知らなきゃ損!電験三種の難易度と合格率一桁の試験攻略法

電気主任技術者(電験)

目次[閉じる]

「電験三種の資格ってどのくらい難しいのかな?」
「電験三種の試験は難しいって聞くけど、なにが難しいのか具体的に知りたい!」


第三種電気主任技術者試験、通称:電験三種の資格試験は、受験資格が問われないので、どなたでも受験することが可能です。
就職活動や転職活動、仕事でスキルアップを目指すにあたりとても有効な資格なので、「電験三種の資格を取りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。


そこでこの記事では、電験三種の難易度や合格率などについてお伝えしていきます。
実際に試験を受けた方の体験談もご紹介しますので、今後、資格取得を視野に入れている方はぜひ参考にしてみてくださいね。


工事士.comで求人をさがす


電験三種は難関資格。難易度・合格率をチェック!

ご存知の方も多いと思いますが、【電験】は【電気主任技術者試験】の略称で、頭文字の『電』と最後の『験』をとって、通称:電験と呼ばれています。


電験には第三種~第一種まで3つの種類があり、電験三種<電験二種<電験一種の順に資格のレベルや難易度が上がります。


電験の資格試験は、入門編である電験三種をはじめに受験することが一般的です。電験三種の取得後は、電験二種・電験一種と、上位資格にチャレンジする方もいます。


ここからは、電験三種の難易度や合格率について、具体的に解説していきます。


電験三種の試験に受験資格はありません

電験三種の資格試験には、学歴や職歴など、必要となる受験資格はありません
そのため、資格を取りたいと思った方は、受験の手続きをすればどなたでも試験を受けることが出来ます。


この資格は発電所や変電所、工場やビルなどの受変電設備や電気設備を、保守・監督するために必要な資格です。
受験者数は毎年4万~5万人で、その中でも、ビル管理・メンテナンス会社、電気工事会社、電力会社に勤めている方が特に多く受験しています。電気・電力を扱う仕事に就いている方にとってはとても実用的な資格だと言えるでしょう。


受験資格がないので誰でもチャレンジしやすい資格ではありますが、電気・電力に関する専門的な知識を身につけなければいけないので、難易度は高めの試験と言えそうです。


工事士.comで求人をさがす


合格率の推移から見る電験三種の難易度|合格できるのは一握り!

続いては、電験三種の合格率をもとに、試験の難易度を見ていきましょう。
まずは下記のグラフをご覧ください。

※参考:(一財)電気技術者試験センター「試験実施状況の推移 第三種電気主任技術者試験」、「令和 4 年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について

※上記の合格率に科目合格者は含まれません。


このグラフは、平成29年度~令和4年度(上期)の電験三種の合格率の推移を表したものです。
ご覧の通り合格率が10%を下回る年が多く、おおよそ受験者の10人に1人しか合格できない試験だと分かります。


専門的な知識が求められる国家資格の試験なので、勉強時間を上手く取れなかったり、試験内容に対して理解が浅かったりすると、合格できる可能性は低くなってしまいます。簡単には合格させてくれない難しい試験ですので、受験を考えている方は十分に対策することが重要です。


工事士.comで求人をさがす


電験三種は、初めて試験を受けた年から3年以内の取得を目指そう

電験三種の試験は、2022年度より年に2回実施されており、上期が8月頃、下期が3月頃の実施です。全国47都道府県で受験ができます。
なお、2023度年から試験にCBT方式が導入され、CBT方式の試験と筆記方式の試験から、好きな方を選択できるようになりました。

※CBT方式とは、全国約200か所にあるテストセンターのコンピュータで受験する方法です。CBT方式での受験を希望される場合は、受験申込後、指定された期間内に「CBT会場申込手続(試験会場及び試験日時の選択手続き)」を行う必要があります。
詳細はこちら:(一財)電気技術者試験センター「電第三種電気主任技術者試験におけるCBT方式の導入について


試験科目は『理論』『電力』『機械』『法規』の4科目で、4科目の試験全てに合格すれば電験三種の資格を得ることができます。
ただし、試験の合否は科目別に決まります。そのため、一部の科目だけに合格した場合は科目合格となり、翌年と翌々年の試験では、申請すればすでに合格した科目の試験が免除されます。


ですから、電験三種の資格取得にチャレンジする方は、3年以内に4科目全てに合格することを目指しましょう!


