消防設備士甲種4類の受験資格と試験概要まとめ/難易度・合格率まで

消防設備士

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甲種4類の資格取得を考えている方の中には、「資格を取ってスキルアップしたい人」や「給料アップにつなげたい人」、はたまた「会社の上司に資格を取れと言われて、仕方なく取らなければならない人」など様々いらっしゃると思います。


資格を取るためには、面倒な手続きや、仕事の合間を縫っての勉強など、準備が大変ですよね。しかし、資格を取得した後は手当が付いたり、転職に活かせたりと良い事がたくさん待っています。

今回の記事では、甲種4類の資格取得が少しでもスムーズに進むよう、資格の難易度や合格率、勉強方法、試験の申請方法などをまとめてみました。


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消防設備士甲種4類の受験資格と試験概要

消防設備士甲種4類を受験するには、国家資格(甲種消防設備士や電気工事士等)または学歴・経験などの受験資格が必要です。詳しい受験資格については、 消防試験研究センターHPよりご確認ください。


甲種4類の出題範囲・出題形式・試験概要については下記をご覧ください。

試験科目(甲種4類)出題数
筆記消防関係法令法令共通8
法令種別7
基礎的知識電気に関する部分10
構造・機能及び工事・整備電気に関する部分12
規格に関する部分8
実技鑑別等5
製図2
  

◇出題形式と試験概要
◎筆記試験 : マークシート方式(4択問題)
◎実技試験 : 鑑別等・製図(記述式)

※甲種の実技試験は、写真やイラストなどを見て記述式で解答する鑑別問題と、解答用紙に感知器や配線などを記入して設計図を完成させる製図問題などが出題されます。実際に自動火災報知設備をいじったりする実技試験ではありません。


◎出題数
筆記試験=3科目で45問
実技試験=7問
…計52問

◎試験時間
3時間15分(筆記・実技を含む)
※筆記試験と実技試験は同日に行い、 3時間15分の中で筆記試験と実技試験の両方を行います。

◎合格基準(筆記試験と実技試験、どちらも受かって合格になります。)
・筆記試験
科目ごとに40%以上かつ、 筆記試験全体で60%以上の正解率が必要
・実技試験
60%以上の正解率が必要


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試験の難易度と合格率

資格を取ろうと思った時、気になるのがその難易度や合格率。「簡単に取れるものなのか」 「自分は合格できそうなのか」など、試験の難易度は知っておきたいですよね。


先にお伝えすると、甲種4類の試験は決して簡単ではありません。『10人中3人しか合格できない、難易度高めの試験』です。ここからは、甲種4類の資格が難しいと言われている理由や、甲種4類の合格率について解説していこうと思います。



実技試験の「製図」は難しい?甲種4類の難易度を上げている2つの理由

甲種4類が難しいと言われている1つ目の理由は、実技試験の「製図」が関係しています。今回この記事を書くにあたって、甲種4類について調査していると、「製図で落ちた」「製図が難しかった…」という声をよく耳にしました。


甲種4類の試験全体を、レベルで表現してみると、


筆記試験・・・★★★
実技試験(鑑別)・・・★★
実技試験(製図)・・・★★★★★


といった感じでしょうか。


製図では、解答用紙に感知器や配線を書き込む問題などが出題されます。4つの選択肢の中から答えを選ぶ筆記試験や、写真やイラストを見て答える鑑別と比較すると、少し難しいと感じるかもしれません。


製図を理解するためには、筆記試験の勉強を怠らない事が大切です。まずは筆記試験の勉強を重点的に行いましょう。甲種4類の難易度については別記事で詳しくまとめていますので、ぜひそちらも参考にして下さい。


甲種4類が難しいと言われている2つ目の理由には、合格基準の足きり点が関係しています。足きり点とは、筆記試験の各科目(『消防関係法令』『基礎的知識』『構造・機能及び工事・整備』)において定められた合格ラインの事を意味します。


例えば、筆記試験全体の正解率が60%以上を超えていたとしても、3科目中1科目でも正解率が40%に満たなかった場合、不合格となってしまいます。3科目とも40%以上の正解率を出すには、まんべんなく勉強することが必要だと言えるでしょう。


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過去5年の平均合格率は33.02%

続いては、甲種4類の合格率を見ていきましょう。
下記の表は、甲種4類試験の合格率(平成28年度~令和2年度2月現在分まで)をまとめたものです。




年度受験者数(名)合格者数(名)合格率
R2 9,743 3,647 37.4%
R1 17,361 5,831 33.6%
H30 18,484 5,986 32.4%
H29 19,033 5,845 30.7%
H28 19,301 6,403 33.2%

引用:一般財団法人 消防試験研究センター「試験実施状況


上記の合格率に注目して見ると、合格率は毎年3割程度で『10人中3人しか合格できない』という事が分かります。ネット上では「消防設備士の試験は、比較的簡単」などと目にすることもありますが、こちらの合格率を見ると、簡単な試験とは言いづらいのではないでしょうか?


