電気通信工事とは|電気工事との違いや詳しい仕事内容まで徹底解説

資格  工事  現場  仕事内容 

目次

『電気通信工事』というワード。


電気に関わる仕事をしていたり、電気業界への転職を考えている方であれば、聞いたことがあるのではないでしょうか?「通信工事って言葉はよく見るけど、電気工事と何が違うの?」「具体的にどんな仕事をするの?」。そう思って「通信工事」「電気通信工事 仕事内容」などといったワードで、ネット検索している方もいらっしゃるとと思います。


この記事では、電気通信工事と電気工事のちがいや、くわしい仕事内容、役立つ資格などをご紹介します!


『電気通信工事』と『電気工事』のちがい

電気通信工事を簡単にご説明すると、「情報通信設備に関する工事」のことです。情報通信設備とは、例えば電話やテレビ、インターネットなどの事を言い、建物や施設の中で情報を伝達する設備のことを表します。


電気通信工事に分類される工事(例示)
電気通信線路設備工事・電気通信機械設置工事・放送機械設置工事・空中線設備工事・データ通信設備工事・情報制御設備工事・TV電波障害防除設備工事


上記の7つは電気通信工事の例示です。簡単にまとめると、電気を情報伝達のために使ったり電力を制御したりする工事のことを言います。情報通信設備には電話・テレビ・インターネット・防犯カメラ・火災報知器・放送設備など様々あり、それらの設備の設置や設置に伴う電気工事のことを総じて「電気通信工事」と呼んでいます。


電気工事との主な違いは、扱う電力の大きさが違うと考えていただければわかりやすいと思います。電気通信工事と電気工事は、仕事内容が混同されていることがあるので、見分ける際は注意が必要です。


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電気通信工事のくわしい仕事内容

続いて、電気通信工事では具体的にどんな仕事を行っているかを見ていきたいと思います。


LAN工事

LANとは、建物内やフロア内といった狭い範囲にあるコンピューターで構築されたネットワークのことを言います。


一般的には、パソコン・プリンター・通信機器・セキュリティー機器などのオフィス機器を、ネットワークに接続するための工事を行います。このほか、アパートやマンションのWi-Fi設置工事、ネットワーク機器の設定、LANケーブルの配線工事、光ケーブル工事などもあります。


LANは『有線LAN』と『無線LAN』に分けられ、LANケーブルを使用してネットワークに接続する事を有線LANといい、LANケーブルを使用せず、電波で無線接続する事を無線LANといいます。通信工事業界の中では『LAN』は良く使われる言葉ですので、覚えておくと良いでしょう!


携帯電話基地局工事

この工事ではモバイル端末(携帯電話やスマートフォンなど)に効率よく電波を届けるための工事を行います。具体的には、屋外・屋内基地局の建設、電波不感地帯の解消・通信試験、アンテナや無線設備の機器設置などがあります。


ビル・マンションの屋上や、20m~50mくらいの鉄塔に上って、配線したりアンテナを設置したりする作業があるので、高いところが苦手な方には不向きな仕事かもしれません。


放送設備工事

建物や施設の中で、コミュニケーションや情報伝達のための放送設備に関わる工事を行います。(主に公共施設や商業施設、学校や病院・店舗等)


放送設備の中には、非常放送設備、緊急放送設備、一般業務放送設備、舞台・劇場などの音響設備、AV機器設備・会議室放送設備などがあります。これらは私たちの生活に欠かせない設備で、多くの人々に情報を伝えるための大事な役割があるので、やりがいも充分に感じられると思います。


テレビ共聴設備工事

建物内でテレビを見るためにケーブルを引き込んだり、テレビ電波を受信するためにアンテナを設置したりする工事です。集合住宅・マンションへの地デジ受信設備工事や、電波障害エリアと言われる山間部や人口密度の低い地域に、電波の共同受信施設を構築する工事を行っています。


設備機器の設置工事

病院などのナースコール、集合住宅などのインターホン、公共施設や商業施設などの防犯カメラ。これらの弱電設備機器を設置する工事です。


上記でご紹介した5つの工事は、電気通信工事ではメジャーな仕事内容です。工事士.comに求人を掲載している企業様の中にも電気通信工事を行っている会社はたくさんあるので、「どんな工事があるのかもっと知りたい!」という方は、ぜひ求人を覗いてみてください。