それでは、実際にどんな問題が出題されるのか、試験の中身を見ていきましょう。


【電験三種の試験内容】

試験科目出題範囲問題数・配点試験時間
理論電気理論、電子理論、電気計測、
および電子計測に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
電力発電所・変電所の設計および運転、
送電線路(屋内配線を含む)の設計および運用、
並びに電気材料に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問×各10点
90分
機械電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用・照明・電熱・電気化学・電気加工・自動制御・メカトロニクス並びに
電力システムに関する情報伝送および処理に関するもの
A問題14問×各5点
B問題3問(選択問題含む)×各10点
90分
法規電気法規(保安に関するものに限る)
および電気施設管理に関するもの
A問題10問×各6点
B問題3問×各13~14点
65分

試験問題の解答方式は五肢択一方式(筆記で受験する場合はマークシートに記入)で、出題される問題は計算問題正誤判定問題穴埋め問題の3パターンがあります。選択肢が多いので、特に正誤判定問題には注意が必要です。


気になる合格ラインの目安は各科目60点以上です。
なお、問題が難しい場合は合格ラインが下げられる可能性があります。H30年度の試験の場合は、理論:55点/電力:55点/機械:55点/法規:51点でした。


とはいえ、あくまで目安は60点以上ですので、各科目とも確実に60点以上を獲得できるよう対策しておきましょう。


工事士.comで求人をさがす


電験三種の攻略方法と勉強時間の目安

先ほどご紹介した電験三種の合格率を見ても分かる通り、試験の内容はかなり難しいと言えます。
合格率一桁の試験に合格するには、いったいどんな勉強をすればいいのでしょう? 何時間勉強すれば合格できるのでしょう?


ここでは、電験三種の勉強方法と勉強時間についてお伝えします。


電験三種の勉強時間は1,000時間!?本当にそんなに必要なの?

実際に電験三種の資格試験を受けた方には、「1ヶ月、2ヶ月勉強しただけじゃ受からないよ」 「俺は知識の無いところから始めたから、1,000時間以上は勉強した!」とおっしゃる方もいます。


初めて聞くと「1,000時間!?」と耳を疑いますよね。1,000時間勉強するとなると、1日どのくらい勉強すればいいのでしょうか。
実際に1,000時間勉強する場合の勉強スタイルのパターンを、いくつかご紹介します。


【平日1時間、休日(2日)2時間ずつ勉強する場合】

「平日1時間×5日 + 休日2時間×2日」 × 「4週間(1ヶ月間)」 = 36時間/月
36時間×28ヶ月(2年4ヶ月) = 1,008時間


【平日3時間、休日(2日)3時間ずつ勉強する場合】

「平日3時間×5日 + 休日3時間×2日」 × 「4週間(1ヶ月間)」 = 84時間/月
84時間×12ヶ月 = 1,008時間


【平日3時間、休日(2日)5時間ずつ勉強する場合】

「平日3時間×5日 + 休日5時間×2日」 × 「4週間(1ヶ月間)」 = 100時間/月
100時間×10ヶ月 = 1,000時間


もともと持っている電気や電力に関する知識量、覚えるスピード、生活スタイルは人それぞれなので、もちろん勉強時間に差は出ます。とはいえ、少なくとも1ヶ月や2ヶ月程度勉強しただけでは合格するのは難しいと考えられます。


電験三種の試験には理数系の知識が必要とされるので、知識の無い所から勉強する方や、どちらかというと文系の方でしたら、おそらく中学・高校レベルの数学・理科を基礎から勉強することになるでしょう。
そうなった場合、やはり1年以上は、毎日コツコツ勉強して知識をためていくことが大切だと言えます。


電験三種の勉強時間の目安や勉強方法、勉強する上でのコツについては、以下の記事でも詳しくまとめています。ぜひ参考にしてみてくださいね。



工事士.comで求人をさがす


合格者に学ぶ、電験三種の攻略方法

続いては、実際に試験を受けて合格された方の体験談をもとに、電験三種の勉強方法の例をご紹介していきます。


【20代・男性】
自分は工業高校の電気科を卒業して、高圧受変電を扱う電気工事会社に就職しました。その会社で働いて2~3年たったころ、会社の上司に「電験を取ってほしい、費用は会社で持つから」と言われ、電験三種を受ける事に……。


試験は4科目あるので、まずは全ての科目をまんべんなく勉強し、特に電験三種の基本となる『理論』を集中的に覚えました。「最初の試験はダメもとでも受けてみよう」と思って、試験がある9月(※2022年度以前の試験は年1回・9月実施)までに毎日1時間、休日は5~6時間勉強して、それを半年くらい続けましたね。


初めて受けた試験の結果は、集中的に勉強した『理論』と、ちょっとだけ自信のあった『電力』の2科目に合格し、『機械』と『法規』は落ちました。一発合格は厳しいだろうと覚悟はしていましたが、やっぱり不合格の通知を目にするとちょっと悲しかったですね……。


しかし次の年の試験では科目免除がきくので、残りの科目に集中して、勉強を再スタートしました。2年目の勉強時間は1年目と同じ感じです。結果は『機械』『法規』とも合格。


科目免除が有効な3年以内に電験三種を取得できて、今はホッとしています。自分は科目免除という制度に助けられたので、「勉強時間があまりとれない」「科目ごとに集中して勉強したい」という人は、3年間たっぷり使って電験三種を攻略していけばいいと思います。


【40代・男性】
わたしが電験三種の資格を取るのにかかった期間は丸5年です。当時30代前半だったわたしは、「もし転職するとなった時に、自分を売り込めるような武器を持っておきたい」という思いから電験三種を取ろうと考えていました。


