めるとき、どの科目から手を付けていけばいいのかと悩む方も結構いますよね。「簡単なところから手を付ける方」「自分の得意な分野から手を付ける方」、やり方は人それぞれあると思いますが、電験三種の場合は必ず理論から手を付けていってください


なぜなら理論は、4科目の全ての基本となる知識を含んでいるからです。 4科目の土台となる理論が分かっていないと、残りの科目を勉強するときに後々つまずいてしまうので、まずは理論を最初に攻略していきましょう。



理論のつぎは電力・機械の勉強を行いましょう。この2つの科目については、勉強する順番は自分の好きな方から取り組んで構いません。 それぞれ得意・不得意があると思うので、取っ掛かりやすいと思った科目からはじめていくと良いでしょう。


最後は残りの法規ですね。法規については暗記する内容が多いので、早い段階で勉強すると後々覚えたことを忘れてしまう可能性があります。 ですから1番最後に勉強するのがおすすめです。


まとめると、電験三種を勉強する順番は・・・
『理論』 ⇒ 『電力』・『機械』 ⇒ 『法規』 の順がいいでしょう。


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中学・高校レベルの、「数学・理科」の理解度で勉強量は変わる

先程、理論をはじめに勉強しましょうと言いましたが、理論を勉強する前に必ず確認してほしいことがあります。 それは自分が中学・高校レベルの『数学・理科』を理解できているかどうかです。

理論の試験では、直流回路や電磁力・静電気など、中学や高校の理科で勉強する知識や、計算式を使って答える数学の知識が必要になります。


試験では、例えば下記のような問題が出題されます。

 

オームの法則、ブリッジ回路、フレミングの法則… みなさんは覚えていますか?


理論の試験では、中学・高校の数学・理科で習う原理や法則を使う問題が出題されるので、最低ラインの知識として必ず覚えておく必要があります。

電験三種の勉強量は、理論を理解するために必要な、数学・理科の知識があるか・ないかで大きく変わります。「もう全然覚えていない」という人は、理論を勉強する前に中学・高校の数学・理科の復習から取り組んでみましょう。


中学・高校の数学・理科を勉強できるテキストは、書店やネットショップなどで簡単に手に入れることが出来ますよ! 理論を勉強している最中に「この計算どうやるんだっけ?」と手が止まってしまったらすぐに調べることが出来るので、1冊持っておくだけでも便利かもしれません


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平日2~3時間・休日5時間の勉強を、まずは1週間継続してみよう

ネットなどではよく『電験三種の勉強時間は1,000時間必要』と言われています。 1,000時間と言われてもあまりイメージしにくいですよね。

仮に1,000時間勉強するとなった場合、<平日3時間×5日 + 休日5時間×2日 × 4週間 = 100時間/月>を10ヶ月間繰り返すことになります。 「10ヶ月も続けるのか…」と思うと正直気が遠くなってしまいますよね。 勉強する癖をつけていくために、まずは1週間だけ続けてみる所から始めてみましょう。


大切なのは、ちょっとずつでもいいので毎日こつこつ勉強を継続していくことです。 電験三種の試験範囲は非常に広いので、休みの日に一気に勉強しても覚えられません。 絶対にやる人はいないと思いますが、間違っても試験直前に頭に叩き込むような勉強は止めてください。


また、電験の試験には科目免除という制度があり、一部の科目だけに合格した場合は科目合格となって、 翌年と翌々年の試験では申請によりその科目の試験を免除することが可能です。

科目免除が効く3年以内に4科目全てに合格すればいいので、『1年目は2科目だけ、2年目は残りの2科目を、3年目は万が一のための予備期間』などと、 数年間に分けて受験する方も結構います。


一発で合格を狙うのか、科目に絞って数年に分けて合格を狙うのかは自由ですが、 試験本番までに勉強できる期間が少ししか無い方や、1科目ずつ確実に合格したいという方は『科目に絞った勉強方法』がおすすめです。


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電験三種 科目ごとの勉強方法とコツ

ここからは、もう少し試験の内容に踏み込んだ話をしていきたいと思います。 それぞれの科目ごとに、勉強する上でのポイントをまとめてみましたので是非参考にしてみてください。


【理論】は4科目の土台!基礎をしっかり身に付けよう

繰り返しになりますが、理論は電験三種の土台となる重要な科目です。 理論は試験範囲が広く、覚える公式なども多いですが、直流回路・交流回路・電磁力・静電気などに関係する原理や法則は必ず覚えましょう。 ここをしっかりマスターしないと応用問題が出題された時に対応できなくなってしまいます。


出題される問題の傾向としては、約8割が計算問題で、正誤判定問題・穴埋め問題が約2割出題されます。 特に計算問題は、ただ公式を当てはめて計算するような簡単な問題ではなく、頭を悩ませるような難しい問題が毎年出題されています。