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電気通信工事の資格について

最近の電気工事業界では、職人の人材不足・技術者不足の影響を受け、「未経験・無資格の方も歓迎」という会社が増えてきています。とはいえ、資格を持っていないと出来ない工事や入れない現場もあるので、資格を持っているに越したことはありません。


では実際に電気通信工事で、持っていると重宝される資格にはどんなものがあるか、代表的な3つの資格をご紹介したいと思います。


工事担任者

工事担任者は主に電話回線やケーブルテレビ、光回線などの配線工事・機器設置工事が出来る資格です。又はそれらの工事を監督するための資格で、実際の現場などでは略して担任者・工担と呼ばれています。


【工事担任者ができること】
電話回線を電柱から引き込む工事や、光ファイバー工事、インターネット関連配線の引き込み工事が出来るようになります。(光ファイバー:光信号を伝送するための非常に細い線のこと)


【電話回線の種類】
◎アナログ回線:通常の電話回線で、ケーブルを使用し音声やFAXなどに利用される。
◎ADSL回線:アナログ回線を利用して接続するインターネット用の高速回線。
◎光回線:光ケーブルを利用した高速大容量のデジタル通信用回線。
◎ISDN回線:日本版デジタル回線。光回線が普及されてからはあまり使われていない。
※書籍「電気設備の基礎」を参考


【工事担任者の資格の種類】
工事担任者の資格には、主に5つの種類があり、アナログ通信とデジタル通信に分かれます。それぞれに第一級と第二級があり、扱う事の出来る回線数などにより資格のランクが変わってきます。


◇アナログ通信の資格は、簡単に言えばアナログ設備(一般的な電話回線)の工事が出来る資格です。


(1)第二級アナログ通信:回線数 1回線まで
※主に家庭内、又はこれと同等規模の接続工事を想定


(2)第一級アナログ通信:回線数 無制限
※すべてのアナログ電話回線及び全てのISDN回線の接続工事が可能。回線数や工事の規模に制限なし


◇デジタル通信の資格は、デジタル設備(光回線など)の工事が出来る資格です。


(3)第二級デジタル通信:主に家庭・SOHO向けの回線速度が1ギガビット/秒以下のインターネットに接続するための工事が可能
※SOHO:パソコンやインターネットを活用して、自宅など小規模のオフィスで仕事をする形態


(4)第一級デジタル通信:ISDN回線を除く、すべてのデジタル回線への接続工事が可能


◇工事担任者の最高レベルの資格


(5)総合通信:第一級アナログ通信と第一級デジタル通信の両方の工事範囲を含み、工事担任者として全ての工事が可能
※第一級アナログ通信と第一級デジタル通信の両方の資格を持っていると「総合通信」の資格を申請することが出来ます。


工事担任者の資格は通信工事においては非常に重宝されている資格ですので、持っておくと便利です!工事担任者の資格についてもう少し詳しく知りたいという方は、「第二級デジタル通信」や「総合通信」についてまとめた記事もあるので、あわせてご活用ください。


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電気通信主任技術者

電気通信主任技術者とは、電気通信ネットワークの工事や維持、及び運用の監督責任者の事を言います。電気通信主任技術者は、ネットワークを構築する設備により「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2つに分かれます。


※資格に関して詳しくは、工事士.comサイト上の【電気業界人Pickup 電気通信主任技術者】をご覧ください。


電気通信主任技術者は現場を維持・監督する立場にあたるので、責任も重大です。そのため、資格試験の難易度も非常に高いです。しかし資格を持っていると基本給が上がったり手当がついたりと給与面で優遇されることがあります。


試験を受験して合格するまでが一番大変ですが、取得後はメリットも沢山あるので、今後資格取得を目指しているという方は、ぜひ根気強く受験勉強に取り組んでいきましょう。


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電気通信工事施工管理技士

電気通信施工管理技士』は、令和元年度に新設された比較的新しい資格です。有線・無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送設備機械などの電気通信設備工事に携わるあらゆる技術者にとって役立つ資格と言えます。


