電気工事士の資格手当、金額の相場はどのくらい?
電気工事士の仕事・転職国家資格として人気のある電気工事士の資格。
資格を取得すると、企業によっては基本給に追加で資格手当が支給されます。この記事では、企業によって異なる資格手当について、調べた情報をお伝えします。
電気工事業界専門の求人サイト「工事士.com」に実際に掲載された資格手当の金額や相場の情報、また求人情報や採用担当者から直接聞いた電気工事業界における資格手当の考えなどをご紹介します。参考にしてください。
資格手当とは?
資格手当とは、社員が業務に活かせる資格を取得した際に、企業が一定額を毎月支給する制度です。どんな資格に資格手当を支給するかは企業の自由ですが、電気工事業界であれば「第二種電気工事士」や「第一種電気工事士」など電気系の種類の資格に対して支給することが多いです。
なお、資格手当の支給する/しないや支給金額は自由で、支給義務はなく、あくまで企業の福利厚生の一環という位置づけです。
資格手当を支給すると、社員にとっては資格の取得が毎月の給料に直結するため資格試験に合格するモチベーションがあがります。会社への満足度も上がるため、企業にとっても人材を定着させるメリットがあります。
電気工事会社の資格手当の金額一覧と相場
早速ですが、一番気になる、電気工事士の資格手当の金額を具体的に見ていきましょう。
直近で本サイトに実際に掲載されていた電気工事会社の求人情報から抜粋した資格手当の金額を一覧表にまとめました。
資格手当を支給している企業は多いですが、金額を公開していない企業の割合が高いため、
この一覧表はあくまで一例として見て下さい。
以下は、第二種電気工事士と、第一種電気工事士の両方の金額が確認できた企業について、それぞれの金額と社員数です。
<資格手当の金額と社員数の一覧表>
第二種電気工事士の資格手当 | 第一種電気工事士の資格手当 | 社員数 |
---|---|---|
30,000円 | 60,000円 | 220名 |
20,000円 | 30,000円 | 12名 |
20,000円 | 50,000円 | 10名未満 |
5,000円 | 10,000円 | 17名 |
5,000円 | 15,000円 | 15名 |
5,000円 | 10,000円 | 10名未満 |
5,000円 | 10,000円 | 27名 |
5,000円 | 8,000円 | 10名未満 |
5,000円 | 10,000円 | 11名 |
5,000円 | 10,000円 | 10名未満 |
5,000円 | 7,000円 | 15名 |
3,500円 | 6,500円 | 10名未満 |
3,000円 | 5,000円 | 30名 |
3,000円 | 5,000円 | 10名未満 |
3,000円 | 5,000円 | 40名 |
2,000円 | 5,000円 | 10名未満 |
2,000円 | 8,000円 | 13名 |
(職種は全て、電気工事会社での電気工事士募集です。)
(工事内容は、電気配線、受変電設備、空調、電気通信、照明の新築工事、改修工事など様々です)
(企業の所在地も東北~九州まで、それぞれです)
(施工管理の会社や設備保守管理の会社だと、傾向が異なる場合もあります)
一覧表の通り、資格手当の金額は企業によってバラバラで、第二種電気工事士については「毎月2,000円~30,000円」まであります。第一種電気工事士の資格手当は「毎月5,000円~60,000円」まであります。
第二種の資格手当が毎月20,000円を超えているような例は、かなり金額が大きめだと思われます。集中しているゾーンを見ると、第二種電気工事士については「5,000円」あたりが金額の相場、
第一種電気工事士については、「10,000円~15,000円」あたりが相場と言えます。
第一種電気工事士の金額は、第二種電気工事士の
おおよそ1.5倍~2.5倍程の額を支給するのが相場になっています。
仮に「第二種電気工事士の資格手当 :毎月 5,000円」で想定してみると、1年間で60,000円(5,000円×12ヶ月)が加算されます。
「第一種電気工事士の資格手当 : 毎月10,000円」で想定してみると、1年間で120,000円(10,000円×12ヶ月)です。
預金や投資などの資産運用をしても、中々お金を増やすのは大変になっていますので、そう考えると、それなりにインパクトある金額です。
資格手当の金額が違うのはナゼ?