この合格率の低さには、先程お伝えした『甲種4類の難易度を上げている2つの理由』が大きく関わっていると考えて良さそうです。試験に合格するためには勉強期間を多めに用意して、筆記試験・実技試験ともに十分な対策をしておきましょう。


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勉強時間の目安と勉強方法

勉強期間は約3ヶ月程度用意しておくと安心

いざ、資格を取ろうと思った時、「いつから勉強を始めればいいんだろう?」「1日何時間くらいやったら合格できるかな…?」と悩んでしまう方も多いと思います。実際に甲種4類の試験を受験された方に、「試験本番までにどれくらいの勉強期間を設けましたか?」と質問したところ、『約3ヶ月前から』との回答が多い傾向にありました。


とはいえ、勉強スピードは人それぞれ異なると思いますので、「約3ヶ月前から」というのはあくまで目安の1つと考え、余裕をもって準備すると良いでしょう。


“勉強する順番”が甲種4類の試験を攻略するポイント

消防設備士の試験は、筆記試験が合格基準(正解率60%以上)に達していないと、実技試験は採点されないという、ちょっと変わった採点方法になっています。その為、まずは筆記試験の内容をしっかり勉強することが大切です。


出版されているテキストを開くと、ほとんどのテキストが①筆記試験の内容⇒②実技試験(鑑別)の内容⇒③実技試験(製図)の内容というような目次の流れになっていると思います。この目次の順番通りに勉強していく事が、甲種4類の試験を攻略するポイントだと言えるでしょう。


なぜなら、筆記試験で勉強する内容を理解していないと、実技試験の鑑別等や製図の問題が解けないからです。まずは筆記試験の内容をしっかり勉強して、基礎知識を固めることから始めましょう。


他の記事では、【消防設備士 甲種4類・乙種4類 ~勉強時間・勉強方法・テキスト~】もまとめていますので、そちらもご覧になってみてください。


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『消防設備士甲種4類』 科目免除

続いては、甲種4類の科目免除についてお伝えしていきます。科目免除とは、消防設備士(甲種4類以外)の資格や電気工事士などの資格を持っていると、試験科目の一部を免除できるといった制度です。


免除の内容については、下記よりご確認下さい。


科目免除一覧

【消防設備士 甲種4類の科目免除】
保有資格免除される科目
消防設備士甲1・甲2・甲3・甲5
(甲4以外の消防設備士甲種の資格)
『消防関係法令』の共通部分
電気工事士 『基礎的知識』および『構造・機能及び工事・整備』のうち、電気に関する部分
実技試験の鑑別等試験の問1
電気主任技術者 『基礎的知識』および『構造・機能及び工事・整備』のうち、電気に関する部分
技術士(電気・電子部門) 基礎的知識』と『構造・機能及び工事・整備

上記の他、日本消防検定協会または、指定検定機関の職員で、型式認証の試験の実施業務に2年以上従事した人は、筆記試験の『基礎的知識』と、『構造・機能及び工事・整備』が免除になります。

(試験が一部免除になった場合は、試験時間も短縮されるので注意してください。)


科目免除はやった方がいい?メリット・デメリット

消防設備士の科目免除に関しては、「やった方が良い」「やらない方が良い」というそれぞれの意見があります。科目免除をする・しないの判断はご自身で決断することになるでしょう。今回はその判断材料として、科目免除のメリット・デメリットをまとめてみたので、是非参考にして下さい。


【科目免除のメリット】
◎勉強する範囲を少なくできる
◎勉強にかける時間を短縮できる
◎試験に必要な範囲を絞って勉強できるので、より知識が深まる。


【科目免除のデメリット】
◎部分的な免除があっても、科目ごとに40%以上の正解率を取らなければならないので、結果的に負担が増える。(例えば、消防関係法令の『共通部分』のみが免除される場合、残りの『法令種別』だけで40%以上の正解率を取らなければいけない。)