受験資格などは以下の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。



電気通信工事施工管理技士の資格を持っていると、技術を証明できるだけなく、転職活動の際にも大変有利になり、仕事の幅も広がることでしょう。


この資格を取る為には現場で実務経験を積む必要があります。通信工事に携わっているという方で、自分自身のスキルアップや給料アップを目指している方は、ぜひ資格の取得にチャレンジしてみてください!電気通信工事に関係する資格について詳しく解説している記事もあるので、そちらも併せて参考にしてみてくださいね。


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現役の『電気通信工事士さん』に聞きました

これまで、電気通信工事のくわしい仕事内容や、資格についてお話ししてきました。


この記事を読んでいる方の中には、すでに「電気通信工事の仕事をしたい」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。


わたしたち工事士.comは、これまで多くの電気通信工事会社の方とお話ししてきました。
その中で、この仕事ならではの大変さやおもしろさなども伺ってきたので、少しご紹介させていただきます。これから電気通信工事士になる事を目指している方は、ぜひこの記事を今後の参考にしていただければと思います。


電気通信工事の大変なところ

●仕事内容:携帯基地局工事・20代
自分は高いところが苦手です。だいたい40メートルくらいの鉄塔に上ってアンテナを取り付けたり電線を敷設したりするのですが、作業中も落ちるのではないかと不安になる事があります。もともと通信系の仕事が好きなので仕方ありませんが、なるべく下を見ないように気を付けています。


●仕事内容:LANケーブルの敷設など・50代
通信系の仕事はどんどん情報や設備が移り変わるので、覚えることが尽きません。ときどき無線工事などで高所作業車に乗って作業をする時もあって、落下などの危険性があります。(いつも安全第一ですが。)お客さんの要望によって夜間作業が発生することもあるので、体力的に「しんどいなぁ」と感じる時があります。


●仕事内容:光回線系・30代
DD第三種(「第二級デジタル通信」の前身にあたる資格)を持っていて、以前住宅の光回線の仕事をしていました。お客さんが目の前で作業中の様子を見ているときもあるので、その時は緊張します。でも、緊張感を持って作業している方が丁寧に施工できるし、テキパキはかどるので良い経験になったと思っています。


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電気通信工事のおもしろさ

●仕事内容:携帯基地局工事・40代
携帯電話の不感地域での工事を終えて、電話が快適に使えるようになった時は毎回うれしさと充実感を感じます!高所での作業が多いので、高いところが苦手な人には大変だと思いますが、送電線の鉄塔の上から見る広大な景色はとても印象に残りますよ!このおもしろさは通信工事でしか味わえないと思います。


●仕事内容:電話工事・20代
いろいろある電気工事の中でも、NTT設備の構築といったものは、一般的な建設会社ではできないところに魅力を感じています。通信業界は技術革新のスピードが特に速い業界なので、常に最新の技術に触れながら仕事が出来ることがとてもおもしろいです。


●仕事内容:防災無線の設計・20代
学生時代はプログラムやハードウェア、ソフトウェアの設計などを学んでいました。防災無線は災害が起こった時に人命を守る最初の手段だと思っています。正確性が要求される、とても難しい仕事だと思っていますが、自分の仕事が人命を守ることに繋がっていると思うと、非常にやりがいを感じます。


いかがでしたでしょうか?何が大変で、何がおもしろいと感じるかは人それぞれですが、みなさん自分の仕事に対して電気通信工事ならではの魅力を感じているようでした。


この記事を読んで「大変そうだな……」「意外と難しそうだな……」と感じた人もいらっしゃると思いますが、大変な分だけ、得られるものも多いと思います。大変なことも良いことも両方を理解した上で、ぜひご自身の選択に役立てていただければ幸いです!


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まとめ

今回は『電気通信工事』について、詳しく解説してきました。
電気通信工事士の1日の流れや、各資格の詳細については、他の記事で詳しくご紹介していますので、そちらもぜひ参考にしてみてくださいね。


この記事が、あなたのお役に立てることを祈っています。


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