問題のパターンもさまざまあるので、過去問を沢山解いて問題慣れしておくことが必要です。 正誤判定問題・穴埋め問題は計算問題に比べると答えやすいと思うので、確実に点数を稼ぎましょう。


【電力】では「発電・変電・送電・配電のそれぞれの違い」を押さえましょう

電力の科目では、水力発電や火力発電などの発電に関する問題や、送電・配電などに関する問題が出題されます。 現在、電気・電力関係の仕事に携わっていて知識がある方にとっては非常に勉強しやすい科目だと思いますよ! たとえば下記のような問題が出題されます。


【例題】
0.01kgのウラン235が核分裂するときに0.09%の質量欠損が生じるとする。これにより発生するエネルギーと同じだけの熱を得るのに必要な重油の量【I】の値として、最も近いものを次の(1)~(5)から選べ。重油発熱量は43000kj/Iとする。

【解答】
(1)950 (2)1900 (3)9500 (4)19000 (5)38000
正解:(4)19000


電力の勉強をするときは発電・変電・送電・配電のそれぞれの仕組みや、設備の違いなどを覚えておきましょう。電気技術者試験センターが公開している過去問等をみると、理論に比べると計算問題は少なく、正誤判定問題や穴埋め問題の割合と半々くらいと考えられます。

電力については毎年似たような問題が出題されることが多い傾向にあるので、過去問を繰り返し解けば十分に対応できるでしょう。


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【機械】では「四機」をマスターしましょう

機械の科目に関しては、出題範囲が非常に広く、覚えることが多い苦労しそうな分野です。パワーエレクトロニクス、自動制御、メカトロニクスなど、機械の仕組みについてより専門的な知識が必要とされています。

この科目で特に押さえて欲しい内容は、『直流機』・『変圧器』・『誘導機』・『同期機』の四機に関する内容です。 試験問題の約70%の配点を占めているところですので、ここはしっかり覚えて配点を稼ぎましょう。


試験では例えば下記のような問題が出題されます。

【例題】
貯水池に集められた雨水を、毎分300㎥の排水量で全揚程10mを揚水して河川に排水する。このとき100kwの電動機を用いた同一仕様のポンプを用いるとすると、必要なポンプの台数は何台か。だたしポンプの効率は80%、設計製作上の余裕係数は1.1とし、複数台のポンプは排水を均等に分担するものとする。


【解答】
(1)1  (2)2  (3)6  (4)7  (5)9
正解:(4)7




機械の科目では、計算問題、正誤判定問題・穴埋め問題の割合は5:5くらいです。この科目については出題範囲が広いので、 勉強の効率を上げるためにも「確実に点を稼ぐ分野」と「捨てる分野」を決めるのもアリだと思います。 ただし『四機』だけはマスターしておきましょう。



【法規】は語句や数値の暗記よりも、計算問題の練習を先に!

法規の科目では、電気事業法・電気工事法などの法律や、電気設備の設置基準、電気施設管理などの知識が問われます。

計算問題・正誤判定問題・穴埋め問題がまんべんなく出題されますが、数多くの法律や基準を頭に入れなければいけないので、暗記力が必要となる分野です。


試験ではたとえば下記のような問題が出題されます。


【例題】
次の文章は「電気設備技術基準の解釈」に基づく高圧架空電線路の電線の断線、支持物の倒壊等に よる危険を防止するために必要な場合に行う、高圧保安工事に関する記述の一部である。


a. 電線はケーブルである場合を除き、
引張強さ( ア )【kN】以上のもの又は直径5【㎜】以上の( イ )であること。 b. 木柱の( ウ )荷重に対する安全率は、1.5以上であること。 c. 径間は、電線に引張強さ( ア )【kN】以上のもの又は直径5【㎜】以上の( イ )を使用し、支持物にB種鉄筋コンクリート柱又はB種鉄柱を使用する場合の径間は( エ )【m】いかであること。


上記の(ア)~(エ)に当てはまる語句として、正しい組み合わせは次のうちどれか。
<1>(ア)8.71(イ)硬銅線(ウ)垂直(エ)100
<2>(ア)8.01(イ)硬銅線(ウ)風圧(エ)150
<3>(ア)8.01(イ)高圧絶縁銅線(ウ)垂直(エ)400
<4>(ア)8.71(イ)高圧絶縁銅線(ウ)風圧(エ)150
<5>(ア)8.01(イ)硬銅線(ウ)風圧(エ)100
正解:<2>



法規では、語句だけでなく、上記の問題に出題されているような細かい数値まで覚えなくてはなりません。 語句や数値の暗記をはじめに勉強してしまうと、後々忘れてしまう可能性があるので、 先に計算問題の勉強を進めておくのが良いかもしれませんね。


==参考までに===
過去の試験問題は電気技術者試験センターでも公開されているので、勉強する際に一緒に活用してください。また、工事士.comでは、電験三種の過去問クイズコンテンツも用意しています。是非活用してみてください!