その時は工場勤務で、電気とは直接関係のない仕事に携わっていたため、一から電験三種を勉強することに……。


とりあえず書店で買ったテキストの勉強方法通りに、『理論』⇒『電力』⇒『機械』⇒『法規』の順で勉強を進めていきました。昔から暗記が大の苦手だったので、用語や単位を覚えるのにはとても苦労しましたね。


仕事から帰宅後、毎日2時間、休みは5時間くらいの勉強を1年くらい続けました。試験を受け始めてから3年目・4年目くらいの時には何度も挫折しそうになりましたが、5年目でやっと合格。電験初心者のわたしにとって、合格できるまでの5年間は精神的にも体力的にも厳しかったです。


電験三種の勉強について色々アドバイスをくれた先輩も言っていましたが、最初の『理論』の勉強でつまずくと後が大変になるので、しっかり基礎から勉強していくことが大事だと思います。あと、勉強していく科目の順番も、合格に近づくためのカギになるかもしれませんね。


【30代・男性】
電験の試験はやみくもに勉強しても合格できません。試験を受けようと思ってからまずやることは、「試験日まであとどのくらいの期間が残っているか」を確認することです。


もし残り期間が半年を切っている場合は、その次の回の試験に目標を定めた方が良いかもしれませんね。もちろん勉強するスピードや理解力の差にもよりますが……。


半年かけて急いで詰め込む勉強よりも、次の回の試験までじっくり時間をかけて基礎を固めながら勉強していく方が、より合格に近づきやすいと自分は思います。


【20代・男性】
わたしは3年かけて電験三種の資格を取りました。個人的な意見ですが『理論』と『機械』が特に難しかったです。『理論』についてはさっぱりで、法則・単位記号は学生時代の時に勉強した以来なので結構理解に苦しみましたね。


『機械』に関しては範囲が広かったので、暗記するのが大変でした。アドバイスとして言えるのは、最初は4科目まんべんなく勉強していく流れでいいと思いますが、難しいと思った科目は嫌でも後回しにしない事です。


科目免除が効く3年間の中で資格を取得したいのであれば、自分が一番苦手としている科目を1年目に合格しておいて、残りの科目はあとの2年間で取りにいった方が、後々気が楽になると思いますよ!


~電験三種の攻略方法まとめ~

4科目の中の『理論』は電験三種の基礎
じっくり時間をかけて基礎を固めながら勉強していくことが合格への近道
勉強する順番は『理論』⇒『電力』⇒『機械』⇒『法規』がおすすめ
難しいと思った科目は後回しにしない
電験三種は3年間たっぷり使って攻略していく


工事士.comで求人をさがす


電験三種の資格、3つのメリット|転職に有利?手当が付く?

難易度の高い国家資格である電験三種ですが、資格取得後はどんなメリットがあるのでしょうか。


1. 将来性がある

受変電設備や電気設備を扱う会社にとって、電気主任技術者は無くてはならない貴重な存在です。なぜなら、高圧受変電設備の保安管理は、電気事業法によって規則として定められているからです。
そのため、この世界に電気がある限り、電気主任技術者の仕事は無くならないと言っても過言ではないでしょう。


2. 転職活動・就職活動に役立つ

電験三種は合格率が一桁台のレベルの高い国家資格なので、試験に合格して資格を取れば、自分の持っている知識や技術を証明できる武器になります。


例えば企業の面接の時に、「電験三種の資格を持っています。今後は経験を積みながら、電験二種や電験一種などの上位資格も取得していきたいと考えています。」というような意欲をアピールすれば、企業側に好印象を与えることができ、就職・転職成功へ近づけるかもしれません。


3. 資格手当がつく、給料がアップすることも

電験三種のようなレベルの高い国家資格を取得すれば、必然的に会社からの評価が高くなると考えられます。資格があることで給料がアップしたり資格手当がついたりする可能性も高まります。
ただし、実務経験の有無で金額が大きく変わる場合も多いため、資格取得後は学んだ知識を活かして、実務経験を積んでいくことが大切だと言えます。


◇◇◇◇◇

電験三種を取得するためには多くの知識を身につける必要があるので、長期戦になることは覚悟しておかなければなりません。しかし、辛い時期を乗り越えて資格を取得できれば、上記のような嬉しいメリットがたくさんありますよ!


また工事士.comでは、電験三種の資格を活かせる求人情報も多数掲載していますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね!


工事士.comで求人をさがす


まとめ

今回は、電験三種の難易度や合格率・勉強方法などについて詳しく解説してきました。


今後、電験三種を取得しようと考えている方は、必ず試験勉強の壁にぶち当たることと思います。そんなとき、この記事が少しでも参考になればうれしいです。
また、工事士.comではスキマ時間に便利な電験三種の過去問クイズもご用意しています!ぜひ活用してみてくださいね。


工事士.comは、あなたの合格を応援しています!


★電験三種 過去問クイズはこちら!


★電験二種の難易度・合格率についてはこちら!


工事士.comで求人をさがす


電験三種の求人を探す

電験三種の求人一覧

その他の条件で電気工事士の求人を探す

資格試験スケジュールカレンダー