◎免除となる部分には、基礎的な知識が多く含まれており、得点を稼ぎやすいので、免除するのはもったいない。

引用 : 消防設備士乙種6類に合格するには|覚えておくべき7つの基本情報


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試験日・試験回数について

消防設備士の試験は、都道府県ごとに試験日や試験回数が異なります。 その為、試験の申し込みをする際は、随時確認が必要です。 詳しくは一般財団法人 消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。


なお、甲種4類の受験費用は、5,700円になります。(2021年度時点)

消防設備士の試験の申請方法は、『書面申請』と『電子申請』の2つの方法があります。 詳しい申請方法については、下記にまとめましたのでこちらをご覧ください。

※電子申請の場合、振込手数料は消防試験研究センターの負担となっていましたが、令和3年3月以降、払込手数料230円(消費税込み)が受験者負担となります。ご注意ください!


【書面申請の方法】
書面申請の場合は受験願書が必要になります。受験願書は、消防試験研究センターの各支部及び、関係機関の窓口で無料配布しています。 受験申請に必要な書類(受験願書・郵便振替払込受付証明書など)を揃えた後、受付期間内に消防試験研究センターの各支部へ提出して下さい。 受験票は試験実施日の概ね1週間前までに郵送される予定です。(詳しくは消防試験研究センターの各支部へお問い合わせください)


【電子申請の方法】
電子申請は、インターネットから消防試験研究センターのHPにアクセスして申請する方法です。 ケータイやスマートフォンからは申請できませんのでご注意ください。

まず、消防試験研究センターのHPの【電子申請はこちらから】にアクセスし、必要事項を入力します。 申請手続き終了後、受験費用の振り込みを行います。(クレジット・コンビニ払い・ペイジー等選択可)


その後、消防試験研究センターのHPから受験票をダウンロードし、受験票へ顔写真を添付します。 試験当日は、顔写真付きの受験票を持参してください。(詳しくは消防試験研究センターの各支部へお問い合わせください)

引用 : 消防設備士乙種6類に合格するには|覚えておくべき7つの基本情報


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甲種4類の先輩受験者から、あなたへのメッセージ

最後に、甲種4類受験者の先輩方から、これから試験を受験するあなたにメッセージを頂いたので、ご紹介したいと思います。


【40代後半:男性】
甲4の試験は範囲も広くて、覚えるのが面倒くさかったです。 途中で辞めちゃおうかなと考える時もありました。

でもせっかくお金払ったんだし、やるしかないかと、自分を奮い立たせながら頑張りました。 合格率は3割程度だけど結局のところ、受かるか・落ちるかの差って、 『ちゃんと勉強するか・しないかの差』だと思います。

一夜漬けでは歯が立たない、そんな試験なので、 勉強は前もってガッツリやった方が良いと思いますよ。


【20代:男性】
資格取るのなんて高校生ぶりだから、最初テキスト開いた時、 「どうやって勉強すんだっけ?」と悩みました。

会社の先輩に、消防設備士の資格を持っている人がいたので、 「どのくらい勉強しましたか?」と質問すると、「とりあえず教科書(テキスト)読んで、 あとは過去問集(問題集)を3周か4周くらいやっておけば大丈夫!」と言われました。


それだけで本当に大丈夫なのかな…と最初は半信半疑でしたが、他に勉強方法が見つからなかったので、言われた通りにやってみたんです。そしたら1発で合格できました。勉強方法に困ったら、とりあえず問題集で過去問や例題をいっぱい解いておけば大丈夫だと思いますよ!


【20代:男性】
最初、製図が全然わかんなくて、過去問集を解くときは解答集を見ながら勉強していました。

答えを見ながら問題解くのはちょっとな…と初めは気が引けていたけれど、 図面を見たことが無い人は、このやり方が結構オススメだと思います。

俺だけかもしれないけれど、いきなり自力で問題を解こうとすると、余計チンプンカンプンになるし、答えを見て勉強した方が、「こんな風になるんだ~」って理解も早いです。

ただ、答えを見て問題を解くのは最初だけです。例えば、過去問集(問題集)を3周やるとしたら、最初の1周目だけ答えを見て解くという事です。

2周目を解くときは、1周目に解いた時の事を思い出しながら自力で頑張ります。それを繰り返しやっているうちに、いろんな問題がほぼ完璧に解けるようになりました。勉強方法はいろいろあると思うので、この方法も1つの案として参考になれば良いなと思います。


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まとめ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。今回の記事では、消防設備士甲種4類の難易度や勉強方法、試験情報などについて簡単にお伝えしてきました。

今後、甲種4類の資格取得を視野に入れている方は、是非、この記事の情報をご活用していただければ嬉しいです。


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