電験三種のテキストや問題集は様々な種類があって、購入する際に迷われる方も多いと思います。それぞれの科目に特化した参考書や4科目分の内容がまとまった参考書など色々ありますので、自分のレベルに合ったものを、自分の目で見て判断して購入しましょう。


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電験三種の勉強で「ココに苦労しました…」を聞きました

最後に・・・
今回この記事を書くにあたって、電験三種を受験した方に「合格するまで大変だったこと・きついと感じたこと」をお聞きしましたので、 その内容を少しではありますがご紹介したいと思います。今後、電験三種の資格を取ろうと思っている方は是非ご覧になってみてください。


【20代・男性】

自分は3年前に電験三種をとりました。受験しようと思ったきっかけは、資格を取って電気業界に転職したかったからです。いわゆる、「手に職を」ってやつですね。

自分は文系の大学出身だったので、勉強をはじめた最初の頃は「やっぱり無謀な挑戦なのかな・・・」と諦めたくなる事もしょっちゅうありました。そんな辛い時期を乗り越えられたのは、電気工事会社で働いている友人に支えて貰っていたからです。

いろいろとアドバイスを貰いながら、合格するために必死に机に向かいました。当時は、平日に3時間、休日に8時間くらい勉強してそれを半年くらい続けましたね。


初めて試験を受けた年から3年目でやっと電験三種の資格を得ることが出来ました。合格するまでの3年間は、 試験勉強に対する自分のモチベーション管理が一番大変だったと思います。コツコツやった方が良いのは頭では分かっているのですが、 途中で面倒くさくなったり、休憩中に思わずマンガを読んでしまったり・・・。

軽い息抜きのつもりが3時間くらい昼寝しちゃったりする時もありました。 『試験勉強をしなくちゃいけない』っていう大変な毎日と、どう向き合っていくかが大事になってくると思います。



【50代・男性】

電気工事の業界に入ってもうすぐ30年経ちます。最近ウチの会社に、工事の経験は無いけれど電験三種の資格を持った若手社員が入ってきてくれたんです。

そのときにこう思ったんですよ、『自分も若いうちに資格取っておけばよかったな・・・』って。現場のお偉いさんたちは「資格だけ持っていても経験が無きゃ意味ない」ってよく言うんですけれど、若いうちは経験なんかなくたっていいんですよ。現場に行けば自然と技術が身につくんですから。わたしからしてみれば、若い頃から電験の資格を持っているなんてすごく優秀だと思います。


わたしは5年前くらいから電験三種を取ろうと思ってチャレンジしているのですが、試験勉強に頭が付いていかなくて何回も落ちています。暗記なんてやってもすぐに忘れちゃって・・・。

最終的に資格は取れたものの、20代・30代の若いうちに資格を取っておけばよかったなと後悔しています。若い人の方が頭の回転も速いし吸収力もあると思います。

今まさに勉強している最中だという方、電験三種の勉強は大変だと思いますが持っていれば絶対メリットのある資格なので、是非頑張ってください!



【30代・男性】

電験三種の試験勉強は根気が無いと勝てないです。それを自分は身をもって体験しました。電験三種を取るのにかかった期間は丸5年です。トータルで1,000時間以上は確実に勉強していますね。どれだけテキストを読み込んでも、過去問を解きまくっても、落ちる時は落ちます。

電験三種の勉強をした経験から言えるのは、過去問を解くことも大事だけど、 テキストの内容をどれだけ理解しているかの方が大事だってことです。内容を理解していないと、ちょっと捻った問題が出たときに答えられません。 あと、一度勉強したら最低3回は復習すること。範囲が広いのですぐ忘れます。


電験三種の試験では勉強スケジュールをしっかり立てることも基本中の基本です。例えば「3ヶ月間でこの科目を理解する」とか「毎日1項目は必ず勉強する」とか。ナアナアな状態で勉強を進めても意味が無いので、勉強を始める時は「今日はここまでする」というのを決めて、コツコツ知識を積み重ねていくことが大事だと思いますよ。合格までの道のりは大変だと思いますが、最後まで諦めなければ、いつかは受かります。


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まとめ

いかかでしたでしょうか。
今回は電験三種の勉強方法やコツ・勉強時間の目安などについてお話してきました。


電験三種は受験資格が無いので資格を取りたいという方も沢山いると思いますが、合格するには並々ならぬ努力と根気が必要です。試験範囲が広く覚えることが山ほどあるので、試験本番まではキツイ毎日との闘いになる事でしょう。

しかし辛い日々を乗り越えて資格を取得できれば、転職活動で有利になったり資格手当がついたり、頑張った分の見返りはきっとあると思います。


これから電験三種の試験勉強を始めようと考えている方は、是非、この記事で得た情報を参考にして勉強をがんばって頂けたら嬉しいです。 あなたの合格を心からお祈りしています。


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