資格手当の支給については、法律で定められているルールや金額制限はありません。
そのため、資格を保有する社員に対して、資格手当を支給するかどうかは、
全て企業ごとの考えによって判断して、決められています。
そのため、資格手当を支給する企業もあれば、支給しない企業もあります。
また、資格手当を支給する場合も、上で書いたように企業によって金額は異なります。
どのような考えを企業が持っているのか、一例としては、次のような声がありました。
■資格手当を支給する、手厚くする企業の考え
「資格を持っているか持っていないかは、はっきりと分かり易い違いなので、手当として制度化して還元している。 資格試験に合格したら目に見える形で、資格手当によって給料が増えると分かっていれば、 頑張ろうという気持ちになるし、合格できた時に達成感にもつながる。」
「うちの会社では社員1人ひとりが学び、技術を高めることを重視しています。 そのため、社員の学びの場は様々なかたちで作っています。資格の取得もそのうちの1つです。 業務が忙しい中でも、資格試験の合格目指して勉強をしようと自分なりに工夫することが、現場実務での成長にもつながると思っています。」
「会社を作ってから、資格を持っていない未経験の人しか採用していません。
なので、入社してもらったら、見習いとして業界の基本を覚えることから始まります。
まずは第二種電気工事士を取らないと、配線の業務はできません。
入社して初めの大変な時期に頑張る必要があるので、それについてはご褒美というか、報いてあげたい気持ちがあるので、資格手当を制度として用意することにしました。」
■資格手当をそれほど手厚くしない企業の考え
「資格はもちろん大事ですが、現場の業務はやっぱり別物。テストに合格しただけで給料が増える制度にはしていません。 資格と現場での技術と両方を満たしたら、昇給というかたちで給料が増えるようにしています。 手当はなくても、昇給の金額で、ちゃんと成長を実感してもらえていると思います。」
「うちの会社は工事の種類が業界でもかなり特殊なので、資格を増やすよりかは、
現場の特徴や対応方法を覚えてもらうことを重視しています。
最低限、第二種電気工事士の資格があれば、それ以上はあってもなくても、どちらでもいいです。
社内の仕事の仕方や、お客様への対応とかをきちんと学んで欲しいと思っています。」
それぞれの企業の考えに、一理あるといった印象ですね。
業務内容や工事の種類によっても違いますし、どんな人が入社しているのか、会社はどのような雰囲気なのかも、資格手当を制度化しているかどうかに影響しそうです。
資格を増やすことと仕事上の関係がない場合も、「資格は増やさず、現場仕事に集中」の企業もあれば、
「現場と直接関係はないけど、1人ひとりが学んでいく為に、試験に合格した社員には可能な範囲で手当をつける」という企業もあります。このように企業の考えによって違いが生まれているようです。
ですから、「なぜ企業によって資格手当が違うのか?」というよりは、違うのが自然と言えます。入社時の給料は、企業によって金額が違いますよね。資格手当も、それと同じように企業によって違うようです。
資格取得支援、資格取得祝い金について
少し話題はそれますが、資格手当と似た種類の制度について触れておきます。「資格取得支援制度」と「資格取得祝い金」です。
■資格取得支援制度
資格取得までの応援をする制度です。もっとも多いのが費用負担です。 試験勉強に必要なテキスト代や講習参加の費用、試験を受けるための受験費用などを負担します。 企業によっては、社内にあるテキストを自由に使えたり、先輩社員との勉強会があったりもします。 また、取引先の研修や講座に参加できるようにしている企業もあります。このように、いずれかのかたちで資格取得をバックアップする制度です。
■資格取得祝い金
「資格取得一時金」「報奨金」など、呼び方は企業によって違います。資格に合格した時に、お金が支給される制度です。 手当のように毎月支給されるものではなく、合格のタイミングで1度支給させるので資格手当とは種類が異なる制度です。 かたちは違いますが、資格取得をオススメする、応援するという趣旨では同じです。
企業によっては、資格手当、資格取得支援制度、資格取得祝い金など複数の制度を組み合わせています。 もっともよく目にするのは、資格手当と資格取得支援制度の両方をおこなっている企業です。
「なにがお得!?」資格手当以外も含めて、判断しましょう
最後に、冒頭で例にした資格手当の金額だけでの
判断は難しい、ということをお伝えします。
例えば、第二種電気工事士・第一種電気工事士が資格手当の対象になっているとして、
その他の電気に関連する資格については、支給対象になっているでしょうか?
電気工事士以外の資格手当の有無や、手当の金額によっては、
全体での資格手当の金額では、逆転もあるかもしれませんね。
また電気工事士の資格手当は相場よりも低かったとしても、家族手当、住宅手当、精勤手当、役職手当、休日手当、出張手当など、他の種類の制度の含め全体でみたときにはどうなるでしょうか。全体でみた時にはじめて、自分が得られる給料が分かってきます。
何よりも大事なことは、工事現場での技術・実力です。
資格手当が手厚い企業でも、そうでない企業でも同じだと思います。資格を取得しただけで現場が回せるようにはなるのは難しいです。
日々の業務を通じて力をつけていくこと、現場で周りから頼られる存在になることが、
自分自身の給料を増やしていく最速の道のりです。
資格手当や資格取得支援制度は、そこに向かっていく自分を励ましてくれる存在とも言えます。
そんなイメージをした上で、「ここでなら頑張れるぞ!」と思える企業が、きっと良い環境ではないと思